1. ベルナツキー基地のバー(南極大陸)
地球上のバーで、恐らく最南端にあるこのバー。見ているだけで寒くなります。元々はイギリスが設営した南極観測基地でしたが、
1996年に
ウクライナが観測を引き継ぎました。
英国管理時代、最初は埠頭のために木を使用する予定でしたが、彼らは基地にも飲む場所が必要だと考えたのです。完成したのは、むき出しの木の梁と、彼らの祖国の素朴なパブを思い起こされるような、極寒の地にありながらも
温かいバーでした。
ウクライナに売却された後は、休憩時間に飲んだり、研究者と騒いだりできるような、ウクライナ風の施設になりました。
隊員でない一般客でも、3ドル(約310円)で自家製のウォッカが飲めます。ただ、バーの後ろに飾る女性用下着を寄付すると無料になるそうです。絶賛募集中。

2. クリスチャンズカフェ(ピトケアン諸島)
(Credit : Makemake/CC BY-SA 3.0) ピトケアン諸島は、南太平洋上に浮かぶイギリスの海外領土。飛行機でアクセスすることはできず、数本しか運行のないボートでないと行くことは出来ないという、まさに絶海の孤島。
ここに人が住むようになったのは、
18世紀末にイギリス海軍の武装船バウンティで起きた、艦長に対する反乱事件がきっかけだとか。
「バウンティ号の反乱」として、映画や文学作品にもなっているそうです。よって、今ここに住んでいるのは、この反乱に参加した
水兵さんの子孫の方々なのです。
ちなみにこのクリスチャンズカフェの営業時間は、開店は朝6時から、閉店は
客の状況や雰囲気次第。……からの、
金曜日のみとなっていますので、行かれる方は曜日と時間の確認をした方がよさそうです。
3. バーズビルホテル(オーストラリア)
(Credit : Stuart Edwards/Public Domain) シンプソン砂漠の嵐、洪水、人口減少を経て、オーストラリアのバーズビルホテルは、地球上で最も厳しい気候の試練に耐えてきました。
温度は50度を度を超えることもあり、雨がふること自体奇跡であるこの地域。このホテルに付随するバーは、この地域にやってくる人にとっては、
最後の要塞となっています。
シンプソン砂漠
4. アルバトロス・バー(トリスタンダクーニャ島)
(Credit : NASA ASTER volcano archive jpl/Public Domain) トリスタンダクーニャ島とは、南大西洋に浮かぶイギリス領の火山諸島である。諸島の中で唯一の集落、人口300人ほどの、エディバラ・オブ・ザ・セブン・シーズ(ちょっとカッコイイ)がある。なんと
ギネスブックにも、「
世界一孤立した有人島」として掲載されています。
危険な活火山に密接し隔絶されたこの環境は、人々にお酒を飲むことを必要とさせるらしく、その結果バーが作られたそうです。お酒飲まないとやってられないってことですかね。
エディバラ・オブ・ザ・セブン・シーズ
(Credit : michael clarke stuff/CC BY-SA 2.0)5. オールドフォージのバー(スコットランド)
(Credit : geograph.org.uk) 今回のリストに上がったバーの多くが、「我こそは一番遠いバーだ」と言い張るでしょうが、選ばれるのは勿論一つだけです。そう、その一つを見事勝ち取ったのが、このスコットランドの
オールドフォージのパブでした。29km程歩くか、船で行かないとたどり着けない、イギリスで最も辺鄙な場所にあると言われるこのパブ元々はネヴィス湖の岸にある鍛冶屋の鉄工所としてつくられ、第二次大戦後は
労働者の社交場として発展し、
1981年にパブになりました。
離れて見るとこんな感じ。山と湖に囲まれています。

6. 太陽の島 バオバブ(南アフリカ)
アフリカ原産の木、
バオバブ。この木は非常に大きくなるので、なんと中にバーを作ることだってできちゃうんです。
木の内部。居心地の良い雰囲気をつくるインテリア。

アフリカで一番大きい、と声高に叫ぶ人も多いバオバブの木。高さ約30m、直径は約10mにも及びます。驚くべきは、自然に中が空洞になっているということです。これによって、この土地の持ち主であるヴァン・ハーデン一家は、電車の車両ほどの大きさのバーを中に作ることができました。
20人が入っても快適なこの空間は、冷たい飲み物を保存する自然のセラーも兼ねています。
7. ナムチェバザールのアイリッシュパブ(ネパール)
世界一高い山、エベレストの登山は喉が乾きます。幸いにも、
ナムチェバザールという集落に、一人の起業家がバーをつくりました。このバー、
世界地高い場所にあるバーなんです。
ビリヤード台などもあり、旅行者にとっては地元の人との交流も一つの魅力のようです。
8. イエ・オールド・トリップ・トゥ・ジェルサレム・イン(イギリス)
このやたら長い名前の宿には、理由があります。12世紀に醸造所として始まったこの宿、なんとイギリスで最古の宿で、聖戦に向かう十字軍にお酒を提供した最後の場所だったのです。エルサレムに向けて出発する前に、最後の一杯であろうその酒を飲む十字軍兵士からその名前がつけられました。安心してください、"The Trip"という略称もちゃんとあるんです。
断崖の壁面に接したこの建物の中にパブもあり、城の下にある砂岩の中に直接組み入れるという伝統的な建築方法でつくられています。崖の下にある古いトンネルは、昔は刑務所でしたが、今は樽の保管場所になっています。
9. ラフィットの鍛冶屋(ルイジアナ)
これまでご紹介してきたバーとは異なり、行くのが難しい、というわけではありません。しかしこの鍛冶屋は1722年に開店してから、ずっと旅行者を惹きつけ人気があり、最も
世界の終わりまで存在する可能性が高いのです。
老朽化したレンガ造りの建物は、バーボン・ストリートに存在するフランスの植民地風の建築様式で唯一残っている例の一つです。このバーは、ラフィット・ブラザーズという密輸業者のアジトとして使われたという地元の噂から、その名前がつけられました。ちょっと不名誉な名前ですが、200年以上続く酒場というからには、長く愛される秘訣があるのでしょう。
10. フォーブズ島のバー(カリフォルニア)
フォーブス島と呼ばれる小さな人口島。それと同じ名前をもつレストランとバーでは、裕福な客がカクテルを飲み続けることができます。
島自体は、1975年に億万長者のハウスボート・デザイナー、フォーブズ・トール・キドゥ)によって建設されました。
フォーブス島はサンフランシスコと接続され、とてもアクセスが良い場所にありますが、海に浮かぶ人工島ゆえに、将来はこの中で最も離れた場所になってしまう可能性もあります。アクセスが容易なうちに行っておかないと、と思ってしまいますね。
ちなみにおすすめの一杯 は『海のそよ風』だそうです。お試しあれ。
[via : atlasobscura.com]