633: 562 2005/03/31(木) 07:58:15 ID:7JSn77uQ0
焚き火の前には、2人の人が居ました。どちらも女性で、焚き火を挟んで向かい合い、何事かを話しています。2人はとても美人で、豪華な着物を着ていました。
『綺麗なのは大変結構なんだが…でも、どうしてこんな山の奥に、女性が2人きりで居るんだろう?』
何も話せずに突っ立ってるAさんに、片方の女性が「そこでは寒いでしょう、近くで当たりなさい」と優しく声を掛けてくれました。
Aさんは無言で火の近くに行くと座りました。2人は相変わらず話を続けています。
そこで、Aさんは変な事に気付きました。
目の前の焚き火なのですが、確かに燃えている。燃えてはいるが、薪が無い。また、音も全然無い。ただ、地面の上で火が燃えてるだけなのです。
『こんな火などあるものか。きっと、この2人は人ではない。狐か狸か知らんが、きっと化かされているのだ…これは大変な所へ迷い込んだものだ…せめて、怒らせないように気を付けないと』
さっきまでは「人が居て助かった」と思っていたAさんは、急に心細くなりました。兎に角、目の前の2人は人でない事は確かだ。下手をすれば命まで取られかねない…。
すると突然、「お前は、○○の所のAでしょう?」声を掛けられました。先程声を掛けてきた女性が、いきなり話し掛けてきたのです。
『何で俺の事を知っているのだ…』内心ビクビクしながら、正直に答えようかどうか迷いました。『正直に答えたら喰われてしまうかも知れん。何せ、今まで俺は結構な数の狸だの狐の皮を剥いでるんだ。こんな所で仲間の敵討ちなどされたら、逃げようが無いじゃないか』
「隠さなくても良い、こちらはお前の事をよく知っている。お前の父や母の事も、よく知っている」
Aさんは何を言われているのか全然分かりませんでした。俺の父親や母親を知っているってどういう事だ。
634: 562 2005/03/31(木) 08:01:44 ID:7JSn77uQ0
「あまり子供を驚かせるものじゃない。見なさい、怖がってるでないの」
もう1人の女性が、答えに詰まっているAさんを見かねてか、助け舟を出してくれました。彼女は続けて話します。
「私達に化かされていると思ってるみたいだけど、決してそんな事はしないから安心しなさい。明るくなってきたらね、道を1つ越えて更にずっと下りなさい。そうすれば、村への道に出られるから」
何とかAさんは声を出しました。
「何で俺の事を知ってるんですか?二人は誰?」
すると、2人はそれぞれ名前を言いましたが、やたらと長くて難しい名前でした。
「立派な名前ですね」
と言うと、二人は笑って返しました。そして、「私達は皆、こんな名前だから」と言いました。
やがて、夜も明けてきました。すると、
「そろそろ山を下りなさい。さっきも言ったけれど、ここを真っ直ぐ下りなさい。途中で細い道があるけれど、それを行ってはいけない。その道を越えて、更に下へと下りなさい」
「その細い道は何の道なんですか?」とAさんは質問しましたが、「知ってもしょうがない事だから」と返されるだけでした。
2人に別れを言い、Aさんは山を下り始めました。下りる途中、後ろを振り返りましたが、既に灯かりは消えて人の気配も消えていたそうです。
女性に言われた通り山を下ったAさんですが、さっき言われたような細い道が見えてきたそうです。
『ここを下った方が、早く山から出られそうなんだけどなぁ…』そんな考えが頭を過ぎります。「行っては駄目だと言われたけど、見た目は全然普通の道だし、この道を下ってしまおう!」
635: 562 2005/03/31(木) 08:02:50 ID:7JSn77uQ0
そう思って踏み出そうとした時です。道の奥から人が1人歩いて来るのが見えました。
『なんだ、俺以外にも人が居るじゃないか。やっぱりさっきの2人は狐か狸だ。この道を無視して更に下ったら、滝壺なんかがあるに違いない。危ない危ない、騙されるところだった』
そう思いながら、道を歩いて来る人に声を掛けようとしたAさん。が、相手の姿を見て絶句してしまいました。
見た目は確かに人でした。そして、昔の貴族の従者が着てるような狩衣を着ています。しかし、Aさんが驚いたのはその人の服装ではありません。
その狩衣を着た人物。袖から出ている手足に皮膚も無ければ肉も無い。要するに白い骨が剥き出しになっていました。また、顔には目の部分だけに穴を開けた木の面を被っています。その下も白骨であろう事は、当然予想できました。
そいつがフラフラと道を歩いて来る。『何故白骨が歩けるんだ。これこそおかしいじゃないか』
Aさんは、とっさに茂みに身を隠しました。逃げようとして下手に動くより、藪に隠れてやり過ごそうと考えたのです。
