149: 不思議な名無しさん 2019/09/11(水) 15:50:35 ID:vUEYCc3c0
初めてカーナビを使った時の事です。
怖いとは違ったら申し訳ありません。
私にとっては人生で一番怖い出来事でした。
当時付き合っていた彼氏が静岡市に長期出張になり、ふと遊びに行ってみようかと考えた私は
丁度新車が納車になったばかり、初めてつけてもらったカーナビも使ってみたいし
到着したら彼氏と美味しい物でも食べようと、高速代を節約しようと一般道で向かう事に。
ウキウキしながら、まだ使い慣れないナビを由比ICに設定し意気揚々と出発しました。
当時私が住んでいた山梨県から静岡市までは、2ルートくらい峠から抜けていく下道があったのですが、
設定したナビが示したのは、私が知らないルートでした。
出発した時はまだ完全に陽も落ちておらず、峠道とはいえトラックも多く浜松ナンバーなんかが前を走ってると
なんとなく、この車についていけば間違いなく静岡には行くんだなーなんて考えつつ順調に走ってました。
しかし、途中の道の駅があるところまでくると、ほとんどの車はそこへ入ってしまい、完全に陽が落ちる頃には私の車くらいしか走っていませんでした。
少しだけ心細くなり、カーナビの予想到着時間とか先行きなんかをチラチラ確認してた時
ポーンポーンと警告音がなり、あの無機質な女性の声で、数百メーターを左折しろと言われ
単調な一本道だった峠道、突然の音に少しびっくりしつつ、もしかしてもうそろそろ山道は終わりかな?
なんて思って道を曲がると、目の前にはシャッターの閉まった小さな商店
自販機の明かりだけが見えて、その横に山の入口にしか見えない道があり、カーナビを確認すると、どうやらそこへ入るらしい。
既に真っ暗だし、周りを見ても住宅はほとんど見えない、少しビビった私はどうしようかと迷いましたが
せっかくここまできたし、この山を越えればきっと目的地だと覚悟を決めて、ナビの指示に従い山道へ入っていきました。
5キロ以上道なりです。
そんな声に、まだまだ先はあるんだなぁ、高速使っておけばよかった、と後悔しつつ
細く荒れた山道をどんどん上がっていきました。
その道は、頼りないガードレールだけが唯一の境界になった崖のような道で、下にはぽつぽつと民家のような屋根も見えるが暗く
光といえば、点々と工事の警告板のような物に取り付けられた、点滅する赤ランプだけでした。
その赤ランプを見ると、なんだか不安がこみ上げてきて、必死でハンドルを握り早くこの道が終ってくれと願いながら、細く荒れた道を進んでいきました。
どれくらい進んだんでしょうか、本当にこのまま進んで由比につけるのか、と不安も限界に達したころ
突然ナビがポーンポーンポーンという警告音を連発しはじめ、ビックリした私はあわててブレーキを踏み、ナビを見ると今度は
直進方向です、直進方向です、直進方向です…と同じ言葉を繰り返し始めました。
もう暗闇も、細すぎる荒れた道も、ナビの無機質な女性の声すら怖くなった私は、引き返そう、と決めどこかに転回できる場所はないか、と前方へ目を向けると
そこには道はなく、崖のような場所で、先ほどから目にしていた警告板に取り付けられた赤いランプが点滅してました。
混乱している間も、ひたすらに繰り返される直進方向です、という女性の声とポーンという警告音。
150: 不思議な名無しさん 2019/09/11(水) 15:51:11 ID:vUEYCc3c0
怖くてたまらず、無我夢中でバックで車を下げ、ようやくの思いで転回し登ってきた道を引き返しました。
とにかく怖くて、ナビの音声と音がいつ止まったのかも、どのくらい走ったのかもわかりませんでした。
ただ、ようやく山道の入口に戻った時、シャッターの閉まっていたはずの店には灯りがついており
中にはおばさんもいて、今から店じまいというような様子でした。
私は怖くて、誰かと話したくて、とりあえず車を止め、中に入りました。
するとオバサンに
「今店の横の道からきたの?危ないよ、あそこは通行止めだから入っちゃだめだよ、看板あったでしょ」
と言われ、通行止めなんかなかったし、そもそも入った時にお店も開いてなかったと話すと
何を言ってるのか、と困ったような様子、とりあえず缶コーヒーだけ買わせてもらい、少しビクビクしながら車に乗り込んだ。
怖かったけど、改めてナビを見ると、さっきまでついていたはずのゴールマークも進むべき道の青い線も消えてました。
そして、おばさんから教えてもらった通り、山道をふさぐように進入禁止の赤いマークがついたあの警告板もそこにありました。
もうわけがわからず、父に電話を入れ電柱に書いてあった住所を伝え、帰り道を確認してもらいナビを使わずに家まで帰り
家で待っていてくれた父にナビがおかしかった、と必死で伝えました。
父からは、由比にICなんかない、あるのはPAだけだと聞かされ
PAも、一般道から入れる道なんかない、お前の勘違いだろうと言われました。
父と共に、ビクビクしながらナビを確認すると、確かに父のいう通りICは検索しても出てこず
PAで設定しても、前回とは全く違う道を示し、父のいう通り途中から高速道路へ誘導されており
そもそも私の走った道はルートの選択にすらありませんでした。
勘違いだったのか、なんだったのかはわかりません。
でも、私はそれ以降ナビのあの音声が怖くて、今でもナビは使いません。
147: 不思議な名無しさん 2019/09/11(水) 10:05:07 ID:???0
自営の事務所の一部屋なんだけど、一角に衝立が置いてあって、自分の記憶にある限りほの衝立を動かしたことはない。
昔は控え室に使ってたので、有名どころの複製画が描いてあるんだけど、自分はその絵が苦手で、昔から掃除の時も、その部屋の押し入れにしまってあるものを出す時も、あまり目を向けずにいた。
