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    13

    【坂口安吾】彡(゚)(゚)「桜が満開やんけ」





    1: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)22:55:41 ID:9nx
    (´・ω・`)「桜の花が咲くと人はやれ絶景だの春爛漫だのと言いますが本当でしょうか?」

    (´・ω・`)「実際の景色を想像してみてください」

    (´・ω・`)「桜の花の下へ人が寄り集まって、宴会を始め、酔っ払い、騒ぎ、吐いたり喧嘩をしたり……」

    (´・ω・`)「とても美しいとは思えませんよね」

    (´・ω・`)「これは昔の話ですが、桜の花の下は怖ろしいと思いこそすれ絶景などとは誰も思わなかったそうです」

    引用元: https://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1616334941/





    4: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)22:56:10 ID:OqA
    なんか始まった

    5: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)22:56:13 ID:9nx
    (´・ω・`)「能にもこんな話があります」

    (´・ω・`)「ある母親が子供を攫われ、探しているうちに発狂して桜の満開の林の下へ来た時に、見渡す限りの花の中に子供の幻を見て狂い死に花びらに埋まってしまう……」

    (´・ω・`)「今でこそ桜というのは陽気で賑やかな光景になっていますが、そこから人間がいなくなると得も言われぬ怖さがあるんですね」

    (´・ω・`)「またある峠道では道中で桜の森を通らなければならず、満開の時期になると気がおかしくなりそうになるため急いで通り抜けたり、わざわざ回り道をしたそうです」

    (´・ω・`)「そうしているうちに本来の道は使われなくなり、桜の森は峠道から外れ人一人通らない山の静寂へ取り残されてしまいました」

    (´・ω・`)「前置きが長くなりましたが、これからお話しするのはそれから何年か後に山に住み始めた一人の山賊の奇妙な物語です」

    6: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)22:56:34 ID:9nx
    彡(゚)(゚)「ワイは山賊や。いつも山奥に住んでるけど、たまに街道に出てはそこを通る奴らの荷物を奪って生活しとる」

    彡(゚)(゚)「人も随分殺した……でもそんなワイでも怖いものがある」

    彡(゚)(゚)「桜の木の下に来ると気がおかしくなりそうになるんや」

    彡;(゚)(゚)「風がないのにゴウゴウと音が聞こえるような気がするし、実際は物音一つなくひっそり冷たい空気に晒されてるだけや」

    彡;(゚)(゚)「そして桜が散っていくとまるでワイ自身の魂も散って命が段々衰えていくようにも感じる」

    彡(゚)(゚)「なんだか妙な話やけど、そう感じるんや」

    7: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)22:57:01 ID:9nx
    彡(゚)(゚)「せや、来年花が咲いたらアレをやってみよう。今年やなくて来年や」

    彡(゚)(゚)「……毎年そう考えているうちに十年経った」

    彡(゚)(゚)「そして女房は七人になった。ちな全員攫ってきた女や」

    彡(゚)(゚)「更に今日、八人目を迎えた」

    彡(゚)(゚)「最初は亭主を殺すつもりはなかったんやが……女があまりに美しくて何故か殺してしまった」

    彡(゚)(゚)「なんで殺ってしまったのかよくわからん……いつもと違うような、変な感じやった」

    9: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)22:57:23 ID:9nx
    彡(゚)(゚)「おい、お前は今日からワイの女房になるんやで」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「……」コクリ

    彡(゚)(゚)「なんや腰抜かして立てないんか」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「歩けそうにないからおぶってくれない?」

    彡(゚)(゚)「……まぁええで」

    11: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)22:57:39 ID:OC4
    これあれみたい
    世にも奇妙な物語

    12: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)22:57:49 ID:9nx
    彡(゚)(゚)「ここからは険しい登りやから自分で歩いてもらうで」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「嫌よ、あなたが苦しがるほどの坂道を私が歩けるわけないでしょ」

    彡(゚)(゚)「うーん、それもそうやな」

    彡(゚)(゚)「でも一回だけ降りてくれんか?何も苦しいから休憩したいってわけやないで。さっきからお前をおぶってると何となくもどかしくて仕方ないんや」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「嫌よ、こんな淋しい所に少しでもじっとしていられないわ。家まで休まずに急がないと女房になってあげないから」