その白骨は、相変わらずフラフラと歩いてきます。そして、よくよく見れば何かを引きずっているようでした。その引きずってる物を見て、Aさんは再度仰天します。
636: 562 2005/03/31(木) 08:04:16 ID:7JSn77uQ0
足に縄を掛けられた白骨でした。しかし、引きずっている奴が狩衣を着ているのに対して、引きずられている白骨は立派な着物を着ています。恐らく、貴族か何かなのでしょう。
Aさんが推測するに、狩衣の男は主殺しをしたのではないか、との事です。ここで言う「主」とは引きずられている貴族風の白骨。その従者たる男はその罪の為に死罪となったのではないか…。
が、当時のA少年はそんな事を考えるほど余裕がありません。ただただ、『頼むから気付かれませんように…』と願うのが精一杯でした。
やがて、その白骨はAさんの隠れている茂みの前までやって来ました。そして、そのまま通り過ぎてくれるかと思いきや…そこで立ち止まって周囲を見渡し始めました。
『しまった!気付かれたか…』
狩衣の白骨は、縄を持つ方とは逆の手を、そろそろと腰の刀に伸ばします。
もはや、一刻の猶予もなりません。見付かるのは時間の問題であるように思えました。いや、既に見付かっているのかも。
『じっとしていても見付かる。ここはイチかバチか…やるしかない』
637: 562 2005/03/31(木) 08:08:57 ID:7JSn77uQ0
Aさんは声にならない声を挙げながら藪から飛び出し、一足飛びに道を飛び越えて、転がるように山を下り始めました。後ろからは刀が空を切るような音がしましたが、振り返る勇気などありませんでした。
躓いたり転んだり、枝に顔を打たれたりしながらも必死に山を下り、気付けば自分の住む村のすぐ近くの道に出ていました。日はすっかり昇っていましたが、それでも安心できずに村まで駆けて行きました。
村では、「Aが消えた、神隠しにでも遭ったのではないか」と話し合ってる最中でした。
Aさんは事の次第を両親に話したそうです。それを聞いた両親は「山の神様が息子を護って下さった」と大層喜んだそうです。また、2人の女性が話した「自分の名前」ですが、1つは村の近くにある山、もう1つは少々遠方だが有名な山に居る神様の名前ではないか、との事でした。
狩衣の男と貴族の白骨に関しては、両親も全く知らなかったそうです。Aさん自身も色々調べてみましたが、結局分からなかったそうです。
もし、Aさんが女性の言う事を聞かずに最初の道を行ったらどうなっていたか、もし、狩衣の男に捕まっていたら…全ては闇の中です。
Aさんからは他にも色々と話を聞いているのですが、時間に余裕ができたら少しずつ書いてゆこうかと思っています。
長文、失礼しました。
646: 本当にあった怖い名無し 2005/03/31(木) 19:10:27 ID:j3GTBz1QO
>>632-637乙です。
日本昔話を思い浮かべて読んでいました。
また不思議な話を読ませて下さい。
638: 本当にあった怖い名無し 2005/03/31(木) 08:21:01 ID:S0Kh8+xPO
>>632-637 GJ!!
もう一つは黄泉への道だったんでしょうか?
後日その人は罠を仕掛けなくなったとか?
579: 本当にあった怖い名無し 2005/03/27(日) 07:42:23 ID:mPN/wWEB0
兄
なんか良い話の後にスマンが、山の神様つながりで、ウチの親父さんから聞いたヘンな話。
若かりし頃、早朝に川沿いの土手をジョギングしていたら、前方に一人の男が立っているのが見えてきた。田舎にいるはずの兄だ。良く似た人だろうと思っていたが、近くに寄ってよ~く見ても兄そのものにしか見えない。声をかけると、
「おう、お前か。早いな」
と応える。他人の空似ではなく、間違いなく兄その人。
アレ、いつコッチ出て来たの? と訊くとギュッと顔を顰めて、
「山の神様? わからんなぁ」
と脈絡のない言葉が返って来た。え? と戸惑ってるうちに、パッと消え去る兄の姿。
これは兄ちゃんの身に何かあったな、場合によっては死んだのかも知れん!
と家に引き返し、田舎の兄宅に電話。ところが
「おう、お前か。早いな」
と電話に出る兄本人。土手で兄を見て云々、山の神様などと言って云々、と
今しがた自分が見て来た事を説明すると、
「山の神様? わからんなぁ」
と訝しげな返答。まあ山には気をつけとくよ、と話を切り上げる兄。
電話を切って一拍置いて、兄の言葉が土手で聞いたものと同じだと気付き、
数日間釈然としない嫌ァな気分が残った。
だ、そうだ。ちなみに親父さんの兄は未だ健在。
580: 本当にあった怖い名無し 2005/03/27(日) 07:50:32 ID:B948EMiAO
>>579
物凄く好きなタイプの話です
乙!
