649: 2/13 2007/01/18(木) 09:58:18 ID:SUlaGoNV0
その時はさほど変には思わなかったのですが、
普通、時給のバイトに+?でバイト代を出すなんて今考えればやっぱり変ですよね。 異常があったのは5階建ての雑居ビルで、見た目からしてなんか出そうな所でした。
表の鍵は掛かっていました。もちろん裏もカギは掛かっていました。
鍵を開けて私とAは中に入りました。異常があったとされる1階は何もなし。
一応各フロアも回るように、と言われていたので、私と友人は各階ごとに一人が見まわり、
もう一人が非常口が見えるエレベーターホールに待っていることに決めました。
650: 3/13 2007/01/18(木) 10:00:10 ID:SUlaGoNV0
そして5階は友人が見まわり4階は私が……ということになりました。 5階は普通のオフィスで、
Aが見回っている間、私は非常口のドアは?
とノブを回したのですが、カギが掛かっているのか開きませんでした。
Aが「異常ないよ。こりゃもうけたな」っと笑ってホールに戻ってきました。
次は4階、私が見回る番でした。
階段が使えなかったのでエレベーターで4階へ。
651: 4/13 2007/01/18(木) 10:02:54 ID:SUlaGoNV0
そこは倉庫として使っているのか、ホールにも段ボールが積んでありました。 さて、行くかっと思ったその時、私の携帯に会社から電話が入りました。
アンテナが1本しか立ってなく、
やばいかなーと思いながら出るとすぐに切れてしまいました。表示は圏外。
Aはここで待って、私は外に出て電話をかけ直すと言うことになり、
何の気なしに非常口のノブをひねると開きました。
5階で非常階段を見回ってなかったので、私は階段で行くことにしました。
5階は異常なし。4階に戻るとAが「慎重すぎる」と笑いました。
3階、ここも非常口のドアは鍵が掛かっているらしく開きませんでした。
2階も同様に鍵が掛かっていて開きませんでした。
1階に着いたとき携帯がまた鳴り、表示を見ると会社から。
アンテナは3本立っていました。
652: 5/13 2007/01/18(木) 10:07:12 ID:SUlaGoNV0
「あれ?」っと思い出ると、社員の人がAの事をしきりに聞くので、
「普通ですよ。どうしたんですか?」と聞くと、さっきから何度もAの携帯番号で
会社に何回も電話がかかって来ているらしく、
しかも出ると必ずザーっと言うノイズ音しか聞こえないので、何かあったのか?
と言うのです。「いや、何もないです。Aの携帯の故障じゃないんですか?」っと笑いながら言うと
「なにも無いならいいんだ」と言って切れました。 階段で4階まで行くのは疲れるのでエレベーターで
行こうと上ボタンを押したのですが、
一向にエレベーターは4階から動きませんでした。
私はAが悪戯してるのだと思い、仕方なく階段で4階まで戻りました。
Aはエレベーターホールにはいませんでした。エレベーターを見ると1階に。
Aが私を驚かそうとしてどこかに隠れているのかな?
と思い、一応4階を見回ったのですが、何処にもいませんでした。
先に3階を見に行ったのかな? っとエレベーターを呼び、
乗り込むとAの携帯がエレベーターの中に落ちていました。
653: 6/13 2007/01/18(木) 10:09:45 ID:SUlaGoNV0
Aの奴帰ったのか? と思い、私一人で 残り3フロアを見回りました。終わったー疲れたーもう帰ろう―― このとき重要な事を思いだし脱力しました。この場所には会社の車で来たのですが、
運転はAが、私に至ってはバイクなら運転できるのですが車は運転出来ない。
これじゃあ帰れないじゃないかーっと思い外に出ると、案の定会社の車はそこにありませんでした。
仕方なく私は歩いて会社へ戻りました。
その日、Aは私を置いて会社へ帰り、そのまま仕事を辞めてしまったそうです。
会社の人は私にもう帰っていいよと言いました。
654: 7/13 2007/01/18(木) 10:13:06 ID:SUlaGoNV0
何か釈然としないものを感じましたが、
臨時収入をその場で渡されたので「まぁいいか」と結局そんなふうに思ってしまいました。
制服を仕舞うときポケットの中にAの携帯が……返すの忘れてたのを思い出しました。
忘れてたというのか会えなかったってのがホントの所なんですが……。
Aは自宅に電話を引いてないので、携帯がなきゃ大変かな?
