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    『不思議な話部門 第二部』真冬の怖い話グランプリ


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    真冬の怖い話グランプリTOP

    この記事では「不思議な話部門」から26話をご紹介いたします。
    面白いと思った話の番号とタイトルを投票ページから投票してくださいね!

    目次

    21.こんこうさん ぶる様
    22.慌てるドッペルゲンガー ぜんじろう様
    23.神頼み 地鎮様
    24.え? ザキ様
    25.お盆の琵琶湖 いかB様
    26.割れた月 チロン様
    27.飽きた」を2人でやってみた しおちゃん様
    28.禁域の話 縁汁様
    29.お父さん みみちゃん様
    30.巨大な顔面が眼前におんねん 犬犬犬様
    31.いつかのやくそく いろは様
    32.伝えたいこと ここねこ様
    33.奇妙な足音 タカモンテック様
    34.絶対に見てはいけない Yakumo様
    35.『私が見た赤い死神』私の妹も見ました。 さよこ様
    36.醒めない夢で 炙りサーモン150円様
    37.不思議な着信 なりなり様
    38.腑に落ちない おはし様
    39.アコ 標様
    40.???予知夢??? chicken様
    41.木を裂く しじみ様
    42.雪の足跡、その妄想話 mojo様
    43.幽霊はいない むすめ様
    44.PM:22:22 コヤゴ様
    45.タマゴ鳥 プロ猿ファーゴル風様
    46. とんとん様

    投票ページはこちら
    不思議な話部門 第二部投票ページ






    21.こんこうさん

    ペンネーム:ぶる

    私の実家は四国の海辺のなんて事ない田舎町です
    実家は古くてでかい木造平屋
    兼業農家で、信心深いじいちゃんばあちゃんがいて
    毎日神棚と仏壇にお水とごはん、
    月命日にはお題目をあげたりするような家でした

    さて、実家のすぐ裏には「こんこうさん」と呼ばれる山がありました
    子供の足で山頂まで5分もかからないような小さな山で
    頂上の広場には、おいなりさんを祀った祠
    毎年春と秋には、おそらくですが豊穣を願うような
    ささやかなお祭りが行われていました

    そのお祭りは、子供、大人が代わる代わるに
    一日中太鼓を叩き続けるもので、
    私も時々手伝ったりしていました

    太鼓のリズムは「タタン・タタン・タタン・タン・タン」を
    一日中ひたすら繰り替えすだけのもの
    太鼓の音が小さな地区に響いている間、
    地区の人たちは「こんこうさん」にお参りにくるのです

    そして、私の家では「こんこうさん」に足を向けて寝てはいけない
    という決まりがありました
    「こんこうさんに足を向けて寝ると、バチが当たる」
    と、布団の向きは当然ながら、
    部屋や居間でゴロゴロ転がってる時も、
    「そのまま寝てしもたらこんこうさんに足向けるきん、きんつけないかん!」
    と、言われていました

    前置きが長くなりましたが

    時が経ち私は進学で遠方に一人暮らし
    春休みに帰省していた時の事です
    じいちゃんもばあちゃんも畑に出かけていて
    両親は仕事
    一人でだだっ広い座敷で飼い猫とゴロゴロしていました
    春の昼間の暖かい日差しの中、転がったまま漫画を読んでいると
    そのままウトウトとしていました

    仰向けで、漫画を胸の上に落として寝入ろうとしていた時
    「タタン・タタン・タタン・タン・タン」
    聞き覚えのある太鼓の音がしています
    薄目を開けながら
    「ああ、そういえばお祭りの時期やな。でも朝は太鼓の音しとらんかったけど。。」
    そう思った途端、私に寄り添って寝ていた猫が
    急にふい!と立ち上がり、開いてた縁側から
    ヒュン!と、まるで逃げるように外に飛び出して行ってしまいました
    あれ?と思った途端、いきなり金縛りです

    「タタン・タタン・タタン・タン・タン」
    さっきより太鼓の音が大きくなります
    体は全く動きません
    「タタン・タタン・タタン・タン・タン」
    太鼓の音はさらに大きく、うるさく感じるほどになります
    そこでハッと気がついたのです。
    自分の寝ている向きに

    鳴り止まない太鼓の音に、動かない体
    このまま一体どうなるの?とパニックで涙目です
    そして太鼓は、最後の締めのリズムを刻みます
    「タタンタ・タン・タン タタンタ・タン!タン!タン!」
    その途端、体がビリビリビリ!と
    ・・・なんと表現していいのか、
    足のしびれのめっちゃ痛いヤツが全身に走りました

    「いっっっっっ・・たぁぁあ〜!ご、ごめんなさぁぁあい!!!」
    叫ぶと同時に、金縛りも解け、太鼓の音も消えました
    そこは元の静かな昼下がりの座敷
    「にゃ〜」と飼い猫も、縁側に戻ってきました

    畑から戻ってきたばあちゃんに、この事を話すと
    「足向けて寝るけんじゃ。こんこうさんに、こらっしゃげられ(怒られ)とんじゃ」
    と、さも当然の事と怒られました
    そのあとは、「ちゃんとあやまってこい」と言われ
    お供えを持って山を登り、祠で手を合わせてきました

    古くからの言い伝えを守り、神様を敬い
    悪さをするとバチが当たるということを
    自然で当然な事として受け入れている所で育ったけれど、
    どこか本気にはしていない、そんな風に思っていました
    この事で、やっぱり神様はいて
    きまりを破ると怒られるんだ。不思議な事ってあるんだなあ。。と
    身にしみた体験でした

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    22.慌てるドッペルゲンガー

    ペンネーム : ぜんじろう

     私が学生の頃、友達と中古ゲームショップに買い物に行きました。行ったものの特に買うものがなかった私は友達の買い物に付き合っていました。

     通路を歩いていると後ろから視線を感じ、振り返るとそこには全く同じ服装で同じ顔をした私らしき者がいました。
     「なんだ鏡か」と思いが、よくよく考えるとその通路には鏡はなく、鏡だとして友達の姿は映っていませんでした。そもそも歩いていた場所に急に鏡が現れるなんて考えられません。
     不思議に思いもう一度後ろを振り返ると相変わらず私らしき者が跡を着いてきていました。しかし、その様子は先程のものと違っていました。

     「やべ!ばれた!」と云わんばかりに慌てた表情を見せた私らしき者は来た通路を一目散に走って逃げていきました。
     このまま逃してたまるかと思った私は友達を置いて、その私らしき者を追いかけました。そのお店の出入り口は一つであり、先回りしてしまえば捕まえられると思い、出入り口で待ち構えることにしました。

     しかし、私らしき者は一向に現れませんでした。
     あれはなんだったのだろうか、と考えながら帰宅すると親や兄弟に今日見た者の説明をしました。すると、兄は「実はお前がドッペルゲンガーで、本物のお前を乗っ取られたんじゃね?」と何とも反応に困ることを言ってきました。

     ドッペルゲンガーを見ると死んでしまう、という都市伝説を知っていますが、現に私は今も元気にしています。
     兄の言うとおり、ドッペルゲンガーに私が乗っ取られたならば、本当の私は死んだことになるのでしょう。
     そう考えるようになると私が本当に私なのか分からなくなる時があります。

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    23.神頼み

    ペンネーム:地鎮

     とても短いんだが、俺の経験した唯一の普通じゃない話。大学時代にKという友達がいた。俺とKには共通の趣味がある。「聖地探し」だ。自転車で行けるとこまで行って神社やお地蔵様を見つけるってやつ。見つけたら片っ端から拝んでいく。本当バカだったと思う。

    俺は旅が好きだし、何となくご利益がありそうだからやっていたが、Kはいつも「宝くじで一等をとりたいから」と言っていた。ある日、自転車で一時間ほどの県境に一つのお地蔵様を見つけた。人通りもない草むらに何の変哲もなく一つだけ。

    Kはなぜか、そのお地蔵様をいたく気に入り、100日間毎日一時間祈ると言い出した。何かの本でそうすれば願いが叶うと読んだらしい。冗談かと思ったが、大学で会う度に「今日もいって来たぜ」とか言ってくるので、俺は少し怖くなった。

    けどいい奴ではあるので、たまに晩飯だけ一緒に食ったりはしていた。正確に100日後なのかは分からん。けれども年が明けてあいつから「宝くじ一等が当たった」と連絡がきた。信じられなかったが本当に当たっていた。大学で会った時、あいつの顔はキラキラと輝いていた。

     俺もあいつのマネをしようと思い、願い事を考えているとKから家に食事にこないかと誘われた。あのお地蔵様を見つけられたのはお前のおかげでもあるからと。

    俺は家に行き、Kの家族にお祝いを述べ、一緒に食事をした。その食事中にKは突然倒れてそのまま死んだ。脳梗塞だった。あいつは俺の目の前で死んだ。家族も含めて、人が死ぬ瞬間を見たのはあれが初めてだった。

     俺は願い事を止めたし、聖地探しも止めた。初詣すらいってない。やはり滅多に拝んだり祈ったりすべきじゃない。人間は地道が一番なのだと俺はKから学んだ。冷たい言い方だが、それしか言えない。

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    24.え?

    ペンネーム:ザキ

    母親の仕事が今日は休みらしい
    朝から夕方まで掃除をしてくれていた
    そして夕方5時頃
    リビングのソファで
    携帯を触ってると
    「お風呂先行くよー」
    と母親が言ってきた
    早いなと思いつつも
    「わかったー」
    と返すと風呂場に行った

    1時間ぐらい経って
    いくらなんでも遅いと感じ
    風呂場で事故でも起こしたんじゃ
    と思った俺は風呂場を見に行った

    するとそこには誰もいなかった

    風呂から上がれば
    すぐ俺のいるリビングを
    通るはずなのに
    俺が気づかなかっただけか?
    いやそんな事あるか?
    そんな事を考えていると

    『ガチャ』
    玄関の開く音と同時に
    「ただいまー」
    母親の声だ
    買い物の後なんだろう
    スーパーの袋を下げ帰ってきた
    なんか気持ち悪いので
    冗談っぽく聞いてみる事にした

    俺「いつ風呂上がったんだよww」
    母「お風呂?何の事?」
    俺「さっき入ってったじゃん」

    母「お風呂も何も今朝仕事行ってから
    家に帰ってないよ?」


    俺「え?」

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    25.お盆の琵琶湖

    ペンネーム:いかB

    冬にまつわる話ではないので恐縮ですが、数年前にボートを保持していたO氏とお盆に男二人で琵琶湖に行った時の話です。
    メインの目的はバス釣り、サブ目的はウェイクボードです。
    釣れそうなポイントに移動する際にウェイクボードで遊び、ポイントに到着したらバス釣りをすると言う、なんとも効率的な遊び方(笑)

    その日も午前中に数ヶ所ポイント移動を行い、移動後に船上で昼食を取った後、再び釣りを再開しました。
    船首と船尾に分かれて釣りをしていたのですが、暫くし た時に船尾で釣っていたO氏が何か叫んでいます。