587: 本当にあった怖い名無し 2005/03/27(日) 16:54:55 ID:Intn4zIK0
てんこ盛りのお稲荷様
まだ小学生の頃、両親に連れられて山に行きました。
その山は、頂上からちょっと下がったところに小さな神社があります。小さいけれど霊験あらたかで、年に一度のお祭の日には、直接の氏子でない人も沢山集まります。
父の実家は直接の氏子でしたので、その境内でお弁当を食べ、両親は山菜取り、私は最初は手伝っていたのですが、幼い子供の事、すぐに飽きてその辺を走り回っていました。
走り回っている内に、神社のお社の裏に入りました。そこにあったのは、
てんこ盛りのお稲荷様。
小さなお稲荷様が山と積まれていました。
お稲荷様が怖い人が結構いるようですが、私は怖くありません。
野ざらしで無造作に積まれているお稲荷様が可哀想で、その中から比較的綺麗なものを2セット、近くの灯篭の上に飾りました。
山を降りた後両親にその話をすると、その神社のお祭では籤を引き、当たった人に小さなお稲荷様を下さるそうです。おそらくそれをお返ししたものをお社の裏にうっちゃっているのだと。
我が家も、父が毎年お祭で籤を引いているのですが、一度も当たった事がありませんでした。
588: 587 2005/03/27(日) 16:55:50 ID:Intn4zIK0
翌年のお祭。
あんたも大きくなったからお祭に行きなさい、と母が私と父を送り出してくれました。
「座」と呼ばれる食事の場に上がり、籤を引きました。
当たりました、お稲荷様が!
まだ小さな子供が当てた事もあり、「座」の他の人が口々におめでとうと言ってくれました。
その数年後、今度は父がお稲荷様を当てました。
今思うに、打ち捨てられたお稲荷様達は、まだお祭りしてもらいたかったのでしょう。
それを私が拾い上げ、お祭りとまでは言わないけれど、きちんと飾った。
その御礼として、我が家にいらっしゃったのではないか、と思います。
私が飾ったのは2セット。我が家にいらっしゃったのも2セット。
実家の神棚にはお稲荷様が祭られています。おそらくこの先もお返しする事はないでしょう。
内容的には怖くないのですが、絵的に「てんこ盛りのお稲荷様」が怖いかと。
600: 本当にあった怖い名無し 2005/03/28(月) 20:11:05 ID:J1tS7o4h0
ちん、どん、じゃーん
子供の頃の話。30年以上前のことです。
私が生まれ育ったところは、武蔵野の面影を残す森や林が多いところでした。
夏になればカブトムシやクワガタがたくさん捕れ、早朝や夕方に友達と一緒に森に入ったものです。あれは小学校の高学年になった頃だったでしょうか。
いつものようにカブトムシを捕りに行こうと集まった私たちは、今まで入ったことのない深い森に行ってみようということになりました。
その森の入り口は、線路のすぐそばでした。都心へと続くこの路線はこの付近で両側が森となり、運転手の目を休ませるのだそうです。
森の入り口で自転車を乗り捨てた私たちは、歩いて森に入りました。
カブトムシが目的ではありましたが、初めて入る深い森ということもあり、何か冒険にでも行くような気持ちだったのを覚えています。時刻は夕方の4時頃だったでしょうか。私たちは森の中へと続く道を進むと、カブトムシがいそうな木を見つけては道から外れ、次第に森の奥深くへと入っていきました。
601: 本当にあった怖い名無し 2005/03/28(月) 20:11:39 ID:J1tS7o4h0
どれくらい経ったでしょうか。私たちはいつしか、電車の音が聞こえなくなっていることに気づきました。不安になった誰かが「帰ろう」と言いました。
異論はなく、私たちは帰ることにしました、しかしまわりを見渡しても、「道」はありません。カブトムシに夢中になっていた私たちは、いつの間にか道から遠く外れていたのです。あたりはすでに薄暗く、うっすらと霧がかかっていました。
いったい「道」へ出るにはどうすればいいのか・・・? 霧に音が吸収されてしまうのか、あたりはしーんとして、物音ひとつ聞こえません。私たちは道だと思う方向へずっと歩いていきましたが、一向に道に出ることはありませんでした。
やがて一人が突然座り込み、泣きべそをかきはじめました。その不安な気持ちは一瞬で全員へ伝わりました。私は泣きたいのをぐっとこらえ、森を見上げました。