なんて思い、文句ついでに 届けてやろうと新聞配達後Aの自宅へ行きました。
Aの家はかなりボロいアパートの二階の階段前。
寝てるけどいいよねっとチャイムを押しましたが出てくる気配なし。
何回も押すと近所迷惑だろうなぁーと思ったので、夕方にでも来てみようと私は家に帰って寝ました。――私は電子音で叩き起こされました。時計を見ると7:30。鳴っているのはAの携帯でした。
仕方なく私が出ると、電話相手はAの母親でした。
655: 8/13 2007/01/18(木) 10:15:38 ID:SUlaGoNV0
Aが家にいないそうなので、まだ眠かったのですがAの母親に携帯を渡せばいいかと思い、
またAのアパート に行きました。
チャイムを押すとすぐにAの母親が出てきました。
ドアの隙間からAの部屋の中がチラッと見えたのですが、変な柄の壁紙が張ってありました。
私は携帯を渡してそのまま帰るつもりだったのですが、誰かが階段を登ってくる音が聞こえると、
Aの母親は「ここじゃなんだから」っと私を部屋に入れドアを閉めたのです。中に入った時、私の顔は真っ青だったと思います。それは、その変な柄の壁紙……は、壁紙だったのではなく、
指から血が出ても壁紙をかきむしり続けた……そんな痕だったからです。
それが、壁一面にあったのです。
656: 9/13 2007/01/18(木) 10:17:10 ID:SUlaGoNV0
Aの母親は「ペンキでも塗らないとダメね」 と雑巾でこすりながら苦笑しました。
Aの母親の話では、Aはあの仕事中人を殺してしまった とAの母親に電話を入れたそうですが、
途中で叫び声と共に電話が切れてしまったそうです。
その後何度電話しても話し中で、父親と話し合い、彼の母親が始発電車でAの所へ来たそうです。
そして管理人さんに電話を借りてAの携帯へ電話したそうなのです。
それを、僕がとったというわけです。あいにくAの部屋の両隣は留守で、中で何があったかは分からないのだと言っていました。そして先日。Aから電話があり、会うことになりました。
Aはまるで別人の様な顔つきになっていて、
はっきり言って喋るまで本当にAなのか? とさえ疑うほどでした。
657: 10/13 2007/01/18(木) 10:18:42 ID:SUlaGoNV0
実はAから電話があった後、彼の母親から電話があり、
「Aがあなたに何を言っても、すべて 『Aが疲れていたせいだ。只の幻覚』だと言ってくれ」と言われていました。
その言葉に、Aは普通では考えられないような事を言うのだろうと、覚悟は決めていました。彼が語った話とは……あの日、私がAと4階で話し、階段で下に向かっているときエレベーターが1階に降りていったそうです。
Aは、私がダッシュで階段を下り、自分を驚かせる為にエレベーターで上に上がって来るのだと思い、
逆に驚かせてやるつもりになったそうです。
658: 11/13 2007/01/18(木) 10:19:33 ID:SUlaGoNV0
そして、エレベーターの前で扉を背にして立っていました。
エレベーターが開く音、誰かがゆっくりAに近づく感じ……
しかしそのとき非常口のドアが開く音がしたんだそうです。
Aはあれ? っと思い振り返りましたが、その目には非常口が閉まったところしか見えなかったそうです。
まさか泥棒!? と思ったAは、急いで非常口のドアを開けたそうです。すると、扉が何かに当たったそうです。
懐中電灯で見ると、そこには髪の長い女が倒れていて、
しかもその女の体はうつぶせであるにもかかわらず、頭はほぼ上を向いていたそうです。
Aは怖くなってエレベーターに駆け込むと、その中から、母親に電話をしたそうです。「人を殺した」と。
その時スーっとエレベーターのドアが開いたそうです。
659: 12/13 2007/01/18(木) 10:22:02 ID:SUlaGoNV0
そこには頭がいやな方向に曲がった女が、はいつくばりながらいたそうです。
エレベーターのドアは閉まる……が、女の腕に邪魔をされてまた戻る。そんなことが何回か続いたそうです。
そして女は立ち上がり、曲がった頭をAの方へ向け、 憶えたからねと言ったそうです。
Aは女を突き飛ばしたそうです。
そして(私が1階でボタンを押していたので)エレベーターは1階に。
Aは無我夢中で会社へ逃げたそうです。
いきなり会社を辞め、バイクで急いで家に帰ったそうですが、部屋にいても女がやってくるのでは?
