2: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:45:50.85 ID:3wB6RAGR0.net
彡(゚)(゚)「せやけど見とれ! ワイは今書いている小説で現代にホラーブームを巻き起こした伝説の人間として名を馳せるんやからな」
彡(゚)(゚)「その小説とは最近巷で話題の都市伝説について」
彡(゚)(゚)「一度入ったら二度と出られない『呪いの館』についてや!」
3: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:46:06.69 ID:3wB6RAGR0.net
彡(゚)(゚)「この都市伝説はここ1年程前から急に中高生の間で広まったものや」
彡(゚)(゚)「内容に関しては大したもんやない」
彡(゚)(゚)「一度入れば二度と出られなくなるというありふれたもんや」
4: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:46:22.93 ID:3wB6RAGR0.net
彡(゚)(゚)「けど話のしょうも無さに対して話が話題になりすぎとる」
彡(゚)(゚)「これにワイの感がビクンビクンしとるんや」
彡(゚)(゚)「この話はデカいネタになるとな」
5: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:46:35.88 ID:3wB6RAGR0.net
(´・ω・`) 「で、取材に行ってくると」
彡(^)(^)「おう、1週間ほど待っててくれや原ちゃん。確かな情報筋からその館の場所を突き止めたんや」
彡(^)(^)「必ず最高のネタを仕入れて最高のホラーに仕立ててみせるで!」
(´・ω・`) 「あっそう。まあ出来上がった作品がどうしようもないぐらい売れない時は、うちの編集部で雇ってあげるから安心して行ってきなよ」
10: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:47:11.59 ID:+NhHR0vMr.net
>>5
原ちゃんやさc
6: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:46:49.56 ID:3wB6RAGR0.net
彡(^)(^)「ワハハ原ちゃん」
彡(●)(●)「後々ホラー界の巨匠となるワイに対してそんなセリフを投げかけたこと、今に後悔するで」
(´^ω^`)「あはは。寝言は寝ていった方がいいよお兄ちゃん」
9: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:47:07.00 ID:3wB6RAGR0.net
数日後
彡(゚)(゚)「あのクッソ原住民。絶対ワイの最高作品でひれ伏させたる」
彡(゚)(゚)「しかしえらい山の中やな。草と木しかないやんけ!」
彡(゚)(゚)「スマホも気づいたら圏外やし。地図あるからいいものの、こんな山奥に館なんてあるんやろうか?」
11: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:47:21.49 ID:3wB6RAGR0.net
彡(゚)(゚)「ま、まさか騙されたんやろうか……」
彡(゚)(゚)「いや、そんなことはない。ワイの感に間違いはないんや!」
彡(゚)(゚)「地図が確かならもうすぐなはずやし、このまま突き進むで!」
12: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:47:32.89 ID:3wB6RAGR0.net
数分後
彡(゚)(゚)「あ、あった。このアホみたいにデカい洋館で間違いないやろ」」
彡(゚)(゚)「……なんか意外とすんなり見つかったな。ちょっと拍子抜けや」
彡(゚)(゚)「しかし何やろう。こんな山奥にあるくせして意外とボロっちくないな。妙な生活感すらあるし」
13: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:47:43.84 ID:3wB6RAGR0.net
彡(゚)(゚)「まあええわ。とりあえず探索するで探索」
彡(^)(^)「おお、ごついドアやな。鍵の方は……、よしよし開いとるな」
彡(゚)(゚)「とりあえず中に入って取材開始や!」
14: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:47:54.11 ID:3wB6RAGR0.net
彡(゚)(゚)「ファ!? なんやこれ!?」
彡(゚)(゚)「ドア開けてエントランスでも広がっとるかと思ったら、クッソ長い廊下しかないやんけ!」
彡(゚)(゚)「しかも壁、天井、床に至るまで全部真っ白。この時点でもう怪しさしかないわ」
彡(゚)(゚)「白い廊下の先にはやっぱり白いドアがあるばかりやし」
17: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:48:05.66 ID:3wB6RAGR0.net
彡(^)(^)「ええぞ。この館は最高や! オカルトの宝庫待ったなし!」
彡(^)(^)「あのドアの先には何が待っとるんやろなあ。よっしゃ、ガンガン行くで!」バタン
彡(゚)(゚)「ファ!? 玄関のドアが勝手に閉まりよった!?」
18: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:48:07.99 ID:NMWINSyd0.net