    O「うわ~っ、なんじゃこりゃ~!きっしょ!!(気持ち悪いと言う意味)」

    竿を置いて見に行くと、O氏が投げたルアーに大量の髪の毛が絡まっていました。
    女性の物と思われる様な長い毛がびっしりと。
    なんでルアーにこんな物が引っ掛かったかは不明ですが、気持ち悪いと言いながらもそれらを外し、釣りを再開させてました。

    そのポイントでの当たりも無くなってきたので、さてそろそろまた移動するかと各々準備を始めました。
    私の方がウェイクの準備をしていると、O氏がなにやらブツブツ言ってます。
    聞くとエンジンが掛からないとの事。

    ボートのエン ジンも自動車と同じ様に、キーを回した際にキュルキュルって音がするのですが、全く音もしません。
    つい数か月前に整備をした時は何の異常も無かったそうなのですが、原因も解らず手上げ状態。

    仕方が無いのでマリーナの方に電話を掛けてヘルプを呼ぶ事にしました。
    暫く待っているとマリーナの人が駆けつけてくれ、船体のチェックを行ってくれました。
    首を傾げながらもアチコチをチェックしつつ、何とか応急処置を行いエンジンを掛ける事が出来ました。

    再びエンジンを切ってしまうと、また掛からなくなる可能性もあるので、この日の遊びはお開きにして戻る事に。
    結局、これと言った原因は解らないままで、その後に異常が出る事 も無かったそうです。

    考えられる事とすれば、例の髪の毛でしょうかね?
    近くに沈んでいた「ソレ」が、見つけて欲しいが為に我々を足止めしたのかもしれません。

    やはりお盆のど真ん中に水辺に近づくと言うのは、避けた方が良いのかもしれないですね・・・・・。

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    26.割れた月

    ペンネーム:チロン

    これは今から10年以上前の、私が中学生の夏の夜に起こったことです。

    前置きとして、当時私は家の裏手に田んぼがある一階建ての家に住んでいました。
    当時は今のように夏も苦しい程暑くなく、夜中もクーラーをつけなければならないという注意喚起なんてされていない時代でした。
    夜になると家中の窓を開け放ち(網戸はしてます)、夜の冷気で冷えた草木や土の匂いが風に乗ってくるのを感じながら眠りについていました。
    もちろん家の裏手に田んぼがあるのでカエルの大合唱でかなりうるさいのですが、長年住むと慣れたもので、ほぼ睡眠導入のBGMになってました。

    ここから本題です。

    その日、私は寝る直前までゲームをしていたので目が冴えてしまって、ベッドに入ったはいいものの寝着くことが出来ず、ぼけーっと夜空を眺めていました。
    どれくらい時間が経ったでしょう。ふと気づくと、カエルの声がとても静かです。というか、ほぼ聞こえません。
    まるでカエルなんて最初からいなかったかのように、外はしんと静まり返っています。
    それに、網戸越しでも違和感を覚えるくらい外が明るいのです。窓から見える庭の風景が、まるで太陽が出ているかのようにはっきりと見えます。
    はて今日は満月だったか、とも思いましたが、ちょうど一週間くらい前に母と共に夜中に庭に出て、辺りをほの明るく照らす満月を眺めたことを思い出し、ますます違和感を覚えました。
    その時の頭の位置からは、光源である月は屋根に隠れて見えませんでした。しかし少し頭を窓側にずらせば月が見える位置ではありました。
    窓側に頭を寄せて月を探すと、案の定、屋根に隠れて見えなかった月が現れました。しかし、光ってぼやけている輪郭からでもわかるくらいその月は半月の形をしていました。
    それに、その月のさらに横、まだ屋根に隠れて見えないほうに、さらに月よりも明るく輝いているものがあるのがわかります。
    さらに頭をずらしてもう一つの光源を見ると、月と同じくらいの大きさの、カシューナッツのような形の白く光るものが月の隣に浮いていました。
    当時のこの時の私の思考は「ハァ?」でした。全く理解が追いつきませんでした。

    しばらく唖然として月と月の隣にあるカシューナッツを見ていました。
    すると、カシューナッツからいきなり白く薄い膜のようなものがブワーッと広がっていったのです。
    なんだなんだと体を起こし、網戸もあけて体を窓から乗り出してそれを見ていました。
    紺色の夜空を、その膜が走っていきます。
    地平線付近まで膜が広がったとき、突然何かが爆発でもしたかのような、まばゆい光が辺りを包みました。もう夜じゃなくて昼、いや昼よりも明るかったように思えます。
    今度は何だと見上げると、眩しくて見えなかったのですが、数分経つとその光の原因がわかってきました。
    妙に月が広がって見えるなと思ったら、なんと月が粉々に割れているのです。

    見てはいけないものを見てしまった、と思いました。何故そう思ったかは分かりません。ただ、これは見ちゃいけないものだと瞬時に理解しました。
    そう思った途端、体中に鳥肌が立ったかと思えば、全身の力が抜けてしまいました。

    気付いたら朝になっていました。力が抜けたところから記憶がないので、気絶してしまったんだと思います。
    夢かもと思ったのですが、不自然な体勢で寝ていたことと、窓も網戸も全開になっていたことから昨夜のことが夢ではなかったと物語っていました。
    今となっては、もしかしたら寝ぼけて開けちゃったとかかもしれませんが……
    親にも言いましたが相手にされず、それから数日のニュースなんかも齧りつくように見ていたのですが、それらしいことは取り上げられることはありませんでした。

    余談ですが、網戸を開けっ放しにして寝ていたせいで、部屋に大量の虫とカエルが入り込んできていてめちゃくちゃ発狂しました。


    以上です。久々に「宇宙ヤバイ」のコピペを見て思い出したの私の不思議な体験でした。

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    27.「飽きた」を2人でやってみた

    ペンネーム:しおちゃん

    4年前の学生時代に、よく異世界系のスレを読んでいてオカルト好きな私は当時高校生の妹と2人で 紙に六芒星を書き、その中に「飽きた」と書いてその紙を握って(または隠して)眠ると 黒い人が現れてその紙を引っ張り とられると異世界へ連れて行かれるというスレを見て

    「面白そうやからやってみよう」ということで、2人で白い紙を用意し、規定通りに紙を切り定規で六芒星を書き その中に「飽きた」と書いた。赤字だと成功率が上がるらしいけど そこまではしなくていいや と言って 同じ部屋で二人で寝た

    私は部屋の隅、廊下側でパイプベッドを使い
    妹は少し離れた部屋の中心で布団を敷き眠ることにした。

    私は枕の下に用意した紙を敷くとそのまま眠った。

    (まあ、どうせ何も起こらんわ。)と思い眠っているとしばらくして目が覚めた。深夜2時とかそのくらいの時間だったと思う

    (変な時間に起きたなぁ)と思った瞬間に、

    コォオオオ、と風が吹いたような耳鳴りと、ともにパイプベッドに身体が一気に沈む感覚とともに自分の体は金縛りにあい動かなくなっていた。

    過去に何度か、幽体離脱とか明晰夢とかで金縛りにあったことはあり、そこまでは怖くなかったけれど ギョッとしたのがその金縛りが始まった直後にパイプベッドの側で黒い人影がこちらを覗いていたこと。

    覗く、と言っても目や鼻や口はなく、黒い人影のもやもやとした感じ。性別はわからない。 でも夜の暗さの比じゃないくらい本当に真っ黒な影を濃縮したようなそいつは 私の枕を掴むとそれをぐいぐい引っ張ってきた

    呼び出しておいてなんだが、びっくりした私は
    心の中で(ふざけんな!)と思い必死になって後頭部に力を入れて枕を押さえつけた。

    金縛りも怖いが なによりも得体の知れないそいつに異世界へ連れて行かれるのが嫌で心の中でお経を唱えたり、ひたすら睨みつけながら相手が引くのを待った。

    しばらく攻防が続いた後、その黒いもやの人影は諦めたようで今度は少し離れたところで眠っている妹の方へ向かった。

    私はそれを目で追いながら、内心ホッとした笑(←ごめん、妹よ)

    のんきに口を開けて眠っていた妹をその影が覗き込んでいたが こっちは金縛りにあっているからどうしようもないし、私は変なのに襲われたが この儀式をした人によっては「黒い人は来なかった」という個人差もあり妹には無害なのかと思ってそのまま寝た

    次の日、「飽きた」の結果について妹に

    「どうやった?昨日」と聞くと 妹も同じように黒いもやをみたと言っていたのでびっくりした

    聞くとその特徴も同じで 妹も枕の下に紙を入れて寝たようで 私のように枕を引っ張られたらしい 妹も必死になって後頭部で枕を押さえつけていたと聞き、口裏を合わせていないのに 2人で同じ体験をするとは思っていなかった。

    その後に2人で 枕の下にあった紙を細かくちぎり、「もう二度としたくないよな」と話すと

    「一人でやる人はいるけど、二人でやった人聞いたことないし、もしあったら うちらと同じような体験するんかな?」と妹も笑ってた

    「でも、あの黒い影なんやったんかな?そっちが引っ張られた後消えた?」と妹に聞くと

    「いや、こっちは諦めて去ったけど あんたのベッドの頭の方で三角座りして待機してたで。」

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    28.禁域の話

    ペンネーム:縁汁

    先日地元に帰省した際に、引退した巫と話をする機会があったので、禁域の事を色々聞いてみた。
    巫は30半ば頃の男性で、自分の親戚(本家の人間)でもある。今は三重に住んでいるらしいが、たまに本家に呼び出されては不可解な事例の処理を行うらしい。
    そんな呼び出しと、自分の帰省が偶々重なった為色々なことが聞けた。

    その中から、幾つかを紹介したいと思う。

    ■神坐に座すモノに貰った物
    巫の仕事に、神坐(かむくら)の掃除がある。禁域の奥にある大きく平たい岩を神坐と呼び、山の神様の居場所として敬意を持って扱われるが、巫しか見ることを許されず、上ることなど一切考えも出来ない。

    その周りの落ち葉、枯れ枝を掃き集めるのだが、神坐の上には落ち葉は積もらず、苔等も生えず磨かれたように一種独特の雰囲気があるそうだ。
    掃除の際に、偶に神坐の上に佇むモノがいる。片腕のない猪頭の男、上半身だけしか見えない老人、左足の無い女の子、和服とも洋服とも見えるような服を着た女性、等…。
    姿は色々とあるが、恐らく同じモノで見え方が違うだけなのだろうと巫は言う。気配が同じなのだと。
    大抵は掃除に来た巫に視線を向ける事も無く、ただぼんやりと北の方角に顔を向けているだけなので、はじめは驚いていたがいつしか気にもしなくなっていたらしい。

