5: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 18:07:27.770 ID:z3TBQIFo0
殺し屋「さすが闇ハローワーク……アブなそうな連中でいっぱいだ」
スキンヘッド「あぁん!? もっといい仕事よこせよォ!」
ガスマスク「……」シュコーシュコー
黒マント「さて、宝石を盗みにゆくか」バサッ
殺し屋「すみません」
受付「はい」
殺し屋「仕事を探しに来たんですけど。できれば相談もしたくて」
受付「ではあちらで番号札を受け取り、しばらくお待ち下さい」
6: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 18:11:15.623 ID:z3TBQIFo0
殺し屋(番号札は56番……“コロ”しって感じで幸先いいな)
殺し屋(ここに座ろう)
若手「あ、どうも……」
殺し屋「どうも」
若手「君も……もしかして殺し屋なりたて?」
殺し屋「うん、だけど客が全然来なくてね」
若手「ボクもだよ……。憧れで始めたけど、この世界はやっぱり厳しいね」
『53番の方、相談窓口へどうぞ』
若手「あ、ボクだ。それじゃあお互い頑張ろうね!」
殺し屋「ああ!」
7: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 18:14:42.912 ID:z3TBQIFo0
殺し屋(まだかなぁ……)
スキンヘッド「てめえ、新米か?」
殺し屋「ええ、そうですけど」
バキィッ!
殺し屋「ぶっ!?」
殺し屋「い、いきなり何しやがる!」
スキンヘッド「なかなかいい仕事がなくてイラついてたんだ」
スキンヘッド「ま、殺されなかっただけありがたく思えや。ここはそういう場所なんだからよ」ギロッ
殺し屋「う……」ビクッ
殺し屋(くそう、怖気づいて何もできなかった……)
8: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 18:17:28.379 ID:z3TBQIFo0
『56番の方、相談窓口へどうぞ』
殺し屋「お、やっとだ」
女職員「本日はどのようなご用件で?」
殺し屋「最近殺し屋を始めたんですけど、客が来ないので仕事を探しに……」
女職員「なるほど」カタカタ
女職員「武器は?」
殺し屋「ナイフです」
女職員「殺しのご経験は?」
殺し屋「いえ、まだです」
女職員「経験人数ゼロ、と」カタカタ
殺し屋(嫌な言い方だな)
9: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 18:20:27.482 ID:z3TBQIFo0
女職員「なぜ殺し屋に?」
殺し屋「やっぱりほら、かっこいいじゃないですか!」
女職員「殺しはどこでお学びに?」
殺し屋「えーと、独学で。映画なんかで」
女職員「希望条件などはございますか?」
殺し屋「えーと、なるべく楽に殺せて、なおかつお金はいっぱいもらえるような」
殺し屋「それでいてあまり血で汚れず、後味は悪くない感じの仕事を……」
女職員「あの」
殺し屋「なんでしょう?」
女職員「失礼ですが、ふざけてらっしゃるんですか?」
殺し屋「い、いえいえ! ふざけてません!」
10: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 18:21:55.417 ID:E7RVUi0zr
これは説教不可避
11: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 18:24:03.145 ID:z3TBQIFo0
殺し屋「なにかないですかね……俺にピッタリの仕事」
女職員「……」カタカタ
女職員「でしたら、これしかないですね」カタカタ
殺し屋「どんな仕事ですか!?」
女職員「マンションに一人暮らしの標的です。やりますか?」
殺し屋「やりますやります! やらせて下さい!」
女職員「では手配いたしますので」
殺し屋「よーっし、標的を華麗に殺って、殺し屋デビューだ!」
12: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 18:26:29.017 ID:VFmtguKB0
どんな標的なのか期待
13: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 18:27:16.558 ID:z3TBQIFo0
その夜――
<マンション>
殺し屋「この部屋だな」
殺し屋(カギは……やっぱ閉まってるか)ガチャガチャ
殺し屋(だったらピッキングで……)カチャカチャ
殺し屋(開いた!)ガチャッ
殺し屋「へへへ、このナイフで心臓を一突きしてやるぜ!」
14: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 18:30:18.668 ID:z3TBQIFo0
殺し屋(いたいた!)スタスタ…
殺し屋(背は低めの男か……あれなら殺れる! チェックメイトだ!)スタタタッ
殺し屋「覚悟ォォォォォ!!!」ダダダッ
標的「……」
――ドゴォッ!