    彡(^)(^)「よしよし、お前の頼みなら何でも聞いてやるで」

    13: 【1563円】【1544円】 21/03/21(日)22:57:58 ID:7u3
    なにこれ

    14: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)22:58:38 ID:9nx
    彡(゚)(゚)「この周りの山は全部ワイのものなんやで」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「ふーん。それよりもっと急げないの?」

    彡(゚)(゚)「この坂道はワイ一人でもなかなか駆け上がれない難所なんや」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「あなたも見かけによらない意気地なしねぇ。私としたことがとんだ甲斐性なしの女房になってしまったわ」

    彡(゚)(゚)「こ、これくらいの坂道なんかへっちゃらや!」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「でも息が苦しそうじゃない。顔色も青いよ」

    彡(゚)(゚)「何事も初めはそういうものやで。勢いがつけばお前が背中で目を回すくらい速く走って見せるわ」

    15: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)22:59:08 ID:9nx
    彡;(゚)(゚)「や、やっと着いたンゴ……」ドサッ

    (*゚ー゚)「おかえりなさい。……あら、綺麗なお方」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「ちょっと、この女たちはなんなの?」

    彡(゚)(゚)「ワイの“昔の”女房やで」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「はぁ、これがあなたの女房なの?」

    彡(゚)(゚)「そりゃお前のような可愛い女がいるとは思わなかったから……」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「あの女を切り殺して」

    17: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)22:59:51 ID:9nx
    (*゚ー゚)「!!」

    彡;(゚)(゚)「え?何も殺さなくても女中やと思えば……」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「へぇ、あなたは私の亭主を殺したくせに自分の女房は殺せないのね。それでも私を女房にするつもりなの?」

    彡;(゚)(゚)「う、うぅ……わかったで」ザクー

    (* ー )「」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「次はあの女よ。その次はあっち」

    18: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:00:13 ID:9nx
    /|i、゚ヮ゚ハレ.「一人でも逃がしたら承知しないよ。ほら藪の陰にも、上にも一人逃げていくよ」

    彡(●)(●)「おかのした」

    (o'ω'n)「お、おん……」

    彡(●)(●)「……」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「あ、その女はいいわ。私が女中に使うから」

    彡(゚)(゚)「え?もうついでやし殺ってまうで」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「馬鹿ねぇ。私が殺さないでと言ってるのよ」

    彡(゚)(゚)「……あ!そういえばそうやな」

    20: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:00:56 ID:9nx
    彡(゚)(゚)「流石にこれだけ動くと疲れるわ……」

    彡(゚)(゚)「……はっ!!」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「……」

    彡(゚)(゚)「(何や、この感覚は。まるでワイの魂がこの女に吸い寄せられて動けないような……何かに似ているこの不安な感覚は……)」

    彡(゚)(゚)「(せや、桜や。桜の森の満開の下を通る時のアレや。どこがどう似てるかは分からんけど、なんだか似てるんや)」

    彡(゚)(゚)「(ああ、今年はアレをやろう。桜が満開になったら思い切って森の真ん中に行って、木の下に座るんや)」

    彡(゚)(゚)「(怖ろしさでたまらないやろうけど今年こそやってみせるで)」

    21: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:02:07 ID:o2r
    怖E

    23: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:02:12 ID:9nx
    /|i、゚ヮ゚ハレ.「まったく、毎日毎日こんなものを食べろって言うの?」

    彡(゚)(゚)「山ではこれでも飛び切りの御馳走なんや……お前がここに来る前は十日に一度でもこれだけのものが食えれば十分やったんやが」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「あなたはずっと山に住んでるからそれでもいいだろうけど、これじゃ私の喉は通らないよ」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「何もない山奥で聞こえてくるのは梟の鳴き声ばかり。食べ物くらいは都に劣らない美味しいものが食べられないもんかねぇ」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「都を知らないあなたにはそれを取り上げられた私の思いを察することも出来ないのね」

    彡(゚)(゚)「(せやかてワイ都に行ったことないしな……都の知識はそこから来る旅人から奪った物が全てや)」

    25: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:02:35 ID:9nx
    /|i、゚ヮ゚ハレ.「ちょっと!私のものに何勝手に触ってんの!」

    彡(゚)(゚)「着物だけやなく櫛、笄、簪、紅……こんな小物が大事なんやなぁ」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「あのねぇ、着物はただ着ればいいってもんじゃないのよ。個々は意味のない飾り物が集まって一つの美が完成されるの」