まぁそれは関係ないんだけど、その部屋は今は放り込み部屋で、資源回収の古紙や段ボールを入れたり消耗品のストック置き場にしてるんだけど、母親が趣味で始めた絵画のカンバス入れた時に、衝立を破いたんだ。
流石にまずいってことで、建具屋さんに連絡して直してもらうことにしたんだけど、高さ2メートルはある衝立を退かしたら、衝立が隠してた壁に扉があった。
事務所は木造土壁で、某有名台風の後外壁にトタンを張って補強してある。その扉は外から見たらトタンで塞がれていて、存在に気づかなかったわけで。
でもその扉は引き戸で、壁にはめ込まれていた。
大きさ的にはにじり口よりちょっと背が高いくらいで、茶室にしようとしたのかな?と言われりゃそうだけど、壁にはめ込まれてるから開かない。
建具屋さん、何事もなかったように衝立を元に戻したから、衝立直す気ねぇな、って思って、こっちも何も言わなかった。
放り込み部屋だから、衝立が傷ついてても誰も見ないし。
ところで事務所は近所の大工さんの3代前が建ててくれて、設計図も残ってる。
設計図を調べたけど扉はなかったし、大工さんとこにある記録にも扉をつけた、とはなかった。
某有名台風の後トタンを張ってくれた外壁やさんに確認したけど、扉はなかったそうだ。あったらトタン張らないってさ。
意味わかんないけど、害もないから放置。
151: 不思議な名無しさん 2019/09/11(水) 22:34:45 ID:wtkCrc720
怖くは無いけど一度だけ縁があって一人の方の成仏のお手伝いをしたことがあるなぁ
禁足地も有能な坊さんも大袈裟な除霊も死者、行方不明者も出てくない退屈な話だけどさ
故あってAさんて人に憑かれて檀家のお寺に相談に逝くもそういうことはしていないと断られ、替わりにH原さんて人を紹介される。
H原さんに会うと一枚の風景写真を見せられ「何が」見えるかきかれるも普通の景色と素直に答えた結果、話を聞いてもらえる。
その後、仏壇の前で御勤めを上げて頂き除霊完了・・・と思いきや
これから毎日家の新しいご飯と水を仏壇に供えて手を合わせるよう指示される。
その時、口に出してもいいし心の中でもいいから念仏唱えながら「助けて上げることはできないけど、力になるから早く成仏して下さい」と念じるように助言を受ける。
3か月もすると今度は毎日仏壇に甘いお菓子とか飲み物をお供えする様に指示を受ける。
お菓子を備えて2か月位経った時に夢にAさんが出てきて「ご迷惑をおかけしました。お世話になった代わりに3代末まで御守りします」みたいなことを言い残して逝かれる。
2,3日後H原さんに呼ばれていくと労いの言葉と共にAさんが無事向こう側に行けたといわれる。
あとで話を聞くと
風景写真→霊に憑かれていると思い込んでいる人はそれっぽいモノが見えるというらしい。その場合本人を納得、安心させる為に形だけの御勤め上げるらしい
ご飯と水→向こう側に逝くには物凄い距離を歩く必要があるらしい。だから食べ物と水が必要との事。死んでも腹って減るんだなとしみじみ思った・・・
甘いお菓子→向こう側に逝く道は真っ直ぐなんだけど両側に成仏できない人がたくさんいて、自分も一緒に連れて逝ってくれとしがみ付かれたり、通せんぼされたりするらしい
その時に甘いお菓子を渡して先に逝かせてもらうんだってさ・・・地獄の沙汰も金次第って本当なんだなと感心。
読み難い上にオチも無くて申し訳なかとです
152: 不思議な名無しさん 2019/09/11(水) 22:40:03 ID:???0
子供の頃から、ふっと日が陰ったみたいに影がさすことがある。雲が太陽を隠したのかな?って空を見ても、雲ひとつなかったり、隠れてなかったり。
そもそも夜でも目を閉じてても、影がさすことがある。
他の人もあるのか確認したことはないけど、影がさした時はだいたい、自分の周りで人が亡くなったり救急車で運ばれたりしてる。
自分の周りってのは、半径何メートル内での話で、知り合いや血縁者って意味ではない。
153: 不思議な名無しさん 2019/09/13(金) 06:43:09 ID:???0
オカルトじゃないけど、10年前、やけに同い年の犯罪者が多かった。
今年に入ってから、ニュースになるレベルで捕まってる奴は、やっぱり同い年。
気のせいかもしれないが、ひったくりと詐欺とコンビニ強盗のニュースが連続で流れて、全部同い年(地域はバラバラ)ってのは、なかなか経験しないと思う。
10年前と今年、それが日常で、どうせまた犯人の年齢自分と同じだろ、と思いながら聞いてると、同い年なんだよな。
警察でなんか把握してないのかな。調査か研究の対象にしてほしいくらいだ。
158: 不思議な名無しさん 2019/09/13(金) 19:30:19 ID:BGK5D3bg0
霊感がある母が旦那と初めて会った時、後で「あんたの彼氏、後ろに人の守護霊がいなくて犬がいる」と言われた。
旦那に犬の特徴を話したら、子供の頃に飼ってた犬かもしれないって。
ただ、兄弟が拾ってきた犬で、特別可愛がってた訳では無いらしい。
出会った頃に「この人、なんか犬っぽい」と思ったけど、守護霊が犬なら仕方ない。
159: 不思議な名無しさん 2019/09/13(金) 22:45:16 ID:???0
つい昨日の怖い話。
涼しくなったからか、Gの動きが鈍くなり、また産卵のためか、ふらふら出てきたらしい。
仕事から帰ったら、廊下にひっくり返ってた。
先に帰ってた子供に聞いても、誰もGと戦ってないそうだ。
とりあえず手近なゴミ箱で圧かけて、スリッパで踏みつけたら動かなくなったので、外に放り出した。
今朝外に出たら、Gを包んでたティシュはあるが、G本体がない。
昨晩子供を習い事から迎ってきた時はあったのに。
猫は死んだGは持ってかないはずだし、そもそも昨日はうちの庭に猫は来てない。
まさかあいつ生きてたのか…?
