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    【エヴァ考察】隠された「闇の秘教」で読み解く『新世紀エヴァンゲリオン』

    NEON GENESIS EVANGELION
    こんにちは。神出鬼没不思議.netライター、maximです。 

      前回寄稿した『君の名は。』の考察記事は大変好評で、Facebookのいいねも1万以上いただきありがとうございました。

      「感動した」「腑に落ちた」「監督はそんなこと言わない!」など様々な感想をいただき、中には新海監督かな?っていう人もいたりして、なんかすんません。でも全コメント読ませていただき、大変勉強になりました。 

    そしてなんと……前回の『君の名は。』考察記事を含めた不思議.netの記事が本になっちゃいました!記事終わりに詳細があるので、興味がある方は見てみてね!

     そんなわけで今回は、『君の名は。』考察記事でバッサバッサと謎を解決していったH氏こと半田氏に今度は「なるほどわからん」的作品のラスボスともいえる『新世紀エヴァンゲリオン』を解説していただこうと思います!

    目次
    • 怖いくらい当てはまる生命の樹の「セフィラー」とエヴァ登場人物
    • 知られざる秘教「ルーリアカバラ」で読み解くエヴァ
    • 人間界はゲンドウがつくった!?
    • 綾波レイ=物質界の象徴
    • 古代秘教を独占していた「謎の賢者」とエヴァ


    怖いくらい当てはまる生命の樹の「セフィラー」とエヴァ登場人物

    maxim(以下まき) 逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ… …  

    半田 おお、いきなりどうした? 

    まき エヴァなんて大作に首つっこんだら、次の日には第3新東京湾に浮かんでそうで……。 

    半田 どこだそれ(笑)。まあ、確かに熱烈なファンは多いよね。 

    まき 『エヴァ』って私がちょうど小学生くらいの時にやってて、当時はまったく意味がわかりませんでした。でもぶっちゃけ大人になっても、「で、結局何が言いたかったの?」「使徒って何?」とか疑問が尽きない作品で、それでも何か人を惹きつけてやまないパワーがあるんですよね。

    しかも『エヴァ』には半田氏が得意なオカルト要素が、それこそ『君の名は。』より分かりやすく登場してるじゃないですか。だから今回はぜひ、半田氏に『エヴァ』のオカルト要素を読み解いて欲しいのです! 

    半田 『エヴァ』かぁ…。強敵だなぁ。設定ヲタの連中も多いし、下手なこと言うと集中砲火を浴びそうだし……。

    まき そこをなんとか……!

    半田 よっしゃ、まかせなさい!じゃあ、いきなり結論から。ドン。

    エヴァ図


    まき !?!?


    まき なんですかこれ?どう見ても人物相関図ではないですよね?

    半田 エヴァのオープニングにも出てくるけど、まきしむは「生命の樹」って知ってる?

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    (Credit: ©カラー, Projecty eve)

    まき あ、上の人物相関図みたいなのは生命の樹か! 旧約聖書かなんかで、生命の樹の実を食べると、永遠の命を手に入れられるってヤツですよね?

    半田 そうそう。で、この生命の樹に描いてあるいくつかの円の意味が、実はエヴァの登場人物の役割とピッタリ当てはまってるんだよ。

    まき マジですか! 確かに作中にはリリスとかアダムとかそれっぽいワードがあったし、当時の考察班でも生命の樹との関係は指摘されてましたよね。でも各キャラと当てはめているのは見たことがない気がします。半田氏はこれがどう繋がっていると考えているんでしょうか?

    半田 エヴァと生命の樹のつながりを話すには、実はある隠された「秘教」の話をしなきゃいけない。知ってる人も多いと思うけど、この「生命の樹」というのは、カバラと深く結びついているんだ。

    まき カバラっていうと、「カバラ数秘術」とかは聞いたことありますけど、そのカバラのことですかね?

