東山動物園脱走事件

クロヒョウやサーバルは「俊足」が武器である。そのため飼育員の隙を見て逃走するのは他の動物より簡単な気がするが、実は地上哺乳類のなかで最も巨体を誇る
象の脱走談は意外と多い。
1957年(昭和32年)1月23日の朝日新聞によると、この日の朝、愛知県名古屋市の
東山動物園から象が脱走するという事件があった。
脱走した象は浜子(はまこ)さんという名の8歳~10歳のインド象で、浜松動物園から東山動物園へトラック輸送され、
東山動物園へ到着した途端に大暴れし逃走。2キロほど離れた裏山へと逃げ込んだ。
浜子はその巨体を使って裏山の奥へ進んだ。巨体といえど
象は走ると40キロの速度で走ることができるため、全く追いつくことができなかった。
2時間ほど経って、ようやく浜子側も疲れたのか小休止。静まったところで、黒砂糖をなめさせて精神を落ち着かせ(その後、また逃走したらしいが)、さらに好物の果物を与えて手なずけることに成功。改めて、東山動物園へ移動されたという。
なお、この時の捕獲映像は、NHKの放送アーカイブスに残っており「象の大獲物」というタイトルでネット上で視聴することができる。
象の大獲物 | NHK放送史
https://www2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_id=D0009100129_00000
サーカス団脱走事件
象の浜子の脱走事件からおよそ20年後の
1977年に同じく愛知県でまたも象が脱走するという事件が発生した。
1977年11月9日午前4時ごろ、愛知県豊田市内の住宅街へやってきていた
移動式サーカス団の飼っていた象の「庄太」が逃げ出した。
象が逃げ出したことには
サーカス団員の誰も気が付いておらず、象は住宅街を2時間にわたって歩き続けていたという。
途中、この住宅街に住む
少年が象の姿をアパート内から見ていたが、まさか象が逃げ出した、とは思ってもおらず
「象が調教されているのかと思った」と証言している。また、
深夜だったため酔っ払いが象の姿を見て腰を抜かすという一幕もあったようだ。
象の庄太は豊田署の協力もあって
早朝無事に捕まり、サーカス団へと引き渡されたという。
施設から逃げ出した動物は、一時的にパニックになっていることが多く、近づいた人に危害を加えることも少なくない。逃走した動物を見かけても、むやみに近づかないようにしたい。
参考文献:朝日新聞縮刷版
文:
穂積昭雪(昭和ロマンライター /
山口敏太郎タートルカンパニー /
Atlas編集部)

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