691: 本当にあった怖い名無し 2006/10/22(日) 01:51:00 ID:VpvvYHil0
…で、話は飛んで2週間後、俺はいつものように彼女を車に乗せてアパートへ帰って来た時のことです。
僕の駐車場はちょうどアパートの真横に一箇所だけ車を泊められるスペースがあって、そこに止めさせてもらってるんですが、
その場所に喪服を来た人が3、4人とお坊さんが立っていて、僕の止めるはずのスペースの真ん中に花束と線香がありました。
正直かなりパニくりました。お坊さんに駆け寄って事情を説明してもらおうとしたんですが、
喪服を来たおばさんが「ごめんね、うちの人がここで自殺しちゃったのよ」
「え!?今日!?」「ううん、もう1年くらい前だけど。」
で、お坊さんが笑顔で俺に痛恨の一言
「まだ成仏してくれないみたいなのよ」
…俺は1週間もしない間に引っ越しました。
…その自殺したって人の自殺方法が、駐車場で車の中でガス自殺。苦しかったと思います。
俺もなんか同じような気分を味わったような気がしました。
終
820: 本当にあった怖い名無し 2006/10/23(月) 17:15:40 ID:Vqup781h0
【Aの借りた部屋】
これは私の友人の体験談で、友人本人から聞いた話です。
私の友人(以降A)がアパートに部屋を借りたんです。
古い建物を改装したアパートなんだけど、リフォームがしっかりしてて結構綺麗、
借りたのは最上階の部屋で、部屋も広くて天井も高く開放感のある部屋。
主要線の駅からも歩いて行ける位近くて、商店なんかも整ってて凄く条件が良い物件だったそうです。
それなのに、家賃もそれほど高くない・・・と云うより安い程。
(この時点で普通はおかしいと思いません?)
でも、そこに入居して暫く経って、一つ嫌な事を発見したんです。
和室の押入れの上部に小さな棚があって、そこの奥天井に一枚の御札が貼られてるのに気付いたそうです。
Aは心霊だとかその手の事には鈍感な性質で、気味が悪いとは思いつつもお札を剥がして捨てたんです。
それから、部屋に変な電話が掛かってくるようになったんです。
しわがれた年配の女性の声で、呟くように繰り返すのだそうです。
「こちらはあたしの家じゃないかねぇ」、って。
Aはいたずら電話か痴呆老人の仕業かと思って、対応もおざなりに電話を切ったそうです。
けど、その電話は時折掛かってきたんです。日をおいて幾度も、同じ老女から同じ内容で。
終いには辛抱しきれなくなったAは、この部屋は俺のモンだ、と怒鳴りつけたんだそうです。
そうしたら、震える声で「・・・ここはあたしの家だよぅ」と返ってきたきり、電話は切れてしまったそうです。
821: 本当にあった怖い名無し 2006/10/23(月) 17:17:42 ID:Vqup781h0
その夜、Aは息苦しさに目を覚ましたそうです。
身体が動かない。すぐに金縛り状態である事に気付きます。
動けないまま目を凝らしていると、直に目が暗闇に慣れてきました。
その時、顔にポタリと何か雫のような物が降りかかったんです。
すぐ頭上の天井に目を向けると、真っ白な筈の天井に黒いシミが出来ていて、そこから雫が垂れているようでした。
みるみるシミは広がって、垂れてくる雫の量が増えてきました。
生臭い、金臭い臭いに、その雫が血であると思った瞬間、天井のシミの中から何かがA目掛けて降ってきたんです。
ドサドサ、バラバラと重みのある物体が、Aの顔といわず身体といわず降り掛かったんです。
Aが恐怖に身を強張らせていると、顔の真横に生臭い空気を感じました。
視線を向けると、真っ黒な塊・・・人の首がAの顔の横にあり、それが耳元で口を開いたんです。電話のしわがれた声で。
「ここはあたしの家だよぅ」
翌日、Aはすぐその部屋から引き払いました。
