4: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:41:12 ID:csH
采女の袖吹きかへす明日香風都を遠みいたづらに吹く
かつて女官たちの着物の袖を吹き返していた明日香の風も、
遷都して都が遠くなったので、空しく吹くばかりだ。
6: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:41:24 ID:csH
君が行き日長くなりぬ山訪ね迎へか行かむ待ちにか待たむ
貴男が私の所にいらしてくださらなくなってから、だいぶ経ちましたわ。
貴男のいらっしゃる山に訪ねていきましょうか、それともお待ちしましょうか。
7: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:41:33 ID:csH
夕去れば小倉の山に鳴く鹿は今夜は鳴かずい寝にけらしも
夕方になると、小倉山に鳴く鹿が、今宵は鳴かない。どうやら寝てしまったようだね
9: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:41:41 ID:csH
家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る
家にいれば食器に盛るご飯を、心に任せぬ旅の中にあるので、椎の葉に盛って食べる事だ。
10: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:41:52 ID:csH
三輪山をしかも隠すか雲だにも情あらなも隠さふべしや
三輪山を隠してしまうのですか、雲よ。せめて情を解する心があってほしいものですわ。
隠すという事があってなるものですか。
11: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:42:01 ID:csH
君待つと吾が恋ひ居れば吾が宿の簾動かし秋の風吹く
貴男をお待ちして、私が貴男を恋い慕っておりますと、私の家の簾を動かし、秋の風が吹き渡ることですわ
13: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:42:12 ID:csH
あしひきの山のしづくに妹待つと吾立ちぬれぬ山のしづくに
山のしずくに、貴女の訪れを待って、私は濡れた事だよ。山のしずくに、しっぽりとね
14: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:42:28 ID:csH
吾を待つと君が濡れけむあしひきの山のしづくに成らましものを
私を待って、貴男がお濡れになったという、山のしずくになりたいものですわ。
15: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:42:38 ID:csH
百伝ふ磐余の池に鳴く鴨を今日のみ見てや雲隠りなむ
伝説に残る、磐余の池に鳴く鴨たちを見るのも今日限りだ。私は死んでゆくことであろう。
16: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:42:46 ID:V2Z
なんだっけ雨が降ったらあなたは待ってくれるだろうか いえ雨がふらなくても私は待ちますってやつ
確か万葉集だった気がする
17: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:42:50 ID:csH
吾が背子を大和へ遣ると小夜更けて暁露に吾が立ち濡れし
愛しい弟を、大和へ帰してやると、夜が更けて、私は暁の露に濡れてしまったことですわ。
18: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:42:59 ID:csH
二人行けど行き過ぎ難き秋山をいかにか君が独り越ゆらむ
二人で一緒に行っても越えがたい秋の山を、弟よ、
今頃貴男はどんな思いで、一人ぼっちで越えていらっしゃるのかしら。
19: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:42:59 ID:Tbi
あの時代の人の語彙力どうなってんねん
21: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:43:10 ID:csH
うつそみの人にある吾や明日よりは二上山を弟背と吾が見む
現世の人間である私は、明日からは、弟が埋葬された二上山を弟のように思う事になるのですわ。
22: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:43:20 ID:csH
見まく欲り我がする君もあらなくに何しか来けむ馬疲るるに
お会いしたくてたまらない貴男がいらっしゃらぬというのに、何をしに私は来てしまったのでしょう。
馬もこのように疲れてしまって。
23: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:43:33 ID:csH
降る雪はあはにな降りそ吉隠の猪養の岡の寒からまくに
降る雪よ、そんなにたくさん降らないでおくれ。
愛しいあの人が眠っている、桜井の猪養の岡が、寒くて凍えてしまうから。
25: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:43:43 ID:csH
東の野に陽炎の立つ見えてかへり見すれば月傾きぬ
