3: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 00:34:42.623 ID:Oru3lZEGa
はよ
4: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 00:36:14.822 ID:jRvRPzJo0
職員「いらっしゃいませ」
男「安楽死させてもらいたいんだけど」
職員「かしこまりました」
職員「当施設では、安楽死希望者に担当が一人つくシステムとなっております」
職員「席に座ってお待ち下さい」
男「はい」
5: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 00:37:28.659 ID:jlHP0a0jr
死ぬわコイツ
6: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 00:39:09.409 ID:jRvRPzJo0
担当者「はじめまして、私があなたの担当者です」
男「はじめまして」
男「さっそく、安楽死したいんだけど……」
担当者「ではまず、こちらの書類に住所氏名、生年月日などをお書き下さい」
男「へ、なんで?」
担当者「こちらとしても身分が不確かな方を、安楽死させるわけにはいきませんので」
男「そりゃそうですね。分かりました」
7: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 00:42:19.227 ID:jRvRPzJo0
男「書けました」
担当者「どうも」
担当者「……コンピュータに照合したところ、あなたの身分は確かなようですね」
男「これで安楽死させてもらえるわけですね」
担当者「その前にまず、≪安楽死したい理由≫をレポートにしてまとめて下さい」
男「!?」
8: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 00:45:29.282 ID:jRvRPzJo0
男「なんで、そんなことしなくちゃいけないんだよ」
担当者「安楽死とは、単に痛みも苦しみもなく死ぬことではありません」
担当者「せっかく一生に一度しか味わえない死という体験をするのですから」
担当者「充実した気持ちで、胸を張って旅立たねばなりません」
担当者「そのためには、自己分析が必要不可欠なのです」
担当者「自分はこれこれこういう理由で死ぬんだ、と心の中で整理整頓することによって」
担当者「よりよい死を満喫できるというわけです」
男「分かるような分からないような理屈ですけど……決まりなら仕方ありません。書きますよ」
男「えーと……私は昔から成績もよくなく、仕事にも不熱心で……」カキカキ…
9: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 00:47:45.272 ID:eESeLaUwa
見てるぞ
10: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 00:48:19.324 ID:jRvRPzJo0
男「できました」
担当者「どれどれ……」
担当者「ん~……ここ、文章がおかしいですねえ。前後がつながってませんよ」
男「えっ」
担当者「それとここ、重要な部分なので、もうちょっと強調した方が……」
男(赤ペンでめっちゃ添削されてる……)
男「あの……いいじゃないですか。安楽死したい理由なんて適当で」
担当者「ダメです。安楽死したいのなら、きちんと書き直して下さい」
男「……はい」
12: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 00:51:38.433 ID:jRvRPzJo0
担当者「……うむ、だいぶよくなりました。これならいいでしょう」
男(やっと終わった……)
男「これで、いよいよ安楽死ですね。やっぱり薬品を注入されて安らかに……って感じなんでしょうか」
担当者「まだです」
男「え」
担当者「次のプログラム、電話であなたのお知り合い――最低10人と最後の会話をして下さい」
男「はぁ? なんでそんなこと……」
担当者「もしも“あの人にこれを伝えておけばよかった”という思いが少しでもあっては」
担当者「安楽死にはなりませんからね」
男「……分かりました」
13: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 00:52:39.384 ID:/Qu5IwOV0
死ぬのやめた!ってなるパターン
14: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 00:54:25.096 ID:jRvRPzJo0
男「あ、親父? 俺だけど……うん、ちょっと話したかっただけ」
男「お袋? ……元気? 別に用はないんだ……」
男「おう、俺だよ。昔クラスで一緒だった……ちょっと声が聞きたくてさ……ハハ」
――
男「ふぅ……やっと10人。これでいい?」
担当者「結構です。では別室にご案内いたします」
男(これでやっと安楽死か……長かったなぁ)
15: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 00:57:31.239 ID:jRvRPzJo0
男(なんかシアタールームみたいなとこに通されたけど……)
男「ここは?」
担当者「これからここで、あらゆる国や宗教の死生観についてのビデオを見てもらいます」
男「へ? なんでそんなものを――」
担当者「よりよい安楽死をするには、死とはどういうものか理解する必要があるからです」
男「いいよ、そんなもん理解しなくて」
担当者「ダメです」
担当者「ちなみにビデオは六時間」
男「六時間……!」
男(まぁ、眠ってりゃすぐに……)
担当者「なお、視聴後にはビデオの内容に関するテストを行います」
担当者「100点満点中90点以上を取らないと合格にはなりませんので、しっかり視聴して下さい」
男「なんだってぇ……!?」
17: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 01:00:13.057 ID:jRvRPzJo0
男(ようやく見終わった……)グダ…
担当者「お疲れ様でした」
担当者「ただいまより、ビデオ内容に関するテストを実施します」
担当者「解答時間は60分……はじめっ!」
男(えーと……第一問、○×教では人間は死後どこに向かうとされているか……)
18: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 01:03:34.527 ID:jRvRPzJo0
男「どうでしたか!」
担当者「85点。残念ながら不合格です」
男「そんなぁ! あんなに頑張ったのに……たった5点ぐらいおまけしてくれてもいいじゃんか!」
担当者「ダメです。1点足りなかろうが、30点足りなかろうが不合格は不合格です」
担当者「もう一度、ビデオを見て頂きます」
男「うへえ……」
20: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 01:06:14.648 ID:jRvRPzJo0