    半田 関係はしているけど、厳密に言うと違う。カバラっていうのはユダヤ教の神秘主義思想のこと。おおよその体系が整ったのは『ゾハール』っていう書物が書かれた13世紀くらいって言われてる。

    この『ゾハール』ってのは、ユダヤ教でも旧約聖書やタルムードに次ぐ第3の重要な書物として扱われていて、カバラにとっては聖典とも言っていいような書物なの。 

    まき ゾハールって、ネーミングからして何か見ちゃいけない感が漂ってていいですね…(ゴクリ)。  

    半田 だろ?(笑) でね、このカバラには大きく分けると、ヘブライカバラクリスチャンカバラっていう二つの種類があるんだ。   

    まき あら、カバラって一つじゃないんですね。 

    半田 うん、ヘブライカバラはユダヤ教徒が旧約聖書の解釈に使用するものなんだけど、クリスチャンカバラの方はキリスト教神秘主義としてのカバラ。まきしむが知ってるカバラ数秘術とか、ネットに載ってるようなカバラの情報は、たぶんこのクリスチャンカバラから派生してきたものだと思うよ。

    でも今回、僕がエヴァを読み解くのに重要だと思っているカバラは、この2つともまた違ってて、あまり世間では知られていないカバラなんだ。   

    まき Ω ΩΩ  < ナ ナンダッテー!!

    クリスチャンでもヘブライでもなく、さらに隠された思想があったんですか! かなりワクワクしてきましたよ!

    半田 うん。ルーリアカバラっていうんだけどね。 近代のヘブライカバラと言ってもいいかな。  

    まき ルーリアカバラ……初めて聞きました。 

    半田 そうだよね。この「ルーリアカバラ」の世界観こそ、『エヴァ』の世界観にものすごく影響を与えているんじゃないかと勘ぐってるんだ。

    知られざる秘教「ルーリアカバラ」とエヴァの物語

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    (Credit:Veronika By / shutterstock)
    半田 ルーリアカバラは、16世紀にイサク・ルーリアというラビが、それまでの『ゾハール』を基にしたヘブライカバラの教理に大胆に修正を加えて作ったものでね。 

    まき ふむふむ。で、そのルーリアカバラっていうのは、他の2つのカバラとどう違うんですか?   

    半田 そうだね、それを説明するために、さっそく『エヴァ』のストーリーの解釈をやってみようか。   

    まき 
    おお、ここでやっとストーリーに食い込んでくるわけですね。   

    半田 『エヴァ』とルーリアカバラの共通点を考える上で、一番面白いところは、なんと言っても、『エヴァ』でのリリスの描写なのね。どんな姿だったか覚えてる?   

    まき 上半身だけ裸で、禿げてて、下が黒いタイツの……。   

    半田 それエガちゃん (笑)。 じゃなく、上半身しかなくて、十字架に掛けられて、うなだれている感じだっただろ。リリスのあの描写は、たぶん、ルーリアカバラからインスピレーションを得たものじゃないかと思うよ。   
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    (Credit: ©カラー, Projecty eve)

    まき ふむふむ。で、どこらへんがそうなんでしょう? 

    半田 まず、『エヴァ』のオープニングで「生命の樹」が出てくるでしょ。あの「生命の樹」のモデルができたのが『ゾハール』の時代の少し前ぐらいとされていて、あれは神的人間でもあるアダムカドモンの身体を表しているのね。

    で、ルーリアカバラの教義では、今はその下半身が吹き飛んでなくなっているって言うんだ。「容器の破壊(シェビラート・ハ・ケリーム)」って呼ばれているんだけど。リリスの体にも下半身がないでしょ。 

    まき うわ、確かに無い! そうか、それが「容器の破壊」を表しているってこと?   

    半田 そう。この「容器の破壊」という概念はルーリアカバラ独自の概念なんだよね。   

    まき なるほど……理にかなってますね。で、そもそも「容器の破壊」ってのは何なんでしょうか?   

    半田 それを説明するには、まず「生命の樹」について話をしないといけないね。

    スクリーンショット 2019-04-30 16.15.33

    「生命の樹」とは、さっきも言ったように、アダムカドモンと呼ばれる「神的人間」の身体を表したもので、一番下の「マルクト」から、一番上の「ケテル」まで、セフィラーと呼ばれる合計10個の霊的な容器で成り立っている(※「ダート」はセフィラーと見なされない)。

    で、この10個のセフィラーをまとめて呼ぶときは「セフィロト(セフィラーの複数形)」って言うんだ。だから、「生命の樹」は別名「セフィロトの樹」って呼ばれることもある。これらは宇宙を創造していった世界霊の全体構造のようなものだと思うといいよ。   

    まき この図に描かれてある一つ一つの球体のようなものが霊的容器なんですね。ってサラッといったけど、そもそも霊的容器って何なんでしょ? 