不動産屋は、もうあんな所には住めないと訴えるAを問い質す事も無く即時引き払いに応じたそうです。
後日、Aはその部屋の(建物の)来歴を調べました。
十数年前、その建物はある資産家の老女の持ち物でした。
しかしその老女は欲に目の眩んだ身内によって殺されたんだそうです。
ただ・・・何故Aの借りた部屋に老婆は現れたのか。明確な理由は今でも解りません。
171: 本当にあった怖い名無し 2006/10/26(木) 05:11:25 ID:cQYTHW9f0
【ジャングル】
4~5年ほど前に、取引先の人から聞いた話。
その人が言うに、もうだいぶ前の出来事とのことだから、少なくとも10年以上前のことと思われる。
インドネシアにA氏(話してくれた人)、B氏、C氏の3人で仕事に行った。
仕事といっても、半分は遊びを兼ねたような旅行だったらしい。
そんなわけなので、仕事が終わってから10日近い暇ができ、最初の2~3日はのんびりと観光を
楽しんでいた。3人とも現地は初めてではないので、なんとなく退屈さを感じていたところ、
B氏が「ラフレシアを見てみないか?」と言い出した。
ジャングルに入るには、やはりガイドが要る。
C氏が伝をたどってガイドをさがしたところ、幸いにも引き受けてくれる人が見つかった。
翌日、3人はガイドのいる町へ向かった。そしてガイドと落ち合い、装備を調達すると、その町の
安ホテルで1泊した翌早朝、ガイドを含めた4人はジャングルへと分け入った。
念のためにラフレシアについて書いておくと、巨大な寄生花であるこの植物は、数が少ない上に
開花する時間も僅かで、なかなかお目にかかることは困難である。
ガイドにも「期待はしないほうがいい」と予め念を押された。
まずは蕾を探し出し、その蕾が開花するまで待って花を見るというのが普通だが、日帰りで
何日かジャングルに分け入っても、まず無理だろうとのことだ。
それでも、偶にはジャングル探検も悪くない、何かの話の種になるだろう。
3人はそんな気分であったということだ。
172: 本当にあった怖い名無し 2006/10/26(木) 05:12:28 ID:cQYTHW9f0
1日目。何の成果もなく終わった。A氏はジャングルに分け入るということがこんなにも大変
だとは思わなかったという。何と言っても蒸し暑く体力の消耗が酷い。おまけに害になる生き物
にも常に注意を払わなければならない。
おそらく、他の2人も同じ気持ちであったろう。
2日目。昨日とは方向を変えたが、これまた成果無し。疲労困憊でホテルに帰る。
もう、いい加減嫌にはなっていたが、せっかく来たのだからと、明日もう一日がんばってみる
ことにした。
そして3日目。
当然、1日目、2日目とは方向を変えて分け入る。
しかし、やはりというか、蕾さえ発見できぬまま時間は過ぎてゆく。
幾分早い時間だが、かなり疲れもあって、諦めて戻ろうということになった。
ガイドにその旨を告げると、4人は道を引き返した。
2時間半ほど歩いたころ、列の最後尾にいたB氏が声をあげた。
B氏が指差すほうを見ると、遠くに何やら赤茶けた塊が見えた。「あれ、ラフレシアじゃないのか?」
ガイドは目を細めるようにして見ていたが、突然、顔を引きつらせた。
「急ごう!黙って付いてきなさい!」
ガイドは小走りに進み始めた。なおもそれを気にして足の進まない3人に振り向きざま言った。
「命が欲しいのなら、急ぎなさい!」
只ならぬガイドの雰囲気に、3人は慌ててガイドの後を追った。
173: 本当にあった怖い名無し 2006/10/26(木) 05:13:09 ID:cQYTHW9f0
しばらくすると、生臭い臭気が漂ってきた。
ふと振り返ったA氏の目には、赤茶けた物体がさっきより確実に近いところにあるのが映った。
動いているのか?あれは!
