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    『嘘つき』『奇妙な像』『名無しさん』他 何でもいいから怖い話を集めてみない?

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    986: 本当にあった怖い名無し 2013/02/04(月) 00:23:25.63 ID:1PJkoUvY0
    嘘つき
    小学校のときのことなんだけど、たいして怖い話でもないのでここに投下。
    3年生のときの同級生でよく嘘をつくやつがいたんだよ。
    そいつとは家が近かったんで低学年の頃は何度かいっしょに外で遊んだ記憶もある。
    小学生は意地をはったり見栄をはったりして他愛もない嘘をつくことがあるけど、
    そいつのはいかにも突飛で、しかも確かめればすぐばれるようなのばかりだった。

    例えば虫取りが流行ってたときには、15センチもあって角が三つに分かれたカブト虫を山で捕まえたとか言う。
    今にして思えば、図書館で図鑑に載ってる外国のカブトを見たとかなんだろうけど、
    空の水槽に入れて飼ってるというんで、このときは信じた子供もいた。
    放課後、見せてもらおうと後をついてそいつの家に行くと、
    先に家に入ったそいつが、いかにもがっかりした顔で出てきて目尻をぴくぴくさせ、
    そこ以外は無表情に「逃げられてたよ」と言う。まあそんな感じ。

    他にも、そいつは片親でボロい木造家屋に母親と住んでるんだけど、
    実は親父は外国に長期出張してる有名な会社の社長だとかなんとか。
    しかしそうでないことは、いくら小学校3年生でもすぐわかった。
    勉強もスポーツもできず、小遣いを持ってることも少なく話しても何も面白くない。

    それに母親が夜の仕事で忙しいせいか、そいつのことをろくにかまってなくて、
    毎日忘れ物はするし同じシャツを着てきて汗臭いしで、まずクラスの女子がそいつを嫌がり、
    男子もだんだんと話をするやつがいなくなって孤立状態になった。
    ただし、いじめられてるというわけでもなかったけどな。
    子供なりにそいつが自分のヘマや嘘で追いつめられたときに見せる無表情さに、
    一種の不気味さを感じていたんだと思う。

    何でもいいから怖い話シリーズ
    http://world-fusigi.net/tag/何でもいいから怖い話

    引用元: 何でもいいから怖い話を集めてみない?Part2

    引用元: 何でもいいから怖い話を集めてみない?Part3



    987: 本当にあった怖い名無し 2013/02/04(月) 00:24:22.34 ID:1PJkoUvY0
    4年生になってクラス替えがあり、俺はそいつとまたいっしょのクラスになった。
    俺の行ってた小学校は大規模校だったんで、それまで同級だった子よりも知らない子のほうが多く、
    春休み明け始業式の日は子どもなりに緊張して迎えた。
    朝ちょっと早めに登校すると、そいつのまわりに何人か人が集まり「うえー」「本当かよー」とか言ってる。
    そいつが何かの紙切れを、寄ってくるやつに見せてるんだな。

    それで、俺も近づいてみると、「○○(俺のこと)この写真見て、今まで一人っ子だと思ってただろうけど
    じつは小さい頃は双子だったんだ」と言ってくる。
    そいつが持ってる紙には、シャム双生児というのかな、
    体がくっついてて手が4本、足はどうなってるのかわからないような幼児が写っている。
    頭は一つで奇妙にねじ曲がっていて片目がつぶれてて、悲しいような恨めしいような目でこっちを見ている。

    「これオレなんだよ。弟といっしょにくっついて産まれたけど、小さい頃手術して切り離したんだ」
    しかしそうは言うものの、手に持ってるのは写真ではなく何かから切り抜いたと思われる紙切れだし、
    写ってる顔はどう見ても日本人じゃない。ああいつもの嘘だな、と思って俺はその場を離れた。
    これ以降、そいつもクラス替えで精神状態が高ぶっていたのか毎日のように様々な嘘をつき、
    そして3年生のときのようにあっという間に孤立した。

    ただし今回は学年で鼻つまみのいじめっ子がクラスにいたこともあり、たんに孤立では済まないようだった。
    俺はそのイジメには加わっていなかったし、そいつの味方をしたこともない。
    クラスではただひたすら離れていた。
    それに4年生からはスポ少に入ることができ、俺は野球部になって放課後は遅く帰ることが多くなった。
    そいつは運動は苦手で、用具などをそろえる金もなかったのかもしれないが、
    下校時間になると一人で帰っていた。

    988: 本当にあった怖い名無し 2013/02/04(月) 00:27:06.67 ID:1PJkoUvY0
    その日は練習がなかったんで俺が普通の下校時間に一人で歩いてて、
    角を曲がるとそいつが前にいた。どうやら帰りの掃除の時間にでもイジメを受けたらしく、
    いかにもとぼとぼとした感じで歩いてる。
    ちょっとかわいそうになったので追いついて、「いっしょに帰ろう」と言うといつもの無表情でこっちを見た。

    けど何の話題もない。そのままただ歩いていると、
    唐突に「オレ転校するんだよ、明日からこの学校には来ない」と言う。
    でも、転校するなら必ず先生がそのことを言うはずだし、今までは転校する子が出ると簡単なお別れ会を開いてた。
    そういうことがなかったので、ははあまた嘘だなと思った。
    リアクションを返せないまま押し黙って歩いてそいつの家の前まで来ると、
    そいつがやはり無表情のまま「今までありがとうね」と言って玄関に入っていこうとした。

    そいつが後ろを向いたとき、ランドセルの蓋がパンと強くはね上がり、
    中から幼稚園児くらいの大きさで細長くねじけた頭が飛び出した。
    頭は俺のほうを見ると、苦しそうに顔をゆがめ、
    いくつにも切れた唇からしぼりだすような声で「あ・り・が・と」と言った。
    始業式の日にそいつが持ってきた切り抜きに写っていたシャム双生児の顔だと思った。

    次の日そいつは学校には来ず、数日して先生が
    「□□君は急な事情で転校しました、みんなにお別れが言えずにとても残念がっていました」と説明した。
    親たちの噂話では、どうやら夜逃げのようだった。
    それから今まで一度も会っていないし消息もわからない。

    998: 本当にあった怖い名無し 2013/02/04(月) 17:50:49.38 ID:9GjRcxiKP
    >>988
    これは怖い

    956: 本当にあった怖い名無し 2013/01/29(火) 22:27:07.08 ID:jNk3F+l20
    奇妙な像
    中学校2年のときの話
    俺は家は漁師じゃなかったが海辺に住んでた
    というか前の浜から背後の山までせまくて細長い土地の町だったんで
    ほとんどの人がが海辺に住んでると言えるんだけどな
    それで今でいうビーチ・コーミングを趣味としてた 
    当時はそんな言葉はなかったけど、簡単にいえば漂着物の収集のこと