どこいきやがった?
家に舞い戻ってないことを祈る。
160: 不思議な名無しさん 2019/09/14(土) 14:32:02 ID:MEa.eWJk0
10年くらい前の話です。
場所特定されるかもですが、神奈川県の携帯ショップで体験した事です。
その携帯ショップにはとある副商材の売り込み方法を教育する形で何度かお邪魔していました。
ショップ自体が変わっていて、元々は酒屋だったのを携帯ショップが代わりに入る形でした。
一階部分がショップ、二階部分を事務所にして使っていました。
そして屋根裏と、半地下の様な場所があり、そこに在庫を保管していました。
建物自体も木造で、非常に狭いお店でした。
店舗に行くと、毎回なんらかの不思議な体験はあったのですが、何となく考えないように、木造にありがちの家鳴りやなんかだと思うようにしていました。
ただ、今考えるとやはり家鳴りでは片付けられない事もありました。
ある時お邪魔した際に、一階の店舗にスタッフ全員がいるのに、ミシ、ミシ、と二階の事務で明らかに誰かが歩いて移動している足音が聞こえてきました。
店舗の入り口、自動ドア部分は、二階の事務所では窓があるのですが、ちょうどそこからゆっくりすり足の様に歩いて店舗と繋がる階段まで歩いて来ている様に音が移動していました。
二階の事務所は畳敷なので、みし、みし、と木が軋む音と一緒にザザッと畳の擦れる音が聞こえました。
かなり建物自体が古く、床が薄いので、スタッフの方が二階を歩く際にも床を踏みしめて歩く音はいつも聞こえていました。
荷物を事務所に置いた際に誰もいない事は確認していましたし、小さなお店で、出勤スタッフの方の数も少ないのでありえないんですが。
一同顔を見合わせて、1人のスタッフさんが、
「たまにあるんです。」
と苦笑しながら言った時に、半地下の在庫置場から小さな子供の笑い声が響いて来ました。
流石に皆驚き、無言で視線を交わしました。
一応子供が入り込んでいないか確認しましたが、そんな事はやはり無かったです。
人の出入りが多い場所は集まりやすいと聞いた事がありますが、県内の携帯ショップでも、不思議な事が起こるお店は何軒かありました。
でも、毎回なんらかの現象があり、行きたくないなと思うのは、このお店だけでした。
161: 不思議な名無しさん 2019/09/15(日) 09:41:35 ID:???0
住職なんだけど、月参りっつって、門徒さんのお宅に毎月決まった日に伺って、お仏壇でお勤めするのが、日頃の通常業務。
いろんな家を回ってると、その家の人が普段どうしてるか?が分かる。
「仏ほっとけ」とか言われる宗派だけど、基本朝お仏壇を開けて水とお仏飯を供え、昼にはお仏飯を下ろし、夜にはお仏壇を閉める。
お勤めはしなくていいが、まぁだいたい朝晩手を合わせる人が多い。
そうでなくても、その家の人が仏様を大切に思ってるか、はお仏壇に現れる。
家の中が綺麗でお仏壇も綺麗だとしても、心無い人の家だと、仏間が暗いんだよ。灯りつけても暗い。
ちゃんと仏様を想ってる家は、電気つけてなくても明るい。
金箔と黒漆の昔ながらのお仏壇なのに、お仏壇の中が暗いってところもある。そんなところで線香探して、虫の死骸に触っちゃったこともある…。
ご本尊が見えないくらい真っ暗なお仏壇に会った時は、お経が出てこなかった。
そこの家は昔ながらの家で神棚もあったんだけど、神棚も煤けて見えた。
地獄ってのは人間の負の心が作り出したもので、実際にはない、ってうちの宗派は言うけど、神も仏もない場所ってのも、人間が作り出すもんなんだな。
162: 座敷ワラシ? 2019/09/15(日) 20:47:14 ID:HzuYzHNI0
怖いというよりも、不思議な話に近いかもしれません。
私には2人の息子がいます。年子ですが、小さい頃は全く似ていませんでした。最近は似てるなと言われることが多くなりましたが......。
長男は、結婚して2年目にお腹にきたんですが、旦那と付き合い始めた頃から部屋の中など、人がいない(私は地元から出て来て、当時は派遣会社の寮に住んでいました)のにドアの隅から覗かれていたり、ジーッと見られていたりなど、気配は感じていました。
旦那と結婚が決まり、新居に引っ越してからも変わらず(旦那がいない時に限って)、何だかなぁと思っていたのですが。
ある日、旅行で富士の青木ヶ原の樹海を通った時、あるお地蔵さんの前を通った瞬間、首のないライダースーツのお兄さんがスッと車に乗って来ました。うわっと思いましたが、特には何も感じなかったため放置(笑)
それから何ヶ月か車に乗っていましたが、ある日の旅行(姫路城に行く時だったか)中に車中泊をしたPAで「座敷ワラシ」の手を引いていずこかに消えてしまったのです。