と言う考えが頭を離れず、部屋から逃げ出したそうです……鍵もかけずに。Aが後になって下の住人から「朝までガタガタ何やってたの?」
と言われたときは、あの女が来たのだと思ったそうです。
その話を聞いて私は嫌な汗が出ました。
660: 13/13 2007/01/18(木) 10:23:55 ID:SUlaGoNV0
下の住人の話からすれば、私がAの部屋に行っ たときもAの部屋にはソレがいたってことですよ?
玄関には鍵が掛かっていなかったんです。これがサスペンスドラマなら、私は必ずドア開けてますよ!
もしも、本当にそうしていたら、私はソレを見てしまったのかもしれないんです!!
……Aは今はそのアパートを出て違う所に引っ越したそうです。臨時収入をつけてくれると言った会社が、このことを知っていたかどうか……それはわかりません。私の結論――・エレベーターは必ず前を向いて待ちましょう。
・ドアはゆっくり開けましょう。
・人の家のドアはどんな時でも開けようとしない。けれど……ソレが人間でなかったとすれば(そうとしか考えられませんが)、
結局は何をしても無駄なのかもしれません。
そこの扉を開けたとき、ソレに当たらない保証が、あなたにはありますか?
694: 1/5 2007/01/18(木) 14:03:21 ID:SUlaGoNV0
【ラップ音】
今からちょうど10年前、私がまだ大学生だったころのことです。
当時、私には一つ年下の彼女がいました。彼女は霊感の強い子で、
それまでにもさまざまな体験をしていました。妙な音を聞く、街
中でおかしな人影をみる、金縛りにもよくあっていたようです。
特に、嫌な場所(彼女が言うには、空気がよどんでいるらしい)
の側に行くだけで、頭が痛くなるほどでした。
695: 2/5 2007/01/18(木) 14:04:43 ID:SUlaGoNV0
その日、いつものように僕は彼女の家に泊まりにいっていました。
場所は渋谷区笹塚にあるワンルームマンションで、甲州街道を渡り、
商店街を抜けて左に折れてしばらく行ったところにある白い建物で
す。わずか4畳半ほどの狭い部屋で、入り口を入ると左側にキッチン、
右側にはユニットバスという、よくある間取りです。
部屋には窓が二つありました。一つはバルコニーに面した大きな
窓、そしてもう一つ、問題の小さな窓が左側の壁面、エアコンの
真下に、ちょうど人の胸の高さのところにありました。
696: 3/5 2007/01/18(木) 14:06:08 ID:SUlaGoNV0
その日はいつもより早く就寝し、
大きな窓に添うように置いてあるベッドで二人寝ていました。
時間は覚えていません。僕はふと目がさめたのです。
頭の上にある窓とエアコンの辺りから、パシン、パシンと
何度か音が聞こえており、その音で目覚めたのでした。
妙な目覚めの良さで、頭がすっきりしていたことを覚えています。
季節は冬ということもあり、部屋の内装の乾燥による音だと
思って、しばらくエアコンを見つめていました。
それが起きたのは次の音が鳴り響いた時です。
突然、隣に寝ていた彼女が「ううぇ」と何度も唸りはじめ、
体を硬直させ全身震え始めたのでした。
697: 4/5 2007/01/18(木) 14:08:43 ID:SUlaGoNV0
悪い夢にうなされているのだと思い、すぐさま彼女を起こそうと
僕は彼女の体を揺り動かしました。彼女はうつろな、どこにも
焦点のあっていないような目で天井を見つめたまま、
こう言い始めたのです。
「おぉ、女の、中年の女の声が・・・。『お前の子供が6才になっ
たら、海で溺れ死にさせてやる』」
僕はなぜかとっさに思いました。さっき自分の聞いた音は、乾燥による
建材の音ではなく、ラップ音なのだと。
訳もわからず僕は彼女を抱き寄せて、お腹の中で叫んだのでした。
ただ頭の中にあったのは、テレビで聞いた『声魂』でした。
霊に襲われそうになった時、声にならずとも腹の底から叫べば
霊を追い払う事ができるというものでした。
「彼女のところに来るんじゃない!来るのなら俺のところへ来てみろ!」
2度ほど叫んだと記憶しています。
2度目を言い終わったと同時に最後の音が同じ窓のところから響きました。
698: 5/5 2007/01/18(木) 14:10:39 ID:SUlaGoNV0
パシンッ
次の瞬間、彼女がこう言ったのです。
「女が『クソッ、チクショウ』って言った・・・」
彼女はこの部屋に越してきてから何度か妙な体験をしており、
僕にはそれを話していなかったのです。霊の通り道というのを
どこかで聞いたことがありましたが、何度か彼女はそれを
この部屋の中で体験していたのでした。
霊感の強い人間と一緒にいると影響されるとも聞きます。