この臭いがあの物体から発せられているとしたら、あれはラフレシアではない。
実際に臭いを嗅いだことはないが、ラフレシアは肉の腐ったような臭いのはず。なのに今漂っている
のは生臭さである。A氏はあれがラフレシアではないどころか、何か得体の知れない「嫌なもの」
であることを確信した。
自然に足が速まる。
ガイドはもちろん、B氏、C氏もそれに感づいたようで、自然と一行の足は速くなった。
生臭い臭気は、徐々に強くなっている気がした。
後ろを振り返ってみようと思うが、恐怖でそれもできない。後に続くB氏、C氏の2人もA氏を追い抜く
勢いでぴったり付いてくる。
普通の道ではないから、全力疾走というわけにはいかないが、可能な限り速く走った。
ようやく、自動車の通れる道が見えてきた。
ふと振り返ると、それはもう10メートルに満たない距離にいた。
その距離で分かったのだが、それは大きさは2メートル近く、直径70~80センチもある寸詰まりで
巨大なヒルのような感じであった。
道に出ると、ガイドが足を止め荒くなった呼吸を整えている。
3人も立ち止まった。
「もう大丈夫だと思います」ガイドが息を切らせながら言った。
A氏は安堵のあまり、その場に座り込んだ。他の2人も真っ赤な顔をしてしゃがみこんだ。
175: 本当にあった怖い名無し 2006/10/26(木) 05:19:30 ID:cQYTHW9f0
落ち着いてみると、もうあの臭いはしない。ジャングルの中を見たが、木々が日光を遮っている
せいで、様子は分からない。
「あれは、何なのか?」
ガイドに尋ねたが、首を振っただけで何も答えてはくれなかった。
結局、ホテルに着いても「あのことは忘れてください。私も詳しくは知らないし、忘れたほうが
いいですよ」と、あれが何かは教えてもらえなかった。
後日、C氏が仕事でインドネシアに行ったとき、かなり方々でこの件を聞きまわったようで、
いくらかの情報を得ることができた。
それは「人を喰うもの」で、人をみつけると執拗に追いかけ、人が疲れて動けなくなったとき
襲い掛かってくるという。太陽の光が好きではなく、あのとき、もし早めに切り上げていなかったら、
ジャングルを抜け出しても追ってきて、逃げ切れなかったかもしれなかった。
それを見たら、現地で言うお祓いを受けなければならない。お祓いを受けなければ、それは追いかけ
た人間を忘れず、執拗に狙ってくる。3人はお祓いはしなかったが、すぐに日本に帰ったので難を
逃れたのではないか。
そして、その名前は分からない、というよりも口にしない、ということであった。
194: 本当にあった怖い名無し 2006/10/26(木) 10:59:54 ID:5Kz1Wq3l0
>>175
ちょっと独特な話でなかなか面白かった。
これは現地では普通に危険な生物として認識されてるのかね。
それとも半オカルト的な存在と思われてるんだろうか。
282: 本当にあった怖い名無し 2006/10/27(金) 11:22:15 ID:bj+HXnTV0
【休憩した場所】
12年くらい前の話
俺は京都の大学に通ってて一人暮らししてた。
学生の身分ながらもバイクもってて、よく当時の彼女と遠出したりしてた。
秋のある日のこと
天気がよかったのでドライブがてら彼女を乗せて琵琶湖大橋を渡り、近江八幡市の友人の家を訪ね、その帰り。
長時間乗っていたもので疲れが出て、途中の湖岸道路で琵琶湖を眺めながらタバコを吸い、休憩していた。
そのあたりは休憩にふさわしい場所でもなんでもなく、草が生い茂り、その草を分けながらしばらく進み、
適当な岩に適当に腰掛けた。
5分か10分か適度に時間を過して軽く疲れを取った後、また京都の家に向かって走った。
まあ、何事もなかった。
続く
283: 本当にあった怖い名無し 2006/10/27(金) 11:34:05 ID:bj+HXnTV0
その次の日。
授業も終わり、彼女に電話するのだが、近江八幡のSATYで買い物がしたい
そういわれて夕暮れではあったが閉店にはまだ間に合うと思い、
またバイクを駆って近江八幡まで走った。
無事に買い物を済ませると、時間は19時を過ぎた頃だったか、とっくに日は暮れ
あたりは真っ暗だった。