    彡(゚)(゚)「はぇ~まるで魔術みたいやな」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「ところで椅子と肘掛けは完成した?」

    彡(゚)(゚)「ああ、出来てるで」

    彡(゚)(゚)「(椅子に腰かけ肘掛けに凭れながら物思いに耽る艶めかしい姿はまるで魔術師や……あの女が魔術師ならワイはその助手ってところやな)」

    26: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:03:08 ID:9nx
    彡(゚)(゚)「最近ではなんだか都が怖ろしくなってきた。恐怖ではない。知らないことに対する不安みたいなものや」

    彡(゚)(゚)「なぁ、都には牙のある人間がおるんか?」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「弓を持った侍ならいるわ」

    彡(^)(^)「ハッハッハ、弓ならワイも自信あるで!都には刀が折れるような皮の硬い人間はおらんやろ?」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「鎧を着た侍ならいるわよ」

    彡(゚)(゚)「鎧ってのは刀も折れるんか?」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「折れるわね」

    彡(゚)(゚)「ワイは熊や猪も組み伏せられるで」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「あなたが本当に強いなら私を都に連れて行ってくれない?あなたの力で私の欲しいものを持ってきて、心から私を楽しませてくれたならあなたは本当に強い男よ」

    彡(゚)(゚)「そんなのはわけもないことや。よっしゃ、ほなら都に行くで!」

    27: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:03:46 ID:9nx
    彡(゚)(゚)「ワイの手にかかれば三日も経たないうちに都のあらゆる櫛、笄、簪、着物、鏡、紅を積み上げてみせる」

    彡(゚)(゚)「ただ一つ気がかりなことが……桜の森や」

    彡(゚)(゚)「二、三日後には満開の予定なんや。今年こそはあの桜の森の満開の下でじっと座ってみせると決めたんや」

    彡(゚)(゚)「やから出発は三日後や」

    28: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:04:06 ID:9nx
    /|i、゚ヮ゚ハレ.「三日後?あなたに何を支度するものがあるっていうの?都が私を呼んでいるというのに」

    彡(゚)(゚)「すまん、約束があるんや」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「こんな山奥で誰と約束してるっていうのさ」

    彡(゚)(゚)「それは誰もいないんやが……でも約束があるんや」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「いない人と約束があるとはまた不思議なこともあるもんだねぇ」

    30: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:04:39 ID:9nx
    彡(゚)(゚)「……桜の花が咲くんや」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「桜?花と約束したっていうの?」

    彡(゚)(゚)「桜の花が咲くから、それを見てから出かけなければならないんや」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「どういうことなの?」

    彡(゚)(゚)「桜の下は冷たい風が張り詰めていて……果てがなくて……ああもう訳分からん、なんて説明したらええんや」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「じゃあ私も連れて行ってよ、その桜の所に」

    彡(゚)(゚)「それはアカン」キッパリ

    彡(゚)(゚)「一人でなきゃ……アカンのや」

    31: >>29 せやで 21/03/21(日)23:05:19 ID:9nx
    /|i、^ヮ^ハレ.「フフッ、それってどういうこと?全く分からないわ」

    彡(゚)(゚)「(なんやこの刀で切っても切れないような笑い方は……こっちは真面目に言うとるのに)」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「まぁいいわ。そこまで言うのなら三日だけ待ってあげる」

    彡(゚)(゚)「あざます!」


    三日後――――

    彡(゚)(゚)「今日はもう満開のはずや。こっそり出掛けたろ」

    /|i、^ヮ^ハレ.『フフッ』

    彡(゚)(゚)「なんでこんな時にあの笑いが頭をよぎるんや……」

    32: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:05:55 ID:9nx
    彡(゚)(゚)「……とりあえず桜の森に来たで。やっぱり満開や」

    彡(゚)(゚)「……」

    彡(゚)(゚)「…………」

    彡(゚)(゚)「ア、ア、ア……」

    彡(●)(●)「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )」

    彡;(゚)(゚)「ア、アカン……座るどころやない、あそこにいるだけで怖ろしくて全力ダッシュで逃げてもうた」

    彡;(゚)(゚)「ハァハァ、この苦しさは夢やない……」

    彡(゚)(゚)「……ほな、都に行くか……」

    33: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:06:38 ID:9nx
    彡(゚)(゚)「あの後ワイと女と女中は都に住み始めた」

