386: 本当にあった怖い名無し 2007/03/04(日) 23:48:57 ID:BIgdSq+MO
俺の妹は霊感が強い。
とゆうかそうゆう家系らしい。
俺もわりと強い。妹強い。両親とも弱く母方のばあさんとばあさんのおとうとのじいさん強い。
高校の時の話。
その時うちには近所の人から預かっていた日本刀があった。
あとで年寄りから聞いた話なんだけどその日本刀は曰く付きで近隣の住人にはナントカ包丁と呼ばれているらしい。
夏休みのある日俺は友達と肝試しを行った。
場所は一家失踪の家。地元で有名な場所だ。
新しく家を建てるために業者が解体中に事故が相次いだ。
だから半壊状態のまま山の中にぽつんと取り残されている。
友達との待ち合わせ場所に向かうと、先に友達は来ていた。
ちなみに昼間。
失踪の家の辺りには夜はバスが出ていないから昼間に行くか夜明かしをするかしかない。後者は嫌。
バスに乗って問題の物件まで行くと昼間だとゆうのにその近辺だけ暗い。
おー雰囲気あるねー
そんなことを言いながら家に入ると、独特の冷気が漂っていた。夏だとゆうのに俺は鳥肌が立った。
あー、参ったな。
家具が置きっぱなしのリビング。食器棚の中に違和感を感じた。
カーテンが閉められていて昼間でも薄暗い。
食器棚の中の誰かと目があった気がして、俺は慌てて目をそらした
387: 本当にあった怖い名無し 2007/03/04(日) 23:49:50 ID:BIgdSq+MO
霊が出るとゆう子供部屋をまわり、朽ちた寝室をまわり、引き返す。
特に何事もなく、またリビングへ戻る。
記念写真を撮り、あっけなかったなーと言いつつ玄関から外に出る。
なぜか右の掌だけが汗ばんでいた。
家に帰ると中学生の妹がベランダで日焼けをしていた。
ご近所さんの目を気にしろよと言いつつ洗濯物を取り込み、一服しようと手すりにもたれ掛かると妹が吸っていた煙草を指先で弾いた。
煙草は俺の顔の横をかすめ、ポスッと弾かれて足下落ちた。
あぶねーなーなんなんだおまえ
と言うと、妹は唇の端をつり上げて笑い、手をヒラヒラと振った。
シッシッてか。犬じゃねーんだよ。
その日の夜晩飯を食っていると、後ろから視線を感じた。
妹が俺の後ろの食器棚からガチャガチャと皿を取り出すと気配は消えた。
夜中に便所に起き、またベッドに横たわっていると、コンコン、コンコン、と窓を叩く音がする。
窓の外はベランダ。ふとベランダを見ようと体を起こすとドカドカとベランダを歩く音が聞こえ、ウザッテーんだよ!と妹の声がした。
びっくりして窓を見ると妹が何もない空間に向けて蹴りを打ったところだった。
何してんの?
俺が言うと妹は不機嫌そうに言った。
お兄ちゃんガキ連れてきてるよ。
388: 本当にあった怖い名無し 2007/03/04(日) 23:52:09 ID:BIgdSq+MO
ガキ連れてきてるよ
言われて気づいた。昼間妹が煙草を投げつけたことを。
俺の顔をかすめ、煙草は何かに当たって落ちた。何か?何に?
俺は手すりにもたれ掛かってたから俺の後ろには何もない。煙草は一回まで落ちるはずなのに何かに当たり、跳ね返って俺の足下に落ちた。
気づいてぞっとした。
その日は妹に頼んで妹の部屋の床で寝た。
何日かして登校日だったので学校へ行くと友達が笑いながら寄ってきた。
やったな!
なにを?
友達は一枚の写真を俺に見せた。
あのリビングで撮った写真だった。
ぼけっと立つ俺の右で、小さな男の子が俺を見上げていた。
その子の手は俺の手を握っている様に見えた
やったな!なんか体調悪いとかない?
友達は嬉しそうにはしゃいでいた。
鬱になりながら家に帰ると和室の戸が開いていた。
おそるおそる中を覗いてみると、暗い和室で妹が一人で立っていた。
隣家から預かっている日本刀を持って。
俺は戸を閉めた。なんだあれは?なにやってるんだあいつ?
俺はびびりつつ戸を開けた。
妹は俺の顔を見ると、言った。
おかえり。今日から一人で寝ても大丈夫だよ
その日から視線も感じなくなった。
妹が何をしたのか俺は知らないし知りたくない
391: 本当にあった怖い名無し 2007/03/05(月) 00:07:06 ID:BIgdSq+MO
ちなみに俺は何度か妹に泣きついたことがあるが妹がもう大丈夫と言う度に怪現象はなくなった。
妹が何をしているのか分からない。
分かりたくない。
一度何をしてるのか訪ねると妹は笑いながら首を絞めるジェスチャーをしてみせた。
その瞬間窓が叩かれて妹がうるせーよ殺すぞ!