    半田 存在を存在たらしめるために働く様々な次元領域のようなものだと思えばいいよ。

    たとえば、一番下の「マルクト」は、人間が認識している物質世界のすべての領域を表していて、物質世界の活動を司っている霊的容器とされている。一方、一番上の「ケテル」の方は創造のすべてのプロセスを終えた神の玉座があるところとされている。

    マルクトとケテルのあいだにある中間領域(アッシャー界、イェッツェラー界、ベリアー界)の各セフィラーは「プレーローマ」と呼ばれているところで、言ってみれば、物質宇宙を作り出していくプロセスにある様々な聖霊たちの活動領域のようなものだね。カバラでは神の様々な属性が働いているところと言われてる。   

    まき へ〜、神様にも「妹属性」とか「眼鏡属性」とか色々あるんですね……。   

    半田 それは違う属性の話だろ(笑)。で、まきしむは、リリスの顔に張りついていたお面が取れたときの顔って覚えてる?   

    まき はい、七つの目がついた、あの気持ち悪いやつですよね。   

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    (Credit: ©カラー, Projecty eve)

    半田 そう、イボイボつきのやつ。七つの目の顔に逆三角形が、あたかも処刑後の「傷」のようにして刻み込まれていたよね。

    あの七つ目と逆三角形はゼーレのシンボルにもなっていて、設定オタの間では「ヨハネの黙示録」に出てくる「黙示録の子羊」から取ったものだと言われているんだけど、カバラ的には、あの逆三角形には「霊的転落」の意味があるのね。   

    まき 霊的転落?   

    半田 だいたい紀元2〜3世紀頃なんだけど、カバラの起源に当たるメルカバー神学というのがあったのね。その中では、アダムと呼ばれる人間の霊性が天上界にある7つの霊的階層を上昇していくことによって、神ヤハウエとの神秘的合一を果たすっていうストーリーになっているんだけど、そのとき、逆方向に7つの階層を下降してくる存在もいてね。

    実は、それが物質世界に出現してきた人間のことだと言われているんだ。   

    まき なるほど。   

    半田 つまり、リリスのこの顔につけられた逆三角形の「傷」には、人間という存在が神の創造行為の反対物として生まれてきたことがシンボライズされているわけ。   

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    (Credit:Svet_Lana/shutterstock)

    まき じゃあ、その下がってきた存在がリリスであり、そのリリスによって生み出されたのが人間ってことになります?   

    半田 そう。つまり、『エヴァ』のなかで、ターミナルドグマに磔にされていたリリスの体とは、神的領域から転落してきた人間の霊が象徴化されたものだってこと。そのリリスの世界に神的世界の反射物として物質世界が出現しているわけだから、リリスという存在は僕ら人間存在の起源だということになる。   

    まき なるほど、『エヴァ』でも、人間はリリスの子孫と言われていますしね。で、それと「容器の破壊」はどう関係してるんでしょ?   
    スクリーンショット 2019-04-30 16.15.33

    半田 まあまあ、そう急がない(笑)。上の図で、神の玉座であるケテルのところに、イスラエルの国旗のマークにもなってる六芒星の図が描いてあるでしょ?

    まき カゴメのマークみたいなやつですね。

    半田 そう。これは、カバラの教義にとっては、存在世界の全体が清浄で健全である状態を示してる。つまり、世界が健全であるためには、下向きの三角と上向きの三角、つまり下降と上昇の両方の流れがバランスを持って働いていることが必要だってこと。   

    まき ふむふむ。   

    半田 でも、ルーリアカバラでは、現在の人類はこの生命の樹の下半分が破壊されていて、中間の聖霊的な領域が見えなくなっている状態にあると考えるんだ。何しろ、真ん中部分が全部吹き飛んでいるわけだから。 だから、リリスの顔には下向きの三角形しかないの。

    まき なるほどそういうことか!面白いな〜。

    人間界はゲンドウがつくった!?