    日本海側の北の方だったから熱帯の貝やヤシの実なんてのはまず見られなくて
    日本にない漢字やハングルが書かれた浮きなんかが多かったが、ときおり変わったものもあった
    ビーチグラスはもちろん古い陶器の破片や変な形の魚の骨とかルアーとか
    あと流木は俺は興味なかったんだが、大きいのを家に持って帰ると
    当時まだ生きてたじいさんが皮をはいで磨きあげ置物にした
    中学校の仲間や小学生でもやってるやつがいたんで
    そいつらより先にと思って、朝の6時頃には浜にいて見て回ったりもした

    11月頃だったと思うけど、海が荒れた翌日で何か収穫があるかと浜に出てみたら
    テトラポットのすきまに何か赤茶色の大きなものが引っかかってるのが見えた
    近づいていくと何かの像のようなもので自分の背丈よりも大きく見えた
    顔のほうを下に沈めて背中が出てるんだけど
    お寺で見る仏像とはまったく違って頭が大きくいびつな形をしてる
    木目が出ているとこがあるんで木彫りだと思った

    957: 本当にあった怖い名無し 2013/01/29(火) 22:27:42.45 ID:jNk3F+l20
    一人ではどうにもできないので家に戻ってじいさんを呼んできた
    じいさんも始めて見るらしく、首をひねりながら人を集めて引き上げてみると言った
    俺はもう学校にいく時間になってたんで家に戻った
    ・・・どうなったか気にしながら学校から帰るとじいさんが待ってて
    像を引き上げて町の神社脇のおみこしなんかをしまってる倉庫にとりあえず入れた
    神主にも見せたけど何ともわからなくて、県都の大学の先生に連絡した
    気になるだろうから今から見にいってみないかと言った

    じいさんと連れだっていってみると倉庫の鍵は開いてて
    おみこしや消防団のポンプ車がある奥に今朝の像が立てかけてあった
    像は貝や海藻なんかをこすりとってきれいになっていたが
    あらためて見るとやっぱり奇妙な形をしてる
    頭が大きいと思ったのは兜でのたくったような飾りがついてて
    その下には目が落ちくぼんで長い顔がある
    日本のものではないのかもしれないと思った
    胴の真ん中あたりがぐるりと何かでこすれたようにささくれだっている
    すごいものを見つけたのかもしれないと思ってちょっとワクワクした

    その夜、像を置いた倉庫から道をはさんだ向かいの家が火事になった
    せまい町なので消防車が走れば町の人はみんな外に出てくる
    気づくのが早かったせいか火事はボヤ程度で済んだけれど原因は不明
    検証では外から火が広がっているとのことだったので、放火が疑われてるという話だった
    たまたま消防ポンプにも貯水池にも近かったんで他に延焼はなかった

    958: 本当にあった怖い名無し 2013/01/29(火) 22:28:31.85 ID:jNk3F+l20
    数日後に火事を出した家の奥さんと高校の同期だった母親が奇妙な話を聞いてきた
    火事になった夜に洗濯物を居間に干していると、コツコツと縁側のガラス戸を叩く音がする
    何かと思って見にいってみると、暗闇の中からぬっと顔が出てきてサッシに外からはりついた
    顔は日本人には見えず、両目はぜんぶ白目だった
    その時に北国の厚いサッシごしなのに「さむい、さむい」という声が聞こえてきたそうだ
    あっと驚いて後ろに倒れたときに、車庫の前から火の手が上がってるのが見え
    なんとか叫び声をあげて家人を呼び、119番通報をした
    消防にこの話をしたら、放火犯かもしれないからと警察もまじえていろいろ聞かれたそうだ
    ただ奥さんは母親に、あれはぜったい生きた人間じゃなかったと強調してたという

    それから数日して、初雪が降った日の夜に変な夢を見た
    腹のあたりがすごく痛くて、下を見るとぐるぐる縄で柱か何かに縛られていて身動きがとれない
    疾走感があって潮風が風にあたるんで前を見ると荒れた海がある
    船の舳先に縛りつけられているんだとわかった
    両手は縛られていないんだけど、神社でおがむように手を合わせた形になってて動かせない
    なんとかてのひらを話そうともがいているうちにも波がどんどん通り過ぎていく
    背後で「ジーサイ、ジーサイ」と何人か叫んでいる太い声が聞こえる

    かなりの時間あばれていた気がするが、やっと手のひらがはずれて
    その拍子に目が覚めたと思った
    目を開けるとすぐ前に顔があった
    小さい電球しかつけてないのにはっきりと見えた
    顔はつるっとした坊主頭でぬれていて、大きな目はどっちも白目
    片方がぷちゅっとはじけて中から船虫が這い出してきた
    顔はだんだん下がって俺の肩のあたりにきて
    耳もとに口をちかずけて「・・・さむい、さむい」と言った
    そのときサイレンの音がして今度は本当に目が覚めた
    部屋を見回しても何もいなかった 夜中の3時過ぎだった

    959: 本当にあった怖い名無し 2013/01/29(火) 22:29:24.97 ID:jNk3F+l20
    自分の部屋から下に降りると、家族も起き出してきてた
    俺はさっきの夢の話をするまもなく、防寒をしていっしょに外に出た
    この前のボヤのときより騒然としていて、そうとう大事のような感じがした
    家族と気配がするほうに歩いて行くと通りにはぞろぞろ人が出ていて
    火事は神社だということを聞いた
    人の流れについていったら、高く煙が上がってるようだ
    さらに近づいたら火がちらっと見えたが、それ以上は規制されていて進めなかった

    後日わかったところでは神社は全焼
    それからあの像を置いていた倉庫にも燃え移り、近くの家にも被害があったが
    幸いなことに死傷者はなかった
    倉庫は完全に焼けていてあの像も燃えてなくなってしまったのだと思う
    今回も放火の疑いが強いということで長い間捜査があったらしいけど
    いまだに犯人は捕まってないんだ

    960: 本当にあった怖い名無し 2013/01/29(火) 22:54:36.96 ID:+10wz2me0
    船にくくりつけられた人柱の霊かな?
    怖くて気持ち悪い話だ

    964: 本当にあった怖い名無し 2013/01/30(水) 01:35:04.16 ID:LL1NbssG0
    木造船の船首像だなそれ。

    968: 本当にあった怖い名無し 2013/01/30(水) 22:19:15.95 ID:gEe6pRSs0
    ジーサイは北前船の持斎だろ
    船首に縛りつけられて嵐がこなけりゃ金もらえるというやつ
    古くは三国志に出てくる持衰だろうな