彼女を乗せ、また京都に向かって帰路を急いだ。
しばらく走ると車が渋滞している。
ここらで渋滞するのは珍しく、歩道と車道の間をすりぬけるようにして進んだ。
赤いランプが2,3個光っているのがみえた。パトカーだった。
何があったのか、しばらく考えて思い出した。
ここは昨日俺らがバイクを止めて休憩した所だ・・・
警察は検問しており、俺らも質問された。
質問内容はこうだ
「ここで今琵琶湖から死体があがった。何か知らないか?」
そのような質問だったと思う。
もちろん俺らは「何も知らない」と答え、通してもらったのだが、
昨日休んだそのすぐそばに水死体があったことを考えると、
急に身体が凍りつくほどの恐怖を感じた
おそらく彼女もそう感じただろう。
実話だけど、どうかにゃ
286: 本当にあった怖い名無し 2006/10/27(金) 11:44:50 ID:mPcuUOHs0
>>283
君が立ち寄った時は実はまだ溺れたばかりで生きていて生き霊が呼び寄せたとは考えられないだろうか
何故助けてくれなかったんだと・・・
356: 本当にあった怖い名無し 2006/10/27(金) 21:08:59 ID:RK/yuHv70
【テント】
これは今から数年前の話だ。
俺が友達と一緒に、キャンプをしていた時の話である。
キャンプと言っても、小さいテントを持って、近所の山で寝るだけの
遊びの度合いが強いものだ。
簡潔に言うと、そのキャンプ自体は何事も無く終わった。
途中、ランプが消えてしまい割とパニックになったりしたが
月が出ていて暗闇に眼が慣れれば、意外と外がよく見え
その景色を堪能したりした。
今でもその時の景色を覚えてるし、友達と話した内容は覚えている。
問題は家に帰ってからだった。
そのキャンプ体験で、キャンプが気に入ってしまった俺は
友達からテントを借りて、家に帰った。
家出したくなった時、便利だとも思っていた。
だが小さいとはいえ、テントは嵩張る。当然親にばれた。
そこまではよくある話だ。
テントを誰から借りたの、と訪ねられ
友達の名前を答えた俺は、次の瞬間浮かべた親の顔が未だに忘れられない。
「誰、その子?」
それ以来、そのテントの持ち主の事を知っている、という人にあった事が無い。
当時は、半狂乱の状態だったが
今ではきっと脳内友達でも居たんだろうと思いこむ事にしている。
でも未だ覚えている。友達との会話。友達の表情。
あいつは、誰だったんだ?
365: 本当にあった怖い名無し 2006/10/28(土) 00:11:59 ID:Kf7gvqG20
>>356
つまり実は。1人でキャンプしていたってことか?
しかし誰のものか分からないテントは存在するんだよな。
382: 本当にあった怖い名無し 2006/10/28(土) 01:25:01 ID:EUb3MdvTO
【電車の走行音】
これは、とある事がキッカケで霊感(?)を得た、オレと母の話(長文になります)
家は社宅の二階
オレと姉、そして母の三人家族。父親は別居していた。
中学卒業を間近にひかえた初春のある日の夜、受験の圧力からは解放されていたオレは、コタツに入ってダラけながらテレビを視聴。母も一緒。姉は風呂(←いつも風呂入ってる)
時間はハッキリ覚えてないが、終電の時間は過ぎていた。 そう終電。
家のベランダから電車の通る高架線までは、目と鼻の先。なので、電車が走っている時間帯は騒音によりテレビや電話は妨害される。
電車の通らなくなるこの時間帯は小さな幸せ。
母と共にバラエティー番組に夢中になっていた。
そんな時。
続く
383: 本当にあった怖い名無し 2006/10/28(土) 01:26:34 ID:EUb3MdvTO
>>382の続き
そんな時、番組の司会者のユーモアたっぷりの司会が途切れた。
電車の音
母と一瞬顔を合わせる…が、すぐにテレビに向き直る
(チッ…なんだよ…まだ何か走ってんのかよ…)
終電終わったハズなのに、何かが走る…そんなことはまぁ珍しくはなかった。点検やら修理やらで(あと貨物とか?よく知らないケド)そういう車両がたまに走ることは知っていた。
そしてまたコタツで談笑…するハズが、そうならない。
電車の音が終わらない…。
(?どんだけ長いのが走ってんだ!?)