    まき じゃあ我らが主人公のシンジくんを、このルーリアカバラのストーリーに当てはめるとどういう役割になるんでしょうか? 
    エヴァ図
    (忘れた頃…じゃなくても登場するエヴァと生命の樹の図)

    半田 そうだね、シンジくんはさっき話した人間が持った霊性の象徴そのもので、「生命の樹」の中を下降したり上昇したり、行ったり来たりする存在と言えるだろうね。カバラでは「アダム」って呼んでる。

    旧約聖書では、アダムの先妻がリリス、正妻がイヴということになっているでしょ。今言ったようにリリスが下降の流れなら、イヴの方は上昇の流れに深く関わっているわけだね。

    アダムはこの2人の間に挟まれて、あっちもいい、こっちもいい、でも、両方はゲットできないやって右往左往してるんだ(笑)。この旧約聖書のイヴに当たる存在が『エヴァンゲリオン』の作品中ではアダムや使徒として表現されているんじゃないかな。   

    まき アダムがシンジくんで、イヴがアダム……ややこしいな(笑)。でも、その霊的上昇の力であるイヴがアダムや使徒と関係してるってどういうことですか?   

    半田 作品中でのアダムは、第1使徒であり、使徒の生みの親で生命の実を持っている存在なわけだよね。で、その使徒が、人類を襲い、都市を破壊して、知恵の実を奪おうとする。当然、ぱっと見は完全なる悪役に見える。   

    まき どう見ても好意は抱けないですよねぇ。   

    半田 でもね、ルーリアカバラ的に見ると、使徒っていうのは実は人類を救う天使的な役割を持った存在とも解釈できるんだ。   

    まき え、使徒が天使?なんで?   

    半田 天使というものは本来、残酷なんだよ(笑)。それを説明するには、今度はゲンドウの意味を考えないといけない。   

    まき 突然のオープニングネタ回収(笑)。ゲンドウって、シンジくんのお父さんですよね?ゲンドウも「生命の樹」で説明できるんですか?   

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    (Credit: ©カラー, Projecty eve)

     半田 もちろん。しかもゲンドウはかなり重要な役どころだね。ゼーレが、ネルフのコンピュータシステムのマギにハッキングを仕掛けたときに、ゲンドウはプロテクトの実行を命令したよね。そのプロテクトの名称を覚えてる?

    まき 「666プロテクト」でしたっけ? 
    半田 そう。666ってのは、ご存知、新約聖書の『ヨハネの黙示録』に出てくる獣の数字のことだよね。つまり、ルシファーを象徴する数だ。これは僕の勘ぐりだけど、あそこで庵野さんは「ゲンドウっていうのは実はルシファーだぞ」って少しネタをバラしてるんだと思う(笑)。   

    まき ゲンドウは堕天使ルシファーか……で、それがルーリアカバラとどうつながるんですか?   

    半田 堕天使ルシファーってどんな存在だった?   

    Gustave_Dore_Inferno34

    まき 確か「オレは神より偉いんだ」とかいって、神を出し抜こうとして地獄へ落とされたとかなんとか……。   

    半田 そう。さっき、ケテルにはすべての創造を成し終えた一者としての至高神の玉座があると言っただろ。でも、「生命の樹」というのは、その玉座を超えてしまうと、一気に最下位のセフィラーであるマルクト側へと下側から接続するような仕組みになっているんだ。

    つまり、「生命の樹」ってのは上と下が繋がっていて、円環的な構造を持たされているんだ。一番上が一番下と繋がっている。だから、ケテルがダイレクトにマルクトと繋がってしまうと、霊的下降の流れは、最下位のマルクト世界の中に、逆さまになった「生命の樹」の鏡像を見てしまうことになるわけ。そうすると、もともとある「生命の樹」の中の神と人間の間の霊的な交通路が切断されてしまう。これがさっき言った「容器の破壊」が意味することなんだ。   

    まき ふむふむ。マルクト世界の中で逆さまに映されてくる「生命の樹」の鏡像が、物質世界ってことですね。   

    半田 その通り。要は、物質世界というものは霊的世界の影ってことだね。そして、この「容器の破壊」によって生み出されるのが今の人間という存在でもあるとルーリアカバラでは考える。だとすると、「容器の破壊」によってリリスの力をコントロールし、人間の世界をつくったのはゲンドウだってことになるだろ。   

    まき ゲンドウが人間の世界をつくった……そりゃびっくりですわ。あの人そんなすごい人だったんですか(笑)  ?