    その日も、神坐に佇む女性を見かけたが、いつもの事と少年だった巫は掃除を始めた。
    掃除もほぼ終わった頃に、ふと頭を撫でる感触に驚いて頭を上げると、神坐の上で佇んでいた女性と目が合った。
    いつも自分の事など認識もしていないと思っていた巫はひどく驚いたが、優しく撫でる感触に安心している自分に気が付いたそうだ。
    頬を撫でる人の体温では有り得ないほどの冷たい手も、親指2本・小指が2本ある計7本指の手にもその時は一切違和感を感じる事無く。
    暫く撫でて気が済んだのか、漸く離れた女性は袂から子供のこぶし位の大きさの塊を差し出してきた。

    塊は黒く硬く黒曜石の様な質感で上半分は柿の実、下半分は鈴に似ており振ってみるとコロコロと音がする。
    つい受け取って塊に視線を落としていた数秒で女性は居なくなっており、これが何かは聞けなかった。

    掃除を終えた帰り道にも気になるのはポケットに入れた塊のこと、つい受け取ってしまったが神坐に置いて帰る訳にもいかず持ち帰ることにしたが、
    それで合っているのか分からないまま、巫の先輩達に聞けば何か分かるかと帰り道を急ぐことにした。
    体の異常に気が付いたのはこの時だった。ひどく喉が渇き、尋常ではない空腹感に襲われた。
    このまま急げば15分程度で本邸に戻れると、足を急がせるが数分も経たないうちに立っても居られなくなりへたり込んでしまった。
    禁域の外の近くまできているがまだ禁域内にいる。誰も迎えに来れずこんな所で遭難かとポケットに突っ込んだ手に塊が触れた。

    取り出した塊から目が離せなかった。何故かそれが非常に美味そうに見えたらしい。黒曜石の様な質感をした何か分からないものが。
    我慢できなくなりそれを口に入れると、手に持った際に感じていた硬い感触とは裏腹に、瑞々しく甘くどんな果物より美味かったと、
    夢中になって全てを食い尽くした時には、あれほどあった飢えも渇きもまったく無くなっており、普通に立て首を傾げながら帰った。

    後日、神坐に掃除に通い続けていると違和感に気が付く。七本指の女性があの日からまったく姿を見せない。
    誰も居ない日も多く、偶に佇むのも猪頭・老人・女の子と以前は女性より頻度の少ない面子のみが姿を現す。
    あいも変わらず巫には無関心に北の方角を向き、失礼ながら声を掛けてみても無反応。
    存命の先輩巫に話を聞いてみても、巫に反応を示し、物を授けられたことなど無いとの事。

    「あれは何だったのだろうと考えてみても分からないものは分からない」と巫は笑う。
    「案外此処に居るのかもね」と巫は自分の腹を撫でた。


    ■禁域に逃げ込んだ窃盗犯の末路
    巫の実家でもある本家は、古くからの神官の家系で色々な所に繋がりがある。
    その為、曰くつきの品物が持ち込まれる事もあると言う。ほとんどはお断りをしているのだが、どうしても断りきれない所から持ち込まれたものは、本邸の一部を蔵に改装してそこに保管をしていた。
    そうやってお預かりしている品物は数十年から百年以上経っている物も多く、本来の持ち主も現れることは無いが、
    古刀(第一次大戦前に軍刀拵えにする為に刀職人に預けたが、職人が狂い自分の妻子を含む30数名を殺傷し自分も自殺)
    鏡(地方の豪族の娘の嫁入り道具、意に沿わぬ婚礼を嫌がった姫が井戸に身を投げた際に抱きかかえていたもの。偶に自分ではない女の顔が映る)
    香炉(翡翠でできた香炉。香を焚くと鬼女が現れるらしい)
    等、真偽の程はともかく、古美術的には価値がありそうなものが幾つも保管されていた。

    20年ほど前との事なので、某鑑定番組が放送されていた為か、これを狙った馬鹿が盗みに入ったそうだ。
    馬鹿は巫の遠い親族で遊ぶ金欲しさに仲間4人と共に、防火水槽の修理点検の為水を抜いている日の夜をを見計らい、盗んだ後蔵に火をつけ禁域に逃げ込むという計画だった。

    禁域に逃げ込む前に仲間の一人を取り押さえることが出来たが、馬鹿含む4人を禁域の中に逃してしまった。
    禁域は巫以外立ち入りを禁じている為に踏み込むことを躊躇したのもあり、年寄り連中がこぞって止めたため捜索は夜が明けてからとなった。
    この時、年寄り連中が「もう助からん」「馬鹿なことをして、俺らに害が来なければ良いが」と口にしていたのが奇妙に思えたそうだ。

    ようやく火を消し止めた翌朝、警官4人と巫で捜索を行うことになった。
    山狩りにしては人数が少なすぎると抗議したが年寄りから「すぐ見つかる」「これでも多い」と反対され、首を捻りながら禁域へと踏み込んだ。

    確かにすぐに見つかった。全員有り得ない死に方をして。
    一人目は木の根元に寄りかかったまま、右肩から左わき腹より上をプリンにスプーンを入れたみたいに滑らかに切断されていた
    骨も筋肉も内臓も関係ないとばかり滑らかな断面を晒しており、左腕と頭部は見つからない。
    二人目は雑巾を絞るみたいにねじり殺されていた。
    どんな力を加えれば、上半身と下半身が複数回転するほどねじれるのか。
    三人目は頭だけをプレスで押しつぶしたみたいにぺしゃんこにされていた。
    頭だけが潰されており、その下の地面は柔らかいまま。別の場所で潰されて運ばれてきたみたいに考えられたが、飛び散った血、内容物の痕跡からここで潰されたと思われた。
    四人目でこれを計画した馬鹿は崖に張り出した松の枝に百舌の早贄のように突き刺さって死んでいた。
    崖下から枝まで約8m、軟弱地で頻繁に小規模な崖崩れを繰り返す土地でここに重機を入れるのは不可能。櫓を組んだ痕跡もなくどの様に馬鹿を枝まで運んだのか不明。
    馬鹿は180cm80kg超の体格、これを意識がある状態で木につるし、枝に突き刺した方法も不明。
    そう、馬鹿は意識がある状態で枝に突き刺されたと思われる、両手で枝を掴み、手の肉がめくれ上がるほどに力を込め目を見開いた形相で死亡していた。

    荒事に慣れているはずの警官でさえ嘔吐するものが居るほどの凄惨な現場なのに、発見した巫は平然としていたらしい。
    その時の様子を巫に聞いてみたところ、その時は死体にまったく心が動かなかったと、ただ禁域を汚したことにただ腹を立てていたという。
    その時は、巫は自分が自分ではなく別の者に切り替わった様に思えたそうだ。
    禁域を降りてから、その現場の凄惨さを思い出す度に吐いていたと巫は言う。

    「あれは人には出来ない。だから踏み込むなと言われている。だから禁域なんだ。それを馬鹿共は無視した。」
    巫はそう締めくくった。

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    29.お父さん

    ペンネーム:みみちゃん

    初めまして。

    私は幼い頃から不思議な体験を何度かしたことがあるのですが、いつも気の所為だと思うようにしています。
    ですが«気の所為»にしきれない出来事も中にはあるのです。
    今日はその中の一つをお話しようと思います。

    幼少期の真夏の夜の出来事です。
    8月の蒸し暑さから家の襖という襖は殆どが開け放たれていました。

    寝室にしていた和室と座敷を仕切る襖も同様でした。

    幼かった私は父と母と謂川の字で布団を敷きいつもの様に座敷側に足を向け眠りにつきました。
    その日は母を真ん中にして眠っていました。

    ふと目が覚め寝返りを打とうとした時、うっすらと目を開けてしまったのです。

    足元の向こう、更に開けられた襖の奥。
    豆電球の明かりが座敷にいる何かをぼんやりと照らしていました。

    見間違うはずもございません。
    白いジジシャツにトランクスだけの姿、いつもと同じ。

    それは父でした。
    夜中に父が暗い座敷で一人こちらに背中を向け胡座をかいていました。

    ギョッとして時が止まったように体が硬直し目が離せなくなってしまいました。しかし次の日から出張に行く父の大きな荷物が座敷に置き去りにされていたのをすぐに思い出し、ほっとしたのを覚えています。

    父は忘れ物か何かを思い出しまた出張の準備をしているのだろう…

    その時でした。

    グゴゴグゴゴ~!!!

    このありえない程に五月蝿い聞き慣れたいびき…

    母の向こう側で父はいつものように大きないびきをかいて寝ていたのです。

    一瞬でゾワゾワしたものが身体中を駆け巡っていくような感覚がしました。

    恐る恐る座敷の方を見るとそこにもやっぱり、父が。
    暗闇の中でビクとも動かないその背中。

    突如二人に増えてしまった父に恐怖し、タオルケットを頭まで被り朝までやり過ごそうとする内に眠ってしまいました。

    起きて直ぐに母にその事を言うと案の定笑い飛ばされてしまいました。
    なんだか今となっては笑える話なのですが当時の私にとってこれ程怖い思いをしたのは初めてでした。


    そしてこの話には後日談があります。

    母が「父の幽体離脱だ」と面白がり父の母、つまり私のお婆さんにこの話をしたそうです。するとお婆さんがこんな話を聞かせてくれたそうです。

    「父は実は3つ子だった」と。

    冒頭で記してはいませんでしたが私の父は双子で顔のそっくりな兄がいるのです。
    しかし、本来なら双子ではなく3つ子の予定だったと…

    それから数年後、父の双子の兄は首にあった腫瘍を取る手術を行いました。
    話によるとそれが3つ子の名残りだったそうです。

    簡単にまとめさせて頂きましたが以上です。
    読みづらいところもあったかと思いますがここまで読んでいただきありがとうございました。

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    30.巨大な顔面が眼前におんねん

    ペンネーム:犬犬犬

    2年前くらいに体験した、心霊か不思議体験か幻覚かよく分からん話です。

    その日昼過ぎくらいかな、友達と遊びに行く為に支度して14時位に家を出ようとした時の事。
    玄関に座って靴を履いて立ち上がり外に出て家の鍵を閉めようとした時に財布を玄関に置きっ放しにした事に気付きすぐに玄関のドアを開けて財布を取り、また外に出ようと振り返ってドアノブを回して押すと、ガァァン!!!と音と同時にドアが少し空いたとこで止まった。すぐに理由はわかった。チェーンが掛かってる。
    生まれて21年、ドアチェーンの存在は知って知って知り尽くしてはいましたが掛けたことなど一度もないので、何故この短時間にチェーンが掛かっているのかという怖さよりガァァン!!!という音にビビりました。

    何はともあれ、玄関を開けて財布を取り振り返ってドアノブを回して開けるまで正味4-5秒。
    チェーンを掛けた記憶も全くない。今考えるとおかしいのですがその時はめんどくせぇなと思いながらチェーンを外してドアを開けて再び外に出ました。そして、外からドアを閉めようとした時に居ました。巨大な顔面が。玄関に。
    多分180cmくらいあったと思います。

    ドアの隙間からこっち見てました。
    恐怖の森ってゲーム?あるでしょ。あれに出てくる顔みたいなやつ。あれの無表情バージョンみたいなやつがこっち見てたんですよ。