非日常的な出来事にさすがに不信に思った。と、同時に母が立ち上がった。
そして一点を見つめてる。ベランダへ繋がる戸(冊子?)にかかるカーテン。
電車の音の中、オレはイヤな予感がした…
続く
384: 本当にあった怖い名無し 2006/10/28(土) 01:27:59 ID:EUb3MdvTO
>>383の続き
カーテンに近づく母
『ちょっ…!待って!!』
オレは母を止め、隣の部屋に木刀を取りに走った。そして母のもとへ戻った。
母は今まさにカーテンを開ける瞬間。いつでも母をかばえる形で構えたつもりのオレ。
母は無言でカーテンを開けた。
高架線まで約50メートルほどだろうか…明るい月明かりの下、確かな電車の走行音。…だけど走る電車の姿は見えない。
見えるのは…『人』のみ
一番しっくりくる表現は『透明な電車と、それに乗る人々』
間違いなく人が流れていた。高架線の壁により腰より上しか見えないケド、確かに人。
ただ突っ立ってるような人もいれば、まるで吊革に掴まるような格好の人もいる。
…流れていく人々はすべて、オレと母を見てた様に感じた。
ここでオレ、チビる
続く
386: 本当にあった怖い名無し 2006/10/28(土) 01:29:47 ID:EUb3MdvTO
>>384の続き
オレはしばらく呆然としてた。母もおそらく。
その流れを何人分見送ったか分からないケド、オレと母は結構長い間それを見てた。
『ガチャ!!』
家の中からの不意の音に、オレと母は
『ヒィッ…!!』
ハモった。
姉が風呂の戸を開ける音で我に返った。
…いつ消えたのか、電車の音が聞こえなくなってた。
…人もいない。
母のキョドった顔見て、オレが見てたモノは幻じゃないと半ば確信。
その後しばらく母と何か会話したが、細かい内容は忘れた。
その日以来、終電後の電車の音は一度も聞かないまま、オレ達家族は社宅を引っ越した。
すべて謎だらけ。というより、下手に詮索したくなかったのが本音。
ちょっと続く
389: 本当にあった怖い名無し 2006/10/28(土) 01:31:13 ID:EUb3MdvTO
>>386の続き
この出来事、実は最近思い出した。
きっかけは写真。
今のオレの実家は、とある事情により、また引っ越しをした。
荷物の整理をしていて、アルバム発見。
お決まりのように、昔話に華が咲いた。
大量の写真の中に、長く暮らしたあの社宅と、その周辺の風景の写真を見つけた。その中に、あの高架線の写真があった。全部で12枚。すべての写真が全く同じ。アングルから何から何まで。まぁ焼き増ししたモノだろうケド。
…何の為に?