と一喝すると電気の紐が揺れて外で何かが逃げる気配がした。
俺は妹がたまに怖くなる。
ちなみに妹に彼氏が出来たためしはない。
つきあってもすぐに別れる。
すぐに。数日以内に。
ある日町で家に連れてきたとたん逃げ出した元彼と会ったので別れた理由を聞くと夢を見たと言う。
夢の中で妹は黒い靄にひたすら鉈を降り下ろしていた。笑いながら。
怖くなってつきあうどころじャなくなる。らしい。
ちなみにナントカ包丁はいまだにうちにある。
名前も覚えてるんだけど知りたくない詩忘れたいから書かない。
389: 本当にあった怖い名無し 2007/03/04(日) 23:54:13 ID:Fv6jOQlw0
>>391 ぞっっとしたwww乙、おもろかった!
393: 骨ではない恐怖1/2 2007/03/05(月) 00:32:25 ID:Q63GcoEX0
【骨ではない恐怖】
小学校の時のおれは恐竜が好きだった。
世界最大の恐竜博にも行ったし、恐竜の図鑑なんかもいっぱい持っていた。
なんでもないような木を恐竜の骨だと思って大切に持っていたり、
周りのやつにたいしたことの無い知識をひけらかしたり・・・
しかし大人になった今では、あのトカゲがものすごく怖い。
どちらかというと普通は逆(子供のときに怖がり、大人になって興味を持つ)なのではないか、
と思う人も居るかもしれないが、おれは大人になった今、怖いのだ。
無論それには理由がある。
小学4年生のときだったか、おれは化石を探すといっては、
家の裏にある山の中を一人でうろつくことが多くて、
その日も学校から帰ってきてすぐに山に向かった。
んで、化石化石とか言いながら10分ぐらい探してたら、
目の前にある木の一部が紫色に変色してるのを見つけたんだ。
なんというか、木に紫色のカビ?が生えたみたいで、ぐにゃぐにゃ動いていた。
何だこれ?とか思って持ってた木の棒で突っついた瞬間、
聴いたことも無い咆哮がおれの後ろ側から聞こえた。
ギャヤエェエーーーーー、みたいな。
甲高いような低いような、妙な声だった。
そいつは鳥ではなかったと思う。
あんなでかい声で鳴く鳥なんて知らないしな。
んで、ちょっと怖くなって、そーっと何があるか隠れながら見たら、
居たんだよ、恐竜が。
カナダのアルバータ州って場所で発見され、
その州の名前にちなんで名付けられた「アルバートサウルス」ってのが居る。
まさにそれだった。本とかで見るような可愛いもんじゃなかった。でかい。
ライオンとかヒョウとか、全然足元にも及ばない。格好いいとか、全然無かった。
博物館の骨ではない、本物の恐怖だけがそこにあったんだ。
394: 骨ではない恐怖2/2 2007/03/05(月) 00:34:52 ID:Q63GcoEX0
夕方だったから、周りは暗い。
木々の間にわずかに見える太陽だけが頼りだったが、
それが恐竜の体で隠されてしまったときは泣きそうになった。
山を降りるには、あいつの横を通り抜けなきゃいけない。
やばいやばいどうしよう、と思ってたら、焦って足を大きく動かしてしまい、
バサッと派手に音を立ててしまった。巨大な影がのそっと動くのが見えた。
気づかれた!!
そう思って思わず目をつぶった。ぎゅっとつぶったまま・・・10秒、20秒・・・
何も起きなかった。あれ、大丈夫なのか・・・?と思ってゆっくり目を開けてみた。
大口を開けた恐竜の巨大な頭だけが、おれの目の前にあった。
そこからは良く覚えていない。気づいたら家で介抱されていて、
親に聞くと帰りが遅いので心配して探していたら、
山に入る入り口のところで倒れていたと。ちょっとした騒ぎにもなっていた。
今おれが生きているということは、少なくとも食べられなかったということだろう。
だが、あれは夢ではないんだ。あまりの出来事に、当時は誰にも言えなかったけれど。
本当に夢ではないんだ。
恐竜というのはキャラクターになって可愛く表現されたり、
映画では格好いいように描かれたりしてるけれど、
元来「恐ろしい竜」なんだよな。
だから今でも、おれは、「ジュラシック・パーク」が本当に怖い。
421: 本当にあった怖い名無し 2007/03/05(月) 03:53:11 ID:kYcH5v+00
【樹海探索】
樹海に行ったときの怖い話投下。
自分の体験談の中では最恐。
自分卒業旅行で富士の樹海に行った大馬鹿者です。
わざわざ九州から青春十八切符使って普通列車を乗り継いで…。
とにかく、幽霊を見たいという目的で友人と2人で二日掛けてのんびりな旅で、
3日目の昼ぐらいにようやく青木ヶ原樹海ってバス停に辿り着いたんです。
その時点ですっごいヘトヘトだったため、バス停の目の前の民宿に入ったら、
「何しにきたの?」
と宿の主っぽいおばちゃんが睨んできて、あーなんか勘違いされてるな。
と思い、富士山見るついでに樹海見に来ましたー。泊まるとこ探してるんですー。
と適当言って出来うる限り爽やかに喋ってたらだんだん対応が優しくなって
最終的には素泊まり料金なのに飯まで出してくれることに。
でも、よく考えたら、素敵な応対とか、樹海に近すぎる宿の場所とか、そのおばちゃんが、
用事があるときは私は「離れ」にいるからー。
とか言ってたこととか考えりゃーヤバイ宿って事に気付きそうなのに、
その時は疲れきってて頭が回らなかったのか。
「いい所だなぁ。」とか思ってしまった。
んで、この3日間碌に寝ていなかったため、友人は物凄い鼾をかいてすぐに爆睡。
1人で昼の樹海散策に行ったところ、予想外に美しい樹海の風景に圧倒され、
「怖い所」という認識を失って順路を離れて適当に歩いてたら、
案の定迷子に。この時はちょっと頭がおかしかったのかも知れません。
かの有名な樹海に迷ったのに、携帯のアンテナも立ってるしなんとかなるだろ、
と適当に歩いていたら、妙に生々しく木からロープが垂れ下がっているじゃないですか。
嬉々として木に登りすり傷などを作りつつ、何とかしてそれを手に入れたとき、
「自殺者は見つかりにくいとこで死ぬ傾向がある」と
どっかで見たことを思い出し急にパニックに。
必死で走り回って出口を探していると「ゴォーン」という車の音が!