おかしい、何かが違う。私はそう思いました。この森に入るのは初めてだったけど、近所の森には何度も入っているし、迷ったことも一度や二度ではありません。
しかしそのときは、その森に何か得体の知れない違和感を感じました。
何がおかしいかって、夏の夕方なのにヒグラシが鳴いていなかったのです。
蝉の声が聞こえない夏の森。私は、迷ったこととは別の恐怖を感じました。
その時です。森の奥から何か物音が聞こえたような気がしました。
泣いている友達に「しっ、だまって!」と言うと、全員で耳を澄ませました。
すると、確かに音が聞こえます。
602: 本当にあった怖い名無し 2005/03/28(月) 20:12:23 ID:J1tS7o4h0
ちん、どん、じゃーん、ちん、どん、じゃーん、ちん・・・。それは、鐘や太鼓、どらの音でした。「わーー、出た! おばけだー」。一人が叫びました。
全員がパニックになりました。しかし、ひとしきり騒ぎが収まって冷静になった私たちは、その音の方に行ってみようということになりました。
あたりはいよいよ暗くなり、足下もおぼつかなくなった私たちは、音の方向に必死に歩いていきました。ちん、どん、じゃーん、ちん、どん・・・。
音は遠くに聞こえたかと思うと、急に近くで聞こえることもありました。
私たちは恐怖も忘れ、音の正体を探ることも忘れ、まるでその音に導かれるように歩きました。どれくらい歩いたでしょうか。疲れ果てた私たちは前方に電車の音を聞きました。それに続いて、暗闇を切り裂く電車のヘッドライトを見たのです。
そう、私たちは入り口近くへと戻っていたのでした。もうすっかり夜になっていました。
あの鐘の音は、もう聞こえませんでした。
家へ帰った私は両親に怒られました。こんなに暗くなるまで、どこへ行ってたんだ?
森の中で道に迷って、そしたら鐘や太鼓の音が聞こえてきて・・・。
私は泣きながら言いました。すると父が急に黙り、「そうか・・・」。
そうして私の頭を撫でると、「よかったな」と。
603: 本当にあった怖い名無し 2005/03/28(月) 20:44:00 ID:HOGqvN9iO
>>600-602、乙
不思議でいい話ですね、お囃子が聞こえるとは、山の神様か狐か狸、狸の腹太鼓だったりw
608: 本当にあった怖い名無し 2005/03/29(火) 10:44:17 ID:4duCES1P0
>>600
ウチは曹洞宗だけど葬式の時に3人の坊さんが鉦・太鼓・シンバルの小さいヤツ
(銅鑼って言ったっけ?)を順番に鳴らしてた。
ちょうどそんな風に聞こえるよ。
614: 本当にあった怖い名無し 2005/03/30(水) 01:15:04 ID:+lZXmFJH0
>>608
家も曹洞宗だがおなじ事思った。
629: 本当にあった怖い名無し 2005/03/30(水) 09:48:48 ID:vCs+6kOP0
>>614
俺も。w
チン、ドン、ジャーンって言ったら家族全員葬式のあれを想像する。
618: 蛙 2005/03/30(水) 03:18:23 ID:TIY61Pv8O
峠道にて
『死体遺棄』が多いS県山中の峠道に纏わる話。『出る』と言う噂は良く聞いていた。肝試しではなく、友人を送るために夜中に車でそこを走っていた。確かに『死体遺棄』が多そうな所。山々に囲まれ月明かりしかない。他車も10分に1台すれ違う程度。
619: 蛙 2005/03/30(水) 03:23:50 ID:TIY61Pv8O
助手席の友人と『まぢ雰囲気恐いな。景色見るのも恐いわ。』とか言いながら走ってた。峠道なんで、もちろんカーブが多い。要所要所にカーブミラーが設置されている。真っ暗闇なのでカーブミラーで対向車がいるか否かを判断できる。
622: 蛙 2005/03/30(水) 03:31:52 ID:TIY61Pv8O
言ってみればカーブミラーに他車のヘッドライトが反射されなければ、斜線を多少はみ出して、楽な運転が出来るわけだ。
30分ぐらい走っていただろうか、、。前方に急カーブがあり、カーブミラーがある。ん?何かカーブミラーが変だ。形に違和感を覚えた。少しずつ俺の車がそのミラーに近づいたときに『それ』はいた。
623: 蛙 2005/03/30(水) 03:38:06 ID:TIY61Pv8O
カーブミラーの輪郭が遠目には異様にデカく見えていたのだが、、通過するとき目を疑った。カーブミラーに白髪で異様に長髪の老人が動物の『ナマケモノ』の様にぶらさがっているではないか!