    怖すぎて鍵も閉めずに猛ダッシュで走って自転車に乗って友達の所に行きました。友達にも話したのですが、見間違えかなんかじゃね?と言われ話は終了しました。まあ信じて欲しい訳ではなかったのでどうでも良かったですが、とりあえず誰かに話したかったので。

    そして、なんやかんや普通に友達とは遊び夜22時位に解散して家に帰ることにしました。
    恐怖の森無表情バージョンの存在は頭の片隅にはあったのですが、明日も仕事だし眠いし普通に家に帰りました。
    家に帰り、まず泥棒が入ってないかチェックして風呂に入り、寝るかーって思った時に何故か玄関の覗き穴を見に行ったんです。巨大な顔面いねーよな?とか思いつつ。内心居るとも思ってませんでしたし。それで覗いてみたんです。
    残念ながら居ましたドアの目の前に。めちゃくちゃ無表情でこっち見てました。流石にビビりました。普通に腰ぬけました。

    それからは別に今迄特に変わった事もなく、普通に生活してます。ただ今この文章を打ってる間も目の前には居るんですけどね。その顔面。
    高速で口を動かして何か言ってます。声とかは聞こえませんけど。初めて顔面が口動かしたり表情変えたりしてるので今とてつもなく怖いです。

    おわり。

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    31.いつかのやくそく

    ペンネーム:いろは

     子どもの頃、大人になったら女の子を産むんだと思っていた。なぜなら、自分の斜め後ろの空中に女の子がいるような気がしてたから。でも、小さい頃すぎてそんなものだと思ってた。

     時が経って大人になり、ある時変な夢を見た。
     自分の部屋で勾玉みたいな形の女の子の胎児をあやす夢。
     結婚のけの字もなかった頃だったけど、それからとんとん拍子に結婚が決まって慌ただしく準備していたら、妊娠してた。驚いたけど、順番が少しだけ変わっただけだと、そのまま結婚して妊婦ライフに入った。

     もうすぐ生まれる頃になると、不思議な事が起こり始めた。
     日中起きてる時に、急にイメージが降ってくるというか、湧いてくるようになった。いわゆる白昼夢なのかな…。

     それは、どこか遠い宇宙みたいなところから私がワクワクしながらびゅーんと飛んでくるところから始まる。それで、そのままぽーんと着地して、うまくいった~と、思って振り返ると、困った顔の女の人がいる。
     私はその人を見て、あーぁ、失敗したぁ~。また色々とはじめからやり直しになるから面倒だ~!と思う。でも仕方ないから諦めようとしたら、その女の人が困った顔のまま、「先にどうぞ。」って言う。
     私はその言葉に喜んで「いいの?!」って聞くと、女の人は頷く。
     それで、私は喜んで先に行かせてもらう事にして、それで最後にその人に言った。

     「先に行かせてくれるなら、私があなたを生みますねっ!」

     って。私はこれは大事な約束だって思った。女の人は、とっても驚いた顔をしてたと思うけど、それは気にせずに先に進みながら、『あ、生むって確か女の人しかできないんだよね。男にするつもりだったけど、まぁ、いっか女で。』って思う。

     っていうなんとも妙な白昼夢みたいなイメージが浮かんでくる。でも、妊娠中って精神的に色々と起こるっていうから、変だとは思いつつあんまり気にしないようにしてた。
     で、母親が遊びに来た時に、それを軽い感じで話したら、母親が少し泣いてから神妙な顔で話してくれた。

     私の前に実は一人諦めてるって。

     初耳ですごい驚いた。理由は経済的に云々とか言ってた。
     それを聞いて思ったのは、だったら、どっちが先なのか?だった。

     私が譲ってもらったのが先なのか、親が諦めたのが先なのか。私が先にいくことになったから親が諦めたのか、親が諦めたから私に先を譲らなければいけなかったのか…?
     ニワトリとタマゴみたいだな、と思った。

     それと、もうひとつ。妊娠のタイミング。母親の話からどうやら諦めた子は結婚ギリギリ位のタイミングの子みたいだった。そうは言わなかったけど、諦めた一つの理由だったのかもと思った。そして、私の妊娠のタイミング。私達はまぁ、順番少し変わったけど、くらいであまり気にしなかったけど、このタイミングでないと生まれてこれないというのはあったのかもしれない、と思った。
     でも、その子が生まれていたなら私は誰にも存在も認知される事は無かったと思うと不思議な気持ちになる。

     ちなみに子どもは女の子。子どもの頃斜め後ろの空中にいた子に似てる。白昼夢で会った女の人は大人の姿をしてて着物っぽい服だった気がするから、この人に似てくるかはまだ分からないけど、きっとそういう事なんだろうなと思ってる。
     本人も少し喋れる年になったから、生まれる前の事覚えてる?って聞いてみた。かなり期待してたけど、全く分からないみたい。でも、覚えてるって言われても怖かったからこれでいいのかな、と思ってる。

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    32.伝えたいこと

    ペンネーム:ここねこ

    ある日突然、友人Mに叔母さんに会ってほしいと言われ、困惑ながらも会う事に。何故か妹も連れて来てほしいと。 M、私、妹で叔母さんの家に行く。普通の民家だったけど大きな祭壇があり蝋燭の灯りだけの薄暗い部屋に通される。 叔母さんは夢の中で亡くなった人と会話が出来るそうで、私達を呼んだのは母についてだった。

    「毎日同じ夢をみるの。貴方達のお母様がすぐに引っ越してほしいと強く訴えている」

    ちょうど家を建てる話が出ていたので、そのように伝えると叔母さんは良かった。と安堵していた。それから叔母さんとは会う事はなく、家も別の町に建てて1年経つ頃。

    前の家の周辺で1週間に6人亡くなる事が続いた。葬式に出た。歳も死因もバラバラ。同じ時期に火事が2件。どちらも全焼。その他、流産や事故、ボヤ騒ぎなど、そこの村の人達は何かしらの不幸に見舞われた。みんな同じ年に。

    後で知ったんだけど、その年、村のお宮の改修があった。ボヤ騒ぎの時に燃えたのはお宮から移してきた旗数枚だったとか。剥がした瓦を公民館近くに埋めたとか。踏んじゃだめなんだよね。

    私の夢には出てきてくれないけど、見守ってくれてる気はしてる。ありがとうお母さん。

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    33.奇妙な足音

    ペンネーム:タカモンテック

    人生に絶望して自殺を考えていた時期に体験した話です。数年前のことです。当時の状況や人生に絶望した経緯などはこの話の主題には関係しませんし何より個人的なことなので省略させていただきます。

    季節が冬になりかけている頃でした。その日、私は死に場所を求めて都内をさまよい歩いていました。お金は全部使い果たし、パスモの残高も0円になっていました。電車の線路に沿って歩いたり、高いビルを探したりしていました。電車への飛び込みや、ビルからの飛び降りを考えていたのだと思います。

    しかし実際に踏み切りの前に来ても、いざ飛び込もうとすると足がすくんでしまい、とても電車に飛び込むなんてできませんでした。ビルに関しては、そもそも一般人が勝手に入れないようなビルもありましたし、入れたとしても屋上には行けないことがほとんどでした。屋上に行ける建物もありましたが、警備員の方が見張っていました。

    夜の11時くらいになったとき、私は「今日死ぬのはやめよう」と思いました。家に帰ろうとしましたが、かなり遠くまで来ていましたし電車にも乗れないのでどこかで野宿することにしました。

    住宅地を歩きながら野宿できそうな公園を探しました。1時間くらい探したところ、大きな公園を発見しました。夜ということもありますが全然人気もなく、目立たない感じだったのでここで一晩過ごそうと決めました。

    次に寝るところを探します。公園の入り口付近にベンチがいくつかありましたが、入り口付近だと誰かに見られたりするのが嫌なので、ベンチは却下しました。入り口から離れたところに遊具がたくさん密集しているところがありましたので遊具の中から良い寝場所を探すことにしました。

    そしてついに良さそうな遊具を発見しました。それは、渦巻き型の滑り台でした。ちょうど上に屋根のようなものがついており、雨風もしのげるようでした。私は滑り台の中に真下から入り、横になりました。寒くて凍えそうでしたが、風も入ってきませんし、ベンチで寝るのに比べたら快適だと思いました。一日中歩き疲れていたので眠気が一気に襲ってきました。私は深い眠りにつきました。

    それは夜中の3時ころだと思います。私は急に目が覚めました。そのまま起きてしまおうかとも思いましたが、まだ暗いのでもう一度寝たいと思い目をつぶりました。その時、近くで足音のようなものが聞こえたのです。

    多分、一人の足音だと思います。私は、誰かが公園に来たのだと思い、緊張しました。見つかったら嫌なので、近くからでも見えなくなるくらい滑り台の中にすっぽり潜り込みました。そして物音を立てないように気をつけました。足音は滑り台の方に近づいてきます。

    「なんなんだよ。どこの誰だか知らないけど早くどっかに行ってくれ。」私は心の中でつぶやきました。足音はなおも大きくなります。さすがにやばいんじゃないかと思ったそのとき、足音が急に止まりました。私は呼吸音が漏れないように口元を手で塞ぎました。辺りは静まり返っています。何の音も聞こえません。

    その状態で30分近くは経ったでしょうか。私は、怖いながらも滑り台の真下までそーっと降り、脇から顔を出して辺りを見回してみました。すると、辺りには誰もいませんでした。

    確かにすぐ近くまで足音が来ていたのに、誰もいないのです。私は驚きとともに、気味が悪くなりましたが、空耳だったに違いないと強引に思い込むことにしました。そして、また一眠りしようと思って滑り台の中に入って横になりました。目をつぶりました。

    その数秒後、また足音が聞こえました。心臓が止まるかと思いました。足音はすぐ傍から聞こえるのです。私はあまりの恐怖に体が動かなくなり、目をつぶったまま、おびえていました。すると、足音はだんだん遠ざかっていき、ついには何も聞こえなくなりました。

    私は恐怖で、足音が聞こえなくなってからも目をつぶっておびえていました。遠くで鳥が鳴き、明るくなってきました。朝が来たのです。私はもう大丈夫だろうと思って滑り台から這い出ました。公園にある時計台を確認すると6時になっていました。公園の近くの道路にはすでに車が走り始めている頃でした。

    私は、昨夜の出来事は何だったんだろうと思いつつも公園から出て、自宅まで歩いて帰りました。何のオチもありませんが、これで私の体験した話は終わりです。あの奇妙な足音の正体はいったい何だったのでしょうか?