    彡(゚)(゚)「ワイは毎日女の言う家に忍び込んでは着物や装飾品を盗み出した」

    彡(゚)(゚)「しかし女が何よりも欲しがったのは……」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「さぁご飯を食べましょう。ほっぺたを食べてやりなさい」

    (●▲●)「」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「ああ美味しい。じゃあ次は喉にかじりついてやりましょうか」

    (*^○^*)「」

    彡(゚)(゚)「女はワイに住人の“首”を持ち帰らせ、その首を使って毎日“お人形ごっこ”をしとるんや」

    34: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:07:29 ID:9nx
    彡(゚)(゚)「ワイは色んな人の首を持ち帰った。中には時間が経って腐ったり骨だけになっとる物もある」

    彡(゚)(゚)「そんな物でもワイや女中が少しでも触れようものなら怒るんや。ワイには腐って区別のつかない首やがどうやら女には分かるみたいや」

    彡(゚)(゚)「アイツにとっては櫛や簪と同じくらい大事なもんなんやろか」

    彡(゚)(゚)「しかし……最初は珍しかった都っちゅうもんも慣れてくると飽きてくるな」

    彡(゚)(゚)「何よりも退屈なんや……人間はうるさい。キャンキャン吠える犬みたいなもんや」

    彡(゚)(゚)「山に住む獣の鳴き声をうるさく感じたことはないのになぁ」

    35: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:08:37 ID:o2r
    おそろしいお人形ごっこやなぁ

    36: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:09:08 ID:9nx
    彡(゚)(゚)「なぁ、都って退屈やないか?山に帰りたいとは思わんか?」

    (o'ω'n)「都ではお喋り出来るから退屈とは思わないおん。むしろ山の方が退屈おん」

    彡(゚)(゚)「はえ~ワイはお喋りの方が退屈やなぁ」

    (o'ω'n)「あなたは喋らないから退屈だと思うおん?喋っていれば退屈を忘れられるおん」

    彡(゚)(゚)「別に喋りたいこともないし……」

    彡(゚)(゚)「(こう退屈やと女が首で遊ぶのもなんとなく分かる気もする。毎日都の連中と顔を合わせて生活するくらいなら、物言わぬ首に囲まれる方を選ぶかもしれん)」

    37: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:09:50 ID:9nx
    彡(゚)(゚)「家に侵入して首を切り取って目当ての物と首を持ち帰る毎日もいい加減退屈や」

    彡(゚)(゚)「女の果てのない欲望はずっと真っすぐ飛び続ける鳥みたいなもんや。休むことなく飛んでいるが常に爽快に風を切っているんや」

    彡(゚)(゚)「対してワイは……枝から枝へ飛び移りうたた寝をしている梟ってところやろか」

    彡(゚)(゚)「空は昼から夜に、夜から昼になり、明暗の繰り返しが無限に繰り返される……」

    彡(゚)(゚)「……もうアカン、こんな生活はやめや!」

    38: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:10:47 ID:9nx
    彡(゚)(゚)「ただいま」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「おかえり。早速だけど今夜は白拍子の首を持ってきてくれない?」

    彡(゚)(゚)「嫌や」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「嫌だって?まさか臆病風に吹かれたっていうの?案外ただの弱虫なのねぇ」

    彡(゚)(゚)「弱虫ってわけやない。きりがないから嫌になったんや」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「きりがない?何でもきりがないものよ。毎日毎日ご飯を食べてきりがない、毎日毎日眠ってきりがない。そういうものでしょ?」

    彡(゚)(゚)「そういうのとは違うんや……」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「どんな風に違うっていうのよ。さぁさぁ、今夜は白拍子の首を持ってきてちょうだいよ」

    彡(゚)(゚)「……おかのした」

    40: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:11:25 ID:9nx
    彡(゚)(゚)「このきりのない生活を止める方法は一つ……あの女を殺すことや」

    彡(゚)(゚)「しかし何だかワイの心臓にはぽっかり穴があいた感じもするんや」

    彡(゚)(゚)「あの女はワイなんやろか?あいつを殺すことはワイを殺すことなんやろか?」

    彡(゚)(゚)「ワイは……何を考えてるんや?もう訳が分からん」

    彡(゚)(゚)「今日はもう家に帰りたくない……」

    42: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:12:39 ID:9nx
    数日後――――