    半田 はは、ゲンドウがルシファーの象徴ならそういうシナリオになるってこと。でね、人間の霊性=シンジくんがめでたく霊的な上昇を果たすためには、ゲンドウの支配から逃れなきゃいけない

    それは、ルーリアカバラでは「容器の修復」=ティックーンって呼ばれてるんだけど、そうやって、そのゲンドウとリリスの創った人間の社会を破壊しにくるのが、アダムに派遣された使徒ってわけ。   

    まき おお〜、なんと過激な!めっちゃアナーキーですねぇ。でも、そう考えると、ぴったり合いますね。 

    半田 ルーリアカバラは基本、グノーシスだからね。グノーシス主義は、地上は悪の巣窟と考えるのがデフォルト(笑) 。

    まき 悪の巣窟(笑)。

    綾波レイ=物質世界の象徴

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    (Credit: ©カラー, Projecty eve)

    まき じゃあ、みんな大好き綾波レイは?

    半田 そうだね、綾波はさっき言った「マルクト」の中に映し出された物質性がシンボライズされたものだと思うよ。つまり、人間が認識している物質世界の象徴。綾波は、シンジの母ユイの遺伝子から作られたクローンだったよね。

    で、ユイの霊的な魂の部分はエヴァンゲリオンに取り込まれている。それによって、ユイは身体=物質と霊性の2つに分裂させられているんだよね。そういう意味で、ユイは人間の中に眠る霊性、綾波は物質性というふうに解釈できるでしょ。

    カバラでは、人間の意識を物質世界から再び霊性の方向に向かわせようとして働いている無意識のセフィラーのことを「イエソド」って呼ぶんだけど、その文脈で言うなら、ユイは「イエソド」の象徴とも言えるんじゃなかろうか。   

    まき 綾波がマルクトの物質性でユイがイエソドの無意識的霊性か。   

    半田 うん、つまり、綾波はゲンドウの支配によって囚われの身となっているわけだね。でも、一方では、自分の半身でもあるユイと繋がりたがっている。これは綾波の2面性と言っていいね。   

    まき 綾波の2面性?   

    半田 旧劇場版でいよいよ「人類補完計画」が発動するってときに、綾波はゲンドウに呼び出されるけれど、「わたしはあなたじゃないもの」といってゲンドウを拒否するよね。そして、エヴァたちにガイドされるようにして、羽を生やして巨大化していく。それがイエソド方向に向いていた綾波の欲望の目覚めと言えるんじゃない?

    ルーリアカバラでいうなら、これが「器の再生」ということになる。セフィラーでいうなら、ティファレトの復活。 ティファレトには「美」という意味があるから、庵野監督は物質と霊性の結合をあの綾波が巨大化するシーンで表現したんだろうね。  

    まき は〜、なるほど。そんなとこまでルーリアカバラで解釈できるんだ。つまり、科学や物質的自我の力でがんじがらめにされた人間の霊性を目覚めさせるために、上昇の力である使徒が人間社会を破壊しにくるって話なんですね。

    ルーリアカバラ深いわ……っていうか、それをアニメというエンターテイメント作品にできる庵野監督もスゴイ。

    古代秘教を独占していた「謎の賢者」とエヴァ


    まき けど、なんでルーリアカバラってあまり知られてないんですかね?

    半田 うん、ゲルショム・ショーレムっていう現代のカバラ研究の創始者が第二次世界大戦後に一般に紹介するまでは、ほとんど知られてなかったっていう話だよ。さっきも言ったけど、今ネットとかで流通しているカバラは、そのほとんどがクリスチャンカバラだからね。

    ルーリアカバラは近代ユダヤ教の言わば密教みたいなもんだから、こうした神秘的な教えのことは、ユダヤ教の内部でも達人や一部のエリートのものとして隠されていたらしい。それに、下手に神と直接つながることは危ないっていうのもあったんじゃないかな。   

    まき おお……素敵なワードが来ましたね。神と直接つながると危ないっていうのはどういうことですか?