で、そっちに向かって行くと道路発見。なんとか事なきを得ました。
422: 本当にあった怖い名無し 2007/03/05(月) 03:53:47 ID:kYcH5v+00
その後は宿に帰り、ちょっと寝てご飯食べて風呂入ってテレビ見て、
深夜0時に樹海行こう!って話になってたんですが、
10時くらいに急におばちゃんが来て「夜お出かけになりますか?」とたずねてきたので
やばい、樹海行くとかいったら怒られるのかな?と思いつつも、
「せっかくなので樹海を探索してみようかと…」と恐る恐る本当のことを言った所、
意外に「そうですか。では鍵空けときますね。」と容認姿勢。
この謎の訪問に友人と二人で首をかしげながらも、深夜12時になったので意気揚々と樹海へ。
ところが、昼間とは打って変わって重過ぎる樹海の雰囲気にビビりテンションは直滑降。
言葉少なに順路を歩いて、何事もなく出口に到着。その時点で、
当初予定していた「樹海で怪談百物語」企画は完全に中止が決定していました。
で、樹海に来て何もないのはつまらないと思いつつも、
あまりに重苦しい樹海に戻る気がせず、結局一般の車道を
陽気な歌でも唄いながら帰ることにしました。
とここで急に「オレが急に歌を中断して無言でダッシュしたら…」
という変なドッキリを思いつきすぐさま実行。
「なに?どうしたん?」と不安げに友人もダッシュでついてきました。
423: 本当にあった怖い名無し 2007/03/05(月) 03:55:03 ID:kYcH5v+00
んで宿について「何があったんだよ!」という友人の問いに
「実は急にジーンズ引っ張られたんだよ。」と適当な嘘をつくと、
「えっ!マジで!?どこどこ?」としっかり騙されてくれたので、
「膝の裏んとこ。」とまた適当な事を言うと、
「あっ。ホントだ…手形がある。あ、あとなんかポケットに入ってんよ。」
と昼の間に拾ったロープとジーンズを渡され、「手形?」と訝しがりつつ膝の裏を見てみると、
そこにはハッキリと小さな白い手形がついていました。
自分はあまりのことに声が出ず、頭の中が真っ白になり。恐怖で声が震えそうになりつつも、
何とか友人に今日はもう寝よう。と言って不気味なジーンズとロープを投げ出し布団に包まりました。
その後、眠れないままどれくらい経ったのか判りませんが、
自分達以外には泊まり客がいないはずなのにのに、階段を上り下りする音が聞こえはじめました。
次に、風でガタガタいっていた窓が等間隔で「ドンドンドン」と鳴りはじめました。
さらに、どこからか話してあっているような声が聞こえてきました。
極め付けに、すぐ隣、友人の寝ているあたりから
「ガリガリガリ。ガリガリガリ。ガリガリガリ。」という音が聞こえてきました。
それまで何が何でも布団から出ない!と思っていたのに、
布団からちょっと顔出すくらいなら…と何故かちょっとだけ友人の方を覗ってしまいました。
友人は目を見開いてこちらを見据えながら、右手(両手だったかもしれない)でガリガリと畳を削っていました。
幸いなことにそれを見た時点で意識を失ったようで、気付いたときにはもう朝でした。
友人は何事もなかったかのように起きてテレビを見ていました。
そのあまりにも普通な感じから、やっぱ昨晩のは夢だったのかな…。
などと考えていたら、友人の枕の上の方、右手で畳を引っかいていた先に
首吊りに使われたと推測される縄と、手形のついたジーンズが畳んでありました。
以上。思った以上に長くなりました。読みにくい文章ですいません。
58: 本当にあった怖い名無し 2007/03/18(日) 17:49:52 ID:yu2WM2qu0
【絵金祭り】
誰もいないっぽいので勝手にスレ汚しします。
話下手なので恐怖感を煽る表現なんかはうまくできないので
もしかしたら全然怖くないのかも。
ただ自分にとっては物凄い恐怖体験でした。
どうか長文がだるい方はスルーして下さい。
去年の事、高知県の赤岡という町に行った。
絵金祭りという祭りを一度この目で見てみたかったというのが第一の理由。
絵金祭りというのは祭りの夜にろうそくの火で絵金の描いたを見て回れるという祭り。
第二の理由と言うのは、まぁオカ板住人なだけにオカルト的な事が好きな自身を
満足させるような事があると言うこと。
率直な話自分は差別と言うのは好きではない。ただ部落の話は好きなのだ。
部落の話と言っても、そこにある昔からの伝承や、昔から守られてきた風習の
謎とも言うべき物の知識を得ることが快感だったのかもしれない。
そもそも日本には色々な風習があるが、不思議と狭い社会で作られた
ディープな話程興味をそそるというもの。それに触れるのは部落関連の話というのが
自分なりの安易な解答だったのだ。
「赤岡の町には部落があり、何か祀りたてている。」
こんな話を聞いたのが事の発端だった。
その土地の神聖な存在と言うのは概ね地元の神社、寺などを廻ると分かるのだ。
例えば神社に行き、神主さんに郷土史について調べていると言えば、