担当者「……92点。うん、合格です」
男「やったぁ……!」グッ
担当者「では続いてのプログラムです」
男「!? ま、まだあるのかよ! もういいだろ!」
担当者「続いてはよりよい死を迎えるために体力をつけていただきます」
担当者「見たところ、だいぶ体がなまっておられるようですし」
担当者「とりあえず、腕立て伏せを100回くらいはこなせるようになってもらいましょうか」
男「はぁ!?」
22: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 01:09:42.576 ID:jRvRPzJo0
男「なんでだよ! どうせ死ぬのになんで体力つけなきゃいけないんだよ!」
担当者「“健全な死は健全な肉体に宿る”と聞いたことありませんか?」
男「ねえよ!」
担当者「とにかく、体力がなくては、より素晴らしい安楽死を体感することはできません」
担当者「バーベルやダンベル、プロテインも用意していますので、たっぷり筋トレして下さい」
男「うぐぐ……重い……!」ズシッ
23: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 01:12:27.063 ID:jRvRPzJo0
男(腕立て伏せ100回できるようになった……!)ハァ…ハァ…
担当者「お疲れ様でした」
担当者「続いては、パズル問題を1000問解いてもらいます」
男「パズルゥ!? しかも1000問!?」
担当者「頭を散々フル回転させた先にこそ、真の安楽死が待っているというのが当施設の考え方ですから」
男「意味分かんねえけど……やりゃいいんだろ!」
25: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 01:15:12.018 ID:jRvRPzJo0
男「全問……解き終わった……」ゼェゼェ…
担当者「お見事です」
担当者「次は、体をほぐすためにヨガ体操をしてもらいます」
男「えええ……!?」
男「あのぉ、安楽死できるまでに、こういうプログラムが後いくつあんの?」
担当者「それは教えてはいけない決まりになってるので、お教えできません」
担当者「ではまず、ヨガの呼吸法から……」
27: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 01:18:09.239 ID:jRvRPzJo0
男「おかげですっかり体がほぐれたよ……」
担当者「それはようございました」
担当者「では、安楽死をテーマにした映画を視聴してもらいます」
担当者「映画は120分、終わった後にはもちろんテストがありますので寝たりしないように」
男「……!」
29: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 01:21:56.129 ID:jRvRPzJo0
担当者「テストは……98点。一発で合格です」
男「映画が結構面白かったんでね」
男「さ、もういいだろ! いい加減安楽死させてくれ!」
担当者「まだです」
担当者「それでは次は、安楽死された方の遺族からのメッセージを視聴して頂きます」
担当者「遺された人間がなにを思うかを知っておくことも、安楽死には必要……」
男「うへぇぇぇ……」
30: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 01:24:32.974 ID:jRvRPzJo0
男「――もういい!」
男「あー……もうめんどくせえ! こんなもんやってられっか!」
男「死ぬのがこんなに面倒だとは思わなかった!」
男「これなら生きてる方がよっぽどマシだぁぁぁぁぁ!!!」
担当者「では、お帰りになられますか?」
男「ああ、帰るよ! 帰りますよ!」
担当者「一度帰ると、また当施設に来られても、プログラムは最初からになりますがよろしいですか?」
男「いいよ! ていうか二度と来るかこんなとこ! 安楽死なんてバカらしいわ! やってらんねえ!」
男「じゃあな!!!」
バタンッ!
担当者「……」
31: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 01:25:22.458 ID:t38HH8HD0
俺だったら遺族のメッセージ見て死ぬだろうなぁ
33: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 01:27:18.276 ID:tHhU6OMY0
俺ならここまでくると意地でも死にたくなるけどな
34: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 01:27:57.155 ID:jRvRPzJo0
男「……」スタスタ…
男(安楽死なんてくっだらねえ! 生きてやる!)
男(いくら退屈だろうと、面倒だろうと、死ぬまで生きて生きて生きてやるよぉぉぉぉぉっ!)
男「――!」ハッ
男(あれ……俺、あんなに死にたがってたのに……いつの間にかこんなに生きたくなってる……)
男(もしかして……あの≪安楽死施設≫の真の目的はこれだったのか!)
男(あの施設は延々とプログラムをこなさせることで、死ぬのを思い留まらせるための施設だったんだ!)
男「筋トレだのヨガだの色々やらされたおかげで、心も体も充実してるし……」
男「よーし……今日から頑張って生きるぞーっ!」
39: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 01:30:39.090 ID:jRvRPzJo0
――
――
職員「お疲れ様。今の気分はどうだい?」
担当者「あの人の安楽死を思い留まらせることができて、最高の気分です」
担当者「これで清々しい気分で旅立てるというものです」
職員「うむ、最後のプログラム≪当施設で働く≫はこれでクリアとなる」
職員「それでは希望通り、君を安楽死させることにしよう。さ、行こうか」
担当者「はいっ!」
― 終 ―
40: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 01:31:39.847 ID:5c+8UdXS0
このクオリティーの高さは笑うせえるすまんの人?
41: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 01:32:12.432 ID:Fag5LDXXr
乙
お前が死ぬのか!
42: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 01:32:37.386 ID:tHhU6OMY0
馬鹿は死なないというメッセージか
うまい!
43: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 01:35:45.417 ID:rUcaeAc10
何をするにしても面接が必要な社会の奴思い出した
44: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/04(火) 01:36:18.805 ID:1u3FPuqkd
オチが秀逸だわ
乙