    979: 本当にあった怖い名無し 2013/02/02(土) 15:25:22.99 ID:P4JgGvg30
    殺生はいいな
    小学校4年生の夏休みのことで、今でもよく覚えてる。
    川と古墳の堀をつないでる細い用水路があって、そこで一人で鮒釣りをしてたんだ。
    3時頃から始めたんだけど、いつになくたくさん釣れるので面白くてやめられなくなった。
    だんだんあたりが薄暗くなってきて、日の長い時期なので7時近かったと思う。
    そろそろ帰らないと怒られるな、もう一匹だけ釣ったらやめようと思っていたら、
    ガサガサと藪を踏み分ける音がして、川原の丈の高い草の中を何かが近づいてくる音がする。
    人が通るような道はないので動物かと思ってちょっと身がまえたが、
    出てきたのは自分の父親より少し年上くらいのおじさんだった。
    おじさんは神主さんのに似た上下白の着物を着て、
    顔は大人なんだけど小学生の自分と同じくらいの背丈で、頭に黒くて長い帽子をかぶってる。
    それが烏帽子というものだとは後でわかった。

    はじめは怖いという感じはぜんぜんしなかった。
    おじさんはにこにこ微笑んでいてとても優しそうにみえたから。
    おじさんは体についた草の葉を払いながら「ぼうや釣れるかい?」と聞いてきたので、
    「はい、釣れます」と返事をすると「ちょっとお魚見せてくれるかい」と言いながら歩み寄って魚籠を引き上げ、
    「ほーう大漁だねえ。いくらかもらってもいいかな」
    そしてこちらの返事も待たずに魚籠の中から一番大きい鮒を二本指ではさんでつまみ上げ、
    「いただくよ」と両手で抱えて頭から囓り始めた。バリバリという骨の砕ける音が聞こえてくる。
    おじさんは「いいな、いいな、生臭いな」と歌うようにつぶやいて頭のなくなった鮒を草の上に捨てた。
    自分が呆然と見ていると「殺生だよ、殺生はいいな、いいな」と言いながら、
    魚籠の上にしゃがみ込んで、今度は両手をつっこんで2匹の鮒を取り出すと、
    こちらに背を向けるようにして、交互に頭を囓りだした。
    やっぱりバリバリゴリゴリと音をたてて頭だけ食べている。生臭い臭いが強くした。

    980: 本当にあった怖い名無し 2013/02/02(土) 15:31:00.19 ID:P4JgGvg30
    魚を捨てると立ち上がってこちらを振り向いた。
    にこにこした顔はそのままだが、額と両側の頬に鮒の頭が生えていた。
    鮒はまだ生きているようでぱくぱく口を開けてる。
    「ああーっ」と声を上げてしまった。ここから逃げなくちゃいけないと思ったが、体が動かない。
    おじさんは動物のような動きで一跳びで自分の側まで来て、「ぼうやももらっていいかな」と言って肩に手をかけてきた。
    思わず身をすくめると、同時におじさんのほうも弾かれたように跳び離れた。
    そしてこちらを見て不審そうに首を傾げ「・・・ぼうや、神徳があるねえ、どこかにお参りにいったかい?」
    そう言うおじさんの顔から目を離せない。
    すると急におじさんの顔が黒くなり、吠えるような大声で「どっかにお参りにいったかと聞いてるんだ」と叫んだ。
    気おされて「・・・この間お祭でおみこしを担ぎました」と、なんとか答えると、
    おじさんは元のにこにこ顔に戻って「そうかおみこしねえ、ふーん残念だなあ、じゃ20年後にまた来るよ」
    ゴーッと強い風が顔に当たって、目をつぶってもう一度開けるとおじさんの姿はなくなっていた。

    体が動くようになったので釣り道具をぜんぶ捨てて家に逃げ帰った。
    家族にこの話をしたけど、何を馬鹿なことをという反応だった。
    母親が変質者かもしれないと少し心配そうにしたくらい。
    翌日中学生の兄といっしょに昼前に堀にいってみたら、釣り竿なんかは草の上に投げ捨てられたままになっていた。
    ただ魚籠に近づくとひどい臭いがして、中はどろどろになってあたりの水面に油と魚の鱗が浮いていた。
    その後はその古墳の堀には近づいていないし、特に奇妙な出来事も起きていない。
    ただもうすぐあれから20年になるんだ。

    992: 本当にあった怖い名無し 2013/02/04(月) 01:04:05.24 ID:KE4doozsO
    >>980
    神社に行って事情を話して、お祓いか御守りを貰うかした方がいい。

    913: 本当にあった怖い名無し 2013/01/22(火) 02:09:35.54 ID:ukgONhYC0
    高校の時の話。
    ある関西の地下鉄の始発の駅を通学に使用してた。
    下校時の15:00位のまだ明るい夕方に差し掛かるころだったんだけど、
    出発待ちの車内で音楽を聴きながら座りながらボーと車内を見てたら、
    190cm位の黒いフード付きマントを来た男?みたいな奴が、ゆらゆら揺れながら車内を歩いてくる。
    丁度、もののけ姫に出てくる、だいだらぼっちだっけ?あれみたいな感じで、
    竹馬に乗ったみたいに、のっそのっそゆらゆらする感じで歩いてくる。

    うわー、何か嫌な感じだなー?って思って、顔を下にして見ないようにしてたら、
    どんどん俺の前に近づいてくるんだ。

    で、俺の前で止まるんだよ。そいつ。で、下から覗き込むようにして顔を見てきたんだ。
    何かピエロというか、 Vフォー・ヴェンデッタって映画に出てくる仮面の男みたいに
    白塗りの黒ひげで表情が無いような顔が飛び込んできた。

    本当に声が出なくて、アワアワした感じになってたら、そいつそのまま次の車両に歩いて行ったんだけど、
    他の乗客は誰も気づいてないっていうか見て見ないふりというか、そのまま気に留めてないんだよな。

    で、例の男も俺にやったような事はせず、歩いているだけ。
    気味が悪くなって、そのまま電車を出て次の始発に乗ったんだけど、あれは何だったんだろう・・

    928: ◆/HPq4mSsdY 2013/01/24(木) 12:54:34.24 ID:16DkNnLVO
    お経
    俺が24才の頃の話。
    俺の実家はちょっとした関係で、ボンサン(お坊様)の知り合いが多い。
    出張途中のボンサンがウチに挨拶に立ち寄り、ウチは食事や酒、寝床を提供したりしてた。
    ボンサンの多くはよく酒を飲み、話が上手で楽しく、声も渋くて耳に心地よい。
    ウチでは母さんが一番信心深く、ボンサン達の来訪を歓迎していた。俺もボンサンと飲む機会は多かった。