少なからず話してくれる神主さんもいる。
埼玉に住んでいた自分にはただ単純にそういった興味を満たすためだけに
その遠い土地を訪れるのは少々の抵抗もあったのだが、赤岡という事で絵金を一度
見てみたいとかねてからの想いも後押しして、結局行くことにした。
59: 2/6 2007/03/18(日) 17:55:30 ID:yu2WM2qu0
すいません、多分6レスぐらい占拠しそうです…
赤岡と言う町は現在では高知市のすぐ側にあり、空港からもさほど遠いわけではな
い。埼玉でもかなり東京よりで割と発展した場所に住んでいた自分からすれば、
という話になるが、そんな場所にも関わらず随分とさびれた町だったのを今も不気味
ながらに鮮明に覚えている。
到着してから初めに向かったのは神社。
その神社は星神社と言い、なんとも変わった名前だし行って見たいという
好奇心もそそられた。
知ってる人も多いと思うが「星」と「信仰」というのは物凄く濃い関係を持っており、
それは日本に留まらない。
そんな事を考えながら到着した。
なんの変哲もない普通の神社だった。
それから自分の好奇心を満たす為、結局宿の近くで散策しようと向かった。
そこから車で随分と行った所に森という名の場所が何箇所も地図上にあり、
なおかつ面白い名前だなと想いつつ、その森の方へと足を向けた。
「長者ヶ森」「平家ヶ森」「三辻森」である。
詳しい人は知ってると思うが、三辻という苗字がある。
その名前は非常に珍しい事もあるが、昔はとてつもなく位の高い苗字だった。
時の左大臣や右大臣もいた。果ては天皇家と言っても良いほどの家だ。
しかしある時反乱に加担し、島流しや地方送りになったのである。
その名に加えて平家ときたらもう大好きな次元の話になってくる。
そこにはもう一つの森があり、清水の名前が着くのだが長者と清水には深い繋がりも
伺えると思う。
三辻→平家→長者→清水→加えて「熊王」「秋葉「龍河洞」ときたらもう大変である。
僕は今でも四国の詳しい郷土史は知らないし、そこに実際に平家や三辻が流れたかも分からない。
元々歴史には明るくないので。申し訳ない。
60: 3/6 2007/03/18(日) 17:59:37 ID:yu2WM2qu0
そういった妄想も膨らみつつ、宿の方へと向かった。
まず初めにしたのは聞き込み。
「平家」「三辻」「熊王」など色々な事を古い日本家屋へ行っては聞き込んだ。
大体の老人の話では、天皇家の血筋だとか平家の偉い人だかが四国に流れてきた。
という事。
最後と言うべきか、寧ろ満たされた自分の好奇心が最後にしたのか、ともかく最後に
訪れた家の方はこう話した。(方言の再現は不可能ですw)
爺「好きな人もおるんじゃのぉ」
婆「勉強の為だしいいかも知れませんね」
爺「私も昔の年寄りに聞いた話だけしか言えんけどいいか?」
そんな事を言われて「駄目です」などとは当然言えるわけもなく、
「お願いします」と丁寧に頭を下げた。
爺は語る
「昔平家の落ち武者がある日猫を連れて落ちてきた。
自分が言うにはとても偉いんだと言うこと。
なんでも猫を使ってある儀式がしたいと言いだした。」
61: 4/6 2007/03/18(日) 18:02:41 ID:yu2WM2qu0
婆「不老不死じゃな。」
爺はそういう変な言い方するなと婆に言って舌打ちをしながらこちらに向きなおした。
続いて爺
「山やら森の名前で分かるかも知れんが昔は随分とそういう事が実験に近い形で
行われてた。ワシのじじいの代でもそういう事があったと聞いておる。
しかもその時使われていたのは人間、今では差別になるんだが、
分かりやすく言えば部落じゃな。そういう土地柄を利用しつつやっていたと聞いておる」
僕は聞き返す
「人体実験のようなものですか?」
爺「昔はそういうこともあったという話だ。あんた間引きや姥捨てというのを知っとるか?」
静かに頷く自分の内心は『うひょひょひょ、キタキタキタキタキターーーー』という感じだった。
爺「そういう対象の人間が『使われた』んだな。しかし今でも猫に関しては神聖視す
る社会もある。あんた今日は絵金に行くのかね?」
僕はただ単純にうなずく作業を2,3度繰り返した。
爺「あの辺りには一部だが、いわゆる部落っつーもんがある。猫だけは決して殺しては
いかんぞもし間違って何かの拍子に殺してしまったら、何も言わずにすぐ逃げなさい。
今でも何かといい噂はない社会だから。年寄りの間でだけだがな。」
「わしが話せるのはこのぐらいかの。」とその話を締めた。
62: 5/6 2007/03/18(日) 18:04:13 ID:yu2WM2qu0
僕はそのお爺さんとお婆さんに深々と頭を下げてお礼を言いつつ、東京土産ですと
東京ばななを渡して赤岡に向かった。
向かう途中に考えた。
実はあの爺さんは肝心の儀式については何も話してくれなかった。
方言だからかもしれないが、最後に「ワシが話せるのはこのぐらい」と言った。
それ以上は話せなかったのだろうか?