そのすぐ後に長男が、その翌年に次男がお腹に来たのです。
霊視してくれた人によれば、「首無しライダー」が長男で、「座敷ワラシ」が次男っぽいとのことで。来るべき時を誤って早く来てしまい、丁度波長の合ったライダーが時期を見計らって連れてってくれたのだそうな。
確かに次男はおっちょこちょいですけどねー(笑)
その座敷ワラシと私は前世でも親子だったみたいですが、真相はどうか分かりません(覚えちゃいないし、当たり前だけど)
そう言われれば、ライダーさんはしっかりしてたような......。
163: ジョーが死んだときの話 1 2019/09/18(水) 18:53:46 ID:cSAksYwA0
祖父が大の動物好きで、母は子供の頃から猫や犬、インコ、うさぎ、ハムスター、魚、トカゲなど様々な動物を飼っていた。
中でも小学生のときに飼っていた雄の黒猫ジョーは、子猫のときに捨て猫だったのを自分で見つけたこともあり、他の動物よりも一層愛情を注いで育てていたそうだ。
母の実家は自営業だった。一階がワンフロア土間になっており、そこにずらーっと商品を並べていた。
何の商品かは伏せるが、販売はもちろん修理も承っており、一時は相当羽振りも良かったらしい。
母は兄弟と祖父母と動物たちといっしょに、店舗の二階に住んでいた。
祖父母が亡くなるまでは、私も正月やお盆の度に遊びに行ったが、行く度にショートケーキのような家だと思った。
というのもその家は、道が二股に別れるちょうど真ん中のまさに三角州のような土地に建っていたからだ。
左右の道に面したところに一ヵ所ずつ、商品を出し入れできるように透明なガラスの大きい引き戸があり、その大きさから道に面したところはほぼガラス張り状態で、カーテンもなかったので一階はいつでも丸見え状態だった。
家族は左の道からも右の道からもガラス戸を通って出入りしていた。
ジョーは4才で車に轢かれて死んだ。母が小学4年の時だった。
商売柄ガラス戸はいつも開けっ放しで、猫たちも出入り自由状態で飼っていた。
家の両側に交通量の多い車道があれば轢かれることも予想できただろうに、当時は完全室内飼いなんて誰の頭にもなく、猫は自由にさせておくのが当たり前だったらしい。
だからジョーが轢かれたのを見たときも、母以外の家族は仕方ない、どんくさい子だったからねなんて言って死を受け入れていたが、母は違った。
何しろ子猫のときから育てたいわば子供のような存在だ。泣き腫らした目で学校に行き、家に帰ればまた泣いていたらしい。
164: ジョーが死んだときの話 2 2019/09/18(水) 18:55:21 ID:cSAksYwA0
ジョーが死んで2ヶ月ほど経ったある日、母は妙な夢を見た。
夢は一階の店舗へと続く階段のシーンからはじまり、階段を降りきると、カリカリキーキーと何か引っ掻く音と猫の鳴き声が聞こえてくる。
夢の中では昼だった。明るい日差しが入ってきているガラス戸の方を見ると、元気な姿のジョーが一心不乱に戸をひっかいている。
母が寄っていくと、開けてくれといわんばかりにニャーンニャーンと悲しげな声を出した。
戸を開けてやろうと鍵に手を伸ばしたところで、なぜか「家に入れてはいけない」と強く感じたそうだ。
ジョーが戻ってきた嬉しさで心がいっぱいなのに、何か不安な緊張のような、焦りのようなものが急に広がってきたそうだ。
母は、「もし家に入れてしまったらいつまでもジョーがこの世に留まってしまって天国に行けなくなる」と思い、ジョーに向かって、お前は事故で死んでいること、もう悲しむのをやめるから未練を残さず成仏してほしいということ、それから今までの感謝を伝えた。
そして振り向かないように二階への階段を上がりきったところで目か覚めたらしい。
起きてすぐに祖父母や兄弟にそれを伝えると、ジョーが最後のお別れを言いに来たんだろう、よかったねといった意見だった。
母もその意見に概ね賛同していたが、意に反して翌日も同じ夢を見た。
夢の流れは一緒で、一階へ降りる階段のシーンからはじまり、ジョーの姿を見つける。
そして母もまた前日と同じような言葉をかけて二階へ上がって目が覚める。
祖父母に伝えると、死んでることに気づいてないのかなぁ、夢枕に立つときはだいたい3日だから明日も見るかもしれないねぇという半ば他人事のような返事だったそうだ。
同じ夢を2日続けて見た不気味さはあったものの、ジョーが家族の誰でもなく自分を頼ってきているという妙な誇らしさからかあまり恐ろしさは感じなかったらしい。
案の定3日目も夢にジョーが現れた。
階段を降りきり、ジョーに同じような言葉をかける。
まだ子供だった母は祖父母の言葉を真に受けて、3日目だからジョーに会えるのは最後だろうと思い、いつもよりも長い感謝の言葉を伝えたそうだ。