    さて、俺の姉は昔から、純粋というか、感受性と思い込みの強い人だった。
    その頃姉ちゃんは、お経に凝っていた。自室で夜な夜なゴニョゴニョと詠んでいる。
    何でお経詠んでんの?と聞くと、
    姉「だって可哀想だから」
    俺「何が」
    姉「先月、猫の死骸を見たから。気持ち悪くて触れなかったから、ごめんって謝ってんの」
    1ヶ月もかいっ。呆れたが、放っておいた。姉ちゃんの場合、趣味とか遊びではなく本気だ。だから止めても続けるのは知っている。

    家族皆で放っておいたら、翌月もやっている。聞けば、可哀想の対象が増えていた。ニャンニャンワンワン…。
    そのうち、父さんも寝室でゴソゴソ始めた。般若心経だそうな。

    929: ◆/HPq4mSsdY 2013/01/24(木) 12:58:52.76 ID:16DkNnLVO
    多感な父さんは本やらCDやら買い揃え、姉ちゃんよりマメに詠む日々。
    でも、ウチは前からお経慣れしてるので、あまり気にならなかった。
    お経を詠むのは良いことだ、と母さんスルー。俺も、多少うるさいな、と思うだけでスルー。

    そんなある夜、母さんに電話があった。
    「あらー!お久しぶりです!」
    和やかな挨拶の後、しばらく真剣に話し込んでいる。
    と、母さんが姉ちゃんに電話を渡した。
    姉ちゃんは少し話して子機に転送、自室に引っ込んだ。
    浮かない顔の母さん。どしたの?と聞くと。
    母「あんたも知ってるでしょ、ボンサンのAさん」
    俺「あぁ、何度か飲んだ、優しそうな人。ワケアリだったなw。電話、Aさん?」
    母「うん。それがね…」
    聞けば、Aさんの用件は、Aさんの奥さんが至急、姉ちゃんと話したい、という。
    えっ、と思った。
    Aさん曰く、僧の身でありながら未熟者にて恥ずかしい限りだが、私は家内を信頼しております。
    また家内をよく知る○○さん(ウチ)のご家族に健やかであってほしいと思う。悩んだが、家内の話を聞くだけ聞いて頂けないか。

    930: ◆/HPq4mSsdY 2013/01/24(木) 13:02:08.18 ID:16DkNnLVO
    ワケアリとは。
    Aさんの奥さんはかなり霊感が強い。
    地方のボンサン数人、つまり身内で飲むと、たまにその話題が出る。
    だがそれは暗黙の了解で、内緒の話。Aさんも自ら吹聴しない。
    そりゃそうだ、ボンサンでも何でもないただの専業主婦が、霊を見る、聞く、あまつさえ鎮めることができる。
    極々たまに、やむを得ずそっち方面の相談を受けることもある。
    なんてことは、世間的に僧たる夫の徳や業をけし粒にする可能性がある。
    Aさんや奥さんの鎮魂は、やってることは同じだが社会はそう見ない。
    だから奥さんは極力何もせず何も言わず、専業主婦に徹している。

    その奥さんが突然、姉ちゃんに話があるという。
    「ちょっと様子を聞くだけですから」
    と付け加えたAさんだが、母さんは既に深刻。

    931: ◆/HPq4mSsdY 2013/01/24(木) 13:06:02.18 ID:16DkNnLVO
    姉ちゃんは30分くらい話しただろうか。居間に降りてくると、
    「お経やめなさいって」
    あっけらかんと言って子機を母さんに渡した。事情を聞くと。
    姉ちゃんのお経は既に幾つかの善くないものを集めており、まだまだ増えるという。
    姉「それはダメなことなんですか?」
    奥さん「いけません」
    姉「では、どうすれば良いのですか?」
    奥さん「お経をやめて、さようならって思うと良いですよ。姉子さんの優しい気持ちは、皆にもう十分伝わってるの」
    姉「はい…」
    奥さん「だから、今度は元気よくお別れしてあげるといいですよ。今、ちょっとやってみる?」
    で、しばらく2人でさようなら、元気でね、と口に出してお祈りしたそうな。

    姉「もうお経やめるー」
    良くも悪くも素直な姉ちゃん。
    俺「えーと、その、集まっちゃったやつは?どうなるの?」
    姉「電話してる間にみんな居なくなったって」
    すげーなおい。
    電話で除霊かい。つかその前の霊視すげーな、距離関係なしでこっちの状況わかるんか(かなり遠方)。
    つか俺の隣の部屋にそんなのワサワサ居たんかい。

    932: ◆/HPq4mSsdY 2013/01/24(木) 13:09:47.68 ID:16DkNnLVO
    お礼を言って電話を終えた母さんが、姉ちゃんに、良かったね、気を付けようね、Aさん夫婦に感謝しようね、と。
    だが母さんちょっとションボリ。信心深いだけに、お経もいろいろ、思うところもあろう。
    俺「まぁ、何事もなくてよかったじゃない」
    母「姉子はいいのよ」
    俺「……ぁ」
    もう1人居るじゃん、般若心経!
    俺「父さんは!?つか今2階でしょ、やってるよ今っ」
    母「それは…、いいんだって」
    電話を終える前、母さんが父さんについて聞くと、奥さんは言葉を濁しに濁したが、要するに。

    父さんのお経は信心が極めて弱く(つまり無い)、善いも悪いも何も呼んでない。だから放っておいてよし。
    …父さん…。
    でも奥さん曰く、それでも良いらしい。
    信仰の自由。

    父さんはしばらくしたら、お経をやめた。
    父「姉子みたいになったら大変だからなぁw」
    いやいや、あんた飽きただけでしょう、というのが3人の共通見解。
    父「それより、今度アヒルを飼おうと思うんだ」
    理由を聞くのが面倒くせー!!