妄想が大好きな僕は監視なんかがあり話せないとか、近所の人に後で色々と言われるのが
怖くてそこで止めたなど色々考えながら赤岡に向かった。
当然あんな話をされた後なので、赤岡での聞き込みはとてもじゃないが出来ず、
おとなしく予約した宿に車を走らせた。
その夜、絵金は静かな祭りで皆がたまに見れる絵金を楽しみにしていたという表情が
うっすらと蝋燭の火で灯され、皆が楽しんでいる様をまるで第三者のように見つめながら
絵を楽しんだ。
祭りは終わり次の朝には宿を出た。
宿を出るときにはおかみさんが外まで見送ってくれた。
2,3定型文とも取れる会話をしつつ一路空港まで向かうことにした。
空港に向かう途中の話、旅館から出てまだ10分程度の場所。
広場のような場所で車を止めて道路の反対側にある自動販売機で地図を確認していた。
要は道に迷ってコーヒーを飲んでいたのである。
その辺りは細かい道がとても多く、空港方面に出る道路に出るためには
少々遠回りをしなくてはいけなかった。
自動販売機の裏に森に向かってるベンチに腰掛け、コーヒーを飲みながら地図
と格闘していると、ふと『キキーッ!』という車の緊急停車といった感じの音が聞こえてきた。
車はそのまますぐに発進した音がしたので、そのまま気にせず地図と睨めっこをしてたわけだ。
63: 6/6 2007/03/18(日) 18:05:39 ID:yu2WM2qu0
何事かと思い自動販売機から覗いてみると、10人近い男がごちゃごちゃ話している。
儀式をしないといけないとか、犯人を捕まえる意外に方法がないとか。
多分地域の住人だと思う。田舎のじじいを連想させるようなランニングとモモヒキの
おっちゃんもいた。
嫌なことに僕が借りたレンタカーを入念にチェックしている
「血がついとらん」
「あほ、血なんぞ出とらんわ!」
「凹みもないようだぞ?」
「この車じゃないのかも知れん」
もう僕は怖くなって怖くなって仕方がなかった。
ここで出て行ってあらぬ疑いを掛けられるのは嫌だ
しかし出て行かなくて見つけられたら多分お終いだろうと思った。
結局僕は出て行くことにした。
僕「すいませーん、なんか車にありましたか?僕が借りたレンタカーなんですが?」
すると一人の男が前に出てこう言う。
「あんた猫轢いたか?というか何してんだ、こんなとこで」
僕は事実轢いてないので「いいえ。迷って地図を確認してただけですよ、
自動販売機の裏のベンチで」と答えて笑顔を作る。
すると他の男が言う。
「こいつは他所もんだし関係ない、もしこいつでも仕方のないこっちゃ」
他の男が言う
「そうだな…」
なにやら不穏な空気を感じつつ空港に方面へ出る道を聞いた
「この辺りは入り組んでたり直線というわけにはいかんからそっちの大通りいけ」
結局この場は逃げられるようである。」
-すいません、終わらなかったのでもう一つ使わせてくださいOrz
64: 6/6+1 2007/03/18(日) 18:07:48 ID:yu2WM2qu0
そして最後に他のじじい(多分一番年上)が寄ってくる。
「なんも聞いてないな?」
「な?」
「な?」
「な?」
「な?」
「な?」
「な?」
「な?」
「な?」
「な?」
「な?」
「な?」
……………… …… …
何度同じ一文字を聞き続けただろう。
返事をしようとしても制され、同じその一文字を繰り返す。
そして無言になったかと思えば「全員が無言でこっちをじっとみつめている」
目が冷たい。
初めて心の底からそう思った。
不気味に笑顔になっている人もいた。当然目は笑っていない。
僕は仕方なく
「はい…。」
と返事をしてその場を立ち去った。
あの土地で猫がどういう存在なのか、
また差別的に言うとその部落ではどういう儀式があったのか
色々果てぬ疑問は残りつつも今に至る。
誰か詳しい人がいたら教えて下さい。
怖くないかも知れませんが、僕にとっては本当に恐怖体験でした。
