1. 『パスコ・ナ・ナマン』"PASKO NA NAMAN"―フィリピン
フィリピンで人気のあるクリスマスソング『パスコ・ナ・ナマ』。意味は「またクリスマスの時だ」。毎年同じ時期に、皆が味わう同じような気分を分かち合おうという趣旨だ。
日本の昭和歌謡曲を彷彿とさせるリズム感である。
歌詞(原語はタガログ語) 一部引用
またクリスマスがやってきた
時が過ぎるのはなんて早いのだろう
クリスマスが過ぎても
昨日のように思える
フィリピンはここ。
2. 『ベツレヘムへ行こう』"PŮJDEM SPOLU DO BETLÉMA"―チェコ
チェコ共和国のクリスマスソング『ベツレヘムへ行こう』は、チェコ人なら子どもの頃から教会などこの歌と踊りを習い、誰でも知っている代表曲だ。
楽しい雰囲気の賛美歌なので、日本人でもクリスマスソングとして割りと馴染みやすい一曲。
歌詞(原語はチェコ語) 一部引用
さあ旅に出よう、バグパイプをならせ!
Dudli, tudli, dudli, da!
はじめようジミー、君のバグパイプで
Dudaj, dudaj, dudaj, da!
ニコルはヴァイオリンだ
Hudli, tydli, hudli, da!
そしてロレンスはベースを弾いて
Rumrum, rumrum, rumrum, da!
チェコはここ。
3. 『私は何も求めない』"EN ETSI VALTAA LOISTOA"―フィンランド
ジャン・シベリウス作曲の、フィンランドで人気のある祝歌の一つ。タイトルからして主張が激しいが、一体具体的には何を「求めない」のかというと、「私は権力も栄光も、金も求めない」というような意味合いだ。私たちにクリスマスが「物質的欲望を超えたところにある」と思い出させてくれる。
やれプレゼントだ、やれ夜景のみえるレストランだのと、クリスマス商戦に乗せられている私たちにはなんとも耳が痛くなる歌である。
ただメロディはなんとも耳に優しく、陽気なクリスマス曲とは一線を画す、荘厳な教会的雰囲気を残した楽曲だ。
フィンランドはここ。
4. 『いこう、少年少女よ』"AISIM MERGOS, AISIM BERNAI KALĖDA"―リトアニア
このリトアニアのクリスマスソングは、パーティを休日に取り戻す曲で、「良い人生を過ごそう」といった内容を歌っている。その良い人生とは、昔からの足の達者な者たちの、犬を追ったり
酒を飲んだり飲まれたりの話なわけだが。
歌詞(原語はリトアニア語) 一部引用
犬から素早く逃げられる者
重い荷物を運べる者
勇敢にもパンを求めることができる者
少女は甘い蜂蜜酒を飲み
女はビールを飲み
そして男は焼酎を飲んでいる
とりあえず老若男女お酒が好きっていうのが伝わってくる。
5. 『ベツレヘムの星』"BETHLEHEM'S STJÄRNA"―スウェーデン
『ベツレヘムの星』も、フィンランドで有名なクリスマスソングだ。
そもそも
ベツレヘムとは、パレスチナにあるイエス・キリストの誕生地とされている場所である。そして
ベツレヘムの星とは、新約聖書に登場する「
東方の三博士」にキリストの誕生を知らせ、ベツレヘムに導いた宗教的な星だ。クリスマスツリーの先端には大きな星が飾られていることが多いが、これはベツレヘムの星から来ている。
この曲はベツレヘムの美しいクリスマスの夜を描いており、道の途中で大自然と夜空に会釈をするという歌である。少し悲しい旋律だが、神秘的な雰囲気をまとっている。
歌詞(原語はスウェーデン語) 一部引用
ユダの地、そしてシオンの地の夜
西の地平線で、オリオンが死んでいる
疲れ切って眠る羊飼いと、安らかに眠る子ども
驚くべき合唱の声に目覚め
そして輝かしい東方の星を見つめよ
一体この「東方」がどこを指すのかについは様々な議論があるが、一説にはバビロニアの辺り、現在の
イラクや
イラン周辺ではないかといわれている。
ちなみにスウェーデンはこちら。
6. 『荒野の果てに』"LES ANGES DANS NOS CAMPAGNES"―フランス
聞いたことのある方も多い、有名なクリスマス・キャロルだ。『必殺仕事人』のテーマソングも『荒野の果てに』だが、
当たり前だが全く関係ない。
一般的には英語の歌詞で歌われており、フランスがオリジナルということはあまり知られていない。敬虔な気持ちになれる賛美歌だ。