夜に布団に潜り込んで来てあたたかかったこと、膝にのって来たときにやわらかくて感動したこと、ジョーといっしょに過ごせていかに幸福だったかを泣きながら伝えた。
ジョーは話をしている間も戸を開けようと一生懸命で、その姿が少しおかしくて笑ってしまったそうだ。
最後にじゃあねと声をかけて、階段を2、3段登ったところで急に別れるのが悲しくなって、ちらっとガラス戸の方を見遣った。
そこにいたのはジョーではなく、凄い形相の女だった。伸びた黒いボサボサの髪、暗い花柄のスモックのような半袖のワンピース、顔や手足に煤のような汚れがついた裸足の若い女が、手足をめちゃくちゃにばたつかせながら、ガラス戸を叩いていた。ぐるぐると顔の表情を変えながらも怒っているのが伝わる。目をいっぱいに見開いて、時おり髪をぐじゃぐじゃに引き抜きながら何か叫んでいた。
母はあまりの恐ろしさに氷水を浴びせられたようになって固まってしまい、まじまじと見つめてしまったそうだ。
渾身の力で戸を叩いているはずなのに、不思議と叩いている音も振動もなく、叫び声も聞こえなかった。
しばらく固まっていると女がガラス戸に体当たりを始めた。
何度も何度もぶつかるが、音も振動もなくガラス戸もびくともしない。
母はなんとか体を動かして階段を登り始めた。
音がすれば女の存在に気づいたことがばれると思いそろそろと慎重に登った。登りきれば目が覚めると信じていた。
最後の一段をやっと登りきったとき、背後からドオオオオオオォンと大きな音がした。
そこで目が覚めた。
165: ジョーが死んだときの話 3 2019/09/18(水) 18:55:52 ID:cSAksYwA0
まだ暗い時間だったが、すぐに祖父母のところへ行き、夢の話をして一緒に一階のガラス戸を見に行ったが、異常はなかったそうだ。
そして翌日から同じ夢を見ることはなくなった。
母は相当な楽天的で天然が入った性格で、あの女の人は悪い幽霊だったが、ジョーが自分を轢いた車を呼んで女の人を轢いて退治してくれたんじゃないかな?それが最後のドーンだったんだよーなんてにこにこ笑っているが、私はどう考えても違うと思う。
私が思うに、最初から女はジョーのふりをして戸を叩いていたんじゃないかな。兄弟の末っ子で、一番ジョーを溺愛していた母なら易々と戸を開けて招き入れてくれると思って夢に出てきたんじゃないだろうか。最後のドーンもジョーが助けにきてくれたんじゃなく、戸を破られた音だったんじゃないかと思う。関連あるかどうかは分からないが、しばらくしてから祖父母のやっていた商売は失敗し廃業、家だけは何とか残ったものの相当な借金を抱えることになる。母も兄弟も学費が足りず大学進学を諦めて家族で借金返済のために働いた。
母は女について、祖父の女関係だったのではと言う。
孫の私が言うのも何だが、祖父は年を取っても整った容姿をしていた。身長も高く、若い頃は芸能界で仕事をしていたこともあったらしい。そんな人がおモテにならないはずもなく、祖母と結婚してからも浮気三昧で朝帰り上等、浮気相手が家に押し掛けてきて、一緒に晩御飯まで召し上がっていくこともあったそうだ。また祖父は根っからの酒飲みで、飲んでは暴れて祖母や母たちにもしょっちゅう手をあげていた。
祖母は何とか浮気や暴れ癖が治らないかと、祈祷師(当時はそこそこいた)に通ったり、神社にお祓いをしてもらいに行っていたが、そこでは女の生き霊が大量についていると言われたらしい。
今となっては祖父母も亡くなり詳しいことも分からないが、あれ以来母は猫嫌いになってしまったそうだ。助けてくれたと主張している割には薄情だ。だからうちでは猫が飼えない。
166: コロネコ 2019/09/20(金) 22:34:29 ID:???0
17歳の頃
毎週末は友人と明け方まで地元の公園で遊ぶことが恒例だった。
ある日の土曜の夜 いつものように特にやることもなく他愛もない会話で盛り上がっていると唐突に大粒の雨が降り始めた。
時間は午前2時を過ぎたところ
いつもなら帰るのにはまだ早いが さすがにこの大雨では居心地悪い、仕方なくその日は解散となった。
多少小降りになった雨の中 小走りで家路へと急いでいた。しかしさすがに寝るにはまだ早いと自宅近くの自販機でジュース買い ゲームでもしようかと考えていると、ふと15メートルほど先の外灯の下に人影があることに気づいた。
人影は二人 一人は傘を差した女性 中年というにはまだ若いといった印象だ。そして傍らには黄色いレインコートを着た男の子。おそらく幼稚園生か小学低学年かといったところ。
親子と思われる二人は外灯の下 手を繋いで目の前の民家をただじっと眺めているようだった。
こんな時間になにしてんだ?
