2: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 19:52:53.140 ID:JEDe4nSPdHLWN
いいね
5: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 19:53:12.363 ID:6WP98B49dHLWN
期待
7: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 19:53:34.383 ID:Vq3e6LdadHLWN
良スレの予感
14: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 19:54:59.962 ID:eMgbrnVydHLWN
いいじゃん
面白そうだな
18: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 19:55:58.519 ID:ffkxnGk60HLWN
少年「ねえ、お兄さん」
男「ん?」
少年「いっつもここにいるけど、もしかしてニートなの?」
男「む!」
男(なんだこのクソガキ……失礼すぎるだろ。だいたいニートじゃねえよ! フリーターだよ!)
男(バイトまでの時間ヒマだから、いつもここでバッティング見物ごっこしてんだよ!)
男(……なぁんて正直に説明したら、下手すりゃさらにバカにされるかもしれない)
男(そうだ!)
23: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 19:58:47.888 ID:ffkxnGk60HLWN
男「俺はね……元プロ野球選手なんだ」
少年「え、そうなの!?」
少年「だけどお兄さんなんて見たことないよ……」
男「そりゃそうさ。プロになった年に大怪我して、あっという間に引退しちゃったからね」
男「だけど野球には未練があるから、いつもこうやってバッティングを見させてもらってるのさ」
男(どう考えても無理のある設定だが……)
少年「すっげ~!」キラキラ
男(どうやら騙されたようだ)
24: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:01:07.805 ID:ffkxnGk60HLWN
少年「ポジションはどこだったんですか!?」
男「え!? え、と……確かセカンドだったかな。二塁二塁」
少年「バッティングは?」
男「ああもう……凄かったよ。“打撃の申し子”“ホームラン製造機”と呼ばれたくらいだ」
少年「すっげ~!」
少年「あ、あのっ!」
男「なんだい?」
少年「僕にバッティングを教えて下さい!」
男「!」
25: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:01:47.783 ID:GkBrsBILaHLWN
いいね
27: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:02:34.600 ID:PpDtphVMdHLWN
セカンドを二塁っていうあたり初心者感がリアル
28: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:04:25.262 ID:ffkxnGk60HLWN
男「なぜ……?」
少年「僕、少年野球やってるんですけど、守備はともかく打撃が下手で……」
少年「いっつもチームに迷惑かけちゃってるんです」
男「たしかに……野球は点を取らねば勝てないスポーツだからな。打てなければ話にならない」
少年「だからお願いします! ぜひご指導を!」
男「わ、分かった……とにかくフォームを見てみよう。打席に入るがいい」
少年「分かりました! じゃあとりあえず90km/hの打席で……」
29: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:07:50.583 ID:ffkxnGk60HLWN
少年「でやっ!」スカッ
少年「えいっ!」カキーンッ
少年「ていっ!」スカッ
少年「半分ぐらいしか当てられませんでした……」
男(俺よりよっぽどすごいじゃねえか)
少年「じゃあ、次はお手本を!」
男「え!?」
男「いや! 俺は怪我してるといったろう? もうバッティングできる体じゃないんだ……」
少年「失礼しました!」
男「だから、俺がフォームを直してやろう、うん!」
31: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:11:13.533 ID:O5pCeYSSaHLWN
あぶなかったな
32: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:11:17.213 ID:ffkxnGk60HLWN
男(……と、ここで普通にフォーム直してやってもつまらんな。そもそも正しいフォームなんか知らんし)
男(ここはひとつ……からかってやるか)
男「俺が素晴らしい打法を教えてやろう」
少年「ぜひ!」
男「まずこうやって片足を上げるんだ」
少年「これはまさか……一本足打法!?」
男「いや、あれの進化系ともいうべき打法だ」
少年「なんですって!?」
男「続いて、この上げた足を後ろに曲げる。こうすると、まるで尻尾みたいになるだろう?」
男「この姿勢のまま、バットを振るんだ。これぞまさに“尻尾打法”!」
少年「尻尾打法……!」
34: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:12:08.256 ID:eveOstgjrHLWN
これはひどい
35: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:14:44.876 ID:ffkxnGk60HLWN
男「ちょっとやってみな」
少年「はいっ!」
スカッ スカッ スカッ …
少年「ダメだ、全然当たらない! この姿勢じゃ力入らないし!」
男(そりゃそうだ)
男「それはまだ、君が未熟だからだ」
男「“尻尾打法”は理論上、最強の打法なのだ! 練習を繰り返せば必ず打てるようになる!」
少年「分かりました!」
男(ぷくくく……完全に信じ込んでやがる)
37: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:17:44.873 ID:ffkxnGk60HLWN
少年は毎日のように――
少年「尻尾打法!」
少年「ていっ! えいっ! てやっ!」スカッ スカッ スカッ
少年「ダメだ……ちっとも当たらない」
男「うーむ、理論上は最強のはずなのだが……君には難しすぎたかな?」
少年「す、すみません!」
男「だったら仕方ない。さらに上の打法を教えてやろう」
少年「上があるんですか!」
38: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:20:24.477 ID:z157HN7iHHLWN
最強の更に上!?