    以上、長文失礼しました。

    72: 本当にあった怖い名無し 2013/02/18(月) 16:22:37.09 ID:nsvAsXxg0
    名無しさん
    霊体験じゃないからここに書いてもいいのか分からんけど書かせてもらいます。
    若い頃とあるスナックに勤めてた。
    基本的に客層の良いお店だったが、まれに変なお客さんもいた。
    ある晩一人でふらりと来店したお客さんの話なんだけど、名前は名無しさん。
    なぜ名無しなのかは読んでもらえればわかると思う。

    名無しさんは20代前半の若いお客さんだった。
    だけど金回りが良いのか金払いの良いお客さんだった。
    一見さんはどんなお客さんか見るため客あしらいのうまい私が担当していた。
    一度目の来店で高い酒をボトルキープし店で一番高いつまみを頼み、
    ホステス全員に寿司まで振舞ってご機嫌で帰って行った。
    二度目の来店でボトルが空いたので、さらに高いボトルをキープ。
    店にいるホステス全員にチップを渡し、これまたご機嫌で帰って行った。
    三度目の来店でボトルが空き、同じ酒をキープしつまみもじゃんじゃん頼んだ。
    会計時に「今日はお金ないからツケでいい?」って言ってきた。
    対応をマスターに代わってもらったら、マスターが名刺をいただけますか?って言ってた。
    因みに来店してからの二度とも仕事についてや名前について聞いたけどはぐらかされてた。
    だからニックネームやボトルネームは名無しさんだったのだ。
    名無しさんは名刺はちょっと切らしてるとかもごもご言っていた。
    しかし名前も職業もわからない人のツケは流石にちょっと…とマスターも断った。
    名無しさんは今度来たら必ず払いますからって土下座までして頼み込んだ。
    マスターもこれには折れて、と言うかもう現れないだろうって感じで半分諦めてツケを了承。
    変な空気のまま名無しさんは帰って行った。

    続きます。

    73: 本当にあった怖い名無し 2013/02/18(月) 16:23:42.91 ID:nsvAsXxg0
    続きです。

    連日来てた名無しさんが現れなくなって一週間以上たって、
    やっぱこのままバックれられちゃうんだろうなって思ってた頃名無しさん来店。
    私もマスターもまさか来てくれるとは思ってなかったので嬉しくなって満面の笑みでお迎えした。
    名無しさんが喜ぶ話をしたり笑える話をしたりして楽しく盛り上がった。
    その日もホステスに寿司を振舞いチップを渡しツケの分も払ってご機嫌で帰って行った。
    名無しさんが帰ってから名無しさんが座っていた席を整えるためにカウンターを出て席を戻そうとした。
    しかし椅子が入らない。
    「?」って思いながらカウンターの下を覗き込むとカウンターの底にアイスピックがぶすっと刺さってた。
    「もしかして気に入らない対応してたらこれで刺されてたの…?」ってガクガクしてたら店のドアが開いた。
    ビクッとしてそっちを見たら警官二人と私服警官みたいな人が入ってきた。
    用を聞くと、隣の店が客にアイスピックを盗まれた、アイスピックを持った客は来なかったかという。
    私はアイスピックってこれですか?ってカウンターの下を指差した。
    警察はそれを抜いてこの男は要注意人物なので気を付けてくださいとだけ言って帰って行った。
    もう捕まっているのか、それともまだ捕まってないのか分からないけど警察は犯人が分かってるようだった。
    マスターが追いかけて行ったあれこれ聞いたらしいが名無しさんの事は何も教えてもらえなかった。
    だから名無しさんはいまだに名無しさんのままだ。

    7: 本当にあった怖い名無し 2013/02/04(月) 23:12:36.68 ID:JE37JMZS0
    河原のホームレス
    10年ほど勤めた会社を辞めた。
    その間の事情は関係ないんで省くが、それなりに貯金もあったし再就職を誘われてもいた。
    家族があるわけでもないし、数ヶ月は精神的な充電と体のメインテナンスにあてようとジム通いを始めた。
    やってみたら思った以上に体がなまってることがわかった。ただランニングマシンは単調で好きになれない。
    そこでジョギングをしようと思った。日中は気恥ずかしいので夕方から走ることにした。
    コースはたしか河原沿いに市が造ったランニングコースがあったはずなので、スポーツウエアて行ってみた。

    そこに来るのは数年ぶりだったが、ホームレスの青テントが増えているんで驚いた。
    前は数百メートルおきに一つくらいだったのが、数十に増えてる。どこかの公園から追われてきたのかもしれない。
    走る人はほとんどいない。これはちょうど会社からの帰宅時間頃のせいなのかもしれないが、
    ホームレスが増えて治安に不安があるのが大きいのだろうと思った。
    ゆっくり走っていると前のほうで人だかりがしている。炊き出しのようだった。

    薄暮の中を近づいて見ると、20代後半くらいの男女が5~6人、長机にカセットコンロを置いて鍋をかけ、
    十数人の列に並んだホームレスにおかゆのようなものをふるまっていた。
    名前はわからないが外国のハーブのようなにおいがあたりにただよっている。
    その男女は皆、白いトーガ?のようなものを着てそれには胸に一字梵字のマークが入ってる。
    何かの宗教団体の事前行為なのだろうと思った。
    そのとき立ち止まっていた俺の肩を後ろからかすめるようにして、足早に前に出て行った人がいた。
    僧侶のような衣の大柄な人物で、髪は剃っておらずオールバックにしていた。

    8: 本当にあった怖い名無し 2013/02/04(月) 23:13:34.41 ID:JE37JMZS0
    僧侶風の人は炊き出しの机の前に来ると、「まだこんな非道なことをしてるのかっ!」と一喝した。
    宗教団体のメンバーは、その人の存在がないかのようにそちらを向くこともしなかったが、
    続けてその人が呪文のような声をたてると体ががくがくと揺れた。
    列に並んでがやがや話していたホームレスの人たちは困惑したように押し黙った。
    すると宗教団体の簡易テントの後ろから、
    スーツを着た中背のサラリーマン風の男が歩いてきて僧侶風の前に立った。

    僧侶風はリーマン風に向かって「いつまでこんなことを続ける。復活などあたうものではない
    この世に必要がないのはお前たちのほうだ」と怒鳴りつけた。
    リーマン風はまったく意に介した様子もなく、
    「あなたとはいく道が違うんです。それにこの宗教団体の人たちは何も知らないし、もう必要分は済みましたから」
    と激する風でもなく、ごく事務的な口調で言った。
    そして「じゃまする気でしょう。べつにいいですがうまくいきますかねえ」そう付け加えると、
    若い男女にかたづけろというような合図をし、今度は列のホームレスのほうを向いて、
    「みなさん!炊き出しは終了です。すみませんね、このお坊さんがやめろと言うので。また来ますよ」そう告げた。

    男女らはあわただしく片付けをはじめ、ホームレスたちは不満をもらしながら散らばっていった。
    それからしばらく僧侶風とリーマン風は向き合っていたが、
    リーマン風はくるりとふり向いて、テントのほうにゆっくり歩み去った。
    僧侶風は「けっ!」というような声を出して、
    それから後ろに立っていた俺に始めて気がついたというように声をかけてきた。
    「あんた・・・こちらが非道い人間だと思ってるだろう。せっかくの炊き出しをやめさせるなんてな」