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    34.絶対に見てはいけない

    ペンネーム:Yakumo

    地元近くの集落に、絶対に見てはいけない祭事があります。
    祭事自体は、獅子頭を掲げ掛け声を掛けながら集落内を練り歩くものですが、
    12月と1月の夜9時以降に神社の宮司さんが集落を清め歩く日があるそうで、
    その宮司さんの姿を見た者が居ると、集落に災いが起こると伝えられていて、
    集落の人たちは、その日の夜9時前からは絶対に外へ出ない様にしているそうです。

    住民以外は参加禁止、立ち入り禁止、内容は口外禁止など全国に色々ありますが、 案外近くでも、そういった祭事があるんだなと話を聞いた時に思いました。

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    35.『私が見た赤い死神』私の妹も見ました。

    ペンネーム:さよこ

    『真夏の怖い話グランプリ』から厳選した全79話 「不思議な話」部門に掲載された ペンネーム・きよしさんの「私が見た赤い死神」を 私の妹も見ました。

    きよしさんが見たのと同じく 今から20年近く前(正確に言うと1999年の1月の出来事なので ちょうど20年前のことと言えます)。

    その前年 父が早期退職をし その退職金でN県の中部に念願のセカンドハウスを建て 田舎暮らしを楽しみ始めました。 私はすでに結婚していたので 正月休みも実家の家族とは別行動だったのですが 両親と妹が新築のセカンドハウスで初めての年越しをしていました。

    その日の夕方 セカンドハウスの2階にいた妹が キッチンに立つ母に声をかけようとして階下を見下ろした時 暗褐色のフードをかぶった老婆(顔は見えないけれど 背格好はちょうどナウシカに出てくる大ババ様みたいだったので 直感的に老婆だと思ったそうです)が階段の下にいて 父のいる部屋の方向に 音もなくうっそりと歩いて行くのを瞬間に見たというのです。

    身を乗り出して老婆の背中を目で追った後 すぐに2階から駆け下りたのですが 父のいる部屋はもちろん 家中探しても どこにも老婆の姿はなかったそうです。
    妹は驚いて 「死神みたいなモノが家の中にいた。パパの部屋の方に行くのを見た」と すぐにその場にいる両親に伝え 都内にいる私にも怯えた様子で連絡してきたことを覚えています。はっきりと「死神」と表現していたので 電話口で聞いた時には薄気味悪い感じがしました。

    両親と一緒に「見間違えなんじゃないか」と妹を宥めながらも 普段はまったく心霊の方面に興味を持っていない妹が 突然にして生まれて初めて遭遇してしまった光景に取り乱す様子に 私も不思議な気持ちがしていました。

    きよしさんと違い 地元の方とその事を相談する機会がなかったのが悔やまれます。
    セカンドハウスで妹が不思議な老婆の姿を見てから1週間後に 健診で父にガンが見つかり 治療の甲斐なく 3ヶ月後の4月初旬に亡くなりました。屈強な山男で 風邪ひとつひいたことのない父でした。早期退職ということもあり まだ50代でした。

    N県中部は 父が単身赴任した折りに気に入って セカンドハウスを建てるほど惚れ込んだ土地ですが 何か曰くでもあったのでしょうか。地鎮祭もしましたし ご近所も良い方で 表向きではなんら問題はなかったはずです。
    しかしながら きよしさんの体験談を拝読して あの土地にはなんらかの禁忌があるのだろうと確信しました。
    父は何かに触ってしまったのでしょうか。

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    36.醒めない夢で

    ペンネーム:炙りサーモン150円

     皆さんが夢から強制的に目覚めるのはどういうときだろうか。「夢の中で死んで目が覚める」「夢の中で叫んで目が覚める」といった経験がある方も多いだろう。

     子供のころ私が気付いた夢からの目覚め方は、「夢と現実の違いに気づくこと」である。夢の中では自分の年齢や職業など様々な設定が現実のそれとは異なっていて、しかもそのことに全く疑問を持たないまま夢が進行していくということがよくある。その中で「あれ?」と違和感に気づくと目が覚めるのだ。

    この「夢と現実の間の違和感に気づく」とたいていの場合目が覚めるのだが、これまで一度だけ夢から現実に戻れなかったことがある。今回はその時の話をしよう。

    高校生の大晦日のことだ。紅白歌合戦を見ながら家族ですき焼きを食べ、私は大満足で布団に入った。翌日貰えるだろうお年玉の使い道について考えていたら、いつの間にか眠ってしまったことを覚えている。

    ふと気が付くと私は真っ暗な場所に立っていた。足元も、周りも、何も見えなかった。「ただ闇の中にいる」というのがしっくりくる気がする。私は何も考えず、ただそこにぼけっと立っていた。しばらくすると、ぼんやりとした人影が見えてきて、その人が私に手招きしてきたように感じた。導かれるように近づいていくと、その顔がはっきりと見えてきた。優しそうなおじいさんがこちらに微笑んでいた。おじいさんは私の手を引いてどこかへ歩き出し、私もそれにならった。

    相変わらずおじいさん以外何も見えない闇の中で、私は夢の違和感に気づいてしまった。「この人亡くなったひいおじいちゃんだ…」と。自分の目の前を歩いている人物は、アルバムの中でしか見たことのない曾祖父だったのだ。

    「あぁ、いつも通り夢から覚めてしまうんだろうなぁ」と思って待っていた私だが、夢の終わりがなかなか来ない。その上、夢だと認識したせいなのか意識はどんどんとはっきりしていって、完全に「夢の中の設定の自分」が「現実の自分」に置き換わっていたように思う。今になって思えば、いわば「明晰夢」のような状態に陥っていたんじゃないかと思う。

    そうこうしていると、突然ひいおじいちゃんが立ち止まった。あたりを見ると、最初にひいおじいちゃんを見たときのようなぼんやりと光る人影が私たち2人を取り囲んでいた。くるりと目の前のおじいちゃんが私の方に向き直り、ぽんぽんと頭をなでた。最後に一言二言彼がつぶやいたかと思うと、私の意識は急浮上していき、長い夢が終わったのだ。

    あれは夢だったのか、それとも夢が死後の世界とつながってしまっていたのか。あれ以来こんな夢は見ることがなかったので詳しいことは分からない。ただ、あの夢以外に「違和感に気づいたうえで起きられなかった夢」は一度もなく、やはり何か不思議なことが起きていたのかなぁと思う。

    最後にひいおじいちゃんが何を伝えたかったのかも謎のままだ。ただ、「またおいで」と、彼はそう言っていたんじゃないかと思う。一説にはヒトは一晩に何回も夢を見ているが、それを覚えていないだけなのだという。もしかすると、私たちは毎年、人知れずご先祖様に新年のご挨拶をしているのかもしれない。今年もまた大晦日の夜がくる。私もいつかもう一度、醒めない夢を見られるだろうか。

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    37.不思議な着信

    ペンネーム:なりなり

    仕事中に私物の携帯をチラリと確認すると、未登録の番号から着信があった。
    間違い電話がかかってくることが多く、特に気にしていなかったが、どうやら固定電話のようだったので市外局番を検索してみると盛岡市のものであることが分かった。

    【はて、知り合いなんていたかな?】と考えると、大学時代の元カノが岩手出身であったことくらいである。
    重要な電話であればまたかかってくるだろうと放置した。

    その夜、夢を見た。
    仕事中、盛岡の電話番号から私用携帯に電話がかかってきたのである。

    【もしもし?】電話に出ると開口一番【お父さんですか?】と聞かれた。

    前述した通り、間違い電話はよくあり、【お父さん?】と聞かれるのには慣れていた俺は【違うよ、何番に掛けたの?】と聞くと間違いなく私の携帯電話番号である。

    詳しく話を聞くと、10歳男の子とのこと、先の大地震で家と家族親族が全て流され、母と二人きりになった。盛岡に移住して暮らしていたが、母が病気で亡くなった。今わの際にこの番号は父の番号だと聞かされ電話したとのこと。

    年齢的につじつまは合う、もし実子なら責任を取らない訳にはいかない、しかし今の私には妻と1歳になる娘がいる、離婚案件か、養育費を払いながらどう男の子と二人で生活をしよう、DNA鑑定、違う、最優先は今から上司に理由を話して即迎えに行かねばならない、

    盛岡駅の近くに電気屋があったな、DSを2台買って二人でモンハンしながら東京に戻ろう。
    まで考えたところで目が覚めた。

    それ以降、間違い電話はとても怖い。

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    38.腑に落ちない

    ペンネーム:おはし

    私はアウトドア全般が趣味で、単車でのツーリングもその一つとしています。
    10年程前、丁度お盆休みに四国一周ソロツーリングを楽しんでいた時の事です。

    ラーメンを食べ、ウドンをたしなみ、釜飯に舌鼓を打ち、温泉に現を抜かしている内にツーリングも終盤に差し掛かりました。
    じんわり心地良い湯にほぐれながら、ぼんやりと明日の行程を思い浮かべていました。

    明日の目的地は○○、寄り道時間を考えても宿泊地を10時に発てば17時には充分に間に合う。
    手長エビの唐揚げとウナギ食べたいなぁ、細かい事は走りながら考えよう…。

    私のツーリングは必ずソロツーリングで宿の予約もしなければ行程の下調べも全くせず、最終目的地と興味のある観光地を巡られれば道程はどうでも良いという
    ソロでしか出来ない自由奔放なモノなので、走りながらの予定変更は当たり前、下手をすると目的地まで変更する事もあります。

    そして翌朝、8時にタイマーをかけたハズが目覚めたのは5時。 頭もスッキリでこのまま出発する事にしました。
    交通量の少ない早朝独特のワクワクする違和感を楽しみながら快調に目的地へと走って行きます。

    そしてお昼を過ぎた頃に立ち寄ったコンビニで行程を確認すると、このままでは目的地に随分と早く着いてしまう事が見て取れました。
    どこか寄り道する場所はないかと地図に目を走らせると、山を二つ越えた海辺に夕日の綺麗なアイスクリーム屋があるのを発見。
    即決で向かう事に決め道を確認すると、ちょうど今停車しているコンビニのすぐ前の交差点を右折し山を越えるとアイスクリーム屋と書いてあります。
    物凄い偶然に感謝し、目的地を目指し走って行きました。

    右折すると一軒家がポツリポツリ、それを抜けると完全に民家の無い舗装された山道へとつながって行きます。
    暫く走り一つ目の山を越えたであろうと思われる下り坂をスーッと下りきった所に、茅葺の水車小屋がポツンと建っています。
    観光地なのか小屋の周りはキレイに整地されており、私はそこで小休憩を取る事にしました。

    小屋の中は臼と杵がドスドスと籾をついているだけの殺風景なモノです。
    水車を回す小川が冷たくて心地良く、顔を洗い足を浸けジャブジャブと楽しみスッキリした気分で再出発しました。

    数十分は走ったと思います。

    そろそろ2つ目の山を越えても良い位に走っただろうと考えていると、スーッと坂道が始まりました。
    これを下ればアイスクリーム屋。

    意気揚々と下りきった先には見た事のある茅葺小屋。

    感覚的なのか地形の把握力なのか、私は知らない土地でも迷う事がほぼありません。
    しかし此処はグネグネとした山道、曲がる道を見落としたのだろうともう一度走り出しました。

    暫く走ると分かれ道を発見。
    ここだったのかと進入しグネグネ道を走りスーッと坂を下ると、目の前には見慣れた茅葺小屋が。

    また間違えたのかと自分の方向感覚に疑いを持ちつつも、どうしてもアイスクリームを食べたかったので引き返す事なく再度突入。

    繰り返す事七度、その全てが茅葺小屋に戻されるのです。

    これはおかしい。

    道に迷っているならまだしも、その七度全てにおいて新しい曲がり角を発見し、その全てが通った事の無い道であり、茅葺小屋に到着する直前の坂でさえ
    何度も下っているハズなのに見覚えが無いのです。

    とうとう気持ちが折れ、もと来た道を引き返す事にしました。

    バイクをUターンし、入り口のコンビニ目指し走り出す。

    意味が解らない。何かが起こっている。

    目の前には茅葺小屋…。

    確かにUターンし、コンビニに向かったのに、到着したのは茅葺小屋なのです。

    心臓が止まるかと思うほど驚き、急ブレーキをかけてエンスト。
    時刻は17時半前、ガソリン残量は間もなくレッドゾーンを指そうとしています。
    私は初めて置かれている状況を理解し、パニックになるな、落ち着けと自分に言い聞かせます。

    暗くなるまでには、どうしても山を出たい。 とは言え、がむしゃらに走り回って山中でガス欠が一番嫌や。
    四時間近く走っているのにすれ違う車や人影が全く見当たらへん。
    この原因は何や? ここは四国…そう言えば前に見た○○タヌキ合戦○ンポ○の舞台も四国だったような…?
    もしかしてタヌキの仕業か?  