76: 1/2 2007/03/19(月) 13:56:57 ID:CXS/hiVr0
【マクドナルド親父】
俺の親父はマクドナルドが大好きで毎日一回はマクドナルドの商品を食わないと落ち着かない。
本人はいいんだが、それにつき合わされる俺達家族はたまったもんじゃない。
次第に一緒に食べに行くのを敬遠しだした家族の態度に、親父は不満げだった。
なぜ食わない?俺と一緒は厭なのか?違う、マクドナルドが厭なだけだ。
俺も母親も妹もはっきり親父にそう言った。その日一日親父はふさぎ込んでいた。
だが、親父は反省したわけではなかった。
日曜日の夜、明日の学校の支度をして、部屋の電気を消した。
妹は既に2段ベッドの上で寝息を立てていた。
俺は妹を起こさないように1段目のベッドに潜り込み目を閉じた。
しばらくして部屋のドアが開いた気配がした。
誰が入ってきたのか、薄目を開けて見ると、ドナルドが立っていた。
ドナルドは俺が起きているのに気づいていないようで、ゆっくりとベッドの脇に近寄ってきた。
薄く開けた目と気配から、ドナルドが上の妹を起こそうとしている様子が分かった。
「グッナ~イツ、ハハハハハハハ」「ギィーーーーーーー」
ドナルドの陽気な笑い声、妹の悲鳴、思いきり揺れるベッド。
何かが上から飛び出して勉強机に激突した。倒れる机、散らばる文房具。
77: 2/2 2007/03/19(月) 13:57:41 ID:CXS/hiVr0
「なにやってるの」
ドアから母親の叫び声と息を呑む音が聞こえた。
部屋の電気をつけるドナルド。
その時初めて俺は、ドナルドの扮装をしているのが親父だと気が付いた。
親父の後ろ、床に倒れた机の下に、妹のピンクのパジャマと、トクトクと流れる血が見えた。
救急車が来た。救急隊員は親父の格好を見て驚いた。親父は興奮して救急隊員を殴った。
「あなたは家にいて」
叫ぶ母親を押しのけ、一緒に救急車に乗り込む親父。集まった近所の人も何も言えなかった。
俺は1人、めちゃくちゃになったままの部屋にいた。
親父は俺達のマクドナルド嫌いを直そうとあんな真似をしたのだと、俺と母親に話した。
妹は床に敷いた布団の上にいた。目を見開き、歯を食いしばり、手足を出鱈目に激しく振った。
「んーんーんー」
頭を打ち背骨を傷めた妹が布団の中で唸り声を上げた。
「おんぬぃぃちゅぁんんん」
可愛かった妹が僅か半年で別の生き物に変わってしまった。
母親は泣いた。俺は黙った。親父はグラタンコロッケバーガーを食べた。
79: 本当にあった怖い名無し 2007/03/19(月) 16:51:21 ID:rtMxsSUk0
>>76-77 笑っていいのか怖がっていいのか分からんw
でも実際に起こったら洒落にならんほど怖い。
99: ○○○コーヒー 2007/03/25(日) 04:40:26 ID:EQHClk7f0
【コーヒー狂の女の子】
死ぬほどしゃれにならないかどうかは人によるかと思うんだけど、
以前○○○コーヒー(コーヒー牛乳のパック)が大好き!
という事務の女が俺と同じ職場に居た。
その子は東洋大卒の、なんというか良い意味で普通な、空気の読める
常識のある子で仕事の覚えも早かった。
昼はうちの職場はampmでなんか買って食うのが定番だったんだけど、
その子は自分で弁当を作って、いっつもその○○○コーヒーを
飲んでたんですよ。あまいの飲むと疲れが取れる気がするからって。
そんである日。その子と、頭が固い上に古い、なんというか
自衛隊あがりの責任者と、ささいなことから喧嘩になりました。
その責任者は、しごけばそれが力になる、というのが信条なのは
いいのだけど、結局のところ自分のエゴをいじめ的な方法で
解消してるだけな人で、理念ばっかりで仕事を進めてくれない
ので、担当のその子が苦言を呈したところ、「はむかうのか!