    9: 本当にあった怖い名無し 2013/02/04(月) 23:14:32.98 ID:JE37JMZS0
    「まあどちらがどうかなどどうでもいい。それよりやらなくてはいけないことができた。
    道理を直すために。あんた午前2時頃にここにこれるか?手伝ってもらいたいことがある。
    あんたが想像もできないようなことが見られる」その口調には有無をいわせない呪文のような響きがあった。
    夜中の2時なんてキチガイ沙汰だと思ったが、どうせ明日何かやることがあるわけでもない。
    それにまだ寒い季節でもないし、ここまでの出来事を見ていて好奇心がわき上がってもきていた。
    それで「・・・いいですよ」と答えてしまった。

    2時前に懐中電灯と半分に短く切った木刀を持って約束していたランニングコース脇の休み屋に向かった。
    川向こうの町並みもおおかた消えていて物音はほとんどしない。
    月はないが街灯がコース沿いにいくつかあって真っ暗というわけではない。
    休み屋では僧侶風の男が待っていたが、俺の手にしている半木刀を見てせせら嗤うように、
    「そんなもの持ってきたのか、不審尋問されたらまずかっただろう。それに物理的な力は役にたたない」と言った。
    俺が「剣道をやってたんで、まあ・・・」とあいまいな答えをすると「ふん、修行は少しは役に立つか」と鼻を鳴らした。

    それから俺をうながして、ホームレスのテントが固まっている一画に歩いていった。
    そこは川沿いに木立が少しあって風がいくらか防げるようだ。ホームレスたちも完全に寝静まってる。
    「もうすぐ川をお迎え船が流れてくる。あの炊き出しのお粥がさそい水になってるんだ。
    粥を口にしたものの大半はのっていってしまうだろう」
    そうささやいてきたが、意味がわからないのでだまっていた。
    川は両岸が笹などの藪で、そこは大きく蛇行した先になっててある程度までしか流れは見えない。

    10: 本当にあった怖い名無し 2013/02/04(月) 23:15:20.80 ID:JE37JMZS0
    そのときかすかにトントンと机を指で叩く音が聞こえてきた。そしてその音はだんだん強くなっていく。
    法華の太鼓を連想させるような音だ。「そら来るぞ」と僧侶風がいった。
    何かが川の蛇行を曲がって流れてきているようだ、白っぽくて大きいものではない。
    僧侶風が俺をうながして草の中を水面近くまで走って近づいた。護岸ブロックがあるところまでくると足元がしっかりした。
    流れてくるものが見えてきた。1mくらいの木と紙でできた船。
    前にテレビで見た、紙の武者人形と子どもの願い事を書いた紙をのせた鹿島流しという伝承行事の船に似ている。
    それが十数個、どこにも引っかからず集団で流れてくる。船の上には埴輪のような小さな泥人形がひしめいて立ってる。

    そのとき、ホームレスたちのテントから動くものの気配がする。
    一つまた一つと四つんばいの影がテントから出てきて近くの水面に向かっていく。
    俺たちにやや近いところにきたホームレスがテトラポットの上に寝そべって顔を出し、声を上げて吐き始めた。
    あちこちで嘔吐の声と、どこから聞こえるのかわからない太鼓の音がする。
    「時間がない」僧侶風はそう言って懐から金色に見える棒を取り出した。

    「これを船の固まっているどこかに投げてくれ。私は肩を痛めているので届かない。
    これ一本しかないから外さないように十分近づいてからやってくれ」とそれを俺に手渡してよこした。
    思ったより軽く複雑な形をしている。金属に見えたが木製のようだ。
    近くで吐いていたホームレスが水を飲もうとしたのか、前にはいずっていって水の中に落ちた。
    そのままバタフライのような格好で体を上下に激しく揺らしている。

    11: 本当にあった怖い名無し 2013/02/04(月) 23:17:14.44 ID:JE37JMZS0
    「まずい!もう投げろ!!」と耳もとで言われて、船団まで20mくらいか。
    俺は足場を確認して慎重に投げた。棒は宙を飛んでいるところは見えなかったが。
    船団の中ほどで水音がした。
    その瞬間「おーーん」という魂消るような響きがして太鼓の音が消え、
    船団は川の流れを無視してその場にとまり、濡れた紙が破れるようにグズグズと沈み始めた。
    「破れたぞ、よし」と僧侶風が俺に向かって言った。

    僧侶風がパンと手を叩くと近くのホームレスが立ち上がって黙ってテントに戻っていった。
    僧侶風はあちこち歩き回って手を叩き、川に落ちている人は体の一部を無造作につかむと軽々と岸に引き上げた。
    すごい力だった。俺が「肩を痛めてるんじゃ・・・」と言うと、
    「そんなこと言ったか」と、とぼけた口調で答えてきた。続けて「この場はこれで済んだが、きりがないな」
    そして俺の顔を見て「質問したいだろうが、答えられない。ただ・・・あんたは善根を積んだ」と言った。
    ふっと川面を見ると、もう何も見えなかった。
    俺が重ねて「どうして自分で投げなかったんです?」と聞くと、「剣道、十年以上やったんだろう」とだけ答えた。

    後日談としては、2週間ほど後、大々的な行政の強制撤去があり河原のホームレスはいなくなった。
    俺は再就職し、僧侶風にもリーマン風にもあれ以後一度も会っていない。
    ただしあの宗教団体と同じと思われる人たちが駅前で募金をしているのを何度か見かけた。

    22: 本当にあった怖い名無し 2013/02/05(火) 03:53:48.92 ID:9R2WkVNw0
    バス釣り板「釣り場であった怖い話 第5夜」より転載


    658 :霊能犬ゴロ:2012/04/20(金) 00:32:40.83

    これはうちの飼犬とハタメイワクな友人の話。

    うちは柴犬(♂)を飼っている。
    今年で10歳になるのでけっこうな老犬だ。
    名前はゴロ。今どきこんな昭和的な名前を付けるのもどうかと思うが我が家では犬の名前は「チビ」「ゴロ」「ジロ」のどれかに決めてるらしい。
    理由を親に聞いてみると
    「この名前を付けると、我が家ではどういうわけか長生きしてくれるから」
    とのことで、まあ縁起担ぎみたいなもんだろう。

    ところで犬というのは面白いもので、時々何もない空間に向かって吼えたり、そうかと思えば突然尻尾を巻いて逃げたりする。
    うちのゴロはどうも他の犬に比べそういう不思議行動が多いようだ。
    犬は嗅覚と聴覚が発達しているので人間には感知できない臭いや音に反応しているだけだと言う人も多いがうちのゴロはどうもそれだけではないらしい。
    ゴロは風下の何もない空間に向かって吼えることも多々ある。