殺し屋「ぶげぇっ!?」ドザァッ
殺し屋「いでっ……いででっ……」
標的「どこの世界に大声上げながら殺しにかかる殺し屋がいる」
標的「それと――」
15: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 18:32:40.200 ID:z3TBQIFo0
標的「お前は音を立てすぎだ」
標的「ピッキングどころか、外からやってくる段階でお前の気配に気づいていた」
殺し屋「そ、そんな……」
殺し屋(バレバレだったなんて……)
標的「さて……覚悟はできてるんだろうな?」
殺し屋「た、助け……」
ドカッ! バキッ! ドゴッ!
ぎゃあぁぁぁぁぁ……!
16: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 18:36:29.346 ID:z3TBQIFo0
<ゴミ捨て場>
殺し屋「う、うぅ……」ボロッ…
殺し屋(いてて……殺されるところだった……)
殺し屋(俺ってやっぱり殺し屋に向いてないのかな……。足洗った方がいいんじゃ……)
殺し屋(――いや!)
殺し屋(諦めるもんか! 俺は殺し屋になるんだ!)
殺し屋(動けるようになったら、もう一度闇ハローワークに行こう!)
17: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 18:39:12.050 ID:z3TBQIFo0
<闇ハローワーク>
殺し屋「……」ボロッ
「なんだあいつ?」 「ケガしてやがるぜ」 「情けねえ……」
クスクス… ハハハ… ギャハハハ…
殺し屋(我慢だ、我慢!)
白衣女「痛みが一瞬で消えるお薬、お売りしましょうかァ?」ニタァ…
殺し屋「い、いえ、結構です!」
18: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 18:40:12.368 ID:E7RVUi0zr
絶対やばい薬
19: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 18:43:33.915 ID:z3TBQIFo0
殺し屋「また来ました……」
女職員「失敗したようですね」
殺し屋「はい……もう強くて強くて。散々殴られて蹴られて、ゴミ捨て場に捨てられちゃいました」
殺し屋「もっと易しいターゲットに変えて欲しいのですが……」
女職員「ダメです。あなたの条件ではこの仕事ぐらいしか空いておりませんので」
殺し屋「うう……」
女職員「どうしますか?」
殺し屋「わ、分かりました……。やります、やりますよ!」
21: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 18:46:34.966 ID:z3TBQIFo0
<マンション>
殺し屋(こないだの借りを返してやる……)
殺し屋(音を立てないように、音を立てないように……)
標的「……」
殺し屋(のんきにテレビなんか見てやがる)
殺し屋(そのままあの世に行きやがれぇぇぇ!!!)シュッ
22: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 18:49:01.397 ID:z3TBQIFo0
ガシッ!
殺し屋「あっ」
標的「音はなかなか消えていた……が、まだまだだな」
標的「それと今ナイフで刺そうとした場所は急所にはならん……急所を的確に覚えろ」
標的「そらっ」ブオンッ
殺し屋「わぶっ!」ドザッ
標的「さてと……しくじったからには覚悟はいいな?」パキポキ…
殺し屋「ひ、ひいい……!」
23: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 18:49:28.918 ID:fEbVrZWl0
なかなか
24: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 18:51:12.360 ID:z3TBQIFo0
<闇ハローワーク>
殺し屋「……」ボロッ
女職員「また失敗ですか」
女職員「もうやめた方がいいと思いますが、どうしますか?」
殺し屋「やります……やらせて下さい!」
女職員「でしたら、そのように手配いたします」カタカタ
25: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 18:54:12.201 ID:z3TBQIFo0
<マンション>
殺し屋「てやっ!」ビュッ
標的「軌道がまっすぐすぎる」シュッ
バキッ!
殺し屋「ぐっ!」
標的「急所を狙えとはいったが、少しはフェイントをかけるということも覚えろ」
標的「バカ正直に急所を狙うだけでは、難度の高い仕事では到底通用せんぞ」
殺し屋「まだまだァ!」ダッ
27: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 18:57:06.442 ID:z3TBQIFo0
ドゴォッ!