ビビリ過ぎて声も出なかった。
644: 本当にあった怖い名無し 2005/03/31(木) 15:49:42 ID:9uPXsebv0
自分が怖かっただけなんですが・・・
大学入学のため郷里を離れてしまうので昔から行ったことがなかった山の中に弟と一緒に入っていってみました。
いろいろ分かれ道などもありましたが一つずつつぶしていく感じで練り歩きました。
その分かれ道の中に入り口からなんだかどんよりと暗い不気味な感じのする道がありました。
で、二人で入っていったわけなんですが5分ほど進んだところに異様なものを見かけたんです。
それは山の斜面に沿って20m×30m四方程度のスペースを囲った高さ2mほどの金網でできた柵でした。
その中には
鉄の棒4本を支柱にして上に木の板を置いたような建物(はしごで上に登れる)
タテ1m×ヨコ2m×タカサ1m程度の檻
なぎ倒された杉の木
水を入れる容器
のようなものがありました。
また柵の外には大量のアルミ缶が捨ててあり最も新しいと思われるものの製造年月日は04年8月といったところでした。
結局こんな山の奥で一体何をしているのか?という疑問とそのあまりもの異様さに二人とも恐怖を感じそれ以上踏み込むのは断念しました。
ティキンですみませんorz ケータイもってけばヨカタよ
656: 562 皇紀2665/04/01(金) 01:02:02 ID:shfE6z7E0
残酷な光景
次にお話させて頂くのも、引き続きAさんの体験談です。
これも戦前の体験だそうですが、この話をしていた時のAさんはしたたかに酔っていました。ですので、実際の体験とは異なる部分が入っているかも知れません。
前回の話から時は流れ、Aさんは17,8歳位になっていました。
そんなAさん。ある日用事があって山道を歩いていました。昔の人というのは凄いもので、峠の5つや6つは休み無しでも平気で歩いたそうです。
初夏の日差しを浴びながら『もうひと踏ん張りで峠の頂上だ…』と考えていたのですが、その時妙な音が聞こえてきました。
何やら、後ろが騒がしい…足を止めて後ろを振り返りました。音からすると、誰かがこちらへ駆けてくるようです。
ガシャ、ガシャ、ガシャ…何かがぶつかり合うような音…何の音だろう?
Aさんは気にせずに先を急ごうと思ったのですが、音が気になってしょうがありません。
「鍋釜を背負って夜逃げでもしてるのか?でも今は昼間だから夜逃げじゃねぇよなぁ…」
暢気な想像をしていたAさんの前に、その音源の主が姿を現しました。
657: 562 皇紀2665/04/01(金) 01:03:00 ID:shfE6z7E0
「なんだ、ありゃ…」
思わず呟くAさん。無理もありません。彼の目の前に現れたのは全身を甲冑に身を包んだ男だったのです。外見を見る限り、Aさんとそれ程違わない年齢…いや、あどけなさが残っているので、1歳か2歳年下かも知れない…の男性が、やはり同い年ぐらいの女性の手を引きながら、こちらへ駆けてきます。
「そんなに急いで、何処へ行く?」
Aさんは声を掛けましたが、2人はその声を無視して、と言うよりまるで聞こえない感じで走ってきます。やがて、Aさんの前を2人が通過しました。
「人を無視して、なんだあいつ等は。女連れて歩いてるからって調子乗りやがって」
少々嫉妬が混じった独り言と共に2人を見送ったAさん…と思った瞬間、今度は凄まじい速さで数人の集団がAさんを追い抜いていきました。
「危ねぇな、コノヤロー!」
突然の事にビックリしてと叫ぼうとしたAさんですが、その集団の姿を見て、再度ビックリしました。
先程の男性と同じく、全員が甲冑を着込んでいます。手には日本刀だの槍だの、物騒な物も持ってます。
「物騒な連中だなぁ。あんな物で何をするつもりだ、オイ」
少々好奇心が出てきたAさんは、峠の頂上まで一気に駆け上がりました。そして下を見下ろします。頂上からは真っ直ぐな一本道が続いてます。そこからは、さっきの2人組の男女、それに甲冑集団も見えました。
658: 562 皇紀2665/04/01(金) 01:03:36 ID:shfE6z7E0
集団は男女を取り囲んでいました。そして、槍や刀を2人に向けています。
「尋常じゃないぞ、これは…一体何が起きたんだ?」
そう呟いた瞬間。槍を持った1人が女性を一突き。
「あっ!やりやがった!」
思わず叫ぶAさん。が、包囲した集団は情け容赦なく、今度は男性の方に槍や刀で襲い掛かります。男性は僅かに抵抗したようですが、これまた槍や刀でメッタ刺しにされ、斃れてしまいました。
