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    『心霊怖い話部門 第一部』真冬の怖い話グランプリ


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    この記事では「心霊怖い話部門」から21話をご紹介いたします。
    怖かった話、面白いと思った話の番号とタイトルを投票ページから投票してくださいね!

    目次


    1.禁足地 kuma様
    2.懺悔 m様
    3.足音 コマいーぬ様
    4.ナイ、ナイ 元社畜様
    5.盆の夢 漬物語様
    6.黒いもの メイ様
    7.謎の声と事故 あざみん様
    8.傘の女 たかむらかわを様
    9.般若の女 北国寒子様
    10.般若の女続編 北国寒子様
    11.思い込み easy様
    12.誰? 伊藤久遠様
    13.耳元 ことは様
    14.オーナーの下積み時代 ビリーフ様
    15.叫び声 JJ様
    16.赤い鬼の正体は、、、 ハトムギ様
    17.赤ちゃんと金縛り なりなり様
    18.金縛り中に背中を殴られた なりなり様
    19.透ける黒い腕ペンネーム なりなり様
    20.不思議なイタズラ なりなり様
    21.ゲームセンターのはなし はるか様

    投票ページはこちら
    心霊怖い話部門 第一部投票ページ





    1.禁足地

    ペンネーム:kuma

    コレは自分が体験した実際の話です。
    ※霊障や何か禍々しいモノを感じ易い方は自己責任で。

    自分が高校生2年の夏休み。
    いつもの様に友達五人と集まって何をする訳でも無くたむろしていた。
    集合は決まって友人Rの家の側にある通称(鬼ヶ棲沼)だ。
    この沼は古くからあり、沼を囲う様に林があり、その林道には数軒の民家と突き当たりには防空壕が未だにあるのだ。

    その日もいつも通り集まった。
    すると、Rが変な事を言い出した。

    あれ、見てみろよ。

    自分達はRの指差す方を向くと、一台の赤い軽自動車が沼のほとりにポツンと停まっていた。

    いつも何も無い所に車があるだけでその存在感は凄く、皆で恐る恐る近寄った。
    ロックは掛かっておらず、キーはさしっぱなし。
    ダッシュボードの中には持ち主のであろう運転免許証が入っており、なんだか薄気味悪いので放っておこうと満場一致。
    その日はそれで何もせず解散した。

    翌日、再び集まるとその車はまだ動かずにそこに居た。
    そのままかれこれ1週間以上その車はそこに停車していた。
    あくる日、Rが何を血迷ったのかその軽自動車を突然沼に押し込んで沈めてしまったのだ。

    何を隠そうこのR、両親は内科の医師の父親と精神科の看護師の母親でサラブレッドなのだが当の本人は頭のネジが2本ほど無い男で、前述に述べた沼の奥の防空壕に一人でカメラとロウソクを持ち一晩を過ごすという暴挙に出る程で、彼のおこないは大体見てきたのだが今回の車の件には流石に皆、青ざめた。

    そこから軽自動車が無くなって数日が経ったある日、Rから一本の連絡が入った。

    ちょっとヤバイ事になったんだけど。

    話を聴くと林道沿いにある数軒の民家の内の一軒で、一家が失踪したとの事。
    警察車両が何台もRの家の前を通り過ぎたのが気になってその方向に向かった所、沼の林道の先で黄色の立ち入り禁止テープを見た。
    そこにいた人達に話を聞いた所、まるで神隠しにあったかの様に忽然と姿消してしまったらしい。
    食卓にはこれからご飯でも食べるかの様におかずやご飯等並べられていて、テレビはもちろん家の電気も付いていて、玄関の鍵も開いていてまるで生活感がある状態のままだったそうだ。
    朝でも夜でもその状態を不審に思い、近所の人が尋ねた所誰も居なかったそうで、すぐ警察に電話を入れたらしい。

    その翌日にRの元に警察から一本の連絡があった。

    あそこら辺で赤い軽自動車を見なかったか?と。
    警察の電話の内容は、その赤い軽自動車は一家失踪の手掛かり、もしくは事件等の証拠になるものであって、つまりは車を探しているのだ。

    一瞬で理解したRは事実を言ってしまったら沼に落とした自分が捕まるかも知れないと思ったそうで知らないと言い張ったそうだ。
    その直ぐ後に私達に連絡をして来たのだ。
    皆ですぐに沼に集まり車の場所に行ってみると、既に警察が車の捜索に取り掛かっていた。
    沼に潜り詮索していたそうだが、不思議な事に車は見つからなかった。
    Rは少し安心したのかこわばっていた表情が緩んだ瞬間に友人Mが話し始めた。

    俺さ、この間Rが車を沼に落とした時さ、向こう岸の木の隣に人が数人立ってコッチを見てたんだよね。怖かったし俺だけ見えてると思うと余計な事言わない方がいいかなって思ってさ。

    そ、それ俺も見えてたんだけど。。
    すかさず友人Sも話し始めた。

    どうやら自分とRともう一人の友人Wは何も見えて居なかったのだが他の2人は同じモノが見えていたそうだ。
    怖くなった私達はそのまま帰宅した。
    なんだかモヤモヤしていた夜中に再びRから連絡が来た。
    しゃ、洒落にならんからみんなすぐにウチに集まってくれ!と。
    意味が全く分からないが只事ではない勢いだったので昼間の件もあったし、すぐに向かった。
    自分が到着すると友人達は既に家の中に居てRの母親と父親がソファに座っていた。
    Rは重い口を開けて話し始めた。

    今日あの後家帰ったら夜勤明けの母ちゃんとバッタリ会ってさ、急に仕事の話を始めたと思ったら突然あの車の話をしてきたんだよ。。
    すると側にいたR母が私達にもこう言った。

    今日ね、今まで長い間一言も喋らないおばあちゃんが患者さんで入院に来たの。お母さん病室でお花を飾ってたらね、おばあちゃんがいきなりアンタ息子居るかい?って。お母さんビックリして居ますよって言ったらそのおばあちゃん、今すぐに北東の方角に行け!だって。なんの事ですか?って聞いたらアンタの息子さん左足首まで持ってかれてるよ。早く逃げないと全部持っていかれるよ。って。お母さん全く訳が分からなくて何度もきき返したんだけどね、それからずっと何だか歌みたいなお経?みたいなモノを口ずさんでるの。
    なんて言っているのかよく分からないんだけど時折聞こえるのが、「赤い車と四つの魂」って言葉だけで…

    私達はかつてない程のトリハダが立った。

    尋常じゃない位の心臓の鼓動が聞こえる。
    Rは一連の件を両親に隠さず話した。
    両親は頭を抱えていた。Rは泣きながらどうしたらいいかと喚いていた。
    私達もどうしたらいいか分からなかった。
    その日は解散し翌朝R母が仕事を休んで全員を車で拾いに来た。

    これからお清めしてもらいに行くからアンタ達しっかりしなさいよっ!と。

    地元で、一番古い神社に向かうと高齢の神主さんが出迎えてくれた。何も言わずに奥に通されお祓いが始まった。一通り終わると神主さんがおみくじサイズのお札を4枚くれた。
    10年毎に一枚ずつ飲みなさい。それを飲んでいる間は目隠しになるから。必ず10年経った同じ日に飲みなさいと。
    理由を聞くと前に言った向こう岸でこちらを見ていた人達があなた方を探していると。。
    ここら辺は昔「禁足地」だったそうで、人が入らぬよう見守るのがこの神社の役目だった。
    それがいつしか緩和され、人が移り住むようになったんだそうで。
    その頃から決まって何かの節目の年には人が急に消えると…
    それを聞いてふとみんなが思ったのがあの一家だった。
    あの一家の念の強いモノに関わってしまった為、一緒に道連れにと憑いて来ているのだと神主さんは言った。

    それからRは東北の大学に逃げるよう入学した。
    自分達もバラバラになり各々の生活を送って行った。
    今年で丁度10年目の年。
    つい先日久々に集まろうと連絡を取ったら友人Sが死因不明で亡くなっていたと聞いた。
    あの日、神社で貰ったお札を飲んだ後家で体調を崩して全て吐き出してしまったのだと。