その時はその親子に対しそれくらいにしか思わなかった。
ふとその男の子がこちらを向いた。
灯りに照らされたその顔にはどことなく見覚えがある、近所の子供なんだろう。
自分は目的のジュースを買い、そそくさと自宅へと帰った。
部屋に戻り早速ゲームに取りかかるが、一向に止まない雨音に気をとられてなかなか集中出来ずにいた。
さっきの親子のことを考える。
あの見つめていた家の住人だろうか、父親とケンカでもして家を出たのはいいものの、行く宛もなく帰ってきた、でもなかなか素直に帰りづらい…そんなところか。
時刻はそろそろ4時になろうとしていた。あの親子、まだあそに居たらさすがに怖いな、などと思いながらゲームを止めて寝ることにした。
翌朝
噂好きの母親に昨夜のことを伝えることにした。
自分「昨日の夜中にあそこの外灯の下に母親と男の子の親子っぽい二人が目の前の家をずっと見てたけど、そこの家の家族かな?」
母親「ほんとに!?帰ってきたの!?」
自分「帰ってきたのって…もう話題になってんの?」
母親「いやそうじゃなくて、、あの二人が行方不明になってからもう10年くらいたつんだよ」
自分「10年!?」
母親「そのアンタが見た男の子はよくわからないけど…ほら!小さい頃あそこの家の◯◯君とよく遊んでたじゃない、そしたら奥さんが◯◯君を連れて居なくなって…アンタも◯◯君が逃げた!って泣いてたんだよ。」
その時、忘れていた記憶が一気に蘇った。
確かに、確かに自分はあの子と毎日のように遊んでいた。あの子の家の庭を二人で駆け回っていた。
ふと昨夜の男の子を思い思い返してみる。
あの子だ。◯◯君だ。10年前とそのままの。
母親「でもねぇ…今さら帰ってきてもねぇ。△△さんもだいぶ前に引っ越してるしねぇ…」
そとあと母親になぜ失踪したのか尋ねたが、理由はわからないと。
父親である△△さんも当時は有ること無いこと噂され、失踪から一年もしないうちにどこかへと引っ越したらしい。
母親「◯◯君はアンタの一つ下だったし、アンタが見た男の子はどこかで出来た子じゃない?」
自分「あぁ、うん、そうかもね…」
母親の言う通りなのかもしれない。
ただ自分には確信がった。思い出したんだ。
あの黄色いレインコートは自分のものだ。
あの日、大雨のあの日、自分は買ってもらったばかりのレインコートを着て遊んでいた。
そして貸したんだ、◯◯君に。夜に出かけるから貸してって。◯◯君が居なくなって、自分はレインコートを盗って逃げたと泣いたんだ。
今となっては誰にも真相はわからない。
でも自分は未だあの男の子は◯◯君だと思っている。
167: コロネコ 2019/09/20(金) 22:42:07 ID:???0
17歳の夏の日
仲間と夜中まで他愛もない話で盛り上がっていた。
その日の話題は怖い話
それぞれが見たり聞いたりした怖い話を持ち寄り一人一人が互いに怖がらせようと意気揚々と語り始めた。
定番のものから微妙なもの、しまいには怖い映画の話などで盛り上がり、何巡目かの自分の番が廻ってきた。
自分は小学生の頃に行った林間学校の時に体験した事を話すことにした。
正直記憶も曖昧で、夢か現実かも判断がつかない、オチも特に無いといった内容だったため今まで話すことはなかったが、鉄板の怖い話はとうに尽きていたし、ここにいる友人達も当時共に林間学校へ行った同級生だから情景も浮かびやすいはず、そんな思いで淡々と語り始めた。
林間学校の宿泊工程は三泊四日、二泊は宿舎でもう一泊は宿舎に隣接するキャンプ施設でのキャンプといった工程だった。
三日目のキャンプの日、手作りカレーやキャンプファイヤーなど定番のイベントをこなしつつ、一棟3人のテントで寝ることに。
布団に入って暫くは雑談で盛り上がっていたが、徐々に口数は減りそれぞれが眠りについた。
ふと目が覚め、辺りを見回すと静寂と視界の悪さがまだ夜中だということを知らせた。
しばらくして自分が尿意で起きたことに気付き、朝まで我慢しようか悩んでいた。トイレは隣の宿舎まで行かなければならず、そこまでの心細さと恐怖心からそう考えたかもしれない。
一時考え、意を決して外に出ようとしたその時
「どこ行くの?」
隣で寝ていたはずの友達が声を掛けてきた。
「ちょっとオシッコしたくなって、、」
「俺も行く!」
こんなに心強いことはない、そしてどうやら友達もトイレに行きたくてしょうがなかったらしい。
二人で周りを起こさないようにこそこそと隣の宿舎へ向かった。
宿舎の中は非常口の緑の灯りが辺りを淡く照らしていた。
薄気味悪い館内を急いでトイレへと向かった。
恐怖心とは裏腹に、何事もなく用を足した自分と友達は、また急いで宿舎を飛び出してようやく安堵した表情を浮かべた。
自らのテントに戻る途中、ふと宿舎の方を振り返ると
二階にあるベランダに人影が見えた。それも横一列にある複数のベランダ全てに、数人ずつひしめくように並んでこちらを見つめていた。
しかし不思議と怖くはなかった。
自分達の学校と入れ替わりで別の学校の児童らが施設に宿舎しているのを知っていたから。
起こしてしまったのかな、恥ずかしいなとポリポリ頭をかき隣を見ると、居たはずの友達は既にテントの中に入ろうとしていた。自分も慌ててテントに戻り布団に潜り込んだ。
布団の中でしばし考えていた。
今は何時かわからないけど、こんな夜更けにあっちのやつらは皆起きてたのか?なんか変だな…
妙な違和感を残しつつもそのまま再度眠りについた。