『寄ってたかって酷い事しやがる!』そう思ったものの、Aさんとて安心はできません。殺害現場を見た以上、自分だって殺されるかも知れない。こんな山の中じゃ助けも呼べない…。
が、Aさんの心配とは裏腹に、誰もAさんの事を気にしてる様子はありませんでした。彼等は既に虫の息となった2人を、尚も槍や刀で刺し続け…最後に、なんと首を切り落としてしまいました。
昼間の惨事を目の当たりにして、呆然とするAさん。やがて、その集団は首を乱暴に掴むと、こちらへ引き返してきます。
『逃げないと…』
そうは思うものの、体が動きません。甲冑集団の人々は、顔や鎧に飛び散った血を拭こうともせず、こちらへ歩いてきます。
やがて、Aさんの目の前まで来た彼等は、Aさんには目もくれず、さっさと峠を下って行ってしまいました。
「何だったんだ、あいつ等は…そんな事より警察だ、警察に知らせないと!」
そう思い直し、再び峠道を見下ろします。しかし…
659: 本当にあった怖い名無し 皇紀2665/04/01(金) 01:04:50 ID:shfE6z7E0
「あれ?あの2人はどこへ消えた?!」
ついさっき、集団に寄ってたかって殺されて首を刎ねられた筈の2人の遺体が消えていました。急いで峠を下りて、先程の惨事が起きたであろう場所に駆け寄ります。
現場には死体はおろか、血の一滴も残っていません。
「首の無い奴が1人で歩き回る筈は無い。それに、さっきの奴等は首しか持ってなかった。じゃあ、俺が見たのは一体…」
この惨事は、夜中や明け方ではなく、白昼堂々と行われました。また、甲冑の音を覗いては走る音も叫び声も一切しなかったそうです。
この不可解な出来事に関しては、Aさんなりに結論を出しています。
彼が言うには、村からそう遠くない所に、小さな城跡がある。ある時、何らかの理由で城から女性を連れて脱走した者が居るのではないか。
追撃隊まで組んで追いかける程だから、何か重要な情報でも持ってたのだろう。もしくは、逃げられては困る人物だったのかも知れない。
そして、数百年の時を超えてその時の光景が何度も繰り返されているのではないか。それをたまたま、Aさんが目撃してしまった…。
660: 562 皇紀2665/04/01(金) 01:06:00 ID:shfE6z7E0
すいません、名前を入れるのとsageを忘れました。>>659の続きです。
上の件については、私も独自に調べました。ただ、ネット上で調べただけなので限界があります。
まず、Aさんの言う「村からそう遠くない」というのは、人それぞれだと思います。私にとっては「結構遠い」と思える距離でした。また、城跡にしても「青葉城址」や「久保田城址」のように立派なものではなく、本当に小さなもので、県内の田舎に小山(と、言うよりは丘)がポツンとある感じです。
城跡に関わる歴代城主やその一族なのですが、その末裔は今でも居ますので、ここで出すのは控えさせて頂きたいと思います。
それにしても、この残酷な光景は今でも繰り返されているのでしょうか。
669: 本当にあった怖い名無し アンゴルモア暦06/04/01(金) 16:35:59 ID:CqAr5rQ50
>>656のお話は、Aさんが数百年前にタイムトリップしたのでしょうか。
それとも斬殺された男女の霊が近代まで彷徨っていたのでしょうか。
その男女は、何故未来永劫斬り殺されなければならないのでしょうか。
それは切ないな。
手塚治虫氏の火の鳥を思い出してしまいました。
あと、ホントに昔のひとはよく歩いたようですね。感心します。
草蛙、もっと貧しいひとは裸足で、平気で山道を10里位は普通に歩いたらしい。
数万円もする靴を履き、雪が降ればアイゼンやスノーシューを着け、
それでも5~6時間も歩けばヘバってしまう現代人(私がヘタレすぎ?)には
山はどんどん遠い存在になってしまう気がします。
676: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE アンゴルモア暦06/04/01(金) 23:54:47 ID:3E4fJhhP0
ある時期、毎月登っていた山には、湧き水があった。
水道からポリタンクに注いだ水を持ってそこまで行き、そこで水を捨て、
湧き水に入れ替えるのが習慣だった。
ポリタンクは直方体に丸い口がついている形で、容量は1リットルから
2リットル程度。
必ず、どんな時でもそこでは小休止を取った。
週休二日など夢物語だった頃、仕事を片付け、一人で夜の山道を歩いていた。
翌朝の出発地まで、できるだけ早く着いて、眠りたかった。
休憩したのは、そこがいつもの場所だから、大変うまい水が
湧いている場所だからに過ぎない。
とはいえ、ぽつんと一人。