上司に!!」と、喧嘩になったというかされたわけです。
100: ○○○コーヒー 2007/03/25(日) 04:47:25 ID:EQHClk7f0
うちは受験予備校なんだけど、その時揉めたのは
定期でやっている模擬試験の生徒さんの管理で、本来は
最低でも四人でやる仕事を、その元自衛隊は、○○○コーヒーの
女の子一人にやらせてて、そういう喧嘩になったんだけど、
でも責任者はあくまで、その人だから、皆手伝いながらも
○○○コーヒーの女の子が結局ほとんどの試験の準備を
したんですよ。喧嘩も、もちろんその女の子が謝って、
念書を書いて終了。
そんで、その模擬試験が終わって、当然というか、
まあその女の子は過労とストレスで急遽辞めることになって
やめました。
101: ○○○コーヒー 2007/03/25(日) 05:05:25 ID:EQHClk7f0
それで…1年経って、今年は俺が、○○○コーヒーの子が
やった模擬試験の担当になりました。責任者は同じ人
だったんだけど、前例があったので、色々人にお願いして
なんとか前の女の子のようにならずに、まあ、人並みに
働いて試験を終了できました。
そんで、試験後の整理をしているときに、なんとなしに、
模擬試験の床が気になったんです。うちの学校のフロアは
良くあるあの、パズル式のはめ込むカーペットなんだけど
本当になんとなしに、取ってみたんです。
そしたら、○○○コーヒーのパックが、一つのパネルの下に
3~4個、たたんだ状態でありました。全部とれないので、
そこからパネルを四個とってみたら、各パネルの下に、やっぱり
3~4個。
受験は、二階層の、十二部屋を使うので、最後の作業に
なるであろう部屋を予測して、そこの床パネルも取ってみました。
そしたら、ビリッビリにやぶかれたであろう○○○のパック。
しかも、血で真っ黒。最後と思われるフロアと、
もう一個のフロアの床パネルの下は、確認できる限り
血とびりびりの○○○コーヒーの残骸で真っ黒。
本当気持ち悪かった。
細かいことをいうと、色々おかしなこともあったけど、
たぶんその子なんじゃないかと思う。ガクガク。
115: 携帯感染1 2007/03/28(水) 01:53:14 ID:nchp3oJk0
【携帯感染】
トゥルルルルルル…
トゥルルルルルル…
なかなか出ないな、槌田のヤツ何してるんだ…
二週間前。
石塚は電話を待っていた。
槌田からの電話、友人の槌田からの電話を待っていた。
携帯電話は電源が入ったまま、じっと石塚の顔を見上げている。
電話は石塚を待っていた。
ひたひたとそれは近づく、電波は忍び寄る。
トゥルルルルルル…
トゥルルルルルル…
電話は鳴り響く、石塚は電話を取る、電話は石塚に取られる。
「おい、遅いじゃ…!」
石塚は気づく、電話は知っている。
青白い画面に浮かび上がるのは「非通知」の文字。槌田ではない。
石塚は慌てて電話を切ろうと思う。ボタンを押そうと思う。
電話の相手は許さない。
電話の相手は語りかける。
「 暗い、暗い、暗い、暗い、暗い 」
石塚から血の気が引いた。
この電話は普通のものではないと気づいた。
石塚は電話を切った。
同時に石塚の手首が切れた。
石塚は痛みから叫んだ。
傷口は滴る血で叫んだ。
116: 携帯感染2 2007/03/28(水) 01:53:58 ID:nchp3oJk0
一週間前。
石塚は電話を待っていた。
槌田からの電話を待っていた。
手首には包帯、滲むような痛みがまだ続いている。
トゥルルルルルル…
トゥルルルルルル…
電話が鳴った、石塚はそれを取った、ボタンを押してから気づいた。
また「非通知」の文字。
急いで切ろうとする、だが電話の相手は許さない。
「 痛い、痛い、痛い、痛い、痛い 」
石塚は電話を切った。
同時に石塚の足首が切れた。
石塚は痛みから叫んだ。
傷口は滴る血で叫んだ。
117: 携帯感染3 2007/03/28(水) 01:54:59 ID:nchp3oJk0
三日前。
石塚は電話を待っていた。
槌田からの電話を待っていた。
両手両足には包帯。
ズキズキと耐えられない痛みが続いている。
傷口がただれ、模様のようなものが包帯からにじみ出ている。
時々、ふさがったはずの傷口が裂け、痛みが走る。
そのたびに石塚は叫ぶ、痛みで叫ぶ。
トゥルルルルルル…
トゥルルルルルル…
電話が鳴った。
震える手で携帯電話の画面を覗きこむ。
「槌田文也」の文字。
石塚は今までのことを相談するため、ボタンを押した。
フッと名前の文字が消えた。
「非通知」に変わった。
汗が吹き出た、また傷口が裂けた、血が流れる、包帯が赤く染まる。
「 アハハ!アハハ!アハハハハハハ!アハハハハハハ! 」
電話は笑った。けたたましく笑った。
ビリビリと窓が震えるほどに笑った。
石塚は耳を塞いだ。手がべったりと何かで濡れた。血、だった。
鼓膜が破れた、耳からどくどくと血が流れた。
石塚は叫んだ、聞こえない自分の耳は叫びを聞く事はなかった。
電話になんとか血まみれの手を伸ばした。
石塚は、電話を切った。
同時に石塚の首が切れた。
石塚の首は、落ちた。
傷口は噴出す血で叫んだ。