    これから先もずっと憑いて来られると思うと気が気でない。
    もしかしたらこんな事有るわけ無いと思うが、これを読んだり聞いたりした人の元にもあの家族が来ないとは言い切れない。

    願わくば私達の周りでおさまっていてくれたらと切に願う。

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    2.懺悔

    ペンネーム:m

    私が10年間、誰にも打ち明けることができなかった過去をここに記します。

    事の発端は、私が小学6年の夏まで遡ります。
    当時、私は東京に住んでおり、小学1年から6年までの間、春夏冬の長期休みを利用して、毎年母の実家へ帰省していました。
    祖父母の家は、車で6、7時間程の山奥にあります。
    小さな集落で、当時から周辺では過疎化が問題視されていたようですが、山の麓には学校もあり、少なからず子供はいました。
    また、集落は非常に閉鎖的であったため、部外者が来ることもなく、人為的な危険性はありませんでした。

    そのため、私は祖父母の家に行く度に、近くの川や山中へ遊びに行くのがお決まりでした。
    外へ一人で遊びに行くことに対して、祖母は「ケガしねぇか。迷わねぇか」と心配してくれていましたが、両親は家で騒がれるよりは良いだろうという料簡でした。

    何より、私は家よりも外で遊ぶ方が好きでしたし、年に3度も帰省しているので、集落周辺にも完全に認識されており、おかげで友達も何人かできました。

    その友人の中でも特に仲良くしていたのが、「マサ」と呼ばれていた男の子です。
    彼は、私が集落で初めて友達になった子で、彼の仲間に「この子は東京から来たんだぜ」と紹介してくれました。
    私が彼と知り合った小学2年の冬休みから、毎年帰省する度に、彼らと川遊びや虫取り、雪遊びなどをして楽しく過ごしていました。

    そして、小学6年の夏に帰省した時も、これまでと同じように皆で遊ぶ日々を送っていました。

    そんなある日、私と彼の二人しかいない日がありました。
    始めのうちは、いつものように川遊びや虫取りをして遊んでいたのですが、少し遊び疲れて来たので休憩しようということになり、近くにあった木陰で休むことにしたのです。

    小学生最後の夏ということもあり、彼はいつになく饒舌で、将来や中学校のことについて、色々な会話を交わしたことを覚えています。

    しばらくは他愛のない会話を楽しんでいたのですが、彼は唐突に話題を変え、集落よりもずっと上の方に、誰にも使われていない納屋があるのを知っているか、と私に聞いてきました。

    私は、納屋のことは初耳で、なぜ誰も使っていないのかと尋ねると、彼は、彼の母が子供の時から既に使われていなかったと母親から聞いており、かつ彼の友人にも誰一人として納屋に行ったことのある人間がいないことを教えてくれました。

    私は「何で使われなくなったんだろう。きっといらなくなったのかな」と、さほど興味もない口調で言ったのですが、彼はそんなことはどうでも良いらしく、せっかくなので探検に行こうと提案してきたのです。

    彼は、今まで納屋について一度も話さなかったのは他の皆がいたからで、彼の集落でも近づいてはいけないことにっているが、二人なら密かに行けるしお宝があるかもしれないと、声高に語りました。

    彼の説明によると、空き家だったとしても他人の所有地へ勝手に入るのは、集落では固く禁じられているとのことでしたが、人里離れている納屋であれば見つかることはないだろうし、余所者である私しか一緒に行ける仲間がおらず、納屋の存在を確かめるには絶好の機会とのことでした。

    私は暫くためらいましたが、小学生最後の夏ということもあり、良い思い出になればと承諾しました。
    彼は、大きいカヤブキ屋根が目印らしいから直ぐに見つかるだろう、と喜び勇んで私を誘導しました。

    しかし、彼自身も納屋へ行くのは初めてのため、何度も道に迷ってしまい、目印となる茅葺き屋根を見つけ、ようやく納屋へ着いた時には日が傾きかけていました。

    目の前には、鬱蒼と生い茂る草木の中に、深く黒ずんだ納屋だけが佇んでおり、片側の側面が夕日に照らされていました。その光景は異様なほど不気味で、今すぐにでも帰りたいと感じたのを覚えています。

    私が、怖いと独り言のように呟くと、彼は「本当にあったんだ!子供が遠くまで行かないように、大人達が創った嘘だと思ってた」と一人喜んでいました。
    見るほどに気味が悪く、一刻も早く帰りたかったのですが、彼が楽しそうであることに加え、私に喜んでもらおうと頑張っている姿を見ると、とても「帰ろう」とは言い出せませんでした。
    そのため、私は納屋の鍵が開いていないことだけを切に願っていましたが、その希望はすぐに打ち砕かれました。

    鍵が開いているから早く入ろうと彼が言い出したので、見てみると、錆びた鉄の鍵には無理矢理壊されたような形跡がありました。誰かが同じような目的で入ったのでしょうか。しかし、余所者が納屋の存在を知っているはずはありません。

    考えれば考えるほど混乱してきたので、私は思いきって「やっぱり入っちゃまずいよ。持ち主が来るかもしれないよ」と伝えたのですが、彼は「平気だよ。俺の母ちゃんが子供の頃から誰も使ってなかったんだから」と、聞く耳を持ちません。
    それどころか、ライトを持って来ていないから、日が暮れないうちに急ごうと納屋へ入るのを急かしてきます。

    この時、私には別の不安がよぎりました。
    ただでさえ日が傾きかけており、今から戻っても辺りが暗くなり始めることは間違いない。ましてやあれだけ迷った道を、明かりもない状態で無事に帰れるのだろうか。
    私は、こうなったら早く探索を済ませて、さっさと引き上げようと考え、意を決して納屋へ入ることにしたのでした。

    納屋の中は、外見以上に広く感じました。納屋というよりは、古い家屋に近かったかもしれません。
    また、埃や煤だらけで物が散乱していたものの、子供が並んで歩ける程度の足場は残っており、格子から差し込んでいる夕日だけでも、十分に探索は出来そうだと感じました。

    彼も「流石に荒れてるね。お宝あるかな」と言いながら暫く探索をしていましたが、何もなさそうだなぁと一人ごちたので、漸く帰れると思ったその矢先、「奥に梯子が見える」と言ったかと思うと、梯子を登って行ってしまいました。 私はついて行くのが精一杯で、「まってよ」とすぐ後に続きました。

    二階へ上がった時の光景は、今でも忘れることができません。

    階段を上がると、近代家屋の屋根裏部屋のような構造で、すぐに部屋へと繋がっていたのですが、1階とは打って変わって異様なほど重苦しい雰囲気が漂っていました。

    辺り一面には満遍なくお札が貼られ、天井の四隅を囲むように注連縄が垂らされていたことは、今でも鮮明に覚えています。
    そして部屋の中央には、今にも崩れそうな観音開きの仏壇のようなものが固定されており、その左右には黒ずんだ盛り塩や蝋燭も置いてありました。

    私は泣きそうになりながら、ここは絶対に来てはいけない場所だから、もう帰ろうと言うと、「ちょっと見たらすぐ帰るよ。それに大人達が寄せつけなかった理由が気になる」と、彼は一歩も引きません。

    私は階段を上がったすぐ側で、震えながら見守っていることしか出来ませんでした。
    そして、彼が部屋を二周りほどした時、突然その仏壇のようなものが後ろに倒れたのです。

    私は心臓の鼓動が部屋中に響いたのではないかと思った程で、彼も「足が当たったかもしれない」と、少なからず驚いた様子でしたが、私が見ていた限りでは、仏壇は独りでに倒れこんだように見えました。

    私は相変わらず「もう帰ろうよ」と繰り返し言っていたので、彼も気が変わったのか、「大人達がここに寄せつけなかった理由は分からなかったけど、何もないから帰ろうか」。
    そう言って、彼が倒れた仏壇を起こした時、倒れた衝撃で壊れたのか観音開きの扉が外れ、中から黒い塊が出てきました。