殺し屋「うぐぅ……」ガクッ
殺し屋(俺より小柄なのに、なんて強さ……)
標的「それと殺し屋たる者、いざという時頼れるのはやはり己の体だ」
標的「遠回りと思うかもしれんが、もっと体術を磨くことだ」
殺し屋「わ、分かった……」
28: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 19:01:02.636 ID:z3TBQIFo0
<アジト>
殺し屋「腕立て伏せ!」グッグッ
殺し屋「腹筋!」グッグッ
殺し屋「スクワット!」グッグッ
殺し屋「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……もう1セットいくか!」
殺し屋「えぇと、人体の仕組みは、と……」
殺し屋「なるほど、動脈の位置は……、刺せば死に至る臓器は……」
29: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 19:03:09.774 ID:E7RVUi0zr
ほうほう
30: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 19:05:11.345 ID:z3TBQIFo0
<闇ハローワーク>
殺し屋(ここでも耳をすませて、少しでも情報を集めるんだ……)
黒眼鏡「次の仕事は海外か……。偽造パスポートを造らねばな……」
アサシン「優れた暗殺者たる者、変装くらいこなせなくてはね」
白衣女「お仕事のお供にお薬いかがですかァ~、お薬いかがですかァ~」
掃除人「また若い奴の死体が出たか……分かった、すぐ向かう」ピッ
殺し屋(全てはあの人に勝つために!)
32: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 19:07:40.747 ID:z3TBQIFo0
殺し屋「どうも」
女職員「ずいぶんと傷だらけになりましたね」
殺し屋「ええ、おかげさまで」
女職員「で、本日のご用件は?」
殺し屋「もう一度やらせて下さい! あの標的に挑ませて下さい!」
女職員「分かりました」カタカタ
33: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 19:10:48.638 ID:tKyZgZQg0
きたい
34: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 19:11:23.618 ID:z3TBQIFo0
<マンション>
カランカラン
殺し屋(しまった! ナイフを落とした!)
標的「うろたえるな!」
殺し屋「!」
標的「殺し屋たる者、一つの武器に固執するな!」
標的「どんな手段でも相手を殺せるようになれ! 身の回りにある物でも人は殺せる!」
殺し屋「はいっ!」
35: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 19:13:07.184 ID:z3TBQIFo0
殺し屋「鍛えるんだ……」グッグッ…
殺し屋「鍛えて、鍛えて、鍛えまくって……あの人に勝つ!」シュバッ シュッ ヒュバッ
殺し屋(だが、あの人に“勝つ”ということは……)
………………
…………
……
36: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 19:13:42.108 ID:Owf+5avAr
支援
38: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 19:18:04.566 ID:z3TBQIFo0
<闇ハローワーク>
スキンヘッド「お? いつだったかの若造じゃねえか」
殺し屋「……」
スキンヘッド「体じゅうアザだらけじゃねえか。この仕事はしょせんてめえみたいな奴にゃ無理なんだよ」
殺し屋「……」
スキンヘッド「おい、シカトしてんじゃねえぞ! コラァッ!」ブオンッ
殺し屋「……」サッ
スキンヘッド「あっ、てめえ!」
39: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 19:20:23.060 ID:z3TBQIFo0
スキンヘッド「ブッ殺して――」
ピタッ
スキンヘッド「う……」
殺し屋「ここはこういう場所なんだよな?」
スキンヘッド「くっ……! くそっ!」バッ
スキンヘッド(俺の喉元に一瞬でナイフを……!)
スキンヘッド(こいつ、この短期間でいったい何が……!)
40: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 19:20:40.578 ID:fEbVrZWl0
強くなっとる
41: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 19:23:53.132 ID:z3TBQIFo0
<マンション>
殺し屋(間合い!)
殺し屋「……」シュバッ
ビシュッ!
標的「!」
殺し屋(初めてかすめた!)
標的「かすめたぐらいで動きを止めるな。スキだらけだ」
ドゴォッ!