それまでの僕にはこうした体験は一度もありませんでした。
興味深いのは、彼女が1ヶ月ほど前に見てもらった占いのなかで
「あなたの彼はあなたを救う星の位置にあります」
と言われていたことです。
現在、その白いマンションはまだ存在しています。
699: 1/4 2007/01/18(木) 14:24:30 ID:SUlaGoNV0
【上がってきたエレベーター】
病院で掃除のバイトしてた頃の話。掃除は深夜誰もいなくなってからやっていた。
その日、俺は全ての作業を終えエレベーターで一階に降りようとした。
この時間は看護婦も診回りに行かないし、医者も当直しかいない。
まして患者さんなどいるはずも無いから病院の中は本当に静かだった。
㊦ボタンをいつものように押すとエレベーターは上に上がってくる、はずだった。
なぜだか、その日は下へ下へと降りていく。そしてエレベーターは地下二階で止まった…
その階には『霊安室』といくつかの検査室しかなかった。
誰があの階に?
いるわけがない…今日の深夜バイトは俺一人なんだから…
そう考えているうちにエレベーターは上がってきた。
途中で止まってくれたら、誰か忘れ物でもしたのだ、と思えるのに、
エレベーターは俺がいる階まで上がってきた。霊安室のある階からノンストップで最上階まで。
最上階には物置しかなくて俺は掃除用具を片付けに来ただけだった。
700: 2/4 2007/01/18(木) 14:25:48 ID:SUlaGoNV0
誰もここに来るはずが無かった。そしてエレベーターの扉が開いた…
そこには誰もいなかった。
何だ、勘違いか。と安心して乗り込もうとした瞬間、何か血なまぐさい臭いがしてきた。
エレベーターの中からだ。
俺はもう気持ち悪くってエレベーターをあきらめ階段を使って一階まで降りた。
えらく時間が長く感じた。
後ろになにかがいるような気がして後ろも見ず一気に駆け下りた。
次の日は昼番で、そこで初めて聞いた。
あの日患者さんが屋上から飛び降り自殺したのを。
そして遺体は霊安室にあったことを。
701: 3/4 2007/01/18(木) 14:27:29 ID:SUlaGoNV0
俺はそれでも霊とかはあまり信じちゃいなかったからこのことは勘違いで済ませ
それからもそのバイトは続けていた。
しばらくしてから、ある友達とアパートで酒を飲むことがあった。
そいつは自称霊感ありの奴だったから俺は病院での出来事をそいつに語ってみせた。
俺が話している間、そいつは静かに聴いてたがだんだんそわそわしだした。
トイレかなと思ったけどそうじゃないみたいだ。
そしたらいきなり『俺もう帰るわ。』て言い出した。まだ酒も余ってるのに。
俺は引き止めたけどそいつはさっさと帰ってしまった。
何だあいつ、と少し腹が立ったけど、一人で飲んでも仕方ないのでその日は寝ることにした。
本当に嫌な夢を見た。狭いところに無理やり押し込まれるようなそんな夢を
702: 4/4 2007/01/18(木) 14:29:26 ID:SUlaGoNV0
次の日俺はそいつと学校で会ったから、何で昨日帰っちゃったんだ?と聞いてみた。
そしたらそいつ、こう言った。
「あの話してる時、なんとなくドアの方見たんだよ…そしたらさあ覗いてんだよ
女がさあ…ポストの受け取りかごの隙間からさぁ…」
ありえなかった。投函口の内側についてるボックス、あんなところに人の頭が入るはずもないし。
その時外から投函口に頭を突っ込んで、ボックスのスダレみたいになってる隙間からこっちを
見てる女の顔を想像して気分が悪くなった。
「言っても信じてもらえないと思って…それに血まみれでしかも逆さで…
ほんとに置いてってゴメン、ゴメン…」
と最後にはそいつは俺に泣きながら謝ってた。
俺はそれでバイトを辞めた。
703: 1/5 2007/01/18(木) 14:32:40 ID:SUlaGoNV0
【だぶだぶの白い着衣】
3年程前になるが、俺は軽い腎炎で地元の市立病院に入院した。
2日ぐらい点滴を受けたら高熱も引き、若いからそれだけでもう気分は健康体なんだが、
医者がそれで許してくれるはずもなく、結局2週間近く入ってた。w
だから、察しは付くだろうけど、なにしろ退屈でね。
やる事無いから昼間からTV見ながらウトウトしちゃったりして、
当然の事ながら夜眠れない。その夜も、夜中2時半回った頃に目が覚めて
どうしようもないから、1階にある喫煙所に行った。
704: 2/5 2007/01/18(木) 14:35:31 ID:SUlaGoNV0
30分かそのぐらい?そこで一服して、茶ぁ飲んだりしてぼんやり過ごし、
さてそろそろ寝ようと、ロビーに戻り、
「中央エレベーター」と呼ばれる8つのエレベーター群のひとつの▲ボタンを押した。
開かない。あれ?