    子供の頃に祖母に聞いた話を思い出しました。
    昔はタヌキやキツネに化かされる人が珍しくなく、山奥で物凄く綺麗な花嫁さんを見たり一か所でグルグルと回り続ける人がいたりしたら
    それはタヌキ・キツネに化かされているのだと。
    そういった場合は後ろから背中を叩いてやると正気に戻るそうです。

    でも私はソロツーリング。 叩いてくれる仲間が居りませんし、もし叩かれても誰が叩いてくれるのか怖くなります。
    しかしそこは年の功、単独時の対処法も教えてくれていたのです。

    その方法とは、煙草を吸う事。

    たったそれだけで化かされる事を防げると聞いていたのを思い出したのです。

    幸い私は喫煙者なので早速煙草に火を点けあせらずゆっくりと一服。
    周りに何の変化も無し。

    直ぐにコンビニ向けて走り出しましたが、煙草を吸ったとは言え今までと同じ事をしていては抜けられないのではないかと思い立ち、
    暫く走った所で茅葺小屋に向けてUターンしたのです。

    もと来た茅葺小屋へ到着する道と知りつつ、あえて茅葺小屋へ向かったのです。

    するとポツ…ポツ…と民家が見え始め、やっと元のコンビニに戻れたのでした。
    煙草が効いたのかUターンが効いたのかは分かりませんが、どうにかこうにか無事に戻れた事に安堵とそれ以上の疲労感がどっと襲って来ました 。

    もしあの時、祖母の話を思い出していなければ…。
    パニックになり、がむしゃらにバイクを走らせていたならば…。

    考えると鳥肌が立ちます。
    普段は煩わしく感じる車や人の喧騒を本当に有り難い事だと、意味の解らない感謝の気持ちでいっぱいでした。

    もしタヌキに化かされたとするならば、周りから見るとその場で空ぶかしを延々と続ける迷惑極まりない存在だったのかも知れません。
    いくら考えても、何度地図を見つめても原因は分かりませんでした。
    思い当たることがあるとするならば、茅葺小屋の小川で用を足した事くらいでしょうか…。

    後に調べて分かった事ですが、私 が迷った地域は「隠神刑部」(いぬがみぎょうぶ)と呼ばれる化け狸のおひざ元でした。

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    39.アコ

    ペンネーム:標

    田舎育ちだったので、小学校では少人数一クラスだった。
    みんな仲が良くて、俺はその中でも四人ほどでいつもつるんでた。

    その中のひとり、Aの家に集まってゲームやってた時にAの家の電話が鳴った。
    親は共働きだったからAしかおらず、Aは電話の相手と何やらしばらく話し込んでた。
    電話を切ったあと、俺たちに向かって
    「ちょっと妹迎えに行ってくるわ」って言ってきたので
    「おう」って流れで答えてすぐあれ?ってなって
    「お前妹いないだろ」って返すと、Aはしばらく呆けたあと
    「‥そうだよな」って言ったまま黙り込んでしまった。
    それが小学校四年位の話。

    それからもAの話にはちょいちょい居ないはずの妹が出てきた。
    アコという名前で、ショートヘアで
    ウサギの小物を集めていて、Aはそれほど好かれていない三つ年下の妹。
    話に出るたびいないだろってツッコんでいたんだけど、毎回曖昧に生返事を返すだけだった。
    その内、その態度を気味悪く思った仲間の一人がからかったんだかAがキレたんだかで大喧嘩になり
    グループに亀裂が入ってギクシャクしたまま小学校を卒業した。

    中学では人も増えてクラスも変わったのでみんなとは疎遠になってしまった。
    同じ部のやつが「Aの妹ってかわいいの?」って聞いてきたこともあったので
    どうやらたぶん、奇行は続いているらしかった。

    別々の高校へと進学して、大学では地元を離れた。
    ある時、小学校の仲間の一人から「今度AがTVに出るぞ」って連絡が回ってきた。
    それはホストやホステスたちを集めてインタビューしたり議論をさせたりする番組だった。
    その中にAがいた。
    アコってネームカードを付けて三歳ほど鯖読みしたニューハーフがAだった。

    あの時の電話の内容が何だったのかが気になって仕方がない。



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    40.???予知夢???

    ペンネーム:chicken

    ある日、変な夢を見た。自分が自転車に乗り、見知らぬ街にいる夢だった。細かいことは覚えてないけど、夢の中の風景は大体こんな感じだった。

    自分が自転車に乗っていて、交差点で信号待ちをしている。近くには団地が建ってた。空は曇り、小雨が降っていてあちこちに小さな水溜りが出来ていた。
    しかし、この場所は見覚えが無い。どこかわからない。多分、来たことない。そんなことを考えていると、信号が青に変わった。

    そこで目が覚めた。あれは何処だったんだろう?最初はそう思ったが、次の日には夢のことなど忘れていた。 それから1、2年経った。今年の夏のことである。もちろんあの夢のことなど完全に記憶から削除されていたのだが……。

    7月、西日本を豪雨が襲った。西日本各地で記録的な大雨となり、その被害が連日テレビで報道されていた。
    ある夜、私はニュースを見ながら夕飯を食べていた。テレビではキャスターが豪雨の被害状況を伝えている。すると被災地にいるリポーターとスタジオで中継がつながった。

    カメラにリポーターが映る。リポーターは現場の状況を報告している。私はリポーターの背後に映る景色に目がいった。団地が見えた。交差点も見えた。ここには行ったこと無いけど、何故か見覚えがある。不思議な感覚にとらわれた後、何故見覚えがあるのか分かった。

    数年前に見たあの夢だ。
    夢の中で見た景色とテレビに映る景色は同じだった。似ているとかではなく、全く同じだった。
    でも私は被災地の県には行ったこともない。何故あんな予知夢めいた夢を見たのか今でも不思議だ。予知夢なんて一度も見たこと無いのに。
    夢の中でも小雨が降っていた。被災地でもまた雨が降っていた。そこに妙なリアリティを感じた。

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    41.木を裂く

    ペンネーム:しじみ

    子どもの頃、夏は山へ兄や近所のお兄さんと
    虫取りにいくことがよくありました。
    今となっては夢だったのかどうか記憶があやしいところですが
    強烈に印象に残っている出来事があります。
    山の入り口に畑があり、その一角に丸太が積んでありました。
    ちょうどよく腐っており、その木をほじるとカブトムシの幼虫がよく取れました。
    その日は畑に誰かが忘れていったつるはしが置かれており、
    私たちはそれで丸太をほじろうとしました。
    お兄さんがつるはしを振りかぶり
    どかっと木に突き立て、
    そのまま、めりめりと木を裂いていきます。
    大きな切れ込みが入り、ばきっと音をたてて木の一片が
    剥ぎ取れたのですが、その切れ込みのなかに男性の顔が埋め込まれていました。
    目を閉じ、口も閉じて、無表情でした。
    私たちはそれぞれその切れ込みを覗き込み、全員が「それは顔である」ことを
    確認しました。
    そろりそろりと後ずさりして
    少しはなれたところではじかれたように逃げ出しました。
    この日以来あの畑には近づかないようになりました。

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    42.雪の足跡、その妄想話

    ペンネーム:mojo

     還暦前の私の父の日記の中に不思議かつ少し不気味な一ページがあるので、お話用に少しだけ書き直してもらいました。妖怪だとか、都市伝説だとかはこういうのから生まれるんだろうな~という話です。
     実家(父の住んでいる家)は東北の都市部近郊の住宅地にあります。小さなベッドタウンのような、住民の車がたまに通るくらいで、人はほとんど歩いていない所です。密集した家々の中に、草の生えた空き地や家一つ分くらいの小さな畑が点在していて、実家のすぐ横には歩道のない片側一車線の道路(幅約4m)が通っています。
     2009年12月18日金曜日の話です。
     
     深夜一時頃、もう床に就こうと今いた一階のリビングの電気とエアコンを消し、戸締まりのついで、雪の具合を見るために窓を開けた。雪国特有の湿った冷気が顔を刺す。街路樹や車など目にはいる全ての物に薄く雪が積もり、のっぺりと白く染められている。
    目の前の道路に目を落とすと、粒の粗いベタ雪の上に奇妙な足跡が一筋残されていた。道路を挟んだ対面に一つだけある小さな街灯に照らされた純白の雪の中、艶のある黒いアスファルトが靴底の形に点々と顔を覗かせている。それは革靴の大きな足跡(凹凸がなく、土踏まずの部分のみ平行に引っ込んでいる)であり、窓から見て右側から直進してきて、道路の幅の半分以上、直径2~3m位の大きな円を描くように窓の真正面で一回転し、また同じ方へと戻っていった。その円はコンパスで描いたような真円であり、綺麗であった。観察して想像するに、革靴を履いた何者かが、途中で一度両足を平行に置いて立ち止まった以外は、寸分狂わぬ歩幅で無機質な真円を描いていったのだ。大股でも小股でもなく、至極自然な歩幅で。

     誰が、何のために…?窓から見える日常の平穏な風景を踏みにじるように、突然この大きな異物は姿を現した。さながらミステリーサークルである。いつも見る雪景色の真ん中に、ある筈のないものがある。そしてそれは、ありがちな形の足跡が作り出した、異様なほど整った円。街灯にくっきりと照らされた白と黒のちぐはぐなオブジェを見ていると、私は歯がゆいような、吐き気がするような気分に陥った。窓の向こうに広がる暗い夜の世界自体、もはや虚ろ世なのではないかと錯覚した。そうなるといよいよ街灯の奥の重く湿った闇の中に、狂ったように蠢く異形が見える気がしてならない。