家族全員覚えなし。
思い出したのはあの日の出来事。オレと母。
社宅は取り壊されたケド、あの高架線は今も健在。もう見たくないケド。
長文のお詫びと、読んでくれた方への感謝を申し上げます。では。
402: 本当にあった怖い名無し 2006/10/28(土) 02:04:16 ID:CJLmAZrh0
【尾の長い生き物】
僕にはいくつかの変な癖がある。
まぁ、本当にどうでもいい癖なんだけど、
いやしかし、癖と言ってもいいのか…
とにかく、僕は自己中毒に陥りやすい体質で、
極度の緊張などに耐えられなくなると咳き込んで嘔吐したい気持ちになる。
もちろん、実際嘔吐した頃はないけれど。
で、時々、緊張もしないのに酷い嘔吐感に襲われることがある。
そんな時は決まって、僕の周り、もしくは僕自身に、奇妙な事が起こる。
403: 本当にあった怖い名無し 2006/10/28(土) 02:05:13 ID:CJLmAZrh0
始まりはいつの頃か忘れた。
けれど鮮明に、今でも思い出す事がある。
中学3年の頃、ある進学塾に通っていた。
行き来は自転車、その道筋の中に、小さな祠が建てられていた。
確か白い狐が祭られていたから、お稲荷さんだったと思う。
名神高速道路の高架下にあったせいか妙に薄暗い雰囲気だが、それでも僕はその祠が何故か好きで、
いつも5円だの10円だの、少しだけ石段に乗せて祈っては、塾から家に帰るのだった。
404: 本当にあった怖い名無し 2006/10/28(土) 02:05:43 ID:CJLmAZrh0
ある日の事だった。
じめじめとした空気、夏だと言うのに馬鹿に薄暗い空。
僕は塾から家までの道のりをのんびり自転車をこいで帰っていた。
今日もあの祠に寄ろう、そう考えていた矢先、雨が唐突に降り出した。
と言っても、ほんの小雨なので特には気にならない。
少し蒸し暑いのが減っていい位だ、慌てる事無くゆっくり自転車をこぎ、
う………
突如、激しい嘔吐感が胸に来た。
吐きたいのに吐けないもどかしさの様なものが渦巻く。
その時は自転車をこいでいたので、
ただ早く帰ろうと自転車の変速を切り替えて早くこぎ出した。
そして、妙な違和感に襲われる。
異常ににペダルが重い。
ギシギシ音を立てて、そう、ペダルが重いというか、まるで自転車全体に負荷が掛かっているようだ。
何だよこれ……
変速が壊れたのかと元に戻してみても、その負荷は直らない。
懸命に漕いでいるのに、歩いていく人にさえ抜かされる。
406: 本当にあった怖い名無し 2006/10/28(土) 02:06:46 ID:CJLmAZrh0
雨は少しずつ強くなっていき、生暖かい空気が首筋を駆け抜ける。
………え。
そして僕は青くなった。
生暖かい空気は、首筋に断続的に掛かるのだ。
そう、例えて言うなら、…後ろに何かを乗せている感じで、
……まさか、
僕は乗せているのか?
……何かを?
そう思った瞬間、背中に怖気が走る。
後ろが振り向けない。
振り向く事が怖い。
心なしか、首に痛みすら感じる。
408: 本当にあった怖い名無し 2006/10/28(土) 02:07:51 ID:CJLmAZrh0
…こぐしなかい。
ペダルを踏み込み、ただひたすら、僕はこぐ。
嘔吐感は収まらない。
しかし稲荷の祠が視界の端に見えた時ほっとした。
大丈夫だ。大丈夫。あそこに着けば、大丈夫だ。
妙な確信を持って、僕はひたすらこぐ。
首が変に痛い。
でももう少し、
もう少し、
着いた!
稲荷の祠の前で、急ブレーキ。
ガクン、と自転車は大きく傾き、慌てて片足で耐える。
その体制のまま、がばりと祠の方を向く。
首筋に痛みが走る。
……あれ?