    23: 本当にあった怖い名無し 2013/02/05(火) 03:55:11.36 ID:9R2WkVNw0
    ゴロがまだ小さい頃の話、公園を散歩しているといつものようにゴロが空中に向かって吼えた。
    「ほぉ、それが見えるか」
    突然言葉をかけられ声の方向を見るとオッサンがいた。
    「何が見えるんですか?」
    そう聞くとオッサンは
    「なんだかよくわからないものが見えるよ」
    そうこたえた。
    「幽霊とかですか?」
    「さあ、なんだろうね。わしには見えてるというだけでその正体まではわからんよ」
    「どんな形ですか?」
    「なんかモコモコして雲みたいなやつだよ」
    なんか胡散臭いオッサンだな・・
    そう思ってたらオッサン俺の心を読んだのか
    「犬連れて向うの桜の方にいってみな」
    「行くとどうなるんですか?」
    「さあ?吼えるか逃げるか尻尾ふるかどうなるかはわからんw」
    なんなんだと、まだ空中に向かって吼えているゴロを引きずって桜を目指す。
    が、途中からゴロが自ら走って桜に向かった。
    しかし途中でピタリと止まり全力で桜に向かって吼えた。
    俺はなおも桜に近づこうとゴロをひっぱると
    キャイン!
    ゴロは情けない声で鳴いてその場から逃げようとした。
    俺はまたオッサンのところに戻って聞いてみた。
    「いったい何が見えてるんですか?」
    「動物ぽい何かだな。でもよくわからん。クッキリと見えるわけじゃないんだし、見えても正体わからんだろうな。ワシはオカルトの専門家じゃなくただ見えるだけだから。」
    そういってオッサンは去っていった。
    このことがあってゴロには常人には見えない何かを見る能力がある霊能犬であることを確認できたわけだ。

    24: 本当にあった怖い名無し 2013/02/05(火) 03:56:39.16 ID:9R2WkVNw0
    さて俺には自称霊能者の友人もいる。
    こいつは本当に迷惑なやつで例えば高校の時に修学旅行で宿泊先のホテル抜け出して浜辺に遊びに行った時、
    「うわああああああ、悪霊がいっぱいいるぅ!やめろ、こっちくるなぁぁあああ!」
    と、突然大声で叫んだ。
    周囲はけっこう人がいて、何事かと視線が集まる。
    気の短いクラスメートたちが
    「この野郎、何が悪霊じゃい、楽しい気分に水をさしやがって!」
    激怒して自称霊能者の友人をフルボッコにした。
    困ったことにホテルに戻ってからも
    「さっきの悪霊が付いてきてるぞ!おまえに憑いてる!ぎゃあああ!」
    と調子はかわらずでまたフルボッコにされる始末。
    結局最後は
    「見えないやつはいいよな、おまえらには俺の苦悩は永遠にわからん!」
    と捨てゼリフを吐く自称霊能者の友人だった。
    こんな調子がずっと続いて今にいたる。

    ところで俺はバス釣りに行く時は必ずゴロを連れていく。
    ボートにゴロを乗せて深山のダムで釣りをする、これがなんだか自分的にはかっこいいような気がする。
    しかしそこは霊能犬だけあって俺には見えない何かに向かって吼えることがシバシバある。
    それが絶好のポイントだったりすると迷惑なことこのうえない。
    ある時、吼えまくるゴロを無視してワンドの奥までボートを進めた時のこと。
    かつてない程激高するゴロ。
    それでも無視したら
    ガサゴソ・・
    水際の草が揺れてノソっと出てきたのは・・クマ!しかも子連れ!
    子連れのクマが危険なことは俺でも知ってる。
    慌ててボートを反転して離脱!
    数日後、この地区でクマによる被害がニュースで流れた。
    ゴロはリアルな危険も事前に察知してくれるので、あまり無視はできない。

    25: 本当にあった怖い名無し 2013/02/05(火) 04:35:49.07 ID:9R2WkVNw0
    そこへ自称霊能者の友人である。
    これはヤツがバス釣りを始めた頃の話。
    当時自称霊能者の友人はボート持ってるバス釣り仲間の間を渡りしながら釣りしいた。
    が、そこはそれ自称霊能者なので釣りをしてると必ず
    「おまえの目の前に落ち武者の霊がいるぞ!ぎゃああああああ!!!」
    と相も変わらずのようで当然皆から敬遠されていった。
    そしてとうとう俺のところに自称霊能者の友人が回ってきた。
    今までは「犬を一緒に連れてくから無理」と断っていたがついに知り合い全員に無視されるようになり頼れるのが俺だけになってしまったわけだ。
    霊能犬ゴロと自称霊能者の友人の素敵なコラボ、どんだけボート上が煩くなるんだよ・・・考えただけでうんざりする。
    忘年某月某日、午前3時頃にゴロと自称霊能者の友人乗せ車を出した。
    やっぱりというかなんというか自称霊能者の友人は
    「い、今、電柱のカゲに女がいたぞ!」「なんだかイヤな予感がする、この道は通らない方がいい」「ひぃ!今の見たか!?そっか見えないか、いいな見えないやつは」
    ずっとこんな調子の道中だが、どうやら事故らずに目的地のダムについた。
    ジョンボートを車から降ろしエレキ・船外機を取付け午前4時40分ころ出航。
    友人が早速
    「ぎゃああああああああああああ!!!!」
    とやってるが無視。
    幸いなことに俺らがこのダム一番乗りだったようで周囲の視線を集めるようなことはなかった。
    それでも付近に民家でもあれば通報されていたかもしれない。
    それからしばらくして今度はゴロが立木に向かって吼え始めた。
    煩いので立木をスルーしようとすると
    「おい、あの立木まわりは攻めないのか?」
    と自称霊能者の友人。
    「ああ、ゴロが煩いからな」
    そう言ってからハタと気がついた。
    ゴロには見えているものが自称霊能者の友人には見えていない?
    そういえば今まで自称霊能者の友人が指摘したものについてゴロが反応したことは一度もなかった。
    てことは・・・
    やっぱりこいつは無霊能力者だったか。今までの騒ぎは全部嘘だったんだな。まあそんなこったろうと思ったけど。
    溜息をつくも心優しい俺はそれを指摘せず知らないふりをしてやった。

    26: 本当にあった怖い名無し 2013/02/05(火) 04:37:39.93 ID:9R2WkVNw0
    ところがだ、もう少し先に進んだところで
    「おい、この先に行くのは止めとけ」
    今までにない真顔で自称霊能者の友人が言う。
    また始まったとウンザリする俺。
    「この先が一番のポイントなんだけどな、そういうのちょっと自重してくれよ」
    そう言って無視して進むと今度はゴロが
    ガルルルルルゥ・・・
    進行方向に向かって唸りだした。
    「・・・・・・・」
    自称霊能者の友人は一点を凝視して固まってる。
    また見えてるフリか? いや、それにしてはゴロのこの反応は・・・
    というか、俺自身もなんか不安な気持ちになってるのはなんでだ。
    「きたっ!ひぃ!」
    自称霊能者の友人の悲鳴、と同時に
    ガゥ!
    今までに無いようなドスの効いた声でゴロが吼えた!
    それで全てが終った。
    吼えたあとゴロは一点を見ていたが、すぐ座り込んで後ろ足で頭を掻いた。

