世界最大の水深を誇る湖 バイカル湖

バイカル湖の面積は31,494km2。三日月状の湖で、最大の特徴はその水深です。
1,600mを越える水深は世界の淡水で最も深く、
世界中の凍っていない淡水の17%以上がバイカル湖にあると言われており、研究はまだ途上で寒さと深さから
全貌は謎に包まれています。
通常の三日月湖と違い海から孤立した海溝が徐々に淡水化して現在の姿になりました。バイカル湖は約3,000万年前に誕生した
世界で最も古い古代湖でもあるのです!
バイカル湖が浸食や堆積に耐えられたのは、地球を覆うプレートの境目に位置しているから。今も徐々に広がっていて、
いつか再び海と繋がるという説があります。
ロシア革命 無数の魂が眠るバイカル湖

バイカル湖は逃亡を阻む冷徹な壁としての顔も持っています。
20世紀初頭のロシア革命当時、革命軍に追われた白軍は東へと逃れました。
当時貴族、軍隊、亡命した民を合わせ約125万人が太平洋側へ向けてシベリア横断を目指しました。3ヶ月間の旅の間に
強風と-20度の寒さで100万人近くが凍死し、あと一歩で革命軍から完全に逃れる、まさにその
最後の時に立ちはだかったのがバイカル湖だったのです。まさにラスボス。
凍結したバイカル湖の横断を決行した逃亡者達は-40℃の吹雪の中で、誰一人として湖の反対岸にたどり着くことなく
全滅しました。
春になり氷が解けて、25万人の遺体と帝政ロシアをいつか復活させるため、運び出した
500トンものロマノフ金貨、財宝はバイカル湖の湖底へと沈んでいったのです。
財宝は今も見つかっていません。
そして、
バイカル湖には一部の水域で船が消えてしまう事件が度々起きています。
悪魔のクレーターと呼ばれるこの水域で消えてしまった船舶は沿岸部を
捜索しても残骸すら見つけることが出来ず観光客用のボート、地元の漁師が時折霧のように消えてしまうのです。
一定の地域ではなく点々と各地に蜃気楼が現れると考えられており印象的な白軍の逃亡と解明されない船舶事故から現地の漁師達は古代の城や白軍の行列を見たと話します。
バイカル湖は非常に透明度が高く、気温が極端に低くなる湖なので気温の低下による様々な光学現象が起こります。
光学現象だけでなく日本の長野県でも見られる氷が音を立ててせりあがる現象、御神渡りの頻度も日本の比ではありません。独特の曇った音が響き渡り光学現象とあわせて錯覚を起こしやすい状態が作り上げられているのです。
蜃気楼、御神渡りだけでなく、寒さと特有の条件が揃っているバイカル湖では他の地域では起きることの無い現象が発生しているのかもしれません。
未だ解明されないこれらの現象はただの光学現象なのか、それとも人類史上最大と言われる魂が眠る湖、バイカル湖は、科学では解明できない何か別のものを見せる瞬間があるのでしょう。
バイカル湖の深海魚 ゴロミャンカ

ポケ◯ンみたいで可愛い名前ですね。
浅瀬に浮いてくるやつは簡単に釣れるそうです。カジカの仲間ですが、日本のカジカのように底べったりではなく、水の中を漂うように泳いで生活しています。
ゴロミャンカは種類が豊富で、500m以上の水深で生活しているゴロミャンカもいるのだとか。バイカル湖は淡水なので、深海魚と言うと少し違う気もしますが、特有の透明感があって幻想的な姿です。

薄い翼のようなヒレも特徴的です。正式名称はgolomyankas, Baikal oilfish。
オイルフィッシュの部分についてですが、なんと
身体の4割が脂。
浮力で浮き上がるためにこんな進化を遂げました。古くは
明かりを灯す油として使われてきたゴロミャンカは燻製にして炙って食べるのが一般的。バイカルアザラシもゴロミャンカが大好物なようで、水族館でナーバスになったバイカルアザラシには、見た目が似ている鱚を与えるそうです。
それでもバイカル湖へ旅したいあなたに

1月から5月の間、バイカル湖は厚い氷に覆われています。
氷の上には線路や道路標識が置かれ、通行する事はできますが許可されている範囲は極めて狭く、突然亀裂や御神渡りのような隆起が頻繁に発生するため、
釣り人や車が水没する事故が起きています。日々変化する氷の厚さや氷結の状態に対応するために、
現地ガイドの同行は必須です。
周辺は観光地として栄えていますが、市街地を抜けると危険な地域も点在しています。12年に、バイクで
シベリアを旅行中の日本人旅行者が殺害される事件も起きています。氷が解けている時期であっても、国に対する理解を深めてから行動する必要があります。

黒ずくめ・スキンヘッドの方々には近づかないのが無難です。