支援
19: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:48:19.47 ID:3wB6RAGR0.net
彡(-)(-)「アカン……。ドアが開かん」
彡(゚)(゚)「ってダジャレ言っとる場合やない。一体どうなっとるんや」
彡(゚)(゚)「ドアが突然閉まったと思ったら、鍵がかかってなぜか室内側には鍵の開錠装置が付いて無いし」
彡(゚)(゚)「玄関のドアは頑丈でビクともせん」
彡(゚)(゚)「思いっきり閉じ込められとるやんけ! スマホも相変わらず圏外やし」
20: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:48:33.47 ID:3wB6RAGR0.net
彡(゚)(゚)「だれかおらんかあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
彡(゚)(゚)「おるわけないよなぁ」
彡(゚)(゚)「こうなったら廊下の先のドアを開けるしかないんやろうな」
21: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:48:40.11 ID:+NhHR0vMr.net
ほ
22: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:49:01.30 ID:3wB6RAGR0.net
彡(゚)(゚)「よし。開けるで」ガチャ
彡(゚)(゚)「……ドアの先は地下へと続く階段か」
彡(゚)(゚)「おまけに真っ暗で先は見えんし」
23: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:49:04.33 ID:+NhHR0vMr.net
ほ
24: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:49:29.75 ID:+NhHR0vMr.net
ほ
25: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:49:43.40 ID:3wB6RAGR0.net
彡(゚)(゚)「しゃーない。行くで」
彡(゚)(゚)「一応上着をドアに挟んで閉まらんようにしとくか」
彡(゚)(゚)「ではいざ地下へ!」バタン
28: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:50:00.99 ID:3wB6RAGR0.net
彡(●)(●)「なんでドアにモノを挟んだはずなのに後ろのドアが閉まるんですかねえ」
彡(-)(-)「上着はなぜか無くなっとるし。ズルはアカンってか」
彡(゚)(゚)「もうやけくそや。このまま下に降りたるわ」
30: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:50:18.94 ID:3wB6RAGR0.net
彡(゚)(゚)「ワイはこの後ゆっくりと下に降りて行った」
彡(゚)(゚)「しばらく階段を降りていくと真っ暗な廊下に出て、その先には1つのドアが待っとった」
彡(゚)(゚)「開けたドアの先にあるのは真っ白な部屋と2つのドア」
彡(゚)(゚)「それと2つのドアの間には看板が立ててある」
45: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:52:15.41 ID:j6os7IWQM.net
>>30
わくわく
33: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:50:39.04 ID:3wB6RAGR0.net
彡(゚)(゚)「看板にはこう書いとる」
『いらっしゃいませ』
『このドアのうちのどれか1つが出口へと通じています』
『さあ、正解目指してがんばりましょう』
35: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:50:53.25 ID:3wB6RAGR0.net
彡(゚)(゚)「ふざけとるんかクソが」
彡(゚)(゚)「けど正解すれば出れるんやな」
彡(゚)(゚)「どれが正解なんや……」
37: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:51:08.06 ID:3wB6RAGR0.net
彡(^)(^)「決めた。右にしたろ!」
彡(^)(^)「ワイのシックスセンスがこのドアだと叫んでるんや!」ガチャ
彡(゚)(゚)「そうと決まればさっさとこんな所とはおさらばするンゴ」バタン
38: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:51:21.61 ID:3wB6RAGR0.net
彡(゚)(゚)「また後ろでドアが勝手に閉まる音がしたがワイはもう止まらなかった」
彡(゚)(゚)「先ほどより足早に階段を進んでいくと、また真っ暗な廊下に出て、その先には1つのドアが待っとった」
彡(゚)(゚)「開けたドアの先にあるのは真っ白な部屋と3つのドア」
彡(゚)(゚)「それと3つのドアの真ん中には看板が立ててある」
41: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:51:38.34 ID:3wB6RAGR0.net