    彼は「何かでてきた」と言いながら、すぐにその塊を拾い上げましたが、わぁと投げ捨てて「早く出よう!」とこちらに走ってきます。

    私は急いで階段を降りつつも「どうしたの」と聞きましたが、「後で後で、早く早く」と急かされたので、無我夢中で納屋の外へと逃げました。

    外は大分暗くなっていましたが、まだ足元が分かる程度には明るかったと思います。
    とにかく二人で、来た道も考えずに走り続けました。
    お互いに疲れが表れ始め、次第に歩きへと変わる頃には、不思議と集落の近くまで来ていました。
    彼も安心したのか「少し休憩しよう」と言って脇の土手に座り込みました。

    暫くしてお互いの息も整ってきたので、私は「さっきの変な黒い塊は何だったの」と尋ねると、「良く分からないけど、あれは何重にもぐるぐるに巻いた髪の毛の塊だったように見えた。それに、あの塊を持った途端、誰かに見られてるような気がして。何のために作ったんだろう」。
    彼の言葉を聞き、無性に不安になった私は、「わかんない」と答えるのが精一杯でした。
    そして、ふと彼の手に目を向けると、指先が赤黒くなっていました。

    「それ、どうしたの」と私が彼の指を指すと、「気づかなかった。さっきの塊を持った時についたのかな。ベタベタして気持ち悪い」と言い、彼は指先を足元の草花で拭いました。

    私には、彼の指先に付着していたものが何だったのか、未だにはっきりとは分かりません。
    ただ、その時は何か良くないことが起こるのではないかと、気が気ではありませんでした。

    そんな私とは反対に、彼は「今日のことは二人だけの秘密にしよう」と元気な様子でしたが、そのおかげで私も理性を保てたのだと思います。
    もちろん私も「親にも絶対秘密にしようね」と言い、先程のことなど忘れたかのように談笑しながら、お互い帰路につきました。

    翌日、私は家族と街へ買い物に出かけており、それなりに楽しい一日を過ごしました。

    その日の夜は中々寝つけずにいたのですが、昨日の出来事も何のことはない、また明日からマサと何をして遊ぼうか、そんなことばかり考えていました。

    翌朝、遊びに誘うため彼の自宅まで行くと、彼の母親が出て来て「ごめんね。マサは体調が優れないの。昨日もマサと遊んでくれてたんだってね。ありがとうね」と告げられたのです。

    私はとてつもなく嫌な予感を感じました。

    これまでに彼が病気になったことなど、私の知っている限りでは一度もなかったからです。
    それに、彼と遊んだのは一昨日であって昨日ではなかったと伝えると、「あら、じゃぁ他のお友達かしら。昨日も家にいなかったものだから。また遊んでやってね」。

    それから二言三言交わすと、彼の母親はにこやかな表情で家の中へと戻って行きました。
    その日は、他の友達3人と遊ぶことになったので、昨日彼と遊んだ人がいるか尋ねましたが、皆遊んでいないと答えました。

    私は心のどこかで不安を覚えつつも、いつものように日が暮れるまで遊びました。

    それから、私は毎日一人で彼の自宅を訪ねましたが、病気が思わしくないため会わせてもらえず、漸く会うことができたのは、納屋に行ってから8日目のことでした。

    彼の母親に案内された部屋へ入ると、彼は布団の上で横になっていたのですが、彼のあまりの衰弱ぶりに驚きました。つい数日前まであんなに元気だったはずが、その面影もないのです。

    彼の希望により、二人きりにしてもらうと、彼は弱々しく「あの納屋に近づいちゃいけない理由が分かったよ。俺はあの日から誰かに見られてる。ふと夜中に目が覚めた時なんか、そこのドアから誰か覗いてて」と、私の後ろを指しながら言うので、「それ、きっとマサのお母さんが心配して見に来たんだよ」と伝えたのですが、彼曰く「目が違った。母ちゃんや父ちゃんならすぐに分かる」とのことでした。

    私は、彼が見た光景は夢ではないかしらと思ったのですが、彼を疑いたくなかったので黙ってしまいました。
    しばらく沈黙が続くなか、唐突に彼が口を開きました。
    「実は、納屋に行った次の日、また一人で行って来たんだ」。
    私は、それまで府に落ちなかった事柄が一変に繋がったと同時に、彼の行動が理解できませんでした。
    「どうしてまた行ったの」
    「納屋に行った夜から変な視線や気配がするから、とりあえず、あの塊だけでも元の位置に戻して来ようと思って」。

    私には、そもそもあんな場所へ一人で行くなんてことは考えられなかったので、彼をとても逞しく感じました。
    「それで、あの塊は戻せたの」
    私がそう言った時、彼の指先が僅かに震えていたのが、とても印象に残っています。
    「それが、戻ってたんだよ。仏壇までご丁寧に直してあった。何で戻ったのか。誰かが戻したのか。結局、俺はそれを見た瞬間、怖くなってすぐに帰って来た」。

    彼は、喋りながらも正気を失いかけているのが分かりましたが、それは私も同じでした。
    私は泣き出しそうになるのを必死に堪えながら「やっぱり、誰かが管理してたんだよ」と言うのがやっとでした。

    しかし、彼はすぐに「それはあり得ない」と言うのです。

    「もし管理されてるなら、まず壊れてる鍵とかを直すだろ。でも鍵は直ってない、中は散らかったまま。何より俺が行った時、入口の扉すら開いたままだった。つまり、2階以外は俺らが逃げて来た時のままなんだよ」。

    私には、彼の言葉を検証するゆとりなどなく、「まってよ。よく分からないよ。なんで2階だけなの」と答えると、彼は考え込んでしまいました。

    再び沈黙が訪れましたが、彼は先程より少し落ち着いた様子で、「意味が分からないだろ。もしかすると、俺らの侵入に気づいた大人が、罰として意地悪してるだけかもしれないけど」と、現実的な可能性を示したので、私は嬉しくなって「そうだよ、きっとそれだと思う。そうとしか考えられないもん」と言いました。

    しかし、再び彼は考え込んでいる様子でした。
    ふと何かを決心したかのように、沈鬱な面持ちで「でも、やっぱりあの髪の毛の塊が関係してんのかな。体調も悪くなる一方だし」と力なく言いました。

    一番考えたくなかった内容だけに、私は暗い気持ちになりながらも、「そんなの関係ないよ。早く元気になって遊ぼうよ」と言うと、彼は「うん。また遊びたいな」と小さな声で呟き、そのまま寝てしまったのでした。

    彼をゆっくりさせてあげたかったので、彼の母親に挨拶を済ませ、そのまま私は彼の家を後にしたのです。

    そして、それが彼との最後の会話になりました。

    私が彼の部屋で会話をした翌日、彼の母親から電話があり、今朝がたマサが息を引き取ったので、できればお通夜に来て欲しいと伝えられました。

    昨日会ったばかりの彼が亡くなるなんて、私には受け入れることが出来ず、一日中泣いていました。

    今でさえも、彼はどこかで生きているんじゃないかと思う時があります。

    通夜当日、私は彼の母親に彼の死因について尋ねてみたのですが、医者の見解によると悪性の病であるらしいとしか教えてもらえませんでした。

    私は長い間ショックから立ち直れず、この日を境に、一度も帰省していません。

    帰省してしまえば、必ずあの時の悲しい記憶が蘇るのは明白なので、祖父母や両親にもそのように伝えていました。

    あの時、嫌われてでも良いから、あの部屋に入ることを止めていれば彼を救えたのではないかと、私は10年間後悔し続けて来ました。

    結局、彼の死は病気がたまたま重なっただけなのか、それとも怨念のような類に触れてしまったのかは分かりません。

    ただ、彼が重度の病気であったとは考え難く、古くからの言い伝えには、やはりそれなりの理由があるのだと思います。

    あの黒い塊は何だったのでしょうか。
    マサを見ていた目は、誰だったのでしょうか。

    私は10年の節目として、彼のお墓参りを兼ねて近々あの納屋へ行くことに決めました。

    今では、集落一体も大分人が減ったようで、子供は殆どいないそうです。

    また、彼の死後しばらく経ってから、祖母との通話にて聞き出したのですが、納屋の鍵が壊されていたのは、私たちが納屋に行った1ヶ月程前に、部落の男が窃盗目的で侵入するために壊したようです。
    納屋へ侵入してから数日の内に亡くなったそうですが、一人で生活していたため、周囲が気づいた時には死後2ヶ月程経過していたとのことです。日数は、死体の側にあった手記から推定したと聞かされました。