さっさと水を入れ替えてしまおうと、ポリタンクから水を捨てて
藪を掻き分け、湧き水の流れにポリタンクを沈めた。
ふと気付いた。
手元が明るい。
見回すと、漆黒といって良い闇。
手元に目を落とすと、やはり明るい。
ポリタンクが、というよりポリタンクの中で水が光っているのだ。
ゆらゆらと揺れる水に合わせるように光が揺れている。
小さな流れからポリタンクの口に触れ、流れ込んだ水が
光を発している。
不思議な思いで水を眺め、ポリタンクを目の高さに掲げた。
半透明のポリタンク越しに光る水の水面上、何かが光を
はね返してきらめいている。
677: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE アンゴルモア暦06/04/01(金) 23:55:48 ID:3E4fJhhP0
虫だろうか。
光はともかく、虫や木の葉が入り込むのは、それほど珍しい事ではない。
ポリタンクの口から中を覗いた。
合戦中だった。
小さな小さな船にのぼりを立て、もっと小さな人間同士が刀と槍で戦っている。
声は聞こえず、赤と黄色の二手に分かれた小船の集団同士が船を寄せ合い、
小さな人々が船から船へと跳び渡り、突き合い、斬り合っている。
服装は色鮮やかだが、それ以上はよく分からないほど人々は小さい。
もっとよく見ようとポリタンクを傾けると、船が湧くように現れる。
水面が揺れると、その小さな突起が形をなし、小船が現れるといった按配だ。
斬り合いに負け、船から転げ落ちた小人は、しぶきも上げず、そのまま
水に溶けてゆく。
何かを積み上げ、それに火を放って火の玉のようになった小船が水面を走り、
それに体当たりされた小船は、ひとたまりもなく砕け、沈んでしまう。
ポリタンクを揺らし、水面が揺らめくと、沈んだよりも多いかと
思えるほどに、小船が湧き上がる。
際限のない殺し合いを目の前で見ているにも関わらず、美しかった。
間違いなく、美しかった。
ぴちっと水がはね、俺の目に当たった。
目をつぶり、目を開き、まばたきをした。
闇だった。
水の流れる小さな音が聞こえた。
ポリタンクに口をつけ、水を飲んだ。
うまかった。
690: 本当にあった怖い名無し 2005/04/03(日) 01:16:36 ID:aliyF6AG0
>>676
乙カレー。すごくきれいな話です。
小さいころに大好きだった絵本で、
ある老夫婦の畑で出来たかぼちゃの中に村があるっていう本を思い出しました。
697: 本当にあった怖い名無し 2005/04/03(日) 21:01:10 ID:x9579JeC0
転がる重機
皆さんほど不思議な話ではありませんが、
今から10年程前、山で遺跡の発掘調査をしておりました。
はじめた頃は、作業員の応募が少なく2人の地元の方しかいませんでした。
地元の作業員は、しきりに「山の神様にお供えはしたか?」聞くので、「しなくても大丈夫だ」と答えていました。「やっとかないと山の神さんおこるかもよ」と冗談ぽく毎日のように言われてました。
当然そのような予算はないので、お供えをするとすれば自腹を切らなければならず、おまけ
に迷信は信じていなかったので、聞き流していました。
ある日、山の表土をパワーショベルを使って剥ぐ作業をしていたところ、現場へ登るスロープに向かって、作業員が小型のダンプ(乗用ではない土砂運搬用)に荷物を載せ、機械を操作しながら歩いていきました。
普段なら、パワーショベルの旋回内に入らなければ危険はないのですが、そのときは何か
危険を感じて15mほど手前で待機するように言いました。
698: 本当にあった怖い名無し 2005/04/03(日) 21:02:01 ID:x9579JeC0
つづき
それでもいやな予感はおさまらないので、一応スロープから出るように言いました。
そして、よけ終わってから数秒後、「ダァーン!」と、ものすごい音を立ててパワーショベルが倒れてきました。
スロープは坂になっていたので、パワーショベルはキャタピラを上にしてひっくり返り、アームの先のバケットは丁度先ほど作業員がいたところにあり、よけていなければ作業員はおろか私まで命はなかったと思います。
作業員からは、「あんた命の恩人だ!」と言っていただきましたが、生きた心地がせずしばらく呆然としていました。
幸いパワーショベルのオペレーターも無傷で、大事には至りませんでした。
原因は人為的なミスでしたが、翌日さっそく酒と塩を買い、現場の四隅にまき山の神様に今
後の無事をお願いしたのはいうまでもありません。
事故後、作業員が「山の神様は女の神様だから、案外あんた気に入られたのかもよ」とか言
