翼を動かさずに飛び続けるコンドル
翼を広げるアンデスコンドル。/Credit:東武動物公園
調査が行われたのは8羽の子供のコンドルです。彼らにデバイスを取り付け、毎日の飛行時間と、その間の羽ばたきの様子が記録されました。
この調査で記録された
飛行時間は230時間以上に及びますが、その間で羽ばたきが検出された時間はたったの1%程度のものでした。
しかも、この羽ばたきはほとんどが離陸のために行われたもので、上空で彼らが羽ばたくことはほぼなかったのです。
成鳥でない若いコンドルが、これだけ羽ばたかずに飛んでいるという事実は驚くべきものだと研究者は語っています。
それは比較的飛行経験の浅いコンドルでさえ、羽ばたきを最小限に抑えて飛ぶ必要に迫られているということです。
この研究では、
若いコンドルが5時間以上もの間一度も羽ばたくことなく、気流だけを利用して170キロメートル以上も飛行したという記録も確認しました。
同業の研究者も、こうした調査結果に「
彼らが基本的に翼を羽ばたかせるのは舞い上がるときだけというのは、驚くべき発見だ」と語っています。
巨大な鳥の飛び方
アホウドリは、海洋のコンドルというべき大型の鳥ですが、彼らは飛行中の14%はゆっくりと羽ばたきをしています。
コンドルの飛行時間の1%しか羽ばたかないという結果は、これよりはるかに少ないものです。
大きな鳥は羽ばたくとき、じっと翼を広げているときの約30倍近いコストを消費すると考えられています。
人間の扱うグライダーも動力などを持たず、気流だけを利用して飛び続ける飛行機です。
グライダーは条件が良ければ、一日中上昇気流を捕まえて長時間飛び続けることができます。
Credit:たきかわスカイパーク
こうしたグライダーの飛行距離の世界記録は3000kmに達するといいます。
コンドルなどの大型の鳥の飛行も、基本的には同じ原理で、高度の維持には強い上昇気流を利用します。
こうした巨大な乗り物が滑空だけで飛び続けるのを考えると、コンドルが滑空で飛び続けることはそこまで不思議なことではないようにも思えます。
しかし、グライダーのパイロットは慎重に天候を読み、それが飛行に適した天気がどうか判断した上で、飛行を行います。
自然のコンドルにそんな贅沢はできません。彼らは常に食べ物を見つけるために、天候や季節に関わらず毎日飛行しなければならないのです。
彼らがもっともコストを払うのは離陸時ですが、着陸にもかなり繊細な動作が必要になります。
彼らは常にどこへ着陸するかということを慎重に選んでいます。
上昇気流から別の上昇気流へと移動して、エサのある場所へ近づきたいとき、気流と気流の間に距離があれば彼らは羽ばたく必要が出てくるでしょう。
このとき彼らは予期せぬ着陸を強いられるリスクも高くなります。
しかし、研究では
コンドルが気流の激しい山岳地でも、強風が吹き荒れ上昇気流の条件が良くない冬の飛行でも、まったく羽ばたかないルートを進んでいることを発見しています。
彼ら巨大な鳥は、目に見えない気流やその障害を正確にナビゲートする方法を持っているようです。
今から800万年近く前のアルゼンチンには、コンドルよりもはるかに大きい体重が70kgを超える巨鳥アルゲンタヴィスがいたと言われています。
この鳥は、翼を広げると7m以上もあり、それは小型軽飛行機のセスナ機と同等のサイズです。
Credit: dinoanimals
巨大な鳥たちがどのように気流を見極め、着陸と離陸を最小限のコストで実現しているかを理解することは、こうした古代の羽ばたく飛行はほぼ不可能だったと考えられる巨鳥の存在を理解するためにも重要な知見になるでしょう。
この研究は、イギリスのスウォンジー大学の研究者H. J. Williams死を筆頭とした研究チームより発表され、論文は『米国科学アカデミー紀要:PNAS』に7月13日付けで掲載されています。
以下、不思議netコメント欄の反応
1: 不思議な名無しさん 2020-09-07 17:11:17
ずっと翼を広げ続けるのも疲れそうだな
2: 不思議な名無しさん 2020-09-07 17:11:25
こんな化け物みたいな鳥が空を飛んでたのか…
4: 不思議な名無しさん 2020-09-07 17:16:37
スゴイなぁ
こんな大きな鳥からは人間はどう見えるのだろう
5: 不思議な名無しさん 2020-09-07 17:35:36
カテゴリの上位に属する種は肉体の性能がそれ専用に特化してるのかね
6: 乙武さん、空を飛ぶ!!!(…冷静に考えて危ないだけだろ(キレ)) 2020-09-07 17:36:15
つLatest Flight Testing!
手も足も出ないとはこのことだな…( ^ω^)
7: 不思議な名無しさん 2020-09-07 17:41:43
カッコいいな
動物園とかで飼っていい生き物じゃないな
11: 不思議な名無しさん 2020-09-07 17:52:50
たまには地面歩こうかなってのは考えないのだろうな
27: 不思議な名無しさん 2020-09-07 18:47:55
>>11
食後のコンドルは最大離陸重量を超えちゃうから歩いて山頂まで登っていくそう。
ソースは所さんの目がテン
14: 不思議な名無しさん 2020-09-07 17:59:32
滑空にしてもかなり効率がいいのかな?
15: 不思議な名無しさん 2020-09-07 18:05:55
あっちこっちの上昇気流つかめるということは空気が見えてんの?
18: 不思議な名無しさん 2020-09-07 18:16:54
>>15
視えてるよりも上昇気流を察知するレーダーというかセンサー的なものが備わってるんじゃないかなと推察
16: 不思議な名無しさん 2020-09-07 18:13:39
ハチドリ「マジでそんな飛び方出来るの?」
20: 不思議な名無しさん 2020-09-07 18:19:08
15キロて以外と軽いんだな
23: 不思議な名無しさん 2020-09-07 18:31:20
体の大きさとエネルギー効率とかの関係で滑空メインと羽ばたきメインが分かれるのかな?
カラスは羽ばたくけどトンビは滑空だよな
25: 不思議な名無しさん 2020-09-07 18:45:17
コンドルゆうてもハゲとるやないか!
ハゲドルやなぁ!
26: 不思議な名無しさん 2020-09-07 18:46:43
コンドルがくい込んどる
28: 不思議な名無しさん 2020-09-07 19:01:28
流石恐竜の末裔だわ、今でも天下取ってるようなもんやろ
29: 不思議な名無しさん 2020-09-07 19:03:14
翼竜とかもこの原理で飛んでたんだろうか
13: 不思議な名無しさん 2020-09-07 17:58:17
コンドルってすごい距離トンドルんやな