…以上がその時の話である。
話終えると周りの友人も
それだけかよ!とか、そんなことがあったんだ!とか感想を口にし始めた。そして目の前の友人がぼそっと口を開いた。
「お前も見てたんだ…」
一瞬で身体に寒気が走った。
そうだった、あの時一緒にトイレに行った友達は目の前の友人だった。
友人曰く
宿舎を出てすぐに何かを感じて宿舎側を見上げると、同じように何人もの子供達がこちらを見つめていた、そしてそれをより近くで見た友人は、その児童らの身体の一部、腕や足がそれぞれ欠損していることに気がついた。友人は再び前を向き、自分を残して急いでテントへと戻ったのだという。
それから月日は流れ、自分もそのことを話題に出さなかったこともあってか、あれは夢だったのではないかと半ばそう思うようになっていたらしい。
自分がこの話をしたことで、自分も友人も、あれは夢ではなく現実に起きたことだと改めて認識し
再び恐怖が全身を駆け巡った。
168: コロネコ 2019/09/20(金) 22:49:54 ID:???0
兄が二十歳くらいの頃
当時付き合っていた彼女は
いわゆる「視える人」だったそうだ。
デート中も
「あの柱の影に誰かいる」
「今通りすぎた人がおばあさん背負ってた」
終いには
「兄くんの部屋の窓からなにか覗いてる」
などと、あらゆる場面で「視える」発言を繰り返し、怯えて見せていた。
兄はといえばそういった類いに全く興味がなく、そんな彼女を面白がり付き合いを続けていた。
ある日の夜のデート
食事を終え、軽くドライブをしながら帰ろうと遠回りをして車を走らせていると
地元の県ではわりと有名な心霊スポットであるトンネルの近くまできていた。
兄はこのトンネルが心霊スポットとは一言も言わず、ここを通ったら彼女がどんな反応をするんだろうと、半ばいたずら心でそのトンネルを通ることにした。
兄「ここを通ったほうが帰りが早いから」
と彼女にはあくまで早道であることを示してトンネルへと向かった。
いざトンネルに入ると、車1台通るのがやっとの幅と、照明の1つもない真っ暗で薄気味悪い空間が漂っていて、
霊的なものを一切信じていない兄でも言い様のない閉塞感を感じていた。
ただ彼女の前では平常心を保とうと、平静さを装いながら彼女を気遣った。
兄「大丈夫?怖くない?」
すると彼女は以外にも
「ぜんぜ~ん?ワクワクする~!」
と、普段なら幽霊の影に怯えて縮こまっていそうな彼女が、全くと言っていいほど恐怖心を抱いていない素振りを見せていた。
その後、何事もなくトンネルを抜けると、しばらくして彼女が車内に流れる音楽のボリュームを一気に上げ始めた。
スピーカーが割れるほどの轟音が車内に鳴り響き、そしてさらに彼女がその音楽に合わせて熱唱し始めたのだ。
兄は彼女の突然の行動に驚き、とりあえずボリュームを下げようとするが彼女に両手で遮られる。
そして前方をただじっと見つめながら熱唱する彼女の肩を揺さぶり
「おい!おいって!」
と問い掛けるが全くひるむこともなく、ただただ喉が潰れんばかりの大声で歌い続けるだけだった。
埒が明かないと感じた兄は、いったん車を停めようとスピードを緩め始めた。
すると彼女がさらに大声で
彼女「停まったらダメ‼️‼️」
そう叫び、再び歌い始めた。そして兄は彼女の両目から大粒の涙が溢れでていることに今さらながら気付いた。
それから彼女は涙と鼻水を流し、しゃくり上げながらも歌うことを止めなかった。
兄もただ呆然と、ただひたすらに車を走らせていた。
その状態がしばらく続いたが、ふと目の前の道路の両端に、いくつかの石灯籠が並び建っている場所が目に入った。
そこを抜けると彼女は唐突に歌うことを止め、そして静かにオーディオのボリュームを絞り始めた。
互いに無言の車内で、兄もどう接していいかわからず戸惑っていたが
彼女のほうからポツリポツリと口を開き始めた。
「あのトンネルに入った瞬間ね、後ろの席によくないものが乗ってきてるって感じたの」
「そしてこれは怖がったらダメなやつだって思って、頑張って平気な振りをしてたんだけど…」
「トンネル出たら居なくなると思ってたら、ずっと後ろにいて、私の髪の毛触ってきて!」
「そしてね、耳元で呟いてきたの…」
「聞いて、、おねがい、聞いて、、って…!」
「これは聞いちゃいけないって!、最後まで聞いたら危ないって思って!…だから…ごめんね、、驚いたよね…」
それから彼女はまた黙ってしまい、兄もどう慰めていいかもわからず、そのまま彼女を家まで送り届けた。
彼女はいったい何を聞かされようとしたのだろうか。
もしもそれを最後まで聞いてしまったら、どうなっていたのか。
今は知るよしもない。
ただ兄も、その話を聞いた自分も、それ以来そのトンネルを通ることはなかった。
169: コロネコ 2019/09/20(金) 23:21:31 ID:???0
長いので分けます。
祖母がまだ十代前半の頃
地元の集落では
一年に一度、ある風習が行われていたそうだ。
それは、ある年代の少女二人が選ばれて、村外れの海岸にある小屋で一晩明かすというものだった。
ある年、その二人に祖母と祖母の三つ下の妹が選ばれることになった。
夕刻、二人にはまず酒が入った盃を手渡され、それを飲み干すように促された。
祖母は問題なく飲み干したが、まだ幼さが残る妹はなかなか飲むことができずにいた。
愚図る妹に埒が明かないと思ってか、周りの大人が
「お姉ちゃんが代わりに呑んであげぇ」
