説教くさい?現代社会を風刺したイラスト

「風刺画ってたまに説教臭くてウザい」
周りでそうつぶやく人がいた。
確かによくできた風刺画には、わかりやすいメッセージであればあるほど、一つの考えを強いられるような感覚に陥らせる力がある。
かと思えば、こんな2chスレもある。
「この風刺画の意味がわからない人はアスペらしいwww」※リンク先は他まとめサイト
こちらは風刺画から読み取れる「一つの意味」を全員全員が理解して当然だし、それをわかったことによる満足感も得られるのではないだろうか。
しかしその理解した、という確信は時に、よく咀嚼せずに納得させられてしまう強制力ともなり得るのかもしれない。それも一面的な意味で、だ。
そういえば、ツイッターでこんなつぶやきが話題になっていた。
【分かりやすい=真実】
— Podoron (@podoron) 2016年9月12日
「処理流暢性/processing fluency」=情報を脳が処理しやすいか否か,が人の判断に様々な面で影響を与える事が心理学研究で分ってきました。流暢性が高ければポジティブ,低ければネガティブ,な判断がされる認知メカニズムです。
この件に関しては、このページでよくまとめられている。
簡単にいえば、「自分にとって」「わかりやすい」話は「真実」に思える、ということだ。
しかしここには色々な問題を孕んでいることを、皆様はおわかりだろうと思う。
現に、かの悪名名高き独裁者ヒトラーは、プロパガンダをなるべくわかりやすく、短く、そして何度も繰り返すことで国民の刷り込みに成功していた。

つまり風刺画には(芸術には元々そういう性質はあるが)、誰もが持っている自らの認知の歪み、いわゆる認知バイアスが浮き彫りになる可能性があるといえる。
そもそも所詮は「絵」である。
言語による説明よりも、遥かに作者の意図が伝わりにくい。
解釈に幅があるゆえに、人それぞれの「バイアス」によって、また人それぞれの「解釈」にならざるを得ない。
以前こちらに掲載した、人間関係に関するイラストの記事に対するコメント欄の多種多様さも、それを表している。

関連: 「この絵の意味わかる?すごく考えさせられると海外で話題のイラスト」
しかしまた、それを楽しむことも「絵」の楽しみの一つでもあるのだろう。
今からご紹介する風刺画は、何通りの解釈が自分にできるのか、またその自分の解釈に自分で反論ができるのか、などを考えつつ眺めると、より楽しめるかもしれない。