    まだ納屋が残っているかは分かりませんが、彼の死と関係があるのか確かめて来るつもりです。

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    3.足音

    ペンネーム:コマいーぬ

    寒くなってくると思い出す体験があります。
    その出来事があったのは確かに5年生ぐらいだったかと思います。
    小学生の頃、ボクシングをしてました。

    ジムから家まで自転車で通ってまして、片道30分ほど。だいたい19時頃ジムについて練習1時間、身支度30分の帰路30分と2時間コース。
    まだ子供だったし21時までには家に帰るように気を付けてた。

    ただ、ジムの先輩達とボクシングのビデオを見たり話し込んだりすると遅くなることもちらほら。
    そんな時は先輩が家まで送ってくれたりとしてくれてたのですが、その日は一人で帰った。
    ジムを出たのは22時頃。会長がもう遅いし雪が降るから帰りなさい、と僕だけ帰した。凄く寂しかったが、会長絶対だったので文句を言わず、ママチャリに乗って帰路についた。

    ジムを出たらまず母親に電話を入れた。
    30分ほどで帰ると伝え自転車を走らせた。

    家までの間に3つ学校を通りすぎる。中学校1つ、小学校2つ。
    親しんだ道もあってか怖いと感じたことはなかったが、1つ苦手な学校があった。
    その学校の前の道でよく猫が死んでいたからだ。
    学校の向かいが大きな公園で、よく事故にあったであろう猫の死体が道路に転がってた。
    夜間は交通量が少ないので車道をぶっ飛ばしていたが、その道だけは歩道を走るようにしていた。

    学校付近に差し掛かり、僕は歩道に入った。
    すぐ右手に学校があり、正門が見えた。もちろん22時頃なので真っ暗で不気味ではあったが、当時は猫の死体のほうが気になっていた。
    車道は左手だったのでそちらを意識しながら走っていたら、「ザッザッザッ」と学校内から誰かが走る音が聞こえた。

    ちょうど振り返らないと音の主を見れないような位置関係で、「こんな時間に熱心だなぁ。トレーニングか。」とボーッと考ていた。
    しかし、よく考えるとそこそこ飛ばした自転車の後ろに張り付いて走ってくる事や付かず離れずの微妙な位置取りに違和感を覚えた。
    何気に振り返ろうと思った時、気が付いたのだか、学校の脇にはたくさんの樹が植えられていた。そこを走るなんてできないし、何より足音以外の音が無いことに気付き「この世のものじゃない」思い体が硬直した。

    直感的に振り返ってはいけないと思い、前だけを見つめて自転車を漕いだ。「ザッザッザッ」速度を上げても位置関係は変わらず、斜め後ろあたりを維持している。足音以外はなんの音もなく、ただ追い掛けてきていた。その足音は学校の中から聞こえていた(と思う)ので車道に出て逃げればよかったのだが、ガードレールが続いており直進する他なかった。

    学校の角が見えて「あー、あそこを抜ければ終わる」と確信に近い推測で、一心不乱に漕いだ。
    学校の角を通りすぎたら、予想通り音は止んだ。
    完全に気配も消えて、すごく安心したのを覚えている。
    家まで10分を切る距離だったが、過度の緊張で疲れていたので、自転車を止めて休憩を取った。

    件の学校の向かいの公園に自転車を入れてベンチに座りこんだ。勿論、学校が見えないところで。
    会長から貰ったポカリを飲みながら出来事を頭の中で整理した。雪も降ってきたので、10分ほどして帰路についた。

    なんとか帰宅し、扉を開けたら母親が怒っていた。
    「何時だと思ってんの?」と時計をみたら0時を回っていた。頭の中は???となったが咄嗟に「ごめん、先輩の家に寄った」と嘘を付いた。なんとなく母親を不安にさせたくなかったから。

    部屋に戻り携帯を見ると母親からの不在着信がギッシリ。22時半頃から心配で電話をしてきたようだった。
    確か22時にジムを出て、休憩をしたとしても10分ほどのロスのつもりだったのだが、1時間半ほど空白があった。思い出せないし、なによりそれだけ電話が入ってれば気付いたはず。言い様のない不安が残ったが、確認する術も無くその日は眠りに付いた。

    次の日、学校が休みだったので休憩を取った公園に行った。怖かったので日中に。
    自分が座ったベンチを遠目に見た。
    ベンチの上にはポカリが置いてあった。

    やっぱりここには来たんだよなぁ、と考えながらベンチに近づいた。ベンチのすぐ近くの猫の死骸を見つけて頭の芯を殴られた感じがした。
    まだ新しいものに見えた。
    踵を返して逃げた。チラッ立ったとしか見なかったので死因などは分からない。

    足音や空白の時間に何があったかは今でも分からない。
    ただ雪を見ると、猫の真っ赤な血とベンチの周りの駆け回ったような足跡を思いだし息が詰まる。

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    4.ナイ、ナイ

    ペンネーム:元社畜

    それは、ブラック企業に勤めていた私が連勤二十日目を記録した夜のことです。

    毎日激務に追われ、夜は風呂に浸かりながら寝てしまい溺れて起き、朝は靴紐を結びながら眠ってしまう、なんて日々が続き、その日はやっと連勤から解放され自室のベッドで寝れる!と喜びを噛み締めながら帰宅し、即就寝。

    何時間経ったかわからないが、ドアに背を向けて寝ていると、高校受験を控えていた弟が「ちょっと姉ちゃん、英語辞書かして」と部屋に入ってくる音がしました。
    英語辞書を使っていたのなんて何年も前でどこにあるかもわからないし、そもそも眠気で返事をする気も起きず(寝たふりしよう…)と無視していると

    「もう、勝手に探すよ〜」
    と一言だけ言った後
    弟は部屋中の棚という棚、戸という戸を開け閉めし、英語辞書を探し始めました。

    そのままウトウトし始めたのだが、(何でこのご時世にわざわざ辞書で引くの…?!)とか(こっちは連勤上がりなのにうるせぇな…)とか
    色々なことを考えていたら、だんだんと苛々。

    尚も弟は「ここにもねぇな…、ここか?」と独り言を言いながら呑気に英語辞書を探している。

    いい加減追い出そうと「うるせぇわスマホで調べろ!」と声を出そうとしたが口が動かず「んんんん!!」と呻き声が部屋に響いた。

    そこで気づいたが、どうやら目も開かないし、身体も動かない。
    初めての経験に一瞬びっくりしたが、すぐにそれが「金縛り」だと気づいた。
    何も知らない弟は尚も「ないわ、ねぇどこにあんのー」と部屋中を探し回るのだが
    戸や棚を開ける音が次第にドンドンドン!ドン!とまるで部屋の中を走ったり跳ねたりしているような激しい音に変わっていった。

    そして、耳元でハッキリと

    「ナイ、ナイ。ドコ?」

    …これ、弟じゃない…と気づいた瞬間、気を失った。

    朝、弟にその話をしたら
    「部屋になんかいってないよー」とのこと。
    今はその会社も辞め、弟も無事高校に受かりました。
    疲れてたんですかね?