彡(゚)(゚)「看板にはこう書いとる」
『いらっしゃいませ』
『残念ですが、先ほどは不正解です』
『次は正解だといいですね。このドアのうちどれか1つが出口へと通じています』
『さあ、正解目指してがんばりましょう』
43: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:51:58.33 ID:3wB6RAGR0.net
彡(〇)(〇)「なん、やと……」
47: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:52:27.98 ID:3wB6RAGR0.net
彡(〇)(〇)「ワイはドアを開け続けた」
彡(〇)(〇)「階段を降りては開け」
彡(〇)(〇)「降りては開け」
50: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:52:48.24 ID:3wB6RAGR0.net
彡(〇)(〇)「今何回目や」
彡(〇)(〇)「何回階段を下りたんや」
彡(〇)(〇)「何回ドアを開けたんや」
彡(〇)(〇)「もう降りるのもドア開けるのもやめようか……」
52: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:53:02.02 ID:3wB6RAGR0.net
彡(〇)(〇)「……いや、だめや」
彡(゚)(゚)「ワイは帰るんや」
彡(゚)(゚)「そしてこれは将来のホラー界の巨匠としての第一歩として永遠に語り継がれる話となるんや!」
53: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:53:09.89 ID:+qVV2c+Ed.net
ええな
54: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:53:14.41 ID:3wB6RAGR0.net
彡(゚)(゚)「階段を進んでいくと、また真っ暗な廊下に出て、その先には1つのドアが待っとった」
彡(゚)(゚)「開けたドアの先にあるのは真っ白な部屋と1000個のドア」
彡(゚)(゚)「それと1000個のドアの真ん中には看板が立ててある」
55: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:53:28.01 ID:3wB6RAGR0.net
彡(゚)(゚)「看板にはこう書いとる」
『いらっしゃいませ』
『残念ですが、先ほどは不正解です』
『次は正解だといいですね。このドアのうちどれか1つが出口へと通じています』
『さあ、正解目指してがんばりましょう』
59: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:53:42.65 ID:3wB6RAGR0.net
彡(゚)(゚)「ワイが選ぶのは一番右のドアや」
彡(^)(^)「ワイのシックスセンスがこのドアだと叫んでるんや!」
彡(゚)(゚)「もう間違いはないで」ガチャ
62: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:53:55.29 ID:3wB6RAGR0.net
<ピンポーン!正解
彡(゚)(゚)「……やった」
彡(^)(^)「出られる」
彡(^)(^)「出られるんやあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )」
63: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:54:07.43 ID:3wB6RAGR0.net
彡(^)(^)「開けたドアの先にあるのは今までと違って、上りの階段やった」
彡(^)(^)「ワイはスキップを踏みながら階段を上った」
彡(^)(^)「階段を進んでいくと、また真っ暗な廊下に出て、その先には1つのドアが待っとった」
65: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:54:18.76 ID:3wB6RAGR0.net
彡(゚)(゚)「……え?」
彡(゚)(゚)「開けたドアの先にあるのは真っ白な部屋と999個のドア」
彡(゚)(゚)「それと999個のドアの真ん中には看板が立ててある」
67: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:54:30.48 ID:3wB6RAGR0.net
彡(゚)(゚)「看板にはこう書いとる」
『いらっしゃいませ』
『おめでとうございます。先ほどのドアは大正解でした』
『次もこの調子でがんばりましょう』
『このドアのうちどれか一つが出口へと通じています』
『さあ、正解目指してがんばりましょう』
69: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:54:47.11 ID:3wB6RAGR0.net
彡(〇)(〇)「――」
ワイはすべてをあきらめた
71: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:55:00.65 ID:3wB6RAGR0.net
おわり
72: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:55:05.12 ID:LQMK/Roa0.net
は?