と助け船をだし、祖母が代わりに酒を飲み干した。
そして二人は小屋まで先導され、小屋の中央に座るよう命じられた。
小屋は六畳くらいの広さで窓の一つもなく、今にも崩れそうなぼろぼろの木造で、あるものといえば真ん中に敷いてある呉座くらいなものだった。
二人がその呉座の上に座ると、外に居た大人達が唯一の出入口である引き戸に釘を打ち付け始めた。
そして最後に声を掛けてきた
「明日の朝迎えにくるから、それまで誰も入れちゃならんで」
そう言って複数の足音が遠ざかっていった。
祖母は "誰も入れるなと言っても、誰も入れないじゃないか" と思いつつも、なにか得体の知れない恐怖を感じざるを得なかった。
ただ今にも泣き出しそうな妹をさらに不安にさせてしまってはならないと、必死に気丈に振る舞い、励まし続けていた。
どれくらい時間がたったのだろうか
うっすら見えていた屋内も、今ではほとんど視界にとらえることができない。
時折壁の板と板の隙間からビューと流れる風の音に怯えながら、二人はただひたすら時が過ぎるのを待ち続けていた。
ポツポツと屋根に当たる音
雨が降り始めた。
170: コロネコ 2019/09/20(金) 23:21:46 ID:???0
次第に雨足は強くなり、会話するのも困難なほど強く打ち付ける雨音が二人を包み、眠ることもできない状況がしばらく続いていた。
古い屋根からは雨水が漏れ始め、祖母は妹を抱え込むように抱き締めて、敷いていた呉座を頭から被り滴り落ちる水滴から身を守っていた。
すると、こんな雨音の中でもハッキリわかる、異様な音が聞こえてきた。
ザーッ…
ザーッ…
ザーッ…
地面を引きずるような、波打ち際のようなそんな音が遠くから聴こえてくる。
そしてその音は徐々に近づいてきて、小屋の前でピタリと止まった。
ごくりと息をのみ、音がした方を向いて様子を伺っていると
ドンドンドン‼️
ドンドンドンドンドン‼️
引き戸を叩く音が鳴り響いた。
ぼろぼろの扉は衝撃と共に波をうち、今にも壊れてしまいそうだ。
だが祖母には何も出来るはずもなく、妹をさらにギュッと強く抱き締めて、ただ扉をじっと見つめるだけだった。
ドンドンドン‼️
ドンドンドンドンドン‼️
屋根に打ち付ける大雨と、扉を叩く轟音が重なり、もう泣き叫びたい衝動を必死で堪えていると
妹がすっと巻き付いた祖母の腕を払いのけ、扉へ向かって歩き始めた。
とっさに腕を掴もうと手を伸ばすが、スルリとかわされてしまう。
立ち上がろうとするも、足が震えて力が入らない。
どうにか這いつくばって後を追おうとしたその時
妹はすでに扉の前に立ち、そしてこちらを振り返って言った。
「#※◯&@×が呼んでる」
そう呟くと扉に手を掛けた。
釘で打ち付けてあるはずの扉が
ギギッ!と音をたて開こうとしていた。
「◯◯!◯◯!いっちゃいけん‼️」
祖母は必死で妹の名前を叫び
なんとか妹の足下までたどり着くと
妹の身体を這い上がるようにして両腕を押さえた。
そして微かに開いた扉の向こうから
おびただしいほどのいくつもの手が扉の隙間から見えた。
その手は
男性のようなゴツゴツとした手
女性のようなしなやかな手
子供や赤ちゃんのような小さな手
それぞれの手たちが隙間に向かって今にも入り込もうとしている。
祖母は力を振り絞り扉を閉めると
うわ言を呟くを妹を引きづるようにまた中央へ戻り
さらに呉座を深く被って
ただひたすら震えた身体で妹を包み込んだ。
どれだけの時間が過ぎたのか、ふと気付くと雨はだいぶ落ち着いていて、ポトポトと屋根から落ちる水滴の音だけが小屋中に響いていた。
祖母の腕の中の妹も、いつのまにか静かに寝息をたてている。
そっと覆い被さった呉座を取ると、壁の隙間からやわらかな光が差し込み、夜があけたことを知らせてくれた。
妹を起こし、しばし無言で辺りを見回す。
すると遠くからいくつかの足音が聞こえてくる。
ややあって扉が開けられると、見知った声が聞こえてきた。母だ。
二人は泣きじゃくりながら母親に抱きつき、
この長い夜を乗り切れたことを実感した。
…数年後、その場所にはいくつかの石像と石で模した骨董品が置かれ、中央には慰霊碑が建てられた。
なんでも若い世代の集落の人達が、
これ以上この風習を残すわけにはいかないと
どこからか仕入れた知識でこのような措置がとられたらしい。
この風習がなんの為に行われていたのか、
なぜ妹だけが誘い出されたのか、祖母が見たものはいったい何だったのか…今では知ることはできない。
ただその慰霊碑が建つその場所は
未だに存在する。
171: 不思議な名無しさん 2019/09/21(土) 06:41:55 ID:BGK5D3bg0
昭和の終わりか平成になった頃の話。
とある橋の下には狸が住んでいたそうです。当時はその橋の近くに移動販売車のたこ焼き屋がいて、たまに売上金の中に葉っぱが紛れ込んでいて計算が合わないなんて事があったそうです。
その橋を渡った先に祖母の実家があるんですけど、法事か何かで実家に帰ってた祖母を親が迎えに行きました。
橋を渡ってたんですけど、何故かなかなか橋を抜けられない。狸の話を知っていた親は「もしかして?」と、車が来てないのを確認して停車。持ってた煙草を1本吸ったら気付けば橋を渡りきって100mは先に居たそうです。
家に帰ってきてから「狸に化かされた!」と怒っていましたが、私は「今どき狸に化かされるってw」と大笑いした思い出。
でも、ちょっと体験したかったな。