2. リマ症候群
リマ症候群は、ストックホルム症候群とは正反対です。
人質を取る犯人が人質に共感するようになります。発端は、1996年に起こった
在ペルー日本大使公邸占拠事件です。4ヶ月以上に渡って、犯人グループが、ペルー日本大使公邸の宴会場で外交官や政府・軍関係者など数百人を人質に取りました。
人質たちがトランプやオセロ、麻雀などで暇をつぶす際、犯人グループのメンバーが加わることもあったそうです。事件はペルーの特殊部隊の急襲によって終わりを迎えました。
3. ディオゲネス症候群
ディオゲネスは古代ギリシャの哲学者で、酒樽に住んでいました。そして、欲望から解放されて自足することや、動じない心を持つことが重要だと考えます。
ディオゲネス症候群は、
極端な自己無関心、引きこもり傾向、移住空間において大量の物品を度を越して収集する状態などです。主に高齢者に多く、老衰と関連しているといわれています。なお、この症候群はディオゲネスの性格を表すものではありません。
4. パリ症候群
パリ症候群は、
異文化における適応障害の一種であり、カルチャーショックの一つです。毎年、何万人もの日本人観光客がパリを訪れますが、そのうちの十数人がこの病気で帰国します。
発症しやすい人の特徴は、小説や映画などによってつくられたイメージに影響を受けやすいことです。現地の習慣や文化などにうまく適応できずに精神的なバランスを崩し、鬱病に近い症状を訴えます。
5. スタンダール症候群
スタンダール症候群は、
美術的・文化的価値の高い芸術作品を鑑賞した際に見られる心身症です。症状は、心拍数の増加やめまい、錯乱や幻覚などがあります。
19世紀のフランスの有名な作家スタンダールが、1817年にイタリアを訪れました。そして、教会のフレスコ画を見上げた時、動揺に襲われ呆然とします。このことから名前が病名になりました。
6. エルサレム症候群
エルサレム症候群は、エルサレムの街を訪れることで引き起こされます。症状は、
宗教的なテーマの強迫観念や妄想、その他の精神症状です。
この状態はエルサレムにいる間に現れ、精神病性妄想を引き起こしますが、数週間後には消えます。この症候群を患う人は、以前に精神病の病歴があったり、旅行前の精神状態が良くないことが多いようです。
7. カプグラ症候群
カプグラ症候群は、
家族や恋人、親友などが瓜二つの替え玉に入れ替わっているという妄想を抱いてしまう精神障害です。統合失調症患者に最も多く、その他、認知症患者や脳を損傷した人に起こります。
ある74歳の既婚女性は、夫が見ず知らずの男性に入れ替わったと主張し、非定型精神病の診断を受けました。女性は夫婦で眠るのを拒み、寝室と玄関に鍵をかけ、息子に銃を要求します。最終的に、病院に収容されそうになると、警察とも応戦しています。
女性は夫以外の家族は認識していました。この症状は映画や小説の中で取り入れられていることがあります。
8. フレゴリの錯覚
フレゴリの錯覚はカプグラ症候群とは正反対です。
異なる人々が、実は1人の人間が外見を変えたり変装たりしているという妄想的信念です。
イタリアの俳優レオポルド・フレゴリが、舞台演技で容姿を素早く変えることで有名だったことから、病名になりました。この精神障害は、全くの見知らぬ他人をよく見知った人物と取り違えてしまいます。
9. コタール妄想
コタール妄想は、稀な精神疾患です。患者は
自分は死んでいる、存在しない、腐敗している、血液や内臓を失っているなどの妄想的信念を抱きます。
1990年1月、ある男性が母親に連れられて南アフリカに行きました。男性は地獄に連れて行かれたと確信し、敗血症かAIDS、または黄熱注射の過剰投与によって自分が死んだと信じます。
自分に地獄を案内するために、悪魔が母の魂を借りたと思っていたそうです。
10. 重複記憶錯誤
重複記憶錯誤とは、
ある場所や場所が重複していたり、同時に複数の場所に存在していたり、別の場所に 「移動した」 という妄想的な信念です。ある男性患者は、
自分が入院している病院がわかっていながらも、違う場所にあると主張しました。
質問を繰り返していくと、入院している病院の正しい場所を認め、同じ病院が2箇所にあるのはおかしいとも認めます。それにもかかわらず、その病院の分室にいるなど不思議な主張をしたそうです。
世の中には色々な症候群などがありますが、こういった特殊な病気は自分では異常に気づくことが難しいのかもしれません。大変なことが起こる前に、身近な人が気づいて病院に行かせるなどの適切な処置が必要ですね。
via: LISTVERSE