    27: 本当にあった怖い名無し 2013/02/05(火) 04:39:43.98 ID:9R2WkVNw0
    「この犬すごいな」
    「なにがだ?」
    「こいつが吼えた瞬間悪霊が消滅したぞ」
    俺はゴロが他の犬に比べて霊能力が強いっぽい霊能犬であることを説明した上で聞いた。
    「おまえ、見えてるフリしてただけじゃなかったの?本当に見える人なの?実際のとこどうなんよ?誰にもバラさないから言ってみ?」
    結局自称霊能者の友人がこれまで散々言ってきたことのほとんどは虚言(本人は何かいる雰囲気は感じているいるとか)で実際には何も見えていないことがほとんどらしい。
    ただ時としてとてつもない何かと遭遇したときはよく見えるのだとか。
    全てのモノを見ることはできないが、常人も不安を感じるほどのとてつもない相手なら見えるらしい。
    ようするにこいつは霊能力者には違いないが最低ランクの微霊能力者なのだ。
    その中途半端な能力が災いして、子供の頃、たまたま見えた幽霊だか妖怪を大騒ぎしたところ一躍クラスの人気者となり以後虚言癖になったようだ。
    「なあ、俺の前では見えたふりするのはやめてくれよな。けっこう迷惑だから。」
    「すまん、今後はハッキリ見えた時だけにするよ。それより俺が本当に見えるってことを理解してくれただけでも嬉しいよ。」
    「で、さっきのやつはどんな姿してたんだ?」
    「黒煙みたいな長いやつだったよ、大きさは変幻自在な感じ。」
    「本当に悪霊?」
    「実際はわからないな、悪霊なのか妖怪なのか、それとも人間が発見してない未知の領域の生物なのか」
    この手のものは霊の類いと決めつけ気味だが、なるほど、未知のUMAって可能性もあるんだな。
    「あ、でも犬に吼えられたくらいで消滅するんだから案外大したことないんじゃね?」
    「さあ?でも常人のおまえを不安にさせるほどの相手が大したことないとも思えないけどな」


    それからは自称霊能者の友人はムヤミに叫ぶことは無くなった。
    俺とゴロと自称霊能者の友人はこの日以降も一緒に釣りに行っていろんなモノと遭遇していくことになる。
    ただ残念なことに遭遇はしても俺自身は全く見えないのだが。


    おわり

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    コメント一覧

    1  不思議な名無しさん :2019年04月26日 23:33 ID:JKp.waFJ0*
    柴だけにシバシバ…ってやかましいわ!
    2  不思議な名無しさん :2019年04月26日 23:51 ID:5U9T9lES0*
    『嘘つき』『奇妙な像』『名無しさん』➡慰安婦像かな?((笑))
    3  不思議な名無しさん :2019年04月26日 23:57 ID:WOpI4cc.0*
    ボンサンは地方の言葉で、修験者や聖と言われる自称宗教者のこと。
    僧侶の仕事に出張はないし、僧侶の家族が霊感あったっておかしなことではない。
    だいたい僧侶が霊を見て鎮めるなんて、あると思ってんの?鎮める、祓うは神道の言葉だ。
    僧侶は還浄の手伝いをするだけ。
    悪霊だろうが善人だろうが、一緒のところに還す。
    鎮めたり払ったりしたら、別のところに行く。
    だから神域でやらないと危ない、ってだけ。
    4  不思議な名無しさん :2019年04月27日 00:07 ID:TWke9L8o0*
    なんであったばかりの見ず知らずの男に、夜中に来い、手伝え、とか言うんだよ。
    そんでホイホイ行くんだよ。
    僧侶風も語り手も頭沸いてんじゃね。
    5  不思議な名無しさん :2019年04月27日 00:14 ID:W6WXtDWW0*
    オールバックの僧侶って何だ
    6  不思議な名無しさん :2019年04月27日 02:24 ID:5hFXIrRO0*
    怖くも面白くもない創作駄文ばかり
    7  不思議な名無しさん :2019年04月27日 05:57 ID:R4pTcgqh0*
    創作だろうけど読み物としては全部楽しめた
    8  不思議な名無しさん :2019年04月27日 09:01 ID:GCCZyGNH0*
    真偽より読んでて楽しめるか否か
    読んでつまらないなら仕方ないが嘘だから創作だからつまらない、読む価値がないと文句言うのはどうかと思う
    そんなんじゃフィクションの映画や小説も楽しめやしない
    9  不思議な名無しさん :2019年04月27日 12:20 ID:TPyNHelx0*
    >>8
    彼らは嘘を嘘だと見抜く自分を楽しんでるんだよ
    それが今のインターネットでの流行だからね
    10  不思議な名無しさん :2019年04月27日 12:47 ID:q74aOLgT0*
    >>9
    逆だと思うぞ
    嘘を嘘と見抜けないから全方位に予防線はってる
    11  不思議な名無しさん :2019年04月27日 14:23 ID:Aww6wyut0*
    ググれば怖い話を集めるの楽だよ
    怖い話集め頑張ってね
    12  不思議な名無しさん :2019年04月28日 09:10 ID:Y4p0cL9i0*
    「嘘つき」はもしかしたら「バスケットケース」っていう昔のホラー映画がたたき台なのかな。
    なんか物悲しい話だね。
    「河原のホームレス」はいちばんマンガチックな分、説明不足で放り出された中途半端感がすごい。
    13  不思議な名無しさん :2019年04月28日 12:55 ID:A1xenq2x0*
    前半は不思議で不気味で面白いのが多かった
    14  不思議な名無しさん :2019年04月29日 11:34 ID:deqdef510*
    なんかこういうあからさまな洒落怖じゃなくてさあ
    実体験ぽい話がいいなあ
    名無しの客は面白かった
    15  不思議な名無しさん :2019年04月29日 15:21 ID:CGkXvYjf0*
    鮒の話、スティーブン・キングで似たようなのあったな
    16  不思議な名無しさん :2019年04月29日 15:31 ID:LuSc5CLE0*
    嘘つきの話は何気に伏線をひいてたりして構成がいい。怖がらせようとしてない文章が唐突にホラー全開描写になるのも驚いた。
    17  不思議な名無しさん :2019年05月02日 02:41 ID:mPKabOgD0*
    小説風はそれだけでまとめて欲しい
    白ける

     
     
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