     私はこれ以上外の世界に身を晒してはいられなくなった。何度か手を滑らせながらも窓とカーテンを閉め、逃げるように妻の寝ている寝室へ向かい、布団を被った。そして身体の芯まで侵さんとする恐怖を払うため、円が出来た経緯を無理矢理想像した。
    例えば、家路に付く誰かが家の前を横切る時、気まぐれに円を描くように歩き、そのまま通り過ぎたというならまあ納得がいく。しかしこの円を描いた者は、また来た道へとまっすぐ戻っていったのだ。まるで円を描くために、家の窓の前まで来たかのように。では道路を挟んだ向かいにある小さな畑を見に来た、近所の老人であろうか。しかし彼が革靴を履いたところなど見たことがない。しかも彼が外に出る時は、不快だが必ず唾を吐く音と良く分からぬ演歌の歌声が聞こえてくる。雪の降る夜更けに、それを我慢し、息を潜めて円く回ったというなら、それはそれで甚だ不可解で不気味である(因みに彼はボケてはいない)。
    ならば犬の散歩であろうか。しかしアスファルトに付く筈の犬の足跡が何処にもないし、ずっと歩幅が一定なのも不可解ではないか。そもそも誰かがやったとしても、どうやったらこんな巨大な真円を描けるのか。もし出来たとしても、すぐ消える雪の上にわざわざ測って描いたのか。気まぐれの遊びにしてはあまりに正確過ぎる。…ところで何故一度立ち止まったのだろう。それまで機械的なまでに歩幅を合わせていたのに。何か歩を乱す程の物を見つけたのか。こんな道路の真ん中で見るものがあるとすれば、私の家以外に何があると言うのか…。そういえば、平行に並んだ足跡のつま先は真っ直ぐこの窓を向いていた…。思い返すとカーテンを開ける少し前、私は用を足すため、窓の手前を横切った…。

     私の想像力では確信を持てるアイデアが浮かぶどころか、益々「円を描きに窓の前まで来た何者か」の存在が濃くなってくる。異常者の仕業だろうか。いや、果たしてそれは人間なのか。もしや革靴を履いた異形ではないか。いや、この足跡は革靴の跡などではなく、前後二つに分かれた素足の跡ではないか。誰もいない深夜、姿を見られたくない得体の知れぬ何かが、家の前でペタペタと円形に歩いていた…。カーテンを横切る私の影に気付き、足を止めて凝視する…。にんまりと薄気味悪い笑みを浮かべていたのか、面を縫い付けたような無表情だったのか、はたまた、尋常な人間の顔面など持たぬ存在だったのか…。3mもない距離に、確実にそれはいたのだ。想像すればするほど背筋が冷えてくる。私がその瞬間にカーテンを開けていたら、一体何が見えてしまったのだろう。

     轍もない滑るような雪の白の中に、いつの間にか現れていた黒い真円の足跡。描かれた理由があるとしたら、私の家へのメッセージか何かだろうか。それともそれは円を描く以外の目的を持たず、ただ正確に円を歩き、満足して来た道へと戻っていったのか。何処から来て何処へ帰ったのだろうか。ただの円形の足跡が、言い様のない恐怖を掻き立てる。窓とカーテンで蓋をした虚ろ世が、僅かな隙間から這い出しては来ないか。汗がじっとりと背中を湿らせるが、私は布団の簑から抜け出せるはずもない。

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    43.幽霊はいない

    ペンネーム:むすめ

    こんなオカルトが好きな方が集うサイトで言うのも何ですが、母の口癖は「幽霊はいない」でした。
    というのも母は、数年前父と母と父の弟(私の叔父)と、関東のとある心霊スポットに行ったそうなのですがこれといって心霊現象は起きず、帰宅したそうです。
    するとオカルト好きの叔父が母に「僕が死んだら○○ちゃんの目の前でなにか物を動かそうかな。じゃあ机にお金でも置いといてよ、それ動かすから」なんて言ったそうです。縁起でもないこと言わないで、なんて話を茶化してその日は終わったそうなのですが数ヶ月後叔父は過労死で亡くなりました。家で倒れていたそうです。

    葬儀も終わり、父と叔父の実家で母は机の上に突っ伏して寝ていたらしいのですが夢に叔父が出てきて、「○○ちゃん起きて。ドアを開けてあげて」と言ったところで母が目覚め玄関を確認するとそこには誰もいなかったそうです。
    「あのあとお金を動かすっていう話思い出して○○君に声掛けてお金を出したのになーんにも動かなかったからそれ以降お母さんは幽霊信じてない!」と言っていますが叔父は何を伝えたかったんでしょうね。幽霊に物を動かす力はないということでしょうか?それとも夢も母の思い込みだったんでしょうか?

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    44.PM:22:22

    ペンネーム:コヤゴ

    ごくごく最近の話すぎて書いている私でも実感がイマイチわかない。

    妻が骨折をした。車必須な田舎に住居を構えている妻のために、私は寮から妻の元へと帰省し、日々、通院や買い物の世話をすることとなった。世間で言われている、'大企業'とやらに勤めていてまとまった休暇や早上がりなどがとれる私は、少しだけ、年末年始に妻の怪我が重なったことに不本意ながらも安堵した。

    私の県は田舎で、あの異世界へと繋がる駅『○○駅』の発祥の県である。その駅付近ですら、通勤でなんのことなく普通に通過する。そんな噂などまるでなかったかのように。
    疲れきった社会人たちがやっと確保できた座席で居眠りをし、学生たちはスマートフォンで色々なサイトをみてはしゃいでいる。
    毎朝の光景だ。

    夜は反転したように静かで、車両も短くなり、ぼーっと、皆、目的もないように座り、窓の外を見つめている。

    今日も、私は妻のところにいかねばならない、少し白くなった溜め息をつきながら改札口へと向かう。

    バスへと乗り込み、家の近くの乗車口で降りる。最終便を確認した。22:22分か。

    所用を済ませ、最終便へと乗るべく家路を後にした。

    22:22 ふ ん

    確認が仕事の私は何回も確認したはずだ。だが、バスは来ない。

    少し過ぎたあたりに一台のバスが来た、やっと、か。肌寒い空を抱えてバスに乗り込もうとした、おかしい、バスが寒い、取ろうとした整理券がないのだ。

    あまりの恐怖に腰を抜かしそうになり、バスから降りることに必死だった。無我夢中だった。言うならば、夢だとわかっているのに、おかしいものたちに追いかけられてうまく目が覚めれない、あんな感覚だ。

    気付けば私は、なんともなしにバスの乗車口に立っていた。時刻22:20分。

    慌てて妻に電話をし、私も回らない口で説明をした。

    妻曰く、あなたは近くのクシー乗り場からタクシーで帰るから、とのことだった、まず第一に22:00以降のバスはない、からかうのはたいがいにしてくれ、酔っぱらってるなら来なくていい、などという散々なものであった。

    もしも、自分があの22:22分の最終バスに乗っていたらどうなったのか、正直、少し気になるところではあるが、まさか自分が異世界への扉を叩こうとするとは思ってもみなかった。

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    45.タマゴ鳥

    ペンネーム:プロ猿ファーゴル風

    <はじめに>
         長文です。怖い話ではありません。私はまともに文章を書いたことが無く、 話をまとめることが苦手です。それでも私が体験した話を伝えたい。 試行錯誤して悩んだ挙句、時系列に沿って箇条書きにすることにしました。 応募の趣旨に合わないかもしれませんが、何卒ご容赦下さい。

    <内容> 不思議な鳥の伝聞と遭遇した体験談及び考察を時系列に沿って報告する

    <自己紹介> 
    年齢: 40代 
    性別: 男性 既婚 家族は5人
    住居: 関西にある田舎町

    ◇小学校3年生の時(伝聞)
     遠足のバスでの雑談で、友人が「俺、タマゴ鳥を見たことある」と言い出した。別の友人も「俺もその鳥を見たことがある。タマゴそのまんまなんだよな!」と騒ぎ出した。その後、絵に描いたものを見せてもらった。

    覚えている範囲で内容は以下

    目撃場所:家の窓から ①集合団地内の公園の木の上 ②電柱の上
    目撃距離:不明 
    姿   :チョ〇ボールの箱に描いてある鳥
    色   :不明(鉛筆であった為)
    大きさ :不明(電柱の上に乗っかかれる程度)

    ◇小学校4生の時(1回目の遭遇)
    私が姉と一緒に近所の山道を散策している時、正体不明の鳥を目撃した。蔦のある雑草が一面に生い茂った空き地で、見たことも無い鳥がひょっこり首を出して草むらに隠れた。

    急いで姉を呼んで正体不明の鳥の居場所を指差したが、うまく隠れている様で姉には見えない。手に持っていたバケツをその付近に放り投げると、一目散に走って逃げ出した。はっきりと姿は見えなかったが、鳥が逃げた後はボールが転がる様に雑草が倒れていった。

    目撃者 :私(本人)

    目撃場所:近所の山道 蔦の生い茂った空き地
    目撃距離:20~30m程度 上の小山から少し見下ろしていた恰好
    姿   :顔しか見ていない。小さいクチバシはあった
    雑草の背丈から、体高約30㎝ 
    色   :頭から顔は緑。体色は雑草に紛れていた為、緑に近い?
    大きさ :不明 倒れた雑草跡から子犬程度?