殺し屋「うげぇっ! ……おえっ! ガハッ! ゲホッ!」
標的「だが……いい攻撃だった」
42: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 19:27:11.106 ID:z3TBQIFo0
標的「今日はもう無理だな、帰れ」
殺し屋「また来ます……」
バタン…
殺し屋(また負けた……今日こそはいけると思ったのに)
殺し屋(いや、しかし……俺が今日最も気になったのはそこじゃない)
殺し屋「……」
殺し屋(あの人、頬をナイフでかすめたのに……血が出なかった……)
43: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 19:30:08.810 ID:z3TBQIFo0
……
……
シュバッ! クルルルッ シュババッ! クルクルッ チャキッ
殺し屋「……」
殺し屋(ナイフさばきは絶好調……気持ちも水のように落ち着いてる)
殺し屋(今日俺は……あの人に勝つ)
44: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 19:31:30.967 ID:j1hbnNX7r
成長しとる・・・
45: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 19:34:28.213 ID:z3TBQIFo0
<マンション>
スッ…
殺し屋「……」
標的「来たか」
殺し屋「バレていたとは流石ですね」
標的「いや……音一つ立てず、殺気の欠片も漏らさない、見事な侵入だった」
標的「最上級の警戒をしていなければ、気づかぬうちに殺られてたかもしれん」
殺し屋「ご謙遜を」
標的「さあ、始めようか」
殺し屋「――はい」
46: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 19:37:31.610 ID:z3TBQIFo0
殺し屋「では」
シュバァッ! ビッ!
標的「ぐ……!」
殺し屋(体を切ると血が出る……)
標的「はっ!」ヒュバッ
殺し屋「……」サッ
殺し屋(そして今まで気にも留めなかったが、この部屋――可愛らしい小物が多い)
47: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 19:40:15.924 ID:z3TBQIFo0
殺し屋「シッ!」
ドムッ!
標的「ぐうっ……!」
標的「ゲホッ、ゲホッ、やるな……あのタイミングで胸に掌底を……」
殺し屋(今の感触……やはりこの人の性別は……)
殺し屋(だが、そんなことはどうでもいい)
殺し屋(この人が何者だろうと、俺がやるべきことは――)ヒュッ
標的(消えた!?)
49: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 19:44:48.839 ID:z3TBQIFo0
標的(上ッ!)バッ
ズダァンッ! ガキィンッ!
ガシッ!
殺し屋「押さえ込みました。チェックメイトです」チャッ
標的「……動けん」
標的「私の負けだ……完敗だ」
標的「あとは私を殺せば、君は晴れて殺し屋デビュー、というわけだな」
標的「さあ……殺すがいい」
殺し屋「……」
50: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 19:47:30.189 ID:z3TBQIFo0
殺し屋「殺しません」
標的「……なぜ?」
殺し屋「あなたは……俺に殺しを教えてくれた」
殺し屋「あなたのおかげで、俺はここまで強くなれた」
殺し屋「そして、人を殺すということの恐ろしさも学べた」
殺し屋「力を手に入れるほど……俺は人を殺せるようになっていくことが怖くなった」
殺し屋「あなたのおかげだ……」
殺し屋「そんなあなたを……殺すなんてできるわけないだろうがッ!!!」
標的「……」
標的「それはつまり、殺し屋にはならないということか?」
殺し屋「ええ……」
54: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 19:50:48.681 ID:z3TBQIFo0
殺し屋「それともう一つ、あなたが今見せている顔は……仮の姿だ」
標的「!」
殺し屋「顔をナイフがかすめても血が出ないのは、精巧なマスクをつけているからだ」
殺し屋「声も変声術か、あるいは薬品かなにかで一時的に変えているんだろう」
殺し屋「さらに……肉体的特徴やこの部屋のインテリアから判断すると、あなたは女性だ」
標的「……」
殺し屋「おそらくあなたの正体は――」
標的「もう全て察しているようですね」グッ
ベリベリッ
55: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 19:54:27.957 ID:z3TBQIFo0
女職員「お見事です」
殺し屋「……なぜこんなマネを?」
女職員「未熟な求職者に職業訓練を施すのも闇ハローワークの業務の一部だからです」
女職員「ですから、私はあなたの前に立ちはだかりました」
殺し屋「俺を殺さずボコボコにし続けたのは、俺が裏社会に恐れをなして足を洗うか」
殺し屋「あるいは諦めずに強くなるのをずっと待ってたってわけか」
女職員「その通りです。全ては業務のためです」
殺し屋「……」
57: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 19:58:50.093 ID:z3TBQIFo0