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    5.盆の夢

    ペンネーム:漬物語

    いつもはツイッターなどで短編怪談を投稿しています。今回は、私自身が体験した少し不思議なお話をしたいと思います。

    私の家族は毎年お盆と正月には、おばあちゃんの家に親戚一同揃って泊まるのが決まりだった。

    その年の正月も例年どおり、親戚一同揃って新年の挨拶。従兄弟はみな年が近いため、その年も賑やかな年初めだった。

    その夜に不思議な夢を見た。

    フッと気がついて目を覚ましたら、おばあちゃんの家の居間。つまり自分の寝てるところで目を覚ました。

    部屋の配置を説明しておくと、家に入って左手に障子を挟んで居間。正面に階段、その奥にキッチンがあり。キッチンからLに、堀りコタツのあるダイニング、居間と続いていた。泊まりにいてた親戚はほとんどこの居間に川の字になって寝てた。

    しかし、目を覚ました自分の周りには親戚は寝ておらず自分しかいなかった。

    すると階段から誰かが降りてくる音が聞こえた。だれだろう、そう考えている間も無く障子の先で人影が見えた。

    丸まった腰で背丈は低い、その人影はなぜか居間の前で足を止めた。居間に入ってくるわけでもなくただじっとしている。

    おばあちゃんだろうかそう思ったとき、「~~~」

    ダイニングの方から何か聞こえた。振り向くと明かりのついたダイニングでコタツに入ってるおばあちゃんが何か話しかけてきていた。何をいっているのかよく聞こえない。

    じゃあ、障子の先にいるのは、だれ?

    なんとも表現できない漠然とした恐怖、音を増す心音。視界がだんだん暗くなった。

    そこで目を覚ました。周りに親戚が寝ている。

    バクバクバク

    まだ自分の心音が聞こえる。

    ボーンボーン

    時計がなった。ダイニングを見るがまだ電気は灯ってとらず、その後に恐る恐る障子を見た。しかし、その先に人影はなかった。時計を見ると朝の4時、その後もう一度寝たが夢の続きを見ることは無かった。

    管理人です!
    このお話を投稿いただいた漬物語さんは、下記Twitter等で怪談投稿等の活動をされているそうですのでリンクを紹介させていただきます。
    ツイッターアカウント:@tukemonogatari6
    ブログURL:http://kotodamasama.livedoor.blog/


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    6.黒いもの

    ペンネーム:メイ

    実際に俺が経験した話ね。
    社会人になって付き合ってた女の子と半同棲状態だった。その子の実家は近いんだけど、ほぼうちに来てて平日は夜に実家まで車で送る、週末は泊まるみたいな感じ。

    で、ドライブが好きだったから週末は深夜出発でよく遠出してたんだけど、かなりの確率でドライブの度に猫の死体があった。10回行くと9回は見てたと思う。

    で、平日彼女を実家に送ったあと1人で家で寝てたら変な夢を見るようになった。うちの間取りは玄関入って、廊下にキッチンがあり、ドアを開けると部屋がある1Kタイプ。夢というのはそのドアを黒い人の形した何かが入って来ようとしているというもの。最初は気にしていなかったけど、何度もその夢を見るうちにその黒い何かが徐々に部屋に入ってきていることが分かった。

    彼女は昼間はバイトまで俺の部屋で1人で過ごしてることが多かったので、彼女に話して怖がらせるのも嫌だなと考えていた頃、彼女から最近変な夢を見るという話をされた。とりあえず聞こうと思って、どんな夢?と返答したら、黒いものがそのドアから入ってくる夢と言われた。

    もちろん俺はまだ夢の話を彼女にしていなかった。この時点でやっぱりヤバいものだと考え、彼女に俺の見ていた夢を話したらほぼ同じものだった。結局怖くなり直後に引っ越したがそれ以降はその夢は見なくなった。

    よく考えたらその部屋、変な現象はよく起きてたんだよね。夜、窓にセミが突っ込んでくることはたまにあると思うんだけど、一晩で20匹以上のセミが窓に当たってベランダがセミの死骸だらけになってたり、上の部屋に誰もいないはずなのに音がしたり…。

    昔から変なものを見ることが多かった俺だけど、この黒い何かは異質な感じがしていたし、あの時引っ越して本当に良かったと思ってる。

    以上、10年以上前ですが実際に体験した話でした。

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    7.謎の声と事故

    ペンネーム:あざみん

    私が体験した話です。
    その年、色々と不幸な事が多発していた
    私と友人Aと2人は
    「ストレス発散に休みを合わせて旅行に行こう」
    と決めました。

    そして旅行前日の夜、
    1人で車に乗っていると
    後ろの席から女の声で
    「あ"え"」と聞こえてきて
    「なんだろう」と不思議に思いつつ帰りました。

    旅行当日、運転中に友人Aにその話をした所
    「旅行から帰ってきたらお祓い行こう」
    となりました。

    旅先に着き30分ぐらい経った時でした。
    信号待ちをしていると
    横からノーブレーキの車に突っ込まれ
    私の車は横転し、窓は割れ
    廃車になる程の事故でした。
    幸い私も友人にも怪我は無かったのですが
    「まさか昨日の声が…」とは思いました。

    その後一年が経ち今年の秋、
    翌日の会議の為、同僚と会議の電話をしていて
    ついでにその事故と、その女の声の話をしました。

    翌日、同僚が私の家まで迎えに来てくれて
    一緒に会議がある場所に向かってる途中
    信号待ちをしていると
    後ろから車に突っ込まれました。
    また大きな怪我も無かったのですが
    同僚の車は、かなりヘコむ程の突っ込み具合でした。

    そしてその日の夜
    去年の女の声を思い出し色々考えていた所
    もしかして「あ" え"」では無く
    「死ね」と言っていたのでは と思い
    ゾッとしました。

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    8.傘の女

    ペンネーム:たかむらかわを

    俺の家は駅を出てある公園を通り抜けた先にある。その公園はかなり大きくて、 どことは敢えて言わないが「昔全国的に知られた事件が起きたことでも有名な公園」と言えばわかる人も多いと思う。 毎朝この公園を抜けて電車に乗って、夜に疲れ切った体で家に帰る生活だ。

    ヤバイことが起きたのはある冬の日の夜で、雨が降っていた。まだ日付は変わっていなかった。

    駅を出たら雨が降っていたんでカバンから傘を出して広げた。すこし歩くと交差点があって、そこで信号待ちをした。 まだ車通りも人通りもあった。雨の音と、車のタイヤが路面の雨を弾く音とでうるさいくらいだった。

    ふと背中に何かがぶつかった。せまい交差点なので誰かとぶつかってしまったと思って、反射的にすみません、と謝りながら振り返った。

    誰かにぶつかったのはその通りだったんだが、その相手が少し異様だった。
    俺は背が高い方なので、相手の黒い傘の天辺がまず見えた。で、下の方を見ると足元の服装からどうも女らしい。
    でもそいつは傘を上げず何も反応がない。というか、ちょっと傘の位置が低過ぎる。小学生か?
    謝っても特に反応がないので向き直り、少し前へ足を進めてまた信号が青になるのを待った。

    と、後ろのやつがまた傘を俺の背中に当ててきた。スーツが濡れるのが嫌だったので少し横にずれて傘を交わしたが、また俺に傘を当ててくる。信号はまだ青にならない。俺はなんだか背中に寒気を感じてすぐそばのコンビニに逃げることにした。

    コンビニで夜食とビールを買って外に出て、その女?がいないかを確認する。どうやら行ったようだ。
    安心して傘を広げようとしたところにさっきの背の低い女が視界に入る。小さくワッ、と声を上げてしまった。ついさっき背中に感じた感触を思い出す。そいつをもう一度見るとやっぱりおかしい。身体の輪郭に対して傘の位置が低すぎる。。。

    もしかして、頭がない?
    頭があるべきところには傘の骨が集まるところ(?)があるはずだけど、無理やり傘を低めに持って顔が絶対に見えないようにすれば、頭がないように見えなくはない。でもなんでそんなことをするのか??