東方の野には明け方の光が差し、振り返って西の方角を見れば、満月が傾いているのが見える事だよ。
27: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:43:54 ID:csH
天離る鄙の長道ゆ恋ひ来れば明石の門より大和島見ゆ
都を遠く離れた辺境の長い旅路を通って、都を思いながら帰ってくると、
明石の海峡から、愛しい大和の連山が見える事だよ。
28: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:44:05 ID:csH
近江の海夕波千鳥汝が鳴けば心もしのに古思ほゆ
近江の海の夕波に鳴く千鳥よ、お前が鳴くと、心が滅入って、滋賀の旧都が偲ばれる事だよ。
29: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:44:14 ID:csH
憶良らは今は罷らむ子泣くらむそれその母も吾を待つらむそ
憶良めは、今は退出いたしましょう。
子供が泣いているでしょうから、子供の母親である私の妻も、私を待っている事でしょうから。
30: かわた松 2017/01/04(水)17:44:23 ID:9Fc
>>29
良い句ですね
31: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:44:24 ID:csH
春さればまづ咲くやどの梅の花独り見つつやはる日暮らさむ
春が来れば、真っ先に咲く家の梅の花を、一人ぼっちで見ながら、春の日を過ごす事になるのだろうか。
33: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:44:35 ID:csH
世の中を憂しとやさしと思へども飛びたちかねつ鳥にしあらねば
この世を、辛く、やせ細るばかりに苦しいと思うが、鳥ではないので、飛び立って逃げる術もない事だなあ。
34: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:44:46 ID:csH
士やも空しかるべき万代に語り継ぐべき名は立てずして
男と生まれたからには、空しい事であろう。世々に至るまで、語り継がれる名を残さずに死んでいくことは。
36: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:44:55 ID:csH
験なき物を念はずは一杯の濁れる酒を飲むべくもあるらし
甲斐のない事で、いちいち思い悩まぬ事だ。一杯の濁り酒を飲もうではないか。
37: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:45:09 ID:csH
若の浦に潮満ち来れば潟をなみ葦辺をさして鶴鳴き渡る
若の浦に潮が満ちてくると、干潟がなくなるので、葦辺を歩き回りながら、鶴が鳴いている事だよ。
38: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:45:19 ID:csH
ぬばたまの夜の深けゆけば久木生ふる清き川原に千鳥しば鳴く
真っ暗な夜が更けてゆくと、久木の伸びた清い河原に、千鳥がしきりに鳴いている事だ
39: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:45:30 ID:csH
夏の野の繁みに咲ける姫百合の知らえぬ恋は苦しきものそ
夏の野の、茂みに咲いている姫百合の花のように、相手に分かってもらえない恋は苦しいものですわ。
40: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:45:40 ID:csH
相思わぬ人を思ふは大寺の餓鬼の後に額づくがごと
両想いでない人を慕うのは、大寺の餓鬼像の後ろで祈りを捧げるように、何の甲斐もない事ですわ。
41: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:45:51 ID:csH
君が行く道の長路を繰り畳ね焼き亡ぼさむ天の火もがも
貴男が流されてゆく長い道のりを、手繰りたたんで、焼き滅ぼしてしまう天の炎が欲しいものですわ。
42: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:46:00 ID:csH
吾が屋戸のいささ群竹吹く風の音のかそけきこの夕べかも
我が家に生えている、いささかの群竹に吹く風の音がささやかな、この夕べだよ。
43: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:46:12 ID:csH
うらうらに照れる春日に雲雀あがり情悲しも独りし思へば
うららかに輝いている春の日に、雲雀が鳴き渡り、心が痛む事だ。一人で思い煩っていると。
46: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:48:12 ID:csH
もののふの八十娘子らが汲みまがふ寺井の上の堅香子の花
大勢の乙女たちが入り混じって組んでいる、寺井の井戸の上に咲いているかたくりの花よ。
47: 名無しさん@おーぷん 2017/01/04(水)17:48:24 ID:csH
ご覧になって下さってありがとう
〆は万葉集の〆であるこの和歌やで~
新しき年の始めの初春の今日降る雪のいや重け吉事
新年の始めの初春の今日、降っている雪のように、おめでたい事がたくさん起きておくれよ。