在るべきものが、そこには無かった。
白い稲荷の置物は、消えていた。
瞬間、目の端に何かが映る。
白い尾だ。
異常に、長い尾を持つ何かが、僕の横を駆け抜けた。
見惚れるようにその犬の様なものを見ていれば、
ソレはあっと言う間に曲がり角を曲がり、視界から消えていった。
410: 本当にあった怖い名無し 2006/10/28(土) 02:08:28 ID:CJLmAZrh0
思えば、自己暗示というものの一種だったと思う。
僕は事故中毒持ちだし、暗示にかかりやすい。
怖いと思った瞬間、自身で怖い現象を引き起こすのだ。
つまり、極度の性質の悪い怖がり。
そこは今でも変わっていないのが悩みだけれど。
けれど、一つだけ不可解な事があった。
雨に濡れて帰れば、母は飛んできてタオルを投げてよこした。
僕が風邪を引くのも困るけど、部屋が僕のせいで濡れるのはもっと困る。
タオルを置き、さきに僕はシャツを脱いで置き、
…そして、シャツに釘付けになった。
背中の、首元辺りに滲む赤い色が見える。
慌てて母を呼び首筋を見せた。
母は絶句し、僕もその母の言葉を聞いて固まった。
横一文字に、薄く血が滲み出して、そして蚯蚓腫れになっていたそうだ。
首が痛かったのはこのせいだったのだ。
やがて蚯蚓腫れは引いたが、横一文字の傷跡は、今も首筋に残っている。
414: 本当にあった怖い名無し 2006/10/28(土) 02:10:07 ID:CJLmAZrh0
時々、その名神下の祠の横を通る事がある。
薄気味悪く、曇りガラスの中の狐は、睨むようにこちらを見ている。
昔は何で平気に、ここで立ち止まってお金を置いていたんだろう。
今の僕の方が怖がりなのか、そんな事を思い通り過ぎる。
そして、無意識に、首筋を触る。
一文字の傷が、そこにあることを確認する様に。
それは稲荷の祠の前を通る時だけの、変な癖だ。
416: 本当にあった怖い名無し 2006/10/28(土) 02:12:36 ID:nw0/c6ozO
>>414
とても面白かったです。
595: 本当にあった怖い名無し 2006/10/29(日) 02:41:27 ID:uUnEHXO40
>>414
それって、いつもお参りしているお狐様が祠から出てきて、後ろに憑いていたモノを祓ってくれたんじゃないの?
605: 餓鬼と即身仏の話 1/4 2006/10/29(日) 04:01:55 ID:uUnEHXO40
【餓鬼と即身仏の話】
北関東の田舎の、あるお寺のお坊様から聞いたお話。
「即身仏はなぜ尊いとされたのでしょうか」と、その寺のお坊様は私に尋ねました。
「それは『餓え』という生命全てが持つ生存欲を意志の力で越えていく行為ゆえです。
大乗仏教では個人的な苦行は否定されていますが、即身仏のみ、自らの餓えを以って
他者の餓え、大きな飢饉を贖おうとする、キリスト教的な価値観が見て取れるのです」
人間の3大欲求である性欲、睡眠欲そして食欲。
餓えとは、その最大の欲求である食欲 が満たされない時に発生する、生命体の最大の試練なわけです。
最近、育児放棄による乳・幼児の餓死が多数報道されるようになっていますが、実は
こうした事例は昔から多くありました。そうして亡くなった方はあまりの食への妄執
の強さ故、餓鬼道に堕ちてしまうそうです。
それは徳を積んだ高僧が目的を持っての 餓死であれば回避できるそうですが、幼く、餓死する必要もない子供であったりする 場合、「餓えて死ぬ」と、魂が磨耗してしまうそうです。
前世の悪行故に今生で幼く して餓えて死ぬ運命を背負って生まれてきたのだ、という人もいますが、そのお坊様 によると、そういう魂はバングラデッシュやアフリカなどの皆が餓えているところに 出る、この日本の今の時代に餓えて死ぬというのは、今生で生じた悪縁によるところ が大きいそうです。
606: 餓鬼と即身仏の話 2/4 2006/10/29(日) 04:02:27 ID:uUnEHXO40
その話は、祖父の何回忌かで、施餓鬼というものをやった時に聞きました。餓鬼道に
堕ちた餓鬼に施しを与え、現世に悪さをしないようにする祟り避けの儀式だそうです。
その時は、お団子をたくさん作って、お仏壇の前に小さなテーブルを祭壇にして供え
ました。そのお坊様が来てお経を上げて、
「何かを食べる時にはいつも『頂きます』食べ終わったら『ご馳走様』と口に出して