このエレベーターは、使う人がいなければ自動的に1階に戻って待機してるはず。
ドア上の階数表示を見ると、地下2階から上がって来る所だ。
他のエレベーターに目を巡らすと、どれもちゃんと1階で止まっている。。。
夜勤の看護士さんかな?と思う間もなく、ドアが開いた。
705: 3/5 2007/01/18(木) 14:37:19 ID:SUlaGoNV0
人がいた。どう見ても看護士ではない。
つか、男か女かもわからない。案山子のように突っ立っている。
痩せ細っていて老人ぽい印象だが定かではない。
だぶだぶの白い着衣に負けず劣らずの真っ白な顔。
だらんと両脇にぶら下げた腕。
大きく見開いた目はちょっとグレーっぽく、俺を見ているのか見ていないのか…
正面からもろに顔突き合わせたのに、まばたきもしない。
表情も微動だにしない。反応ゼロ。
706: 4/5 2007/01/18(木) 14:38:55 ID:SUlaGoNV0
「すっ、すいません」と、何故か謝り、数歩退く俺。(^_^;)
ドアが閉まり、そいつを乗せたエレベーターは一気に屋上まで上って行ったようだ。。。
もちろんそれが戻って来る前に、他のエレベーターで急いで自室に帰り(6階)
布団をかぶって無理矢理寝た。
707: 5/5 2007/01/18(木) 14:39:51 ID:SUlaGoNV0
具合が悪くて長期入院になる人の中には、
ノイローゼ気味から夢遊病とかになる人もいるんだってな。
その出来事を話したら、看護士さんはそう言ってた。
今現在、その気のある患者さんの報告は無いけど、調べてみるって。
俺がご対面したのも、そういう患者さんだったんだとは思う。
けどなあ…俺、そんな感じのヤシには時々、妙な所で会うんだよ。
深夜のコンビニの角とか、真っ昼間のタクシー乗り場とか。
誰も住んでない、取り壊し予定のはずの古いアパートの窓とか。
まあ、あんな間近でご対面したのはこの話の件が最初だが。
友人のひとりに話したら、気にするなって。
俺は良く言えば現実主義、悪く言えば無神経で、嫌な事も一晩寝れば大抵忘れる。
それが妙なモノから身を守る役に立つ事もあるってさ。
誉められたのかなんなのか良くわからんが、まあ、気にしない事にしている。
710: 1/5 2007/01/18(木) 15:19:45 ID:SUlaGoNV0
【卒塔婆】
高校生の頃、暇さえあれば山辺の道を歩いていた時期があります。
三輪山の霊気は、独特で非常に強いし、あの辺りは歩いていても心が和むんです。
道のあちこちにある石仏も優しげですしね。
汗かいて、一服していたら、「今日は暑いの」と話し掛けられ「そうですね」と何気
なしに答えたら、石仏が微笑んでたなんてことはよくあります。
さて、この辺り有名な古刹が点在しています。
そのひとつにお参りしました。
711: 2/5 2007/01/18(木) 15:20:42 ID:SUlaGoNV0
山の斜面に建立されたそのお寺は山そのものが聖域です。
小さな洞窟もあり、しめ縄で入り口を塞ぎ、「立ち入り禁止」としています。
こういうのは修行場で一般人の立入禁止にしている場合と、修行場だったけどやばくなったんで立入禁止にしている場合もあります。ここの場合は後者でした。
勿論、そんなところへ入るほど愚かじゃありません。
境内を登っていくと、極太のしめ縄でそれ以上上へは上がらぬようにしてます。「立
入禁止」の標示もやたら大きくあちこちにあります。
(やばいな・・・・)
そう思ったんですが、その結界の前に猫がいました。
僕をみてます。
712: 3/5 2007/01/18(木) 15:22:13 ID:SUlaGoNV0
小猫みたいに小さいんですが、明らかに成獣です。白く美しい華奢な美人です。
(・・・・使い魔?)