39: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:20:31.300 ID:ffkxnGk60HLWN
男「上げた片足を、膝からグルグル回すんだ」
男「こうすることで空気の渦が発生し、ホームランを打ちやすくなる」
男「これぞ名づけて尻尾グルグル打法!」
少年「すごい! なんて科学的なんだ!」
男「じゃ、やってみな」
少年「はいっ!」
少年「でいっ! うりゃ! ええいっ!」スカッ スカッ スカッ
男(ホントにやってるよこいつ、ヤバイ笑いそうになっちゃう)プププ…
41: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:23:23.049 ID:ffkxnGk60HLWN
カキンッ
少年「あ!」
少年「やった! 当たりました! ゴロだけど……」
男「おお~、すごいじゃないか。だが、ゴロで満足してちゃダメだ。もっと練習しなきゃ!」
少年「はいっ!」
男(そりゃあんだけやってりゃ、たまには当たりもするわ)
42: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:25:33.709 ID:ffkxnGk60HLWN
ある日――
少年「……」ショボン
男「どうした?」
少年「実は試合で尻尾打法をやったら……監督に怒られて……」
少年「“そんなふざけた打ち方するな”って……」
男(そりゃそうだ)
43: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:26:42.606 ID:dGVY+TLUrHLWN
そりゃそうだww
44: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:29:34.274 ID:ffkxnGk60HLWN
男「言いたい奴には言わせておけばいい。無視しろ」
少年「!」
男「君は元プロの天才である俺と、そこらの少年野球チームの監督、どっちを信じる?」
少年「もちろんあなたです!」
男「よくいった」
男「ならば誰になんと言われようと、尻尾ブルブル打法を極め……」
少年「尻尾グルグル打法ですよね?」
男「あ、ああそうだった。尻尾グルグル打法を極めるのだ!」
少年「そうします!」
男(あーあ、どんどん泥沼にはまってるよ、こいつ)
45: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:32:12.921 ID:ffkxnGk60HLWN
男(とはいったものの……)
少年「てやっ!」スカッ
少年「えいっ!」キンッ
少年「だりゃ!」スカッ
男(さすがに気の毒になってきたな。金も相当使ってるだろうし)
男(そろそろ本当のことを……)
カキィーンッ!
男「……え!?」
46: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:33:58.644 ID:JDoc+GBX0HLWN
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
47: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:36:24.173 ID:ffkxnGk60HLWN
少年「ほれっ!」カキィーンッ!
少年「もいっちょ!」カキィーンッ!
男「……ホームラン!? あの打ち方で!?」
少年「やっと……やっと尻尾グルグル打法のコツを掴めました!」
男「コツ……!?(んなもんあるのかよ)」
少年「グルグルのやり方さえしっかりすれば、たしかにこれホームランどんどん打てますね!」
カキィーンッ! カキィーンッ! カキィーンッ!
ザワザワ… スゲエ… マジカヨ…
男「えええ……!?」
49: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:39:24.627 ID:ffkxnGk60HLWN
年月は流れ……
ワァァァ…… ワァァァ……
実況『さあ、今年の夏の甲子園はとんでもない怪物が誕生しました!』
実況『今までになかった独特すぎる打法で、なんと予選大会から全打席ホームラン!』
実況『この打席はどうなるでしょうか……』
カキィーンッ!!!
実況『またもホームラン! 白い打球が鮮やかな放物線を描きました!』
50: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:42:14.208 ID:ffkxnGk60HLWN
パシャッ パシャシャッ パシャッ
記者「甲子園優勝、おめでとうございます」
球児「ありがとうございます」
記者「今年の甲子園は、まさにあなたの年でした」
球児「チームに貢献することができて、嬉しいです」
記者「ところで、あの不思議な打法はどうやって身に付けたんですか?」
球児「地元のバッティングセンターで知り合った人が教えてくれたんです」
球児「あの人には本当に感謝しかありません……」
52: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:44:25.235 ID:knQV3Sw/dHLWN
面白い
53: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:45:14.446 ID:ffkxnGk60HLWN
ドドドドドドド…
「いたぞ!」 「彼だ!」 「彼があの打法を伝授した……!」 「元プロらしいぞ!」 「ぜひ一言っ!」
男「!」ギクッ
男(あの子が大活躍したのはよかったが、やっぱり俺んとこまでマスコミが押し寄せてきやがった!)
男(ここは尻尾巻いて逃げるしかねえ!)ダッ
~おわり~
54: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:47:04.413 ID:K20QPTkE0HLWN
( ;∀;)イイハナシダナー
56: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:49:16.611 ID:msVObJLwrHLWN
師匠もちゃんと尻尾使ってるな乙
57: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 20:51:18.072 ID:MVNW512i0HLWN
尻尾だけにか
59: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 21:03:24.647 ID:WWVZ+RTPdHLWN
オチうまいな乙
61: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/31(木) 21:14:30.097 ID:5F9eOtrr0HLWN
短くまとまっててよい
乙