2: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)18:58:21 ID:62D
年の内に春はきにけり一とせを去年とやいはん今年とやいはん
年が終わらないというのに、春がやってきてしまった。
さあ、この一年を、去年と言おうか、それとも今年と言おうか、どうしたものか。
3: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)18:58:32 ID:62D
梅が枝にきゐる鴬春かけて鳴けどもいまだ雪は降りつつ
梅の枝々をかけめぐる鶯が、春だよ!春だよ!と鳴いているが、未だに雪は降り続けている事よ。
4: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)18:58:41 ID:62D
春たてば花とや見らん白雪のかかれる枝に鴬の鳴く
春が来たので、花のように見える事だ。
白い雪が降りかかっている枝に鶯が止まって、鳴いているさまが。
5: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)18:58:50 ID:62D
春日野はけふはなやきそ若草のつまもこもれり我もこもれり
春日の野を、今日ばかりは野焼きしないでおくれ。
若草のように美しい妻も、私も野にこもっているのだから。
6: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)18:58:59 ID:62D
み山には松の雪だに消えなくに都は野べの若菜つみけり
山では松に積もる雪が消えていないのに、王都は野に萌える山菜を摘んでいる事よ。
7: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)18:59:07 ID:62D
君がため春の野に出でて若菜つむ我が衣手に雪は降りつつ
あなたのために、春の野に出て山菜を摘む、私の袖に、雪が降り続けている事だ。
8: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)18:59:18 ID:62D
ときはなる松の緑も春くれば今ひとしほの色まさりけり
常緑樹の松の緑色の葉も、春が来たので、いっそう緑が鮮やかに見える事だ。
9: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)18:59:26 ID:62D
君ならで誰にかみせん梅の花色をも香をもしる人ぞしる
あなた以外の、誰に見せましょうか、この梅の花を。
梅の花の色と香りの素晴らしさは、知る人ぞ知るものなのですから。
10: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)18:59:34 ID:62D
月夜にはそれとも見えず梅の花香を尋ねてぞ知るべかりける
月夜で暗いので、はっきりと見えないのだ、どこに梅の花があるかが。
香りをしるべに、それと判別するのだよ。
11: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)18:59:49 ID:62D
春の夜の闇はあやなし梅の花色こそ見えね香やはかくるる
春の夜の闇と言うものは、頼りないものだ。
梅の花の色こそ隠れているが、香りは隠しようがないのだから。
12: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)18:59:58 ID:62D
人はいさ心もしらず故郷は花ぞむかしの香に匂ひける
人の心はさあどうだか、うつろおうとも分からぬものです。
ただふるさとだけは、花が昔と同じ香りが漂っている事ですね。
13: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:00:10 ID:62D
梅が香を袖に移してとどめてば春は過ぐとも形見ならまし
梅の香りを袖に移して保存すれば、たとえ春は過ぎたとしても、
袖が春の名残の形見になりましょう。
14: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:00:19 ID:62D
年ふれば齢は老いぬしかはあれど花をし見れば物思ひもなし
年月が経ってしまったので、老いてしまったとは思うが、
桜の花を見ればそんな物思いもなくなることだ。
15: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:00:29 ID:62D
待てといふに散らでしとまる物ならば何を桜に思ひまさまし
桜よ、待ちなさいと言って、花が散らずに済むのであれば、
どうして桜の花に一喜一憂することがあろうか。
16: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:00:39 ID:62D
空蝉の世にも似たるか花桜咲くと見しまにかつ散りにけり
儚いこの世にも似ているのだろうか。
桜の花が咲いたのを見たと思ったら、あっという間に散っていくことよ。
17: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:00:48 ID:62D
古郷となりにし奈良の都にも色はかはらず花はさきけり
寂れた奈良の旧都にも、花の色は変わらず、梅の花が咲く事だ。
18: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:00:57 ID:62D
霞たつ春の山辺は遠けれど吹きくる風は花の香ぞする
霞が立ち上る春の山の辺は遠いが、そこから吹いてくる風が、梅の花の香りをのせてくることよ。
19: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:01:06 ID:62D
駒並めていざ見にゆかん故郷は雪とのみこそ花は散るらめ
馬をそろえて、さあ身に行きましょう。
旧都は雪が降ったかのように、桜の花が咲いて散っている事ですよ。
20: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:01:14 ID:62D
春の野に若菜つまんとこしものを散りかふ花に道はまどひぬ
春の野に山菜を摘もうとやってきたのに、
散って積もる桜の花が道を隠してしまうので、迷ってしまったことよ。
21: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:01:24 ID:62D
やどりして春の山辺に寝たる夜は夢のうちにも花ぞ散りける
外泊して、春の山の辺に眠った夜は、夢の中でも桜の花が散っていった事よ。
22: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:01:33 ID:62D
我が宿の池の藤浪咲きにけり山時鳥いつか来鳴かん
私の家の、池のそばの藤の花が咲いたよ。
さあ山のほととぎすよ、お前はいつ来て鳴いてくれるのだろうね。