    彡(-)(-)「ほぇ……?もうあしゃんご……?」

    彡(゚)(゚)「……ファッ!?何でワイは外で寝てるんや!?」

    彡(゚)(゚)「あ、そういえば帰りたくないから彷徨ってたんやった」

    彡(゚)(゚)「桜の木が一本……満開や。もうそんな時期なんやな」

    彡(゚)(゚)「山に帰れば森中が満開やろなぁ。あぁ、山が懐かしい……」

    彡(゚)(゚)「……せや、山に帰るんや。何でこんな単純なことを忘れてたんや。何をワイは今まで小難しいことを考えてたんや」

    彡(゚)(゚)「何だか悪夢から覚めたような気分や」

    43: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:12:40 ID:rNz
    原作の良さを殺さず書くのは難しいがおもしろいで

    45: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:13:19 ID:9nx
    彡(゚)(゚)「ただいま」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「何日もどこ行ってたの?心配したじゃない。私が無理なことを言ったから?」

    彡(゚)(゚)「ワイは山へ帰ることにした」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「私を残して帰るっていうの?いつからそんな薄情になったのよ」

    彡(゚)(゚)「ワイは都が嫌いなんや。ここにもう住んでいたくない、それだけなんや」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「私が嫌いになってしまったの?あなたがいない間、私はずっとあなたのことばかり考えていたのよ?」

    彡(゚)(゚)「お前は都やないと住めないんやろ?ワイは山やないと住めないんや」

    46: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:14:19 ID:9nx
    /|i、゚ヮ゚ハレ.「私はあなたと一緒じゃないと都にも住めないの。だから、あなたが山に帰ると言うなら私も一緒に帰るわ」

    彡(゚)(゚)「ええんか?山にはお前の欲しがるような首は無いんやぞ?」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「あなたと首とどちらか一つを選ばなければならないなら、私は首を諦めるわ」

    彡(゚)(゚)「(あれだけ山を嫌がってたこいつが……まさか夢やないよな?)」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「じゃあすぐに出発しましょう?」

    彡(゚)(゚)「あ、あぁ……」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「じきに帰ってくるから待っててね」ボソッ

    (o'ω'n)「……おん」ボソッ

    47: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:14:54 ID:9nx
    彡(゚)(゚)「旧道を通って帰るで。とはいってももう道なき道やけど」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「じゃあ背負ってもらってもいいかしら?」

    彡(゚)(゚)「ああ、ええで」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「初めてあなたに会った時もこうして背負ってもらったわね」

    彡(^)(^)「ワイもその日のことを思い出していたで」

    彡(゚)(゚)「見えるか?この周りの山は全部ワイのものなんやで」

    /|i、゚ヮ゚ハレ.「そういえばその日は随分あなたを走らせたわね」

    彡(^)(^)「あぁ、目が回るくらい疲れたのを覚えとるで」

    48: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:15:33 ID:9nx
    彡(゚)(゚)「桜の森が見えてきた……やっぱり満開や」

    彡(゚)(゚)「ん?もう地面が一面花びらで埋まっとる。まだ満開になったばっかりやのに」

    彡(゚)(゚)「あぁ、ひっそりと段々冷たくなっていくような感覚が来たで……」

    彡(゚)(゚)「心なしか背負ってる女の体温も冷たいような……ような?」

    彡;(゚)(゚)「いや、冷たい!何やこれは!」クルッ

    /|i、● ●ハレ.「」

    彡(○)(○)「ヒエッ……お、鬼……!」

    49: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:15:56 ID:oVm
    おっ、安吾やんけ。ワイの一番好きな作家や
    頑張りや!

    50: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:16:12 ID:9nx
    彡(○)(○)「こ、殺さな……ワイが殺される!!」

    彡(。)(゚)「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )」

    彡;(゚)(゚)「ハァ、ハァ、ハァ……」

    /|i、-ヮ-ハレ.「」

    彡(゚)(゚)「……えっ」

    彡;(゚)(゚)「鬼や……ない?」

    52: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:17:11 ID:9nx
    彡;(゚)(゚)「お、おい!起きてくれ!頼む!目を覚ましてくれ!」

    /|i、-ヮ-ハレ.「」

    彡(;)(;)「何でこんなことに……ワイは何てことを……!」

    彡(;)(;)「う、うおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

    53: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:17:53 ID:9nx
    (´・ω・`)「……彼が我に返った時、彼の背には白い花びらがつもっていました」