    俺は怖くなって小走りでさっきの交差点に向かった。運良く青信号で俺はそのまま家に向かって走る。
    意識しないようにすればするほどさっきの背中の感触が思い出され背中がゾクゾクする。公園の中に入り、池のそばを抜け反対側に出る。公園を抜けた辺りは高級住宅街なのだが、電灯も少なく暗いのがますます怖い。
    家まであと少しというところにある交差点で赤信号に捕まった。後ろを振り返ると誰もいないので、俺は安心してさっき買った肉まんを食べようとした。

    と、また背中に何かが当たった。何か、というよりこの感触は、間違いなく傘。一気に恐怖がマックスまで達し、おれはヒュワッと変な声を出してしまった。

    逃げなきゃ、でもこのまま家がバレたらもっとヤバイ、と謎の冷静さを取り戻した俺は方角を変え遠回りで帰ろうとした。

    後ろの方で、その傘の女がそれほど若くない女の声で「濡れちゃうよ」と言ったように聞こえたが、そのまま走った。 かなり遠回りして、途中何度も後ろを振り返り確認しながら帰宅すると、いつのまにか日付も変わっていた。
    安心してスーツを脱ごうとすると、背中が異常なほどにビショビショだったんだが、なぜかあるところから下は濡れていなかった。

    霊だったのかどうかはわからない。それから俺は雨の日の夜は家に帰れない。

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    9.般若の女

    ペンネーム:北国寒子

    子供の頃、兄が私を怖がらせるために、よく怖い話をした。
    兄自身がひどい怖がりで、夜中のトイレに起こされ、付き添うことも多かった。

    ある日、兄がとっておきの怖い話をした。幼い私があまり怖がらないので、しびれを切らし、自分も怖いから考えないようにしていた、我が家の話だった。

    小さい頃、兄は両親と寝ていた。家は、田舎の小さな平屋で、喧嘩は完全に北向、玄関から廊下がまっすぐ、奥の和室につながり、廊下と玄関は昼間も暗い、という間取り。玄関の横の洋間が子供部屋で兄と私は当時、二人部屋だった。5歳年の離れた兄妹だった。

    3~4歳の兄が、和室で寝ていたら、真夜中に目が覚めた。なんだか奇妙な音楽が流れていて、ラジカセかテレビがついていると兄は思い、消さなきゃ、と起きようとした。和室の玄関への扉が何故か開いたままで、ふと廊下を向こうの玄関を見ると、着物で般若の面をつけた女が立っていた。

    兄は、ビックリして怖くて、泣きながら、母と父を起こそうとした。でも、どんなに呼んでもゆすっても二人は起きない。兄は一人で、般若の女と戦うしかない、殺されるかもしれない、怖くかったが、もう一度、玄関を見た。すると、玄関に立っていた女が、「ミシッ」とあがりかまちに足をかけた。「うわぁ、来る、来る!」恐怖のあまり、布団のなかでまるまり、兄はそのまま寝て、朝を迎えた。朝、母と父に昨日の女の話をしたが、夢だろうと一笑に付された。

    だから、うちにはお化けがいるんだ。と兄は言った。さすがにしばらく怖かったが、子供なので、すぐ忘れた。

    中学生になり部活を始めると、疲れから、たびたび金縛りになるようになった。
    二段ベッドで、上が兄、下が私で寝ていた。金縛りは、普通動けないが、ある日、金縛りになり、自分の意思でなく起きあがり、玄関の横にある扉のすりガラスを見た。そしたら、般若の女がガラスの前に立っていた。シルエットだけで、なぜか着物で般若の面をつけているとすぐ分かった。怖くて怖くて、どうしようと思っているうちに、ばたんと身体がまた寝て、そのまま朝になった。

    朝、早速、兄に話した。
    兄はもうあんまり覚えていないみたいだったが、ひとつ気になることを言った。

    「まてよ、俺が見た時は玄関に上がるとこ、おまえが見たのは、洋間の扉の前、だとすると、家に上がって進んでるな。10年で、2、3歩」

    あれから30年経過、家族全員、生きてます。先日、母が台所で転んで大腿骨骨折しました。
    あのペースだといま、ちょうど台所のあたりかもしれません。

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    10.般若の女続編

    ペンネーム:北国寒子

    12月半ば、先日、父が鬼籍に入りました。
    父は、玄関からまっすぐ廊下を歩いた和室で寝たまま心不全でした。
    葬式で初めて聞いたのですが、父は若い頃婚約者かいて先方より破談になり、母と結婚したそうです。結婚してからも、元婚約者の女性がたびたび新居である現在の家まで、きていたと。また一番近い親戚の伯母が泣いて、置いていくのか、と父に言っていて、もしかしたら、父はモテる男性だったのかもしれません。
    母と兄が、これから暮らす家に、もう般若の女があらわれないことを祈っています。

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    11.思い込み

    ペンネーム:easy

    僕は、子供のころから妖怪や幽霊が嫌いだ。
    だから、自分に超能力でもない限り
    そんなものは現実にはいないと思うようにしている。

    しかし、やはり本当に妖怪や幽霊はいるのかもしれない。
    最近、霊感に目覚めたようだ。
    四六時中女の幽霊に見られている。
    そう、今もベランダから僕を見てる。

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    12.誰?

    ペンネーム:伊藤久遠

    「あっ、ごめん、寝てた?」
    明日の講義の事で、夜12時過ぎに彼女に電話を掛けた。
    すると、彼女ではない別の若い女の声がした。
    すぐに、間違い電話をしてしまったと思い、
    即座に、お詫びして電話を切った。

    だけど、電話を切って、すぐにおかしいと感じた。
    彼女の電話番号は携帯電話の電話帳に登録してあるので、
    間違えようもないはずなのにと思って、掛けた電話番号を確認したけど、
    やはり彼女の電話番号に間違いなかった。

    彼女が携帯電話を変えたという話も聞いてないのにおかしいなと
    思っていたら、携帯電話が鳴った。
    画面を見ると、彼女からだった。

    「今、電話くれた?」
    「うん、ほんのちょっと前に掛けたけど、知らない女の人が出たみたいで、
    慌てて切ったけど」
    そこまで言うと、電話の向こうで彼女は黙った。
    「ん? どうしたの?」
    彼女に問い質した。

    すると、彼女は重い口を開き、ポツポツと喋り始めた。
    少し早いけどと思って、ベッドに入ってしばらくしたら、金縛りに合った。
    ちょうど、金縛りで身動きが取れないときに、電話が鳴ったそうだ。
    身動きが取れなかったから、当然電話に出られもしない。
    だけど、電話から俺の声が聞こえたらしい。
    誰が電話に出たのか、わからないけど。

    彼女は今度の休みの日に、不動産屋に一緒に付いてきてほしいと言うので、
    一緒に行くことにした。

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    13.耳元

    ペンネーム:ことは

    “文字での怖い話”と“体験する怖い話”は違うよね。
    そう思ったキッカケの、そんなに怖くはないれど、怖かった実体験。

    ある日、きっかけがあって私と友人二人で室内アトラクション施設に遊びに行った。
    都内にある施設で、そこまで広くはないけどジェットコースター有り、ゾンビ有り、占い有り、と中々バラエティ富んだ場所。

    私含め三人は遊園地では絶叫系が大好きで何度も乗るのですが、室内遊園地にはそんなに絶叫系があるワケではなく、気になったものから乗り、あとは気になったものを順に……という周り方。

    そこで3階にあるとあるアトラクションの前を通ったのです。
    そこは簡単に言うとお化け屋敷でした。奥にある部屋で、真っ暗闇の中ヘッドフォンで怖い話を聞く――そういうものです。

    私は怖い話には内心興味はありましたが、実は幽霊やお化けは苦手な性格で、あんまり進んでお化け屋敷には入るタイプではありません。
    しかし暇を持て余しているのもあって、待ち時間が5分もないそのお化け屋敷に入ることになりました。

    ――――
    明らかに人形だと分かるものが、通された奥の暗い部屋のいわゆるお誕生日席に座っている――内心もう帰りたい! と思いながらも、席に座ります。テーブル席の座り方は、人形が一番左にあるとすると、友人A・私・友人Bでした。

    この屋敷の逸話を淡々と話すアトラクションの担当の話が終わり、ヘッドフォンを耳に掛ける――実はすごくドキドキしながらも、怖い話に集中しようと決めました。“幽霊”や“お化け”だと思わず、物語だと思えば少し乗り切れる気がしたのです。

    ――怖い。ヘッドフォン越しとはいえ、やはり“文字で読む怖い話”と“耳で聞く怖い話”――その差は歴然でした。

    娘を不運な事故で無くした母親が、人形を依り代に観客の命と引き換えに、蘇らそうとする様は……狂気に満ちていて、幽霊とかお化けより生々しくて一刻も早く出たかった。

    しかしこのアトラクションは途中退出禁止。大人しく怖がっていないフリ。たまに椅子が動いたり、首筋が人工的な風で冷やされ背筋が凍ったりしましたが、あまり声をあげないように……。

    話しはいよいよ佳境に入り、母親が娘を蘇らせます。
    娘の、背筋が凍るような不気味な笑い声。狂いながら歓喜をあげる母親。声だからまだいいが、映像付きならきっと私はひっくり返っている数々。

    もういい! もういい! 早く出たい!!