    半田 霊的な実在に触れるということは自意識の深層とつながることだから、狂気に陥る可能性もなくはないよね。実際、カバラの智慧は歴史上の無数のラビたちの深い瞑想や過酷な修行の中で命がけで思索されてきたものだからね。だから、伝統的に、カバラを学べる者は40歳以上の男子に限られていた。 

    まき え、当時で40歳って言ったら、もうおじいちゃんでは?   

    半田 そうそう。自分の人生をしっかりと確立できた者でないと、カバラの智慧を会得するなんてことは無理ってことだね。   

    まき じゃあそれを考えたイサク・ルーリアさんって人は、どこからその知識を学んだんですか?   

    半田 大本はさっき言った『ゾハール』という書物からなんだけど、その内容に大胆な修正を加えたんだ。 

    まき へー。でも、勝手にそんなことして大丈夫だったんですかね?   

    半田 そのへんが実は面白いところでね、ルーリアには8歳ぐらいのときに預言者エリヤの霊が降りたって話があるんだ。ものすごい神童だったらしいから。   

    まき 霊が降りたって、それってチャネリングとかってことですか? 

    半田 今風に言うなら、そういうことになるかもね(笑)。そして、『ゾハール』を独力で読み解き、カバリストたちが集まるツィハットという学芸都市に引っ越して、一躍、超一流のカバラ研究者として尊敬された。

    だから、ルーリアカバラは、それまでのヘブライカバラと、神と直接つながるための霊的な知識との融合でできあがったものだと言えるよね。   

    まき あの、私もちょっと神と直接つながりたいんですけど、そういった知識ってルーリアカバラ以外にはないんですか?   

    半田 もちろんある。さっきも言ったけど、キリスト教ではそれをグノーシスって呼ぶよね。でも、古代キリスト教はこのグノーシス派を徹底的に弾圧していったんだ。占星術とか錬金術とかも、その大本はこのグノーシスから来てるものだよね。

    実はグノーシスもカバラもその出所は同じじゃないかという説もあって、源流は紀元前5世紀ぐらいにバビロニアの神官団だったカルデア人たちが所持していた秘教じゃないかって言われている。カルデアンマギって有名でしょ。マギはMAGIね。

    エヴァでもMAGIシステムってのが出てくるよね。MAGI ってのはMAGIC(魔術)の語源でもあるんだけど。イエスの誕生のときにその祝福のために現れた「東方の三博士」って話が新約聖書にあるでしょ。彼らもカルデア人だったって言われてるんだ。
       
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    (サンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂のモザイクに描かれている三人のマギ)
    まき へ〜、カルデアンマギや東方の三博士、彼らもそのカルデア人だったんですね。 

    半田 うん、つまり、カルデア人というのは、ゾロアスター教やミトラ教など、キリスト教以前の古代秘教の重要な知識のほとんどを独占していた賢者たちと言われてるんだ。どこからともなく突然現れ、突然消えたとされているかなりナゾめいた民族だよ。

    まき はっ……まさか宇宙人では……?

    半田 さぁ、どうだろうね(笑)。学問的にはセム系遊牧民の一つとされているけど、個人的にはとても遊牧民には思えない(笑)。

    一説によると、ユダヤ人たちはバビロン捕囚のときに彼らからカバラの秘儀の元になる教えを学んだっていう話がある。そう考えないと、あの素朴な旧約聖書の世界からあれほど洗練されたカバラの思想がでてくるわけないよ。当時のユダヤ民族って、ほんと素朴な牧畜民だからね。  

    まき 確かにアブラハムの話の雰囲気とのギャップはありますよね
    。   

    半田 そう。カバラの創造論は、旧約聖書の「創造の七日間」とは雲泥の差がある。カバラのあの思慮深い深遠な霊的知性には、絶対このカルデア人たちの影響があったんじゃないかと僕なんかは思ってるんだ。占星術や錬金術、あとバベルの塔をもつ大神殿なんかの建築術も、全部カルデアンマギの知識と言われているからね。   

    まき カルデア人恐るべし……。もっと知りたくなりました。そういえばカルデア人に関する書物とかって残ってるんですか?   