殺し屋「ウソだな」
女職員「!」
殺し屋「闇ハロワが訓練してくれる? 足を洗えるようにもする?」
殺し屋「俺もあなたのおかげで洞察力はだいぶ増してる。闇ハロワはそんなに甘くない!」
殺し屋「俺が初めてここに来た時出会った若手の殺し屋……二度見かけることはなかった」
殺し屋「どこかいい組織に拾われた? 足を洗った? いいや、違う」
殺し屋「おそらくあなたではない職員に、“絶対死ぬような仕事”をあてがわれて」
殺し屋「もうこの世にはいないんだろう」
殺し屋「使えない奴はとっとと死ぬように仕向ける、それが闇ハロワのはずだ……」
女職員「……」
59: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 20:01:18.464 ID:z3TBQIFo0
殺し屋「あなたはおそらく独断で、これまで何度も俺のような新人と戦ってきたんだろう」
殺し屋「裏社会に入らないようにするために」
殺し屋「あるいは……自分を殺してくれる人を見つけるために」
女職員「……!」
殺し屋「あなたはこれからもそうやって、死に場所を探し続ける気か?」
女職員「あなたには関係のないことです」
殺し屋「いや……あるさ」
62: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 20:03:32.382 ID:I0yuaKYqr
闇ハロワの響き好き
63: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 20:05:02.048 ID:z3TBQIFo0
殺し屋「どういう事情があって、あなたが死にたがってるのかは分からない」
殺し屋「ただ……なんとなく想像はつく」
殺し屋「きっとあなたも闇ハロワの職員になる前、色々と血塗られた仕事をこなしてきたんだろう」
殺し屋「でなきゃ、“かっこいいから”で殺し屋になろうとしたバカをここまで強く出来るはずないからな」
殺し屋「だから……死のうとしてるんだろう?」
女職員「……」
殺し屋「――だけど俺は!」
殺し屋「俺は……あなたを死なせたくない。たとえ、あなたが何者だろうと」
殺し屋「俺は殺し屋にはなれなかったけど、あなたを生かしたい! 生かし屋になりたいんだ!」
67: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 20:08:39.852 ID:z3TBQIFo0
殺し屋「俺は足を洗うけど……」
殺し屋「もしよかったら、俺のために食器を洗ってくれないか」
女職員「あの」
殺し屋「はい」
女職員「失礼ですが、ふざけてらっしゃるんですか?」
殺し屋「い、いえいえ! ふざけてません!」
女職員「では、失礼します」クルッ
殺し屋「あっ、ちょっと待って……!」
…………
……
69: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 20:12:43.177 ID:z3TBQIFo0
<会社>
シュタタタタッ
元殺し屋「ただいま得意先から戻りました。商談は成立しましたよ」
上司「おお、早いね」
上司「君はいつも静かだし、体力もあるし、仕事は早くて正確だから助かるよ」
元殺し屋「ありがとうございます」
上司「では次の仕事を頼むよ」
元殺し屋「はい」シュンッ
元殺し屋(あれから俺は一念発起して、普通の会社に就職することができた)
元殺し屋(闇ハロワに通った日々は、一般社会でも役に立っている)
元殺し屋(そして――)
71: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 20:15:44.268 ID:z3TBQIFo0
<自宅>
元殺し屋「ただいまー!」
妻「お帰りなさい」
元殺し屋「今日も食器がピカピカだね」
妻「なんたって……それがプロポーズの言葉だったんだから」
元殺し屋「懐かしいなぁ。あの時は呆れられたけど、結局振り向いてくれたもんな」
妻「あんなのが殺し文句になっちゃうなんて、私もどうかしてるわ」
72: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 20:18:09.446 ID:z3TBQIFo0
妻「ところで、今日病院行ったんだけど……」
元殺し屋「どうだった?」
妻「……できてたみたい」
元殺し屋「やったぁ!」
妻「あなたったら殺し屋、生かし屋の次は、産ませ屋になったわけね」
おわり
74: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 20:22:23.619 ID:Rm0ZEdmw0
ワロタ
76: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 20:26:21.481 ID:M0bnbwY5a
乙
おもしろかったぞ
77: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 20:36:18.100 ID:Uo7hJ3lPr
おつ
75: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/28(土) 20:23:53.270 ID:I0yuaKYqr
乙!
俺は普通のハロワに行かなきゃな