    そう叫ぶのを我慢して、少し口を開いた時でした。
    あれ――この母娘(おやこ)――

    “会話が成立していない??”

    娘の不気味な笑い声はそのまま、娘は母親にとびかかったようでした。
    どうやら怖い話にありがちな、“怖いのもが暴走し、襲い掛かっている”よう。

    さっきまでの恐怖はどこへやら。
    急に冷静さで目を覚ました私は、今度は怖がっているフリをしながら笑いをこらえるのに必死でした。

    娘の狂ったような不気味な声。
    襲われた母親の断末魔。
    背後に聞こえる小さいがハッキリした子供の笑い声。
    一つの事実で“それ”は私にとって笑う対象物にしかなりませんでした。

    そうして物語は過ぎて行きました。

    ああ、もう終わるな。
    そう思った時、娘の不気味な笑い声も母親の狂気も終わっていきました。実に呆気ない終わりです。

    しかし、小さいがハッキリした子供の笑い声は止みませんでした。
    ヘットフォン越しに声がしていて特に怖いと思わなかったので、「怖い話の余韻的な効果音?」と呑気に思っていました。
    部屋が明るさを取り戻す直前――右の耳元でこう、聞こえました。

    「――なんで、わらってたの?」

    疑問を感じるより先に、部屋の明るくなりました。

    アトラクションを体験していた友人と「怖かったね~」とお決まりの台詞を話しながら、「さ、次に行こー」と元気で部屋から出ました。

    思ったより怖くなかった、とか、いや十分怖かった、とかありきたりな感想が飛び交います。そこで友人Bはこう話しました。

    「でもこれって、前は眼鏡掛けてVRで見れてたらしいよ~」

    「道理でそこまで怖くないはずだよ!」

    『いや、A。十分怖いよ』

    「え。だって、最初から最後まで娘と母親の会話だけだったじゃん? 映像ついても怖くないよー。たぶんBだって怖くないと思うよ?」

    「いや、VRだったら私は2人を誘って入らないからね?」

    いやだね~、あはは~、と笑い合っていた時。

    『……え? 最後の方、全く関係ない子供の笑い声してたよね? 流石にあれが映像化していたら私もちびるよ?』

    「……なにいってんの? 最初から最後まで母娘(おやこ)の会話しかなかったよ?」

    「演出で椅子が動いたりはあったけどね~。子供の笑い声? そんなのしたら私もちびるよ~」

    『え? でも、確かに――……』

    そう言いかけて気がつきました。

    “あの声”がヘッドフォン越しなら、明るくなる少し前に「なんで、わらっていたの?」なんて言わない。

    お化け屋敷で笑う人間を想定して“あの声”を入れることなんてできない。
    途中まで怖がっていた私が、ふとした拍子で、笑う事なんて予想できない。

    じゃあ。
    私が。
    聞いた。
    あの声は。

    『――ホント……VRじゃなくて良かったね……』

    私は震える声でそう言うのが精一杯だった。

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    14.オーナーの下積み時代

    ペンネーム:ビリーフ 僕は以前に水商売(女の子のお店)の黒服をしていた時に
    水商売のお店って結構どこの店も霊が住んでるみたいで、霊が居るのに無理やり祓ったら店が潰れたりするみたいな事もあるみたいな話をしているとオーナーが近くのキャバクラで下積み時代に体験した話をしてくれました。

    イメージしやすい様に先に構造から説明さしてもらいます。
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    ※リストはキッチンがあってお酒などを作る場所です

    いつも日課として掃除全般と仕入れ作業を集合時間の前に来て1人でやってたらしく、トイレ掃除をしてた時にいつも床をホウキでゴミを取って水で流してブラシで擦るみたいなんですが
    、その日は綺麗だからホウキで掃くだけにしたみたいです。
    ホウキで掃いてる時に不意にリスト側を見た時髪が腰くらいまである紫か青色っぽいドレスを着た女の人が立っていたらしくオーナーは頭の中が?マークになって一旦目をそらして2度見したらしいのですが、案の定誰も居てなくてその時オーナーは気のせいだと思ってちりとりのゴミをリストにあるゴミ箱に持っていこうとした時、通路側(女の人が立ってたと思われる場所)が水浸しになってたみたいです。

    オーナーは少し怖くなったのですが、気にすると余計に何も無いことを敏感に反応するだけだからと謎の精神論で無視したみたいですwww

    しばらくしてから、自称霊感ありますって女の子が体験入店(試しに1日〜3日だけ働く)した時に事件が起こったみたいです

    体験入店の子が(次からAちゃん)トイレに入ってすぐにトイレの中から半泣きになって叫ぶ事も出来ないくらいの鬼の形相でリストに走り込んできてオーナーに抱きついてきたみたいです
    (オーナー曰くお化けよりあの顔が1番恐怖といってましたwww)
    安心したのかA子ちゃんはその場で腰を抜かし泣いてるA子ちゃんに何があったかオーナーが聞くと

    A子ちゃん「お、お、女の人が、し、し至近距離で、わ、笑ってた」

    後に落ち着いて話を聞くと
    トイレに行って化粧を直してると肩を叩かれ、とっさに鏡に誰も写って無いのにと思いながらも振り返ってしまったら、後ろで目を見開いて凄く嬉しそうに笑ってる女の人が居たらしく絶句してしまい逃げたい一心でトイレをでたと説明したそうです。

    しばらくして泣き止んだA子ちゃんにそろそろ仕事にもどろうかと言った時A子ちゃんが

    A子ちゃん「化粧ポーチ忘れてきました・・・。取りに行ってくれませんか??」

    オーナーも若干怖かったらしいですが、化粧も直さないといけないし、他の女の子も怖がってトイレに行けなくなるし、取りに行くしか選択肢がなかったみたいですwww

    平常心を保ちながらゆっくりトイレにはいって化粧ポーチを取って床に落ちてる口紅を取ろうとした時にその周辺だけびしょびしょになってる事に気が付き

    心当たりのあるオーナーはA子ちゃんにどんな人かもう一度教えてと言ったらA子ちゃんは

    「紫っぽいドレスで髪が長かった」

    そこでオーナーはこの世には説明がつかない事もあるもんだと悟ったと言ってました。

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    15.叫び声

    ペンネーム:JJ

    若いころに就職し、会社の寮に住んでいた時の話。
    彼女がいて毎日夜に電話するのが決まりであった。

    夕飯も終わり彼女に電話を掛けその日も取りとめのない会話し、
    夜遅くでもあったので、電話を切る事を促そうとした

    その時

    「ぎゃあああぁああぁあああああぁぁぁぁあああぁぁああぁ」

    とけたたましい大音量で耳元から人の叫び声の様なものが鳴り響いた。
    喉も枯れて腹の底から絞り出している様な不快な声であった。

    驚いた俺は彼女の安否を心配し何度も呼びかけが
    その声は途切れる事なく叫んで?いた為何も聞こえなかった。

    ひとまず携帯を一回切って再度彼女に電話を掛け直すと、
    すぐに彼女にも繋がり同様の声をが聞こえていたとの事であった。

    お互いの無事にほっとしその日は寝る事にした。

    次の日仕事に出社すると隣の部屋の先輩に呼び出された。

    かなり不機嫌な感じで

    「てめー夜中に叫び声あげやがって、ふざけんなよ!!」と


    俺の部屋にいた?

