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    あらゆるものに人面を見出すオカルトファンタジー『ホモ・サピエンスの太古の記憶』【山口敏太郎】



    ストーリーを生み出す"人面"

    オカルトのモチーフとして本来人面が出ない場所に人面が出てしまうことにより、オカルトのストーリーが成立してしまう事がある。

    例えば茨城県のあるお寺の板には、亡くなった住職と妻の顔が浮き上がる現象が起きた。単なる木の模様がそう見えるのだが、人々はその中に住職への親しみも込めて不思議を見出してしまう。

    他にも秩父の三峯神社を訪問した時、境内の石畳に龍神の姿に見える模様を発見した。これもただの模様にすぎないのだが、そこに何か神性を見出した人がありがたく伏し拝んでいた。

    日光東照宮のご神木の中にも人面が浮かび上がっているという風聞が流れており、東京スポーツでも報道された。これなども日光東照宮という聖地の敷地の中の出来事であり、人々をファンタジックな気持ちにさせてくれる。





    人面魚

    一時期大ブームになった人面魚も、ただ人の顔に見えるような模様をもった種類の鯉にすぎないのだが、人々が見物に訪れた事は読者諸兄もご存知のことだろう。

    筆者が爆笑したのは人面魚の体調が良くなかった時に、人面魚重体か?と東京スポーツが記事に書きたてたことだ。これは日本文化の洒落っ気をうまい具合に表しているといえよう。

    この話は筆者がインターネットでやっている山口敏太郎公式Youtubeチャンネルの中で語ったのだが、鯉の品種改良の専門家から情報を頂いた。

    鯉の品種というものは、赤と白で構成される紅白と、三色の二分野で構成されているのだが、光物あるいは変わり鯉といわれる種類も有るようだ。その中の品種の一つが人面魚だったわけである。張り分けという種類が人面魚とされた種類のようである。

    この情報をくれた聴視者の方は、個人的にも体長64センチで金と白で構成された張り分けを飼っていたらしく、その顔の文様は紛れも無く人面魚だったそうである。




    遠い記憶が見つけ出す"顔"

    このように、我々は人間ではないものの中に人間の顔を認めてオカルトに仕立てあげる傾向がある。 これはあくまでぼくの個人的な考えだが、その背景には我々ホモ・サピエンスがひ弱な生物であった頃の遠い記憶が反映されているのではないだろうか。

    我々人類(ホモ・サピエンス)の祖先は肉食動物(プレデター)の恐怖に怯えて暮らしていた。そのため森の中や林の中に肉食動物(プレデター)の目と口を常に気にして過ごしてきた。目玉2つと口が一つ確認されたならばすぐさま逃げないと己の命が危なくなるからだ。
    そのため我々ホモ・サピエンスの先祖は過剰なまでに自然の中に3つの点を見つけ出す傾向がある。

    シミュラクラ現象と呼ばれるものがそれに該当するのではないだろうか。どう見てもただの光と影のいたずらに過ぎないものを心霊写真だと言って譲らない人がいるが、それなどはまさに先祖の遠い記憶が現代人の大脳に作用している結果ではないだろうか。

    しかしながら、人間がそうやって抱く幻想により、多くのオカルトファンタジーが造られてきたのも事実である。読者諸兄も様々な側面で人面を想像しているのではないだろうか。人の顔と言うものはなんとも恐ろしいものである。

    文:山口敏太郎



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