74: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:55:26.47 ID:SbZmpsb70.net
微妙
解散
86: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:56:49.30 ID:fLNNU1id0.net
ワイは好きやで
81: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:55:52.82 ID:5nJa80YUp.net
885 :本当にあった怖い名無し:2008/06/22(日) 22:16:06 ID:YqcAHiai0
今日はエイプリルフールだ。
特にすることもなかった僕らは、いつものように僕の部屋に集まると、適当にビールを飲み始めた。
今日はエイプリルフールだったので、退屈な僕らはひとつのゲームを思い付いた。
嘘をつきながら喋る。そしてそれを皆で聞いて酒の肴にする。
くだらないゲームだ。
だけど、そのくだらなさが良かった。
84: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:56:18.86 ID:5nJa80YUp.net
トップバッターは僕で、「この夏ナンパした女が妊娠して、実は今、一児の父なんだ」という話をした。
初めて知ったのだが、嘘をついてみろ、と言われた場合、人は100%の嘘をつくことはできない。
僕の場合、夏にナンパはしてないけど、当時の彼女は妊娠したし、
一児の父ではないけれど、背中に水子は背負っている。
どいつがどんな嘘をついているかは、なかなか見抜けない。見抜けないからこそ楽しい。
87: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:56:53.87 ID:5nJa80YUp.net
そうやって順繰りに嘘は進み、最後の奴にバトンが回った。
そいつはちびりとビールを舐めると、申し訳なさそうにこう言った。
「俺はみんなみたいに器用に嘘はつけないから、ひとつ作り話をするよ」
「なんだよそれ。趣旨と違うじゃねえか」
「まあいいから聞けよ。退屈はさせないからさ」
そう言って姿勢を正した彼は、では、と呟いて話を始めた。
89: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:57:49.74 ID:196iJicH0.net
>>87
こっちの方がおもろそうやんけ
93: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:58:16.88 ID:fLNNU1id0.net
>>87
あく
92: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:58:05.56 ID:5nJa80YUp.net
僕は朝起きて気付くと、何もない白い部屋にいた。
どうしてそこにいるのか、どうやってそこまで来たのかは全く覚えていない。
ただ、目を覚ましてみたら僕はそこにいた。
しばらく呆然としながら、状況を把握できないままでいたんだけど、急に天井のあたりから声が響いた。
886: 本当にあった怖い名無し 2008/06/22(日) 22:16:32 ID:YqcAHiai0
古いスピーカーだったんだろうね、ノイズがかった変な声だった。
声はこう言った。
『これから進む道は人生の道であり人間の業を歩む道。選択と苦悶と決断のみを与える。
歩く道は多くしてひとつ、決して矛盾を歩むことなく』
って。で、そこで初めて気付いたんだけど僕の背中の側にはドアがあったんだ。横に赤いべったりした文字で
『進め』
って書いてあった。
『3つ与えます。
ひとつ。右手のテレビを壊すこと。
ふたつ。左手の人を殺すこと。
みっつ。あなたが死ぬこと。
ひとつめを選べば、出口に近付きます。
あなたと左手の人は開放され、その代わり彼らは死にます。
ふたつめを選べば、出口に近付きます。
その代わり左手の人の道は終わりです。
みっつめを選べば、左手の人は開放され、おめでとう、
あなたの道は終わりです』
887: 本当にあった怖い名無し 2008/06/22(日) 22:17:34 ID:YqcAHiai0
めちゃくちゃだよ。どれを選んでもあまりに救いがないじゃないか。
馬鹿らしい話だよ。でもその状況を馬鹿らしいなんて思うことはできなかった。
それどころか僕は恐怖でガタガタと震えた。
それくらいあそこの雰囲気は異様で、有無を言わせないものがあった。
そして僕は考えた。
どこかの見知らぬ多数の命か、すぐそばの見知らぬ一つの命か、一番近くのよく知る命か。
進まなければ確実に死ぬ。
それは『みっつめ』の選択になるんだろうか。嫌だ。
何も分からないまま死にたくはない。
一つの命か多くの命か?そんなものは、比べるまでもない。
寝袋の脇には、大振りの鉈があった。
僕は静かに鉈を手に取ると、ゆっくり振り上げ
動かない芋虫のような寝袋に向かって鉈を振り下ろした。
ぐちゃ。鈍い音が、感覚が、伝わる。
次のドアが開いた気配はない。もう一度鉈を振るう。
ぐちゃ。顔の見えない匿名性が罪悪感を麻痺させる。