っていたので、気休めでも怒っていたのではなくて守ってくれたんだと思うようにしました。
その後は作業員も増えて特に何事もなかったのですが、倒れたパワーショベルを元に戻すときに、つっていたワイヤーが切れ、もう一度パワーショベルは坂を転がったわけですが、そのときに油圧の油が血を吹いたように出ていた光景を見たときは、機械なのになんだか悲しくなりました。
面白くもない長文すいません。
699: 本当にあった怖い名無し 2005/04/04(月) 00:12:37 ID:lnVKhfw50
いや重機一回転は相当に怖いよ(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
701: 697 2005/04/04(月) 00:30:02 ID:9mI5Zi5b0
>>699
はい。あんなのを見たのは同業者でも私ぐらいです。
706: 706 2005/04/04(月) 04:19:43 ID:HwiPwiT+0
狐の嫁入り
祖父から聞いた話。
45年程昔の出来事です。
私の祖父は当時、鍛冶屋を営んでおりました。
釣りが好きだった祖父は、近所の遊び仲間と共にやり貯めた仕事の合間しばしば釣りに出かけたそうです。
釣りは朝早く、車に大人4人が乗り込み仕事も忘れ、休日を満喫しに釣りへ出掛けます。
山を二つ越えた所の渓流に目当ての魚が泳いでいたそうです。到着まで1時間。
当時の(現在もあまり変わらないでしょうけども)田舎の夜明け前、山の中ですから車のライトがあれど相当に暗いです。轍も定かでない道を進んでいきます。
707: 706 2005/04/04(月) 04:20:29 ID:HwiPwiT+0
渓流にはもう何度となく祖父たちは通っていたそうで、迷うはずはありませんでした。
一時間、10分、20分、、30分、、、、
目的の場所に辿り着けません。
眠い目をこすりながら、4人は確認し合います。
「あんれぇ?迷ったんか?」「何時になってもつかねぇからおかしいと思ってたんだぁ?」
一息ついてまた走り出しました。
ですが、いつになっても目的地に着きません。
さすがに事態を重く見た4人はその日の早朝釣りを諦めて明るくなるまで少しの間仮眠を取る事にしたそうです。
夜明けが近づくに連れ、だんだんと辺りの様子が少しだけ見えてきます。
708: 706 2005/04/04(月) 04:21:05 ID:HwiPwiT+0
後部座席に座ってた祖父が一番最初に目を覚ましたそうです。
「おい、ぼちぼちいってみんべか?」他の者も目を覚まし言います。「んだな。いってみんべ」
エンジンを掛けなおし、発進しようとした瞬間運転手が言いました。
「おめぇら黙って伏せろ!!」
何事かと祖父が小さな声で尋ねます。「どしたんだぃ?」
運転手は言います。「そーっと、そーっとだぞ!そーっと窓の外見てみろ。目を合わすなよ!」
4人はそーっと伏せていた身を起こし、窓の外をゆっくりと見ました。
709: 706 2005/04/04(月) 04:21:35 ID:HwiPwiT+0
白い顔をして、赤い紅を引く小さな動く人のようなもの。
ほっかむりのようなものを頭に乗せて、ゆっくりゆっくりとすり足で車の横を通り過ぎていきます。
和風の結婚式のような感じです。隣には黒の着物を着た小さな人のようなものが同じように歩いていきます。
灯篭を手に持ち、ゆっくりと片足をあげてゆっくりゆっくりと前へその足をつき、進んでいく者も居ます。
その列が後ろから前へ車の両側をズラーーーーーーーっと並んでいます。
ぼんぼりのような物が定期的な位置にに置かれていたそうです。
白い和服の後ろから出ていたものは、茶色と白の尾です。
全員が後ろから尾が出ていたそうです。
そうです、狐の嫁入りです。全てが通り過ぎるまで20分程度掛かったそうです。
終始4人は息を呑み、黙りつくしていました。
710: 706 2005/04/04(月) 04:22:39 ID:HwiPwiT+0
気味が悪くなった祖父たちは一目散に家に帰り、その後その山にはあまり近づかなくなったそうです。
4人全員がひとまず私の母親の実家、つまり家に到着し、お茶をブルブルした手で飲みながら家族全員に今見てきた事を伝えたようですが、尋常じゃない形相だったと私の母親は言っていました。
こんな事実際にあるわけないとは思いつつ、こんな儀式が行われている所を一生に一度は見てみたいとも思いました。
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