    半田 それが、さっきも言ったけど、キリスト教によって全部隠蔽されてしまったんだよ。アレクサンドリア図書館の事件は有名でしょ?そこでキリスト教以前の古代秘教に関する書物のほとんどが焼かれてしまった。この隠された古代秘教ってやつが、もともとは「オカルト」の意味なのね。   

    まき つまりどういうことですか?   

    半田 最近は、「オカルト」っていうとアヤシイもので、聞いただけで引いちゃうって人が多いみたいだけど、もともとは「オカルト」っていうのは「隠された」って意味なんだ。だから、本来はこの隠された古代秘教のことを「オカルト」と呼んでいたの。 

    まき オカルトって本来はそういう意味だったんですね〜。

    半田 そうだね。そして、そのカルデア人由来の秘教をヘブライ風に近代で再現してみせたのが、ルーリアカバラってことになるんじゃないかな。   

    まき ということは、その全ての源流であるカルデア人の叡智を『エヴァ』は表現しているということでは…!? 

    半田 はは、厳密には直接の関係はないけれども、「ルーリアカバラは極めてグノーシス的」という意味ではそう言えると思うよ。   

    まき なるほど深い……。

    では説明を終えたところで、最後にもう一度「生命の樹とエヴァ登場人物」の図を貼っておきますね。こうして改めて見ると、ピッタリ符号してる感がハンパないです。

    エヴァ図

    いや〜まさか、エヴァ考察がこんなに深い古代秘教講座につながるとは……一度に二度美味しいお話でした。今日はありがとうございました!   

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    ・『君の名は。』
    ・『新世紀エヴァンゲリオン』
    ・『ロード・オブ・ザ・リング』
    ・『マトリックス』
    ・『2001年宇宙の旅』









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    コメント一覧

    1  不思議な名無しさん :2019年05月02日 21:10 ID:BRSOyTzS0*
    誰かと思えば、半田広宣で草
    2  不思議な名無しさん :2019年05月02日 21:11 ID:MhQqtOMj0*
    期待しないで読んだらおもろいやんけ
    3  不思議な名無しさん :2019年05月02日 21:23 ID:T1yad9ef0*
    やたらキモオタに考察されまくるエヴァ
    4  不思議な名無しさん :2019年05月02日 21:31 ID:Ts.eLX.60*
    当時こういうオカルト思考の痛い奴結構居た
    まだやってるのはバカでしょ
    5  不思議な名無しさん :2019年05月02日 21:57 ID:K.obneNn0*
    なお制作側はそこまで考えてない模様
    6  不思議な名無しさん :2019年05月02日 22:17 ID:XbujyzpR0*
    作者の人そこまで考えてないと思うよ定期

    でも内容は面白かったわ
    7  不思議な名無しさん :2019年05月02日 22:35 ID:WoZ0njMK0*
    考えずに感覚で作ってたとしても知識とか思想は含まれるから作者によっては勝手な考察もあながち間違いではないけどね
    8  不思議な名無しさん :2019年05月02日 22:36 ID:rGVGOs3W0*
    す、すごい…!
    分からん…分からんぞ…!(アホ)
    9  不思議な名無しさん :2019年05月02日 22:55 ID:Qem8mqhS0*
    こういうのはコジツケで何とでも言える。
    陰謀論とはこういう時に使うべき言葉。
    10  不思議な名無しさん :2019年05月02日 22:57 ID:Qem8mqhS0*
    日本の各界に浸透していると言われる
    日ユ同祖論の方が実害が予想されるから、
    そっちを考察しろよ。