118: 携帯感染4(終) 2007/03/28(水) 01:56:03 ID:nchp3oJk0
トゥルルルルルル…
トゥルルルルルル…
まだ出ないな、槌田のヤツ何してるんだ…
石塚は携帯を血にまみれた手で握り締め、ただ槌田に電話をかける。
ふと、電話が繋がった。
槌田の声がした。
「 暗い、暗い、暗い、暗い、暗い 」
石塚は含み笑いを込めて、繰り返した。
血まみれの体で繰り返した。
石塚の周りからも声は繰り返されていた。
何十人もの血まみれの人間達が、ただ電話をかけていた。
トゥルルルルルル…
トゥルルルルルル…
槌田は電話を切った。
168: 本当にあった怖い名無し 2007/04/01(日) 09:32:43 ID:Pp9HNAAt0
【爺ちゃんの写真】
ちょっと前の話。
俺は受験生だった。受験前日に気付いた出来事。
母が「爺ちゃんが満面の笑みで写ってる写真あるけど、お守りにどうだろう」
と言うので、取り合えず写真を見せてもらうことにした。
故人のものなので、持って行って失くしたりしたらやだなぁ・・・とか思いつつ。
内心、一見して礼言って返して次の日の試験に備えるつもりだった。
問題はその数分後に起きた。
「・・・写真が無い・・・」
母が顔を青くして俺に言った。
俺は少し残念だったが、「そっか。じゃ明日試験だから、そろそろ寝る」
と言って部屋に戻ろうとした。
母は背を向けた俺に呟いた。
「おめぇ、爺ちゃんの写真があるアルバムの場所知らねぇよな」
勿論俺は知らない。
その日の二年前に爺ちゃんが亡くなった時にそのアルバムを母は実家から持ってきたらしいのだが、
俺はそれを母が持ってること自体知らなかった。
「知らない」と答えると、母はさらに顔を青くした。
「無くなってるんだよ。一枚だけ」
どういう意味か分からず、俺は問い返した。
「他の写真は全部あった。でも一枚だけ抜き取られてるみたいに無いんだよ」
母はそう言った。
「抜け落ちた、とかは無いの?元々無いとかは?」俺は少し気味が悪くなって言った。
「無い。有り得ない」母の話によると、それは写真の四方を留めるといったものではなく、
きちんとしたミニアルバム式になっていて、フィルムを剥がして貼り付け、その上にまたフィルムを貼り付けて保存していたそうだった。
抜け落ちる筈が無い。フィルムが勝手に剥がれるくらい劣化している訳でも無さそうだった。
しかも母はアルバムを家に持ってきてから内容を確認していたらしく、その時は一つも抜けていなかったらしい。
俺も自分で血の気が引いていくのが分かった。
169: 本当にあった怖い名無し 2007/04/01(日) 09:34:33 ID:Pp9HNAAt0
母の家は代々霊的なものを感じ取りやすい体質らしく、
爺ちゃんが亡くなった時も母はしばらくうなされたりした。
それらの経験談が余計に「爺ちゃんが来て写真を抜き取った」という考えに説得力を持たせた。
俺は取り合えず寝ることにした。
恐い思いをした筈なのに何だか眠くて堪らなかった。
俺は一通り戦慄すると、部屋に戻って電気を消し、すぐに眠りに付いた。
翌日。試験は難なく終わり、数日後に俺の合格が分かった。
未だに何で写真が無くなったのかが分からないが・・・これには後日談がある。
170: 本当にあった怖い名無し 2007/04/01(日) 09:58:46 ID:Pp9HNAAt0
それから二週間くらいして、俺と母が母方の実家に爺ちゃんを拝みに行った時の事。
母は車の中で口を開いた。
「この間爺ちゃんの夢を見た」
「へー。早く拝みに来いっていう催促じゃね?w」
俺も冗談半分で返したが、様子がおかしい。
「そう思うか」
不謹慎だったかと反省しつつ俺は何があったのか興味があり、訊いた。
母は時々思い出すようにして話し始めた。
「爺ちゃんな、薄暗い所に座ってるんだわ。何だかゴミとか玩具とか?が一杯散乱してる所に。
そんで、奥に・・・何だろな。何か幕があってな。ホラ、学校の体育館にある感じの奴。
アレの真っ赤な奴が上に張ってあって、爺ちゃんの座ってるとこの上がそれに囲まれてるの
そんで何か、正座か体育座りみたいな感じで座って、おれの方をじぃーっと見てくるんだ」
「・・・夢だろ。考え過ぎじゃねーの?」
「かもしれねぇけど、二回も三回も見ればなぁ・・・」
俺もさすがに背筋が寒くなった。母の夢はあることに符合していたから。
実家に到着。扉を開け、仏間に入るとそこは・・・
・・・洗濯物やら玩具やらが散乱してた。部屋の半分くらい。
実家には伯父伯母夫婦と子供二人が居るんだが、整頓されているとは言い難い状況だった。
俺も母も爺ちゃんが亡くなってから何度も見ているのでショックは受けなかったが、母は自分のかつての家の面影が無くなっていくのを寂しがっていた。爺ちゃんが生きている時は綺麗に整頓されていた家だったから。
仏壇には三個入りで、既に一個食べられているプリンが備えてあった。俺も母もそれを見て思わず絶句する。
線香が燃え尽きてから、席を立って母が一言、呟いた。
「夢と同じ・・・」
背筋が再び寒くなるのが分かった。爺ちゃんが寂しそうな目で見つめている気がした。
ごめんなさい、と訳も無く謝りたくなった。