
亡き父から聞いた話です。
父が育った村には小さな火葬場があり、老夫婦が住み込みで管理をしていました。
老夫婦の趣味は敷地内で野菜を栽培すること。
火葬場から出る灰をまいて育てた野菜はナスやトマト、きゅうりなど全てが標準サイズより大きく、色も濃くて鮮やかだったそうです。
老夫婦は食べきれない分を村の人たちにおすそ分けし、父もまるで夏みかんのように大きなトマトをもらったことがありました。
火葬場でとれた野菜はどれもおいしくて、老夫婦は「〇〇さんは子供や孫に恵まれて幸せだったから、いい灰になったんだな」と言っていたらしく、父は幼心に何か怖いなと思ったそうです。
そんなある日、村の外れに住んでいた家族の父親が妻と四人の子供を殺し、自殺をするという事件が起きました。