    不思議なことに飛ばずに走って逃げて行った。鳴き声もしなかった。
    最初の印象は、「珍しい鳥を偶然見つけて良かった」である。

    その日、家に帰ると父が泣いていた。妊娠中で具合が悪く病院で入院していた母が流産したのだ。まだ見ぬ弟の名前を姉と一緒に決めていた矢先だ。私は命を失うことの重大さを理解しておらず、悲しむより先に母が早く家に帰ってくれることを喜んだので、鬼の形相で父から殴られたことを今でも鮮明に覚えている。

    〇7年前 30代 嫁の妊娠時
     私は結婚し二児の父親になっていた。第三子の子供を嫁が妊娠していた時に、困難な問題にぶつかった。嫁が産婦人科に通院中、エコー検査で赤ちゃんに異常が見つかったのだ。普通の産婦人科では扱えないと言われ、あちこちの病院で紹介状を出された結果、地域で一番大きい総合病院に入院することになった。
    診察後、家族を呼ばれて病院から病名の内容説明を聞いた。ここで今までの人生の中で一番辛い選択をすることになる。

    双子を妊娠したが、片方は癌細胞へ変異し、もう一方は通常妊娠。妊娠中の摘出手術は不可能。出産するには癌細胞と赤ちゃんのどちらも育てることになる。妊娠状態を続けると母体への癌転移の危険や、生涯続く癌治療のリスクがある。

    危険を冒して妊娠状態を続けたとしても、片方の赤ちゃんが癌細胞に侵されず正常に生きて授かる可能性は極めて低い。この病院では無事に生児を授かった例は無く、全国でも稀だという。

    中絶して癌治療に専念するのがベストであると医者に告げられて、手術の日程説明を嫁と一緒に受けた。嫁はボーっと座ったまま、しばらく医者の話を聞いていたが、お腹を両手で抑えて、よろよろと立ち上がり「片方の子はちゃんと生きている、私は死んでもいいから生んであげたい。」とわんわん泣き出した。

    病院側は母体の生命を優先する。私もそうだった。しかし、嫁の言うことも辛いほどわかる。可能性が少しでもあるのなら生まれほしい。

    改めて夫婦で話し合った結果、「羊水検査をして、赤ちゃんに異常がなければ妊娠を継続させます。それに伴うリスクは覚悟します」と病院に回答した。その後、嫁は羊水検査で異状が無かった為に妊娠を継続し、暫く入院することになった。

    嫁の入院中、生活は慌ただしかった。当時はブラック企業で働いていた。部署は上役の親族で構成されて、面倒で責任のある仕事は一切しない。私は顧客のクレーム処理を一人で押し付けられ、深夜まで対応していた。事情を説明して、残された幼い子供達の幼稚園の送り迎えの為に、定時で帰らせてほしいと上司に懇願しても「無責任だな。俺にクレーム処理の恥をかかせるなら、お前は会社に要らないだろ。」と取り合ってくれない。しかたなく、高齢の母に子供達の世話をお願いしていた。

    家に持ち帰った仕事を徹夜でしていると、幼い子供達は寂しいと夜泣きした。心身共にボロボロであり、最悪の状況しか頭に思い浮かばなかった。「私は判断を間違えた。幼い子供達には、まだ母親が必要だ。私が嫁に生涯憎まれる覚悟をして中絶の判断をするべきだった。望みの薄いことに家族の一生の暮らし賭けたのは無謀だった!」

    年末深夜の仕事帰り、普段は地元の人しか行かない、南北朝時代の武将を祀った小さい神社にお祈りした。その神社は家の近所にあり、嫁が買い物している間、子供達と追い掛けっこしたり、かくれんぼしたりするのに絶好の遊び場所であった。
    無宗教で信仰も無い私が初めて神頼みをした。

    「武将様。境内で遊ばしてもらっていた家族です。お願いです。嫁と子供を助けて下さい。」恥ずかしげもなく、声を出して泣きながらお祈りしていた。

    ◇7年前 30代 嫁の入院中(至近距離遭遇)
     嫁が妊娠中の病気で長期入院して、小さい子供達が寂しそうにしていたので、正月休みに母を連れて動物園に行った。その時に至近距離で遭遇した正体不明の鳥を報告する。

    目撃場所:動物園の野外通路
    目撃距離:1m  
    姿   :【大きなヤカンの様な姿】

    ①球体の様に丸い 
    ②体の割に首と頭は小さい(スズメ程度)
    ③頭、顔は孔雀に似ていた。※頭に綺麗な模様のトサカ有
    ④尾は無い
    ⑤足は非常に短くほとんど見えない

    色:①全身は光沢のある綺麗な深緑色 
      ②クチバシの付け根個所は赤色
    大きさ:バスケットボールと同じサイズ
    動き:①飛んだり跳ねたりしない
       ②おとなしい、鳴かない

     動物園の檻の中や柵の内側でなく、通路を「深緑で綺麗なヤカン型の鳥」がゆっくり歩いている。最初に見た時は動物園の檻から逃げ出した鳥と思い、声を上げて驚いた。飼育員に知らせようとしたが、正体不明の鳥は鳴いて暴れたり、飛んで逃げ出す様子は無い。私が1mぐらいの距離まで近付いたら、こちらを一瞬見上げた後、ゆっくり目を瞑って座りだした。

    私は興味があって触ってみようとしたが、娘が酷く怯えていた為、その場から立ち去った。娘が後から「あの鳥は何?何?何だったの?」と尋ねてきたので、「あれはタマゴドリ。魔法が使える不思議な鳥だ。」とだけ話した。

    〇6年前 嫁が第三子の娘を出産
     第三子が無事に出産予定日に生まれた。泣き声が大きく健康な女の子だ。病院から妊娠中に問題になった片方の癌細胞は徐々に小さくなり消滅したと説明を受けた。癌治療の為の通院も必要が無いと言われ、数日で退院出来た。
    子供の名前は、双子だったことを考えて男女の二つ読み方が出来る名前にした。

    娘が無事に生まれたことで、助けてくれなかった会社を見切り退職した。
    その後、大手メーカーに運よく転職が出来て恵まれた環境で働いている。

    現在、末っ子はいたずら大好きの元気な娘に成長して、小学校のランドセルを何色にするか悩んでいる。二人分のエネルギーがあるのか、賢くて体は丈夫。
    病気や怪我の心配をすることがほとんど無い。

    <タマゴ鳥の検証>
    【遭遇した正体不明の鳥を正体は伝聞の「タマゴ鳥」か検証】

    (A)小学校の友達が見た「タマゴ鳥」
    (B)小学校の時、私が見た「正体不明の鳥」
    (C)7年前に動物園で見た「正体不明の鳥」

    仮説 (A)=(B)=(C)

     小学校時代に見聞きしたタマゴ鳥が何であるか、正確な情報量が少なく個々の検証ができない。実在したか証拠が乏しい。唯一の手掛りである「タマゴ鳥」の名前も姿を形容したもので学名では無く、ネットの検索でヒットしない。

    (A)、(B)、(C)に共通する特徴は3点だけあった。 

    ①鳥である 
    ②飛んでいる姿は見ていない 体は丸い
    ③鳴き声を聞いたことが無い

    個々には類似点はあるが、同じ鳥であるというのは無理がある。
    よって(A)≠(B)≠(C) (B)≒(C)

    (C)7年前に動物園で確実に見た「正体不明の鳥」の検証

    (1) 動物園の鳥が逃げ出した可能性
    ・動物園のサイトを見てもあの様な鳥は飼育されていない
    ・当日付近で体験イベント等は開催されていない

    (2) 野鳥の可能性
    ・近いのはキジであったが、その地域には生息していない

    キジには花飾りの様なトサカが無く、尾や翼、体の形態が全く違う
    (1)、(2)を検証したが、正体はわからなかった。



    【結果】

    (A)、(B)、(C)は同じ鳥とはいえない。「タマゴ鳥」かもわからない。
    (C)の鳥は実在したが、正体を特定させるに至らなかった。

    <あとがき>
    当初の私は、正体不明の鳥には全く関心がありませんでした。例えば山で綺麗な蝶を見ても珍しいなと感動しても、それの学名を調べたりする人は少ない。更に「不思議なもの」を見たと恐怖したり、神仏の使いと崇拝する人はめったにいないと思います。

    きっかけになったのは、嫁の妊娠中の病気に納得がいかず、ネットで色々調べていた時です。結果は奇跡の様な嬉しい出来事でしたが、あの時にもし判断を間違っていれば娘は生まれてこなかった。病気は本当だったのか疑問でした。

    私の中でモヤモヤした気持ちを解決する答えはないかと、色々な可能性を探している時に、同時期に不思議な鳥を見て、過去にも同じような体験をしたことを思い出しました。これらに何の意味があるかはわかりません。他人から見れば、鳥も病気も自然科学で単純に解決出来て、お互い無関係な話かもしれません。

    昔は、単なる自然現象を神仏の怒り、妖怪の仕業と信じ、崇拝や信仰の対象としました。私は超常現象を信じませんし、宗教信仰もありません。その私が「タマゴ鳥」を人知を超えた「不思議なもの」と認識したのは、何か意味があると考えました。

    鳥が何かの予兆や存在意識の象徴だとしたら、鳴かない鳥は何を伝えたかったのだろう。

    去年、やっと意味が分かりました。私は人としてクズだったのです。

    <後日談>
    去年の夏に家族で、6年ぶりに引っ越し前のあの武将を祀った神社にお参りに行きました。上の子達に末っ子が生まれる時の大変だったことを話し、命を懸けて頑張った嫁、助けてくれた病院の先生方、寂しくても我慢した上の子達、面倒を見てくれた母、全てに感謝の言葉を伝えました。

    「末っ子が生まれる前に、この神社にお祈りし来たら、無事に生まれたんだよ。今からみんなで、神様にありがとうってお礼をします。」お賽銭を入れて、家族で手を合わせていた時に、嫁が私の肩を叩き、笑いながら社務所の張り紙を指差しました。そこには以前は無かった張り紙があったのです。

    【神社の境内で遊んではいけません】

    そうか・・やはり迷惑だったのか。ごめんなさい。

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    46.雀

    ペンネーム:とんとん

    私が唯一経験した不思議?な話です。
    私が小学1〜2年の頃でしょうか、その日は確か晴れていて暖かく、上と下で分かれている窓の上だけを網戸にして、兄と母と寝室で遊んでいました。すると急に、バンッ!と音と共に雀が一羽部屋に入ってきたんです。私も兄も母も音にびっくりしました。そして小学生の私と兄は雀が入ってきた事に大興奮!
    わー!雀きたー!うんちされちゃうーっ!ときゃっきゃっ雀追いかけて遊んでいる中、早く外に出してあげなきゃ雀さん可哀想でしょ!っと母が急いで窓を全開に開けて、窓の方に行くように雀を追いかけ、雀は窓から出て行きました。

    『凄い音でびっくりしたね〜。穴開いちゃったから網戸貼り直さなきゃ〜。』っと母が言いながら閉めている網戸を見ると、何にもなってないんです。全く破れてないんです。穴が空いてないんです。あれ?と言いながら母が他の入ってこれそうな窓など確認してましたが、特に変わった所は無し。どうしてだろ?どうやって入った?あのバンッ!って凄い音はなんだったんだろう?っとその日は兄とずっと話していました。

    そしてその日の夜、寝室に布団を敷き兄と、今日は凄かったね!!あんな事ってあるんだね!!と興奮気味に話しながら寝に入りました。兄はすぐ寝てしまったのですが、まだ興奮が収まらない私は、あの窓から雀来たんだよなぁーなんで穴あかなかったんだろう?っと思いながら窓の方を見ました。

    すると窓の外に甲冑姿の武士が立って部屋の中を見ているんです。夜なので顔などは見えません。でもあの影は絶対に甲冑を着た武士でした。怖くなり布団を被り、どっかいけ!どっかいけ!っと思いながらガクガク震えながらいつの間にか寝ていました。

    朝真っ先に隣の兄に夜の事を話しました。兄は、全く知らない。見てない。昨日は布団に入って話した後急激に眠くてすぐ寝ちゃったよ〜そんな事あったなら起こせよ!!っと怒られた?のを覚えています。しかしそれを見たのはそれっきり、全く見ていません。

    雀といい、武士といい、あれは一体なんだったのでしょうか?雀と武士、何か関連があったのでしょう?特にオチはありませんがこれが唯一経験した不思議な話です。

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    コメント一覧

    1  不思議な名無しさん :2019年01月01日 21:35 ID:FrTt37yi0*
    42番ええな

     
     
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