こういう場所には時々出るんです。
猫は「ついておいで」と言うように顎をしゃくると結界の中へ入っていきます。何も
考えずついて行きました。松林の中を暫く行くと唐突に拓けた場所に出ました。
崩れた卒塔婆があります。
猫はそこで立ち止まり僕を見つめます。
彼女がなぜ僕を連れてきたのか分かりました。卒塔婆を直し、白い素焼きの徳利と杯があったので側の小川で水を汲んでお供えしました。
ひととおり終わったところで、猫が擦り寄ってきます。頭を撫でてやって、見るとな
にか咥えています。
713: 4/5 2007/01/18(木) 15:24:07 ID:SUlaGoNV0
錆びた銀の簪でした。赤い珊瑚で飾っています。黒ずんで汚れて見る影もありませんでしたが・・・・
猫はこの簪を渡したいようです。
受け取ると頭を下げました。
ひとり戻ると、結界の所に中年のお坊さんが私を待ってました。にこやかに微笑んでいます。私に向かって手を出しました。
僕は無意識に簪を手渡しました。
「ご苦労様でした」
お坊さんはそう言うときびすを返して戻っていきました。
その時はなんの違和感も無かったのですが、今、考えると大分奇妙な話です。
714: 5/5 2007/01/18(木) 15:24:43 ID:SUlaGoNV0
さて、後日談。
数年後、恋人だった今の妻と嵯峨野へ旅行へ行きました。
天竜寺の渡り廊下でポーズを取る妻をカメラに収めようとしたとき、庭に人影を見ました。
真紅の毛せんを敷き、ちんまりと座ったお姫様です。15、6歳の可愛い娘でした。
直感であの卒塔婆の主だと確信しました。
お姫様は僕にお辞儀をすると消えました。
715: ポップンコ1/4 2007/01/18(木) 15:26:16 ID:Tua6Dx5H0
【「 ポ ッ プ ン コ 」】
俺は大学生の頃、バカ仲間どもとそれはもう楽しく毎日バカやって暮らしていた。
ある日バカ仲間のエム谷が、おもしろいことを持ってきた。
「ちょっとしたルートから」ラベルの無いビデオを手に入れたという。
どう見ても裏ビデオです、本当にありがとうございました。
そう直感した俺たちバカグループ(通称:特攻隊)は、すぐさま俺の家で
裏ビデオ上映会(通称:任務)を計画したのだ。
ちなみにエム谷は見た目は地味だが、自他共に認める特攻隊の隊長で、
夜通し飲んだ酔いを覚ましていた川の土手で、朝方4時すぎに、おもむろに
服を脱ぎ、全裸で、けつに長い葉っぱを挟み、「しっぽが生えちゃったよ」と言いながら、
150メートル程向こうの鉄橋を渡る始発の京王線に向かって、
「おはようございます!!」「おはようございます!!」と何度も絶叫しながら、
満面の笑顔で、大きく両手を振り続けたという逸話を持つ、立派な軽犯罪者だ。
そんな常軌を逸したエム谷が、満を持して手に入れた裏ビデオ。
これはきっと常軌を逸した素晴らしい内容に違いないと仲間の面々は思っていた。
716: ポップンコ2/4 2007/01/18(木) 15:27:21 ID:Tua6Dx5H0
そのあくる日 俺の家に面々が集まり、任務につくことになった。
6畳1間に大の男5人は狭い。ひしめき合うようにテレビの前に座る。
隊長エム谷が訓辞を垂れる。
「諸君ご苦労
われわれはこれから未知の領域へと足を踏み入れようとしている