天使たちが、野辺にて
天より聖歌をうたい始めたまえり
山々は木霊によって
いと甘美なるうたを繰り返す
いと高き処、神に栄光あれ
7. 『誕生』"AMEZALIWA"―東アフリカ
スワヒリ語で歌われている、美しいアフリカの賛美歌だ。高揚感溢れる伝統的なリズムで、キリストの誕生を祝っている。
発祥は東アフリカだが、クリスマスには世界中で、トライバル・ドラムやコンガを用いて歌われている。
歌詞(原語はスワヒリ語) Youtubeより一部引用イエス様が誕生した、誕生した
今日、主がお生まれなさった
今こそ涙をこぼしてみよう
そして3回手を叩こう
我らが救世主を讃えよう
8. 『森で小さなもみの木が生まれた』"В ЛЕСУ РОДИЛАСЬ ЁЛОЧКА"―ロシア
『森で小さなモミの木が生まれた』は森がクリスマスに向けて小さなもみの木を助け育てている様子を表現している。この歌詞は木や自然環境に重きをおいており、クリスマスを山などで過ごような自然を愛する人々の胸をうつ曲になっている。
歌詞(原語はロシア語) 一部引用
森はクリスマスツリーを育て
それは静かで落ち着いていて
冬でも夏でも
細くて青々しい
(中略)
小鈴がいくつか、森のなかで鳴った
雪はさくさくと綺麗だ
馬は木こりをつれてきて
もみの木をますます青くする
9. 『もみの木』"O TANNENBAUM"―ドイツ
今回紹介した中では最も有名な曲だろう。「おお〜もみの木〜」という歌詞を聴いただけでメロディが浮かぶ方が多いと思う。ちなみに英語では『おおクリスマスツリー』となる。
元は1824年に作られたドイツの民謡だが、クリスマスツリーの慣習が広まるにつれだんだとクリスマスシーズンに関連付けられるようになり、今日愛される生き生きとしたメロディに変化したようだ。
実はこのメロディは『
赤旗の歌』として英国労働党やアイルランド労働党で使用されており、またガラッと趣を変えている。なんとも便利な歌である。もみの木の歌詞は有名なので、今回は『赤旗の歌』の歌詞をみてみよう。
『赤い旗』歌詞 一部Youtubeより引用国民の旗は赤いほど深く
死んだ私たちの殉教者たち
彼らの手足は堅く冷たくなった
彼らの心臓の血は、そのすべての襞を染めた
嘘だろ……嘘だといってくれよもみの木……。
10. 『ベツレヘムからきた小さなロバ』"MI BURRITO SABANERO" ―ベネズエラ
こちらは比較的新しい曲で、1972年につくられた主にベネズエラなどラテンアメリカで有名なクリスマスソングだ。
最初はクラシックとして出されたが、後に子ども向けに楽しい編曲で作り変えられたようだ。
現在でも、色々な歌手がカバーしているほど人気の曲。
私の小さなロバと歌います
小さなロバは小走りで
小さなロバと、私は唄う
小さなロバは小走りで
もし彼らが私を見たら
それはベツレヘムの道の途中
11. 『おせっかいなキーウィー』"STICKY BEAK THE KIWI"―ニュージーランド
ニュージーランドには、一風変わったクリスマスソングがある。1960年代につくられた『おせっかいなキーウィー』だ。「
キーウィー」とはニュージーランドに生息する飛べない鳥類で、鳴き声が「キーウィー」と聞こえるためこのように名付けられた。
キーウィー Credit: Wikipediaこの曲は、「サンタがもしニュージランドにきたらそりを引くのはトナカイでなくキーウィーだよ!」と
おせっかいなキーウィーを通じて、なんでも自分たちでできるというニュージーランド人のプライドを表しているそうだ。
あわてんぼうのサンタクロース(
Youtube)とはいいコンビが組めそう。
歌詞(原語は英語) 一部引用みんなのためのおもちゃを載せて、そりを引く
天の川の、星の小道をそってゆく
子どもたちは大声で笑い、愉快に叫ぶ
おせっかい、おせっかいだけど、必ず呼んで!
キーウィーもカンガルーもみんな
ワラビーやクイナ、 カモノハシやエミュー だって
自分のクリスマスツリーや星をつくってキラキラしてる
だからおせっかいなキーウィーだって、そりを引くんだ 世界にはまだまだ、私たちの知らないクリスマスソングがある。
皆様が知っているレアなクリスマスソングも、是非教えてください。
[via: mentalfloss]