もう一度鉈を振り上げたところで、かちゃり、と音がしてドアが開いた。
右手のテレビの画面からは、色のない瞳をした餓鬼がぎょろりとした眼でこちらを覗き返していた。
次の部屋に入ると、右手には客船の模型、左手には同じように寝袋があった。床にはやはり紙がおちてて、そこにはこうあった。
『3つ与えます。
ひとつ。右手の客船を壊すこと。
ふたつ。左手の寝袋を燃やすこと。
みっつ。あなたが死ぬこと。
ひとつめを選べば、出口に近付きます。
あなたと左手の人は開放され、その代わり客船の乗客は死にます。
ふたつめを選べば、出口に近付きます。
その代わり左手の人の道は終わりです。
みっつめを選べば、左手の人は開放され、おめでとう、
あなたの道は終わりです』
888: 本当にあった怖い名無し 2008/06/22(日) 22:17:55 ID:YqcAHiai0
客船はただの模型だった。
普通に考えれば、これを壊したら人が死ぬなんてあり得ない。
けどその時、その紙に書いてあることは絶対に本当なんだと思った。
理由なんてないよ。ただそう思ったんだ。
僕は、寝袋の脇にあった灯油を空になるまでふりかけて、用意されてあったマッチを擦って灯油へ放った。
ぼっ、という音がして寝袋はたちまち炎に包まれたよ。
僕は客船の前に立ち、模型をぼうっと眺めながら、鍵が開くのをまった。
2分くらい経った時かな、もう時間感覚なんかはなかったけど、人の死ぬ時間だからね 。たぶん2分くらいだろう。
かちゃ、という音がして次のドアが開いた。
左手の方がどうなっているのか、確認はしなかったし、したくなかった。
次の部屋に入ると、今度は右手に地球儀があり、左手にはまた寝袋があった。
僕は足早に紙切れを拾うと、そこにはこうあった。
『3つ与えます。
ひとつ。右手の地球儀を壊すこと。
ふたつ。左手の寝袋を撃ち抜くこと。
みっつ。あなたが死ぬこと。
ひとつめを選べば、出口に近付きます。
あなたと左手の人は開放され、その代わり世界のどこかに核が落ちます。
ふたつめを選べば、出口に近付きます。
その代わり左手の人の道は終わりです。
みっつめを選べば、左手の人は開放され、おめでとう、
あなたの道は終わりです』
889: 本当にあった怖い名無し 2008/06/22(日) 22:18:15 ID:YqcAHiai0
思考や感情は、もはや完全に麻痺していた。
僕は半ば機械的に寝袋脇の拳銃を拾い撃鉄を起こすと、すぐさま人差し指に力を込めた。
ぱん、と乾いた音がした。ぱん、ぱん、ぱん、ぱん、ぱん。
リボルバー式の拳銃は6発で空になった。初めて扱った拳銃は、コンビニで買い物をするよりも手軽だったよ。
ドアに向かうと、鍵は既に開いていた。何発目で寝袋が死んだのかは知りたくもなかった。
最後の部屋は何もない部屋だった。
思わず僕はえっ、と声を洩らしたけど、ここは出口なのかもしれないと思うと少し安堵した。やっと出られる。そう思ってね。
すると再び頭の上から声が聞こえた『最後の問い。
3人の人間とそれを除いた全世界の人間。そして、君。
殺すとしたら、何を選ぶ』
僕は何も考えることなく、黙って今来た道を指差した。
するとまた、頭の上から声がした。
『おめでとう。
君は矛盾なく道を選ぶことができた。
人生とは選択の連続であり、匿名の幸福の裏には匿名の不幸があり、匿名の生のために匿名の死がある。
ひとつの命は地球よりも重くない。
君はそれを証明した。
しかしそれは決して命の重さを否定することではない。
最後に、ひとつひとつの命がどれだけ重いのかを感じてもらう。
出口は開いた。
おめでとう。
おめでとう。』
891: 本当にあった怖い名無し 2008/06/22(日) 22:21:39 ID:YqcAHiai0
僕はぼうっとその声を聞いて、安心したような、虚脱したような感じを受けた。とにかく全身から一気に力が抜けて、フラフラになりながら最後のドアを開けた。
光の降り注ぐ眩しい部屋、目がくらみながら進むと、足にコツンと何かが当たった。
三つの遺影があった。
父と、母と、弟の遺影が。
これで、おしまい」
彼の話が終わった時、僕らは唾も飲み込めないくらい緊張していた。
こいつのこの話は何なんだろう。
得も言われぬ迫力は何なんだろう。
そこにいる誰もが、ぬらりとした気味の悪い感覚に囚われた。
僕は、ビールをグっと飲み干すと、勢いをつけてこう言った。
「……んな気味の悪い話はやめろよ!楽しく嘘の話をしよーぜ!ほら、お前もやっぱり何か嘘ついてみろよ!」
そういうと彼は、口角を釣り上げただけの不気味な笑みを見せた。
その表情に、体の底から身震いするような恐怖を覚えた。
そして、口を開いた
「もう、ついたよ」
「え?」
・・・・・・・・・「『ひとつ、作り話をするよ』」
900: 本当にあった怖い名無し 2008/06/23(月) 03:33:05 ID:xIu0Tj0aO
>>891
ようわからんかった
最後のオチの真意は何なの?
901: 本当にあった怖い名無し 2008/06/23(月) 03:37:44 ID:VDyj58cu0
>>900
最初に言ったその一言が嘘だったわけ
話自体は本当にあったことでしたーってオチ
76: 風吹けば名無し 2018/01/02(火) 21:55:29.94 ID:6Jew9pLR0.net
おつやで