23: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:01:46 ID:62D
あはれてふことを数多にやらじとや春に遅れて独り咲くらん
しみじみと趣深い事を、他の桜にはさせまいと思ったのだろうか。
春は過ぎてもう夏だというのに、お前ひとり、咲いているのだね、桜よ。
24: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:01:56 ID:62D
はちす葉の濁りにしまぬ心もて何かは露を玉とあざむく
泥中の蓮と言う言葉の通り、濁りに染まらない純粋な心を持っていながら、
蓮の葉よ、どうしてお前は、葉にかかる露を珠のように見せるのかね。
25: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:02:05 ID:62D
秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる
秋が来たと、目にははっきり見えないが、風の音に秋が来たと気づかされた事だ。
26: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:02:15 ID:62D
久方の月の桂も秋はなほ紅葉すればや照りまさるらん
月に生えるという桂の木も、秋には紅葉するので、このように月が一層輝いて見えるのだろうか。
27: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:02:25 ID:62D
白露も時雨もいたくもる山は下葉残らず色づきにけり
白露と時雨が降りしきる山は、下葉も残らず紅葉する事だよ。
28: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:02:34 ID:62D
夕月夜小倉の山に鳴く鹿の声のうちにや秋は来るらん
夕暮れに月の輝く夜、小倉山に鳴く鹿の声に、秋が来たことを実感する事よ。
29: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:02:43 ID:62D
冬ながら空より花の散りくるは雲のあなたは春にやあるらん
冬だというのに、桜の花のように空から雪が降ってくる。
雲の向こうのあの国は、春なのだろうか。
30: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:02:52 ID:62D
梅の花それとも見えず久方のあまぎる雪のなべて降れれば
梅の花が、それと判別できぬ事だよ。
天つ空の曇った空から、雪が辺り一面に降っているために。
31: ( ^ω^)◆VC3/0IaBbQ 2017/01/21(土)19:02:58 ID:Hsz
見てるで
32: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:03:03 ID:62D
雪降れば木ごとに花ぞ咲きにけるいづれを梅とわきて折らまし
雪が降ったので、それぞれの木に花が咲いているように見える。
どれを本物の梅の花と見定めて、折ったものだろうか。
33: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:03:12 ID:62D
昨日といひ今日と暮らして明日香川流れて早き月日なりけり
昨日今日と過ごして、明日香川が流れるように、月日が経った事だ。はやいものよ。
34: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:03:24 ID:62D
我が君は千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで
私の主君の世が、長く長く続いてほしい事です。
小さな石ころが、大きな岩となって、苔が生えるまでに、長い時を。
35: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:03:34 ID:62D
桜花散りかひ曇れ老いらくの来んといふなる道まがふがに
桜の花よ、散って覆い隠せ。
老いがやってくるという、道を隠してしまうほどに。
36: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:03:43 ID:62D
命だに心にかなふ物ならばなにか別れの悲しからまし
命だけでも、思い通りになるものであったならば、
どうして別れが悲しい事があろうか。
思い通りにならぬので、こんなに別れが悲しいのだよ。
37: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:03:52 ID:62D
唐衣きつつなれにしつましあればはるばる来ぬる旅をしぞ思ふ
着慣れた服のように、慣れ親しんだ妻が故郷にいるので、長い旅路を物思う事だ。
38: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:04:03 ID:62D
時鳥なくや皐月のあやめ草あやめも知らぬ恋もするかな
ほととぎすが鳴いて、五月のあやめが咲いているよ。
そのように、理もなき恋をするものだなあ。
44: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:10:26 ID:UFk
>>38
これすこ
39: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:04:13 ID:62D
泣く涙雨と降らなんわたり川水まさりなば帰り来るがに
君を思って泣く涙が、雨となってほしい。
雨が降って、川の水かさが増せば、三途の川から君が帰ってきてくれるだろうに。
40: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:04:23 ID:62D
みな人は花の衣になりぬなり苔の袂よかわきだにせよ
喪が明けて、皆華やかな衣をまとっている。
涙に濡れた我が僧衣よ、せめて乾くだけでもしておくれ。
41: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:04:27 ID:0VY
素朴なまんま訳せばおkなのは万葉のが好き
42: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:04:34 ID:62D
紫の一もとゆえに武蔵野の草はみながらあはれとぞ見る
ムラサキの花が一輪生えているゆえに、武蔵野に生える草が皆趣深いと感じられる事よ。
43: 名無しさん@おーぷん 2017/01/21(土)19:04:44 ID:62D
ご覧になって下さってありがとう
〆は古今和歌集の〆やで~
ちはやぶる賀茂の社の姫小松万代経ふとも色はかはらじ
賀茂神社に植えられた小さな松は、万世を経たとしても、その常緑は決して変わらぬ事だろう。
45: ( ^ω^)◆VC3/0IaBbQ 2017/01/21(土)19:13:10 ID:Hsz
お疲れイッチ