言ってください。その感謝の念が餓鬼に届きます」「そう言わない食生活、ただ口
に食べ物を運ぶだけの生活をしていると、物を食べていても餓鬼道に近づきます。
餓鬼道は私達のすぐそばにあるんですよ」とお話して帰りました。その夜のこと。
ふすま1枚隔てて祖父の仏壇の隣の部屋で、母と姉と女3人で寝ていた(父は仕事が
あるので夕食後に一人で帰りました)のですが、夜中におしっこがしたくなり起きて
しまいました。祖母の家は当時まだ汲み取り式で、深い穴がちょっと怖かったのです
が、別に3色の手が出てきてお尻をなぜるということもなく、無事におしっこをし終
えて部屋に戻ったのです。私は当時確か小学校5年生でした。
部屋に戻ると、母と姉を起こさないようにそおっと布団の周りを回って、真ん中に敷
いてあった自分の布団に潜り込もうとしましたが、祖母の家で飼っているキジトラの
猫が布団の上に寝ていて布団に入れません。その子を抱っこして一緒に布団に入ろう
とするとその子はフゥッ!とうなって、隣の仏間に走りこんでしまいました。ああっ
そっちはお団子が飾ってあるから入っちゃダメだよ!と思って私も隣の部屋に四つん
ばいになったまま入りました。思えばなぜふすまが開いていたのか。
607: 餓鬼と即身仏の話 3/4 2006/10/29(日) 04:02:49 ID:uUnEHXO40
暗い仏間の中心にそのキジトラが座っていて、毛を逆立て、尻尾を太くして、フーウ
フーと喧嘩をするようにうなっていました。後ろの寝室の常夜灯の茶色い光がふすま
の開いた隙間から微かに差し込んでいて、仏間の様子はうっすらとわかりましたが、
お仏壇の前に供えていた白いお団子が見えません。
あーもうひっくり返しちゃったの か、と思って暗がりの中、よく目を凝らしてみると、キジトラは仏壇をにらんで唸っていました。
そしてお団子が見えないわけも判りました。真っ黒い餓鬼が何体も、そ
のお団子の山に群がっていたのです。赤ちゃんくらいの大きさですが、手足が細く長
く、頭とお腹だけが丸々と。それらがお団子を口に?運んでいましたが、食べると青
白い火みたいになって、その照り返しで顔がおぼろげに見えるのです。その時はただ
お化けだ!と思いましたが、後で調べたら、典型的な餓鬼の絵にそっくりでした。3
体以上はいました。私はびっくりしてその場で気を失ってしまいました。
翌朝早く、布団がなくて寒くて目が覚めると、私は仏間と寝室の間に寝そべっていま
した。あー寒いと思って布団に戻って、そこで昨晩見たものを思い出してゾクっとし
て、お仏壇の前に見ると、お団子は全てドロドロに溶けてしまっていました。猫がお
しっこを掛けたんだとか言っていましたがおしっこの匂いはしませんでしたので、祖
母に昨晩見た話をすると、「そりゃ昔の飢え死にしたご先祖様じゃないの。お腹を一
杯にしてもらったから悪さはしないよ」と言ってくれました。
608: 餓鬼と即身仏の話 4/4 2006/10/29(日) 04:03:02 ID:uUnEHXO40
でも私には気になることがありました。照り返しでおぼろに見えた顔の中に、小2の
時に仲良しだった友達の顔が見えた気がしたのです。彼女は親がパチンコに狂って生
活保護を受けていて、幼稚園に通っていませんでした。それで小1の時からいじめら
れていて、小2で同じクラスになった時に仲良くしていたのですが、小2の年末にご
飯も食べさせてもらえずに半裸で家から締め出されて凍死してしまったのです……
あの餓鬼の頭でキラっとしたパッチンどめは、彼女のお棺に入れたものだったと思う
のです。彼女はもう極楽にいるんでしょうか。いてくれるといいなぁと思います。
長文失礼致しました。
610: 本当にあった怖い名無し 2006/10/29(日) 04:23:05 ID:iw5K9sMQO
>>605-608 乙です。
餓鬼はそういう人の魂なんですね
勉強になりました
亡くなった友達が成仏してますように(-人-)ナム
612: 本当にあった怖い名無し 2006/10/29(日) 04:28:31 ID:wcwyDlZM0
>>605-608 こういう怖くて物悲しいはなしを読むと
幽霊や妖怪って「実在」はしないかも知んないけど
「必要な存在」なんだなあと実感するわ。
人間の逃れられない運命とか、生まれもってる獣性とかに
折り合いをつけて生きていくためには
「恐れ」か「畏れ(信仰心とか)」しか無いんだよね・・・・。