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    16.赤い鬼の正体は、、、

    ペンネーム:ハトムギ

    友人(A子とします)に聞いた話です。

    ある日A子が友達のB子から相談されたそうです。

    その内容はB子の2歳になる息子が家のお風呂に入りたがらないというものでした。
    理由を聞いたら
    「赤い鬼がいる!赤い鬼がいる!」
    と泣き出しそれ以外は怯えて何も言わないそうです。
    あまりにもお風呂に入りたがらないものだから仕方なくキッチンで頭を洗ったり体を洗ったりしていたそうです。

    その話を聞いたA子は
    「2歳だしイヤイヤ期もあるだろうし気長に待ってみたら?冬になって寒くなったらお湯に浸かりたくなるだろうし」とアドバイスをしてその日は解散しました。
    A子は「子供って大変だなあ」くらいにしか思わず気に留めてなかったみたいです。

    後日B子から遅くに電話がかかってきました。

    B子「このあいだの話覚えてる?」
    A子「話?」
    B子「息子がお風呂に入らないって話。理由がわかったんだけど、、、。」
    A子「なになに?」
    B子「この間、次の日のお弁当の仕込みしている時に息子が急に『赤い鬼!赤い鬼だ!』って何回も叫ぶからギョッとして振り返ったの。そしたら息子テレビを指差していたのね、、、それで、、、」
    A子「うん。それで?」

    B子「それで、テレビで2時間のサスペンスドラマやってたんだけど、息子、、、顔中が血だらけの死体を指差して叫んでたの、、、赤い鬼って、、。」
    A子「、、、。」
    A子は絶句して何も言えなかったそうです。

    B子の家のお風呂場で何があって、何がいるのでしょうか。
    ちなみにB子一家はその後すぐ引っ越ししたそうです。

    以上です。
    読んでくださりありがとうございました。

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    17.赤ちゃんと金縛り

    ペンネーム:なりなり

    冬の寒い日、夜ふと目が覚めた。遠くから赤ちゃんの泣き声が聞える。
    俺は【あー、近くの産婦人科で赤ちゃん生まれたのかなー。】なんてぼんやり考えて寝ようとした。
    しかし気がついた、声が少しずつ近くに、大きく聞こえてくる。しかも産婦人科は近いと言えども直線距離で300mは離れている。声が聞えるわけが無い。

    このことに気がついた途端、頭の中で【ヤバイ!!】と警鐘がなり、とりあえず電気を付けようと体を起こそうとするも体が動かない。
    声を出そうとするも開いた口から空気が漏れるだけ、初体験に焦っていると頭の上で泣き声がぴたっとやんだ。

    その瞬間、顔を冷たく軽いティッシュのようなもので頭の先から顎まで撫でられた。
    撫でられた直後、体が飛び起き、頭側にあった窓を見ると、厚手の遮光カーテンがゆらゆら揺れている。

    当時私は雪国に住んでおり、窓は二重サッシ、冬は氷点下が当たり前なので鍵がガッチリ閉まっているため、風が入り込むはずが無いし、私の動き一つで揺れるほどカーテンは軽くない。

    私は頭まで布団を被り、そのまま朝を迎えた。

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    18.金縛り中に背中を殴られた

    ペンネーム:なりなり

    明け方、何気なく目が覚めた。私はベットの上で体を壁に向けて寝ていた。

    【キィ】と部屋のドアがゆっくり開く音がした。
    私が買ったジャンプを弟がこっそり取りに来たものかと思い、声だけで【まだ読みきってないから貸せないぞ】と言おうとしたが、声が出ない。この時、体も動かないことに気がついた。

    すると【キィィィ】とドアが開ききる音と共に、【クシャッ、クシャッ】とビニール袋を丸めたときのような音が足音のように聞えた。

    【ヤバイ、ヤバイ!!動け体!!】ともがくも動かない。すると私の背中側で足音が止まった。

    足音が止まると鎧兜の武者のイメージが頭に沸いた。直後、背中の中心を【ドンッ】と殴られたような衝撃を感じた。殴られた瞬間、殴られた箇所から凍るような冷気が同心円上に伝わり、全身に広がったところで体を動かすことが出来た。
    起きて確認したがドアは閉まっていた。

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    19.透ける黒い腕

    ペンネーム:なりなり

    中学生のころ、買った小説が面白くてついつい夜更かししてしまった。午前3時くらいだったかな。眠気もなかったので、このまま人生初の徹夜ってのをしてみよう、と思い立ち、体を半分起こした状態で読書を続行した。

    目の前のレース越しに見える窓から空が白んできたことに気がつき、時計を見ると4時半を回った。徹夜は無理だと判断して目をつぶると即金縛り。無理矢理体を動かし、部屋内に異変がないことを確認する、を三回繰り返したところで完全に動けなくなった。

    何度か金縛りにあってたことと、徹夜ハイがあって、姿を見てやろうと目を開けた。

    すると、枕の横から黒く透けた手と腕がゆっくりと上に伸びてきた。その腕と手は透けていて白い朝日を浴びたレースのカーテンが見えている。
    腕が顔から30cmくらい伸びたところで手が私の首を絞めるような形に重なり、ゆっくり私に近づいてきた。

    【ヤバイ!!連れてかれる!!】と思い、目をつぶると、首筋にヒヤリとした感覚の後、体の感覚だけがベッドを透過し、真っ逆さまに落下した。

    【あ、終ったな】と冷静に感じた瞬間、逆バンジーのように体が戻った。以降、金縛りで目を開けることはない。

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    20.不思議なイタズラ

    ペンネーム:なりなり

    社会人になって2年目くらいかな、自分のアパートでゲームをしていた。
    黄昏時、さすがに疲れて眠気が出てきたので一眠りしようと横になった。

    すると即金縛り、目には西日がぼんやりと映っている。【うわ、久しぶりだわ…】なんて思っていたら腹の上に座られた。マウントポジションみたいな感じ。でも不思議とイヤな感じはしなかった。20歳前後の女性のイメージが頭に浮かんでいた。女は動けない私の上でイタズラっぽくクスクス笑っている。俺は何とか振りほどこうともがくが、やはり体は動かない。

    すると女は胸を指でコショコショくすぐりはじめ、ついには両方のわき腹をくすぐりはじめた。
    俺は声を上げて笑いそうになったが、金縛りで声がでない、しかし、腹筋は笑っているときと同じように痙攣している。

    10秒ほどくすぐられたところで満足したのか、腹の上に座った女の感覚と金縛りは解けた。
    最後に頭に残ったイメージは10歳くらいの小さな女の子だった。

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    21.ゲームセンターのはなし

    ペンネーム:はるか

    私はゲームセンターに社員として勤めているのですがアルバイトよりも早く出勤しフロアを確認をしなければなりませんでした。

    事務所から出るとフロアからギャギャッ!!!と何かが鳴いている様な音がしました。
    私は驚いてフリーズしていまいましたがしばらくするとまたギャギャッ!!!という音が静かなゲームセンターに響きました。

    まさかね…とビビりながら音がする方へ進むと景品ゲームのコーナーに見本で置いている某アライグマの鳴きながら転がるぬいぐるみが鳴きながら転がっていました。
    「夜勤さんが電源切り忘れたな」と気付き幽霊の正体みたりと安心したんですがすぐゾッとしました。

    そのぬいぐるみはセンサーで人を感知して鳴いて転がるのです。
    もちろん光か何かに反応したのかもですが本当に怖かったです。

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    コメント一覧

    1  不思議な名無しさん :2019年01月09日 20:56 ID:K2v996rT0*
    投票ページはどちら?
    2  不思議な名無しさん :2019年01月15日 00:02 ID:846Y2xJu0*
    完敗だよ
    勝者に幸あれ
    3  不思議な名無しさん :2019年01月22日 05:59 ID:JL6zaWFY0*
    数ある中から同人物の続き物をエントリーさせちゃうのは少々不公平ではないかな。
    4  不思議な名無しさん :2019年06月03日 00:29 ID:AKc.LRQb0*
    すごく怖いんだろうけど
    「10年で...2〜3歩」でちょっと笑った

     
     
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