開拓精神をたぎらせ、各自新しい何かを掴み取って欲しい
己のフロンティアを目指し、勃てよ、前立腺!」
任務開始だ。
「再生」を押す。
すると、画面にはまず文字がフェードインしてきた。
「 ポ ッ プ ン コ 」
勘のいい方ならもうお分かりかもしれないが、
ここはあえて続きを読んで欲しい。
そして勘のいいエム谷はここでもう「やばいかも」と言い出していた。
717: ポップンコ3/4 2007/01/18(木) 15:28:22 ID:Tua6Dx5H0
題字がフェードアウトすると、真っ白な背景。
そこにミッ○ーマウスのコスプレをした不細工な男が出てきて
すんごい笑顔で葉っぱ隊のYATTA!みたいなダンスを踊りまくる。
顔は白塗り、ミッキーカチューシャ、丸いつけ鼻、デカい手袋と靴、
ぶかぶかの吊るし半パン、黒と白のボディペイント。
そいつが笑顔だの時々びっくりしたような表情だのを混ぜながら踊る。
BGMがまた♪ポップコ、ポップコ♪みたいな感じで、なんつうか超絶。
時々♪フゥ~ポップコ~ンって女性のコーラスが入る。超絶。
唖然として見ていると、ミッ○ーマンはおなかに両手を当てて、
「オナカガスイタナァ~」って声までマネして言いやがる。似てねぇ。ムカつく。
「たすけてアンパンマ~ン」と仲間のワイ村君がひやかすが、画面の方が面白い。
何しろミッ○ーマンは「ヨイショ」と言いながら仰向けに寝てしまったのだ。
718: ポップンコ4/4 2007/01/18(木) 15:29:23 ID:Tua6Dx5H0
そして、その仰向けに寝ている○ッキーマンの横顔がアップになった。
彼はひたすら空中に向かって口をパクパクさせてる。
パクパクパクパク 鳥のヒナみたいだなぁ。と思った瞬間…
画面の上から…
ああ…
それはご立派な、 う ん こ が…
「あ~あ…」
「食べちゃったよ…病気になるよ」
「ちきしょう、もぐもぐすんじゃねぇよ」
特攻隊員たちはもう完全にノックアウトされてしまった。
何しろ無修正だからモザイクなしのガチンコ勝負だったのだ。
どんなツラをして食ってたかとかもうそういうのは書きませんが、
もう、本気で相当なモンだった。マジで、あいつら頭おかしすぎる。
しかしそのあと隊長の提案した任務でカレーを食いに行った。
そして、その不謹慎なビデオ「ポップンコ」は、駅の白ポストに投げ込んだ。
ちなみに後で分かった事だが、「ポップンコ」は「パックンチョ」のもじりらしい。
いや、もしかしたらポップンコじゃなくて「パックンコ」だったかもしれない。
今となってはどっちでもいいけど。
長々とこきたない話を、どうもすみませんでした。
726: 1/3 2007/01/18(木) 17:15:34 ID:SUlaGoNV0
【滑り台の女の子】
夕食の前に、私は実家の近所にある公園のベンチでタバコを吸っていました。
目の前の砂場では数名の子供達が遊んでいて、反対側のベンチには、親と思われるおばちゃん達が座って互いにお喋りをしていました。
おばちゃん達が座っているベンチから少し離れた滑り台があったのですが、その下側、ちょうど滑り面が地面に接する鋭角のあたりに、座っている子供がいました。
体のほとんどが影になって見え難いのですが、どうやら女の子のようです。
(なぜ、あんなところに座っているんだろう?)