    【悲報】「相撲道を高唱する元親方が日猶(日本ユダヤ)同祖論を信じているらしいとして話題になっていた。日本の伝統文化を高唱しながら猶太(ユダヤ)やオカルトに付会 する。こういうパターンが物凄く多い。明治以来伝統文化の担い手がオカルトや猶太(ユダヤ)・基督(キリスト)教に被(かぶ)れていたりするケースがあまりに多い。 これを憑依型戦術と呼んでいる。」
    //mobile.twitter.com/kikuchi_8/status/1072920623414882304/actions
    11  不思議な名無しさん :2019年05月02日 23:01 ID:bgoCrQ610*
    しょーもないタワゴトだな
    12  不思議な名無しさん :2019年05月02日 23:20 ID:ZuGypi6t0*
    7〜8年前から、ここのRSS登録してたけど、記者がいるなんて初めて知った。

    13  不思議な名無しさん :2019年05月02日 23:21 ID:eAXFur0a0*
    思ったより雑だった
    よく本なんか出せるな
    14  不思議な名無しさん :2019年05月03日 00:15 ID:knUJ.sud0*
    そもそもそれっぽい言葉をユダヤやキリスト、イスラームから取ってるからな。
    庵野自体は意味なんてあるわけねーじゃんって過去にバッサリ切ってるけど。
    15  不思議な名無しさん :2019年05月03日 00:33 ID:RoPsR9EH0*
    ライターの顔が見えない記事の方がいい
    自己顕示欲が気持ち悪い
    16  不思議な名無しさん :2019年05月03日 00:44 ID:IOSbnhVo0*
    この知識を持ってたのは庵野じゃないのは確か。
    ガイナに居てカラーに行ってない奴。
    新劇にはこの辺のフレーバーがスッポリ抜けて、代わりに庵野のウルトラマンオタ知識が詰め込まれてる。
    17  不思議な名無しさん :2019年05月03日 02:14 ID:.MdkFiyT0*
    >>16
    確かに庵野監督のインタビューでそういう話は聞いたことないな
    18  不思議な名無しさん :2019年05月03日 02:30 ID:A75DYgRA0*
    蒟蒻問答
    19  空缶 :2019年05月03日 08:22 ID:r7BuKQgs0*
    オカルティックに人類の起源や回帰・再生を描いているのは確かであって。
    問題は神秘思想の布教的説話としてエヴァを作ったのか
    ムーあたりでインスパイアされて適当に援用しただけなのか。
    後者だとしたら、
    そりゃまあパズルのピースは嵌るだろうけど、だからどうしたと。
    20  不思議な名無しさん :2019年05月03日 10:08 ID:3piH1hkz0*
    考察が合ってる合ってないは別として意味を持たせ、それを隠すことでしか「意味深」な物語はつくれない
    ならそれを見るために考える人がいるのは当たり前のことだと思う
    自身が共感できない考えや出来事を安直に批判する人が多いけど、知識を駆使した思索ってだけで尊敬すべきなんじゃないの
    21  空缶 :2019年05月03日 10:13 ID:r7BuKQgs0*
    ※20
    そうは思いません。
    22  不思議な名無しさん :2019年05月03日 11:20 ID:TZqHTnpk0*
    なんだっけ?特に設定を考えなくてもオタクが勝手に考察とかするから楽だとかなんとかって監督が言ってたやつ
    23  不思議な名無しさん :2019年05月03日 17:30 ID:WyiSL.yS0*
    庵野「へー」
    24  不思議な名無しさん :2019年05月03日 21:45 ID:Mnram7Jo0*
    知る人ぞ知るオカルト理論、みたいな厨二心くすぐるネタは当時ですら食傷気味で、それ放り投げた最終回こそ面白かったんだけどな。そこ見なかったことにして布教したりされたりしてたのがオウムな。
    25  不思議な名無しさん :2019年05月03日 21:48 ID:iSCaE1tY0*
    むしろテイルズジアビスを思い出す
    26  不思議な名無しさん :2019年05月04日 00:40 ID:TWFNfwLv0*
    映画は昔のほうが好きです
    27  不思議な名無しさん :2019年05月04日 01:21 ID:nMusqrRq0*
    とりあえずシン・エヴァが観れればいいや
    28  不思議な名無しさん :2019年05月06日 04:06 ID:3.yda.dR0*
    まあ当初こうしてここまで考えるなんてのはデフォでしたでしょ
    だってカバラくらいしかとっかかりなかったし
    平仄が合うのだって合わない方が珍しいんだって事を見落とさない限りにおいては凄い事だわ

     
     
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