    (´・ω・`)「日頃の恐れや不安は消え去り、初めて桜の森の満開の下に座ることが出来たのです」

    (´・ω・`)「彼はいつまでもそこに座っていることができます。もう帰るところがないのですから」

    (´・ω・`)「ほどなくして彼は一つの生温かなものに気がつきました。それは彼自身の胸の悲しみでした」

    (´・ω・`)「花の冷たさに包まれて、ほのかに温かいふくらみが少しずつ分かりかけてくるのでした」

    54: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:18:29 ID:9nx
    (´・ω・`)「桜の森の満開の下の怖ろしさの正体は誰にも分りません。それは『孤独』であったかもしれません。何故なら彼自身が『孤独』であったからです」

    (´・ω・`)「女の正体が本当に鬼であったのか、狂った男が幻覚を見たのかも、誰にも分りません」

    (´・ω・`)「彼が女の顔につもった花びらをかき分けようとした時、どこまでも降りつもった花びらがあるばかりで女の姿は消えていました」

    (´・ω・`)「そして花びらかき分けようとした彼の手や身体も、手を伸ばした時には同じように消えていました」

    (´・ω・`)「あとには花びらと、冷たい虚空がはりつめているばかりでした」


    -完-

    59: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:19:47 ID:9nx
    坂口安吾の「桜の森の満開の下」でした

    桜の森の満開の下 (講談社文芸文庫)
    坂口 安吾
    講談社
    1989-04-03



    56: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:19:08 ID:OC4
    そこそこおもしろかったねー

    62: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:20:45 ID:o2r

    63: 名無しさん@おーぷん 21/03/21(日)23:21:01 ID:rNz
    乙やで











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    コメント一覧

    1  不思議な名無しさん :2021年03月26日 08:08 ID:WNPrM.Y30*
    丁度、堕落論読み終わったとこやったわ
    2  不思議な名無しさん :2021年03月26日 09:02 ID:ZDnfMatX0*
    高校の時に現代文の授業でタイトルと作者名覚えたな、綺麗なタイトルで印象に残ってた
    読んだ事ないけど一度読んでみようか
    3  不思議な名無しさん :2021年03月26日 09:06 ID:waIRmx6N0*
    安吾の太宰治論と澁澤龍彦の三島由紀夫論は非常に核心をついている 安吾の方は『不良少年とキリスト』青空文庫で読める
    4  不思議な名無しさん :2021年03月26日 09:21 ID:i3IbeCJr0*
    ももとせのいのちねがわぢ
    5  不思議な名無しさん :2021年03月26日 09:32 ID:O2YQ9lnP0*
    全部が中途半端でもや〜んとした原作がよく表現できとる
    坂口安吾は基地外を誘発する作家だから気をつけたほうがいい
    6  不思議な名無しさん :2021年03月26日 10:38 ID:RJySRpfu0*
    >>5
    危うい人は春に読むのはやめましょう
    7  不思議な名無しさん :2021年03月26日 14:05 ID:13V.ZhyN0*
    ちょうど鬼譚で読んだやで
    8  不思議な名無しさん :2021年03月26日 15:46 ID:K1TsTlqM0*
    ざわざわ森の安吾ちゃん
    9  不思議な名無しさん :2021年03月26日 18:46 ID:nDXGzhLq0*
    夜長姫と耳男の方が好きだな
    江奈古は俺の嫁
    10  不思議な名無しさん :2021年03月26日 21:26 ID:uzjvLQrH0*
    偏見かもしれないけどはっきりとしたオチがないのがいかにも昔の小説って感じ
    でどうなったの?とか結局どういうことなの?とかそういう未消化な部分が残る
    それはそれで考えさせられるし面白いけど
    11  不思議な名無しさん :2021年03月27日 02:15 ID:OWYSn4K.0*
    坂口安吾、怖いからこういうのじゃないと読めない
    12  不思議な名無しさん :2021年03月27日 20:01 ID:y.JLsHJl0*
    >>5
    桜の森の満開の下めっちゃ好きで
    このスレも気に入ってたんやけど
    何で好きなんか何となく分かったわ
    13  不思議な名無しさん :2021年03月27日 20:04 ID:y.JLsHJl0*
    >>10
    余韻ってあるやろ?
    全部言わんでも大体分かるってやつ。
    昔の人はテレビもネットもないから時間余りまくってて、その分想像力豊かやった
    やからいちいちオチつけるのはギャグの説明ぐらい蛇足って考え方やったんやって
    今適当に思いついた話しやけど

     
     
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