そう思っていると、おもむろに女の子がスッと立ち上がり、影から歩み出しました。
砂場を掠めて、こちらの方にゆっくりと近づいてきます。
727: 2/3 2007/01/18(木) 17:16:15 ID:SUlaGoNV0
その時、冷気が背筋を這い上がるのを感じました。
近づくにつれ、その子の姿の異様さに気付かされたのです。
丁度秋に差し掛かった頃で、夕暮れ時とはいえ辺りはかなり明るかったのですが、女の子の体は膝上までが影の中にあるように真っ黒で、そこから脛と裸足の足が白く伸びています。
全身がぼやけているというか、ピントがずれているような感じだったので、目を細めたりして焦点を合わそうとするのですが、次の瞬間にはフッとブレてしまう。
見るほどに気味が悪く、眩暈を起こしそうなのに、目を逸らすことが出来ません。
やがて目の前まで来た女の子が、ポツリとこう言いました
728: 3/3 2007/01/18(木) 17:17:29 ID:SUlaGoNV0
「おっちゃん。私、もう死んでるねんで」
ふと気が付くと女の子の姿は無く、そればかりか公園に居るのは私一人で、空はいつの間にか真っ暗になっていました。どうやら夜になってしまったようですが、女の子の言葉を聞いてからの時間の経過が、私の記憶から欠落しています。
不思議なことに、指に挟まれたタバコからは、まだ紫煙が立ち上っていました。
家に戻ると、玄関の所で鉢合わせした姉が、私の顔を見て怪訝そうな表情を浮かべました。
「鏡、見といで」
洗面所で鏡を覗くと、両の頬に黒い煤のようなもので小さな手形が付いていました。
738: 1/4 2007/01/18(木) 18:05:13 ID:SUlaGoNV0
【トイレの壁】
友達と8人で、多摩川上流(東京都)に遊びに行った時のことなんだけど。
そこは東京都言っても、もう山梨県に近い奥多摩町というところで、
信じられないくらい綺麗な川と山々に囲まれたトコなのね。俺達は以前から予約を入れてあったバンガローに泊まりに来た訳だが
今から思えばそのバンガローってのが、
ちょっと気持ち悪い雰囲気ではあったんだよね。まぁ建物自体がかなり古いものだし、
これから皆で大騒ぎして泊まるのにおかしなこと言いたくないからね、
もちろんその気持ち悪い感覚は胸にしまっておいた。昼飯時についた俺達は、近くのスーパーで買って来た材料で
BBQなどを楽しんだあと、バンガローの中で飲み会って流れになった。
739: 2/4 2007/01/18(木) 18:05:52 ID:SUlaGoNV0
男8人も揃うと大騒ぎで、そりゃ滅茶苦茶楽しかった。飲み続けてると当然、トイレに行きたくなるわけなんだけど
そのトイレってのが各バンガローの中に設置されてなくて
外に共同便所って形で設置されてるのよ。
いくら酔っていても、ちょっと一人で行くのは躊躇われるような暗さなので
(山奥の河原だから当然なんだけど)
トイレに行くときは、安全の事も考えて数人で付き合うって感じだった。そのうち、1人の奴がいないことに俺が気付いた。
「おい!?Aの奴どこいった?」「あれ?一人で便所かな?」
「ああ・・・そういやさっき出てったかも・・・」
おいおい!!酔って川にでも落ちたら死んいまうぞって事で、
比較的酔っていなかった俺が探しに行く事になった。正直、ちょっと怖かったのだが他の奴らはヘロヘロだし
Aの事も心配なので俺は仕方なくトイレから見に行く事にした。
740: 3/4 2007/01/18(木) 18:06:31 ID:SUlaGoNV0
トイレに着くと、4個並んだ個室のうちの1つ奥から2番目のドアが
閉まってる。
俺は少しホッとして声をかけた。
「おい!!気分悪いのか?吐いてんのかよ?」
個室からは返事なし・・・こりゃ中でぶっ倒れてるのかななんて
思いながら
「おい!!開けるぞ」ってノブに手をかけたが鍵かけてありやがる、
仕方なく俺はドアをガンガン叩きながら
「おーい!!いい加減にしろよ!!ほら!!出てこいよ」
そのとき・・・ドアの向こうからやっと返事が・・・「いい加減にするのはおまえだよ!!」聞いた事ない、いるはずない女の声でした・・・
俺はあまりのことに驚いて、Aの事も忘れて走ってバンガローまで
逃げてった。バンガローに着くとAは何食わぬ顔で皆と飲んでる・・・
気分悪くて河原で吐いて戻ってきたんだと。
741: 4/4 2007/01/18(木) 18:07:47 ID:SUlaGoNV0
俺がさっきの出来事を話すと、皆酔った勢いもあるのか
「面白そうじゃんか」「いこぉぉぉぉっ!!」
って感じで大盛り上がり。
俺はあんまり行きたくなかったんだけど、ここに一人で残るのも
耐えられないので、ついていった。トイレに入ると、やっぱり問題の個室のドアは閉まってる。
外側からいくらドアをひいても動かない。
「俺が上から覗いてやるよ!!」
1人が隣の個室の壁をよじ登って中を覗いた・・・「うわ!!!なんだよこれ!!やべぇ~よ!!」なんだなんだと皆で覗き込む・・・「なんだこれ・・・」「・・・・・・・・・・!!」1人の奴が走り出すと、皆一目散に逃げ出した。
その晩は皆眠れずに朝まで過ごして、早朝逃げるようにして帰った。トイレのドアが開かなかったのは、
内側から板が打ち付けられていたからだった、
そして便器は完全に破壊されていて使用することは不可能、
一番の問題はその個室